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live report

タイトル

WANIMA "COMINATCHA!! TOUR 2019-2020" YOKOHAMA ARENA LIVE REPORT!!

Report by 山口智男
Photo by 瀧本JON…行秀


2020.1.29
WANIMA "COMINATCHA!!TOUR 2019-2020"
@横浜アリーナ


いきなりホール、あるいはアリーナから始めずに、11月5日の新木場STUDIO COASTから今回ツアーを始めたのは、ライヴハウス育ちのバンドという矜持があるからだ。そして、その後、各地のホールを回ってきたWANIMAは、現在、全国のアリーナを、ドッカンドッカンと盛り上げている真っ最中。
前作『Everybody!!』にひきつづき、2作連続でオリコン・ウィークリーチャートNo.1になった10月23日リリースの2ndアルバム『COMINATCHA!!』をひっさげ、全30公演を開催する「COMINATCHA!!TOUR 2019-2020」。
「過去最大級に…とんでもないツアーにしたいと企んでおります!!」という開催前のメンバーたちの言葉通り、WANIMA史上最大の25万人を動員するという。

ツアーのスタートダッシュをキメた新木場STUDIO COAST公演に続いて、アリーナ編のスタートとなる横浜アリーナ2デイズ公演の初日を見る機会に恵まれた。ライヴハウスで掴んだ10代後半~20代前半の若者を中心に彼ら彼女らの親世代や、おとうさん、おかあさんに手を引かれているちびっこたちが埋めた客席を、ぐるっと見渡しながら、WANIMAのメンバーたちが「お茶の間で愛されるバンドになりたい」とインディーズ時代から、口にしていたことを思い出す。今夜、ステージから客席を見たとき、メンバーたちの胸に去来するのは、とうとうここまで来たという感慨か、それともまだまだこれからと新たに燃やした闘志だろうか。

 ともあれ、2時間半を超えるこの日の熱演から筆者が一番感じたのは、アリーナだからこその可能性に挑戦した上で、バンドのスケールアップをアピールしながら、ライヴハウスだろうと、ホールだろうと、アリーナだろうと、どんなステージに立っても、芯にあるものは何も変わらないという気持ちいいくらいのWANIMAらしさだった。

 カウントダウンからの「COMINATCHA!!のテーマ」が会場全体に響き渡る中、メンバーの登場を熱烈な手拍子とともに今か今かと待ち構えていた2万人の観客の意表を突くように、アリーナの真ん中に作ったセンター・ステージに現れた3人が花道を走ってメイン・ステージに――という思わずニヤリのオープニングから、「横浜の本気を見せてくれ!」とFUJI(Dr/Cho)がバシャーン!と銅鑼を鳴らして、バンドがなだれ込むように披露したのが『COMINATCHA!!』の1曲目を飾るメロディックパンク・ナンバー「JOY」。KENTA(Vo/Ba)が「COMINATCHA!! TOUR開催します!」と宣言。そこからたたみかけるように繋げた「アゲイン」では、早速、観客のシンガロングが広い会場に響き渡った。スタンド席の最後列の観客も手を振っている。
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「みなさんとWANIMAの、とんでもない1日が始まりました。迷いなら捨てて、後腐れなく最後まで楽しんでください!」
 KENTAによるお馴染みの挨拶に続いて、口を開いたのが、興奮を抑えきれなかったのか、意外にもバンド一無口のKO-SHIN(Gt/Cho)。
「あけましておめでとうございます。今年、みんなに会うのが初めてなので、言わせてもらってもいいですか? ド平日に、みんな来てくれてありがとう!」
 と、ここまでは調子良かったのだが、髪の毛を紫色に染めたことや、「新しい機材を買ったってKO-SHIN君が言うから、ギターかな、エフェクターかなと楽しみにしてたら筋トレ・マシーンだった」とKENTAに突っ込まれたとたん、しどろもどろになってしまうKO-SHINだったが、そんな彼に対して、客席から飛んだ「かわいい」「がんばって」という声援を聞いたKENTAがポツリと一言。
「応援すんのこっちなのに(苦笑)」

 WANIMAらしい、そんな飾らないやり取りを曲間に挟みながらライヴは、「BOUNCE」「つづくもの」「THANX」と進んでいき、花道を行ったり来たりしながら、KENTAが「ワーニマ!カミナッチャ!もっとワーニマ!もっとカミナッチャ!」とコール&レスポンスを交えながら盛り上げると、観客はシンガロング、そしてジャンプで応え、序盤から文字通り、横浜アリーナを揺らす。メイン・ステージのところではモッシュ、クラウドサーフも始まっている。

