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interview

OLEDICKFOGGY "夜明け来ず跪く頃に" INTERVIEW!!

Interview by Tomoo Yamaguchi
Photo by Chabo



昨年4月、オーディションで選んだ新メンバー、上原子K(Ba)を迎え、バンド史上初めてエレキベース編成になったOLEDICKFOGGY(以下オールディック)が前作『POPs』から1年3か月ぶりとなる最新ミニ・アルバム『夜明け来ず跪く頃に』を完成させた。
その間、コロナ禍の思わぬ副産物とも言える『グッド・バイ 継承編』『Gerato 警鐘編』という2枚の再録アルバムも生まれたが、『夜明け来ず跪く頃に』は向かい風の中で、日々の暮らしを噛みしめながら作った全7曲を収録。5曲目の「ベイサイドモーテル」で《時代の流れに逆らい続ける男でいてください》と歌っているオールディックだ。コロナ禍だろうとなかろうと、彼らが作る音楽は大きく変わらないとは思うが、誰もが逆風を感じずにいられない世の中になったことを考えると、『夜明け来ず跪く頃に』に滲むやるせなさみたいなものは、これまでよりも多くの人たちの琴線に触れるんじゃないか。こんなふうに言ったら、いやいやいやとメンバーたちは笑うかもしれないが、そのコワモテはさておき、全曲の歌