 いつもと変わらない盛り上がりに「ライヴハウスの匂いがします」とKENTAも満足そうだ。しかし、ここに集まっているのは、ライヴ慣れてしている観客ばかりじゃない。KENTAはそういう観客のことも忘れない。特にちびっこたちのことは。
「起きてる? 声を出して! 最後まで起きてたらKO-SHINお兄さんのゾウさん見せてやるけんね!(笑)」
 アリーナでもシモネタを忘れないと言うか、憚らないWANIMA、いいなぁ! と思っていたら、アバンチュールを歌った、ちびっこが聴くにはちょっと早い「サンセットストリップ」のイントロで、スマホでデ〇〇〇に予約を入れる小芝居を織り交ぜ、アリーナだからって変わらないWANIMAスタイルをダメ押しでアピール。いいなぁ! WANIMA!――って、いやいや、筆者が感銘を受けたのは、そこではなくて、4人の観客をセンター・ステージに迎え、WANIMAのライヴではお馴染みのリクエストを募った時のKENTAの言動だ。

 ステージに迎える観客を選ぶため、客席に降りて、ぐるーっと回ってきたKENTAは観客を連れて、ステージに戻ってくると、ぼそっと言ったのだ。
「(この日、被っていた)帽子をひっぱられて、すげえイヤな気持ちになった」
 空気を読んで、ぐっと飲み込んでしまう類の言葉だと思う。ライヴハウスならまだしも、アリーナという大舞台に立っていることを考えるとなおさらだ。それでも、自分の正直な気持ちを言葉にしたKENTAは立派だった。音楽を通して、一人の人間として、観客に向き合っているからこそ言えるのだと思う。そこは、どんなステージに立っても変わらないということなんだろう。

 ひとり暮らししているという観客のリクエウトに応え、「寂しい人、苦しい人、いっぱいいると思うけど、ともに歌ってもらえますか?」(KENTA)と歌った「HOME」の次が、ワンチャン・ソングの「いいから」なんて、ファンもちゃんとわかっている。打ち鳴らすリズムが心地いい、その「いいから」ともう1曲、リクエストに応え、いきなり観客全員がシンガロングした「ともに」で再び会場全体を揺らしたステージの3人は、「折り返し地点を過ぎたらあっという間に終わります!」(KENTA)とそこからムーディーと言うか、ジャジーな魅力もある「Baby Sniper」、ラテン・ファンクな「シャララ」と「Like a Fire」と繋げ、ぐっとタイトになった演奏とともにバンドの成長を見せつける。
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そして、「ツアーしながら感じること、歌いたいことを新曲にしている。どんどん新曲ができている。自分が一枚めくれた」とKENTAが言いながら、新曲「春を待って」を、歌詞をヴィジョンに映し出しながら初披露。バラードかと思うような歌い始めから、曲が始まると一気に、メロディックパンク調になるこの「春を待って」。今のところ、リリース予定はないという。
 そして、亡くなった祖母への想いを歌っているうちに、「ここにいるみんなは失いたくない。だから、WANIMAとともに生きてください」という言葉が思わず溢れてきた「Mom」をじっくりと聴かせたあと、ライヴハウスを出自に持つバンドの底力を今一度見せつけた「夏のどこかへ」「オドルヨル」の2連打からの振り幅180度の展開は、ド平日の夜に横浜アリーナに足を運んで、本当に良かったと思わせるだけの価値があるものだった。

「これからどんどん音楽を作っていくから、みんなにもあきらめてほしくない。KO-SHIN君とFUJI君がいたら、どんな時でも乗り越えられると思う。だから、何かあったら、いつでも会いに来て。大丈夫。WANIMAと一緒に生きてください。弱いまま強くなろう」とKENTAがメッセージを込めた「りんどう」。そして、KENTAが「ここに集まったみんなは、俺らの宝物だから忘れない」と感謝を伝えた「宝物」――ともにWANIMAが持つ叙情を象徴する2曲を、3人は12人編成のストリングス+ピアノとともに演奏したのだが、それはWANIMAの3人がこの日、観客に一番受け取ってほしいメッセージを、アリーナだけでしか聴けないスペシャルなアレンジとともに届けたこの日一番のギフトだったんじゃないかと思う。
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 歌とともに真心を伝えるという意味では、やっていることは変わらない。しかし、そのスケールが大きなものになってきた。本編の最後を飾ったその2曲で終わっても全然、満足できたと思う。しかし、WANIMAは、WANIMA。やはりライヴハウスを出自に持つバンド。しっとりとした気持ちのまま、観客を帰らせるのは申し訳ないと思ったかどうか。アンコールでは、もう一度、横浜アリーナを揺らしたのだが、衣装もがらっと変え、ここからもう1回りと言わんばかりの勢いだったのはちょっとびっくりだった。
 そんなふうに「COMINATCHA!! TOUR 2019-2020」のアリーナ編は、4月29日、30日のポートメッセなごや第一展示館2デイズ公演まで続いていく。



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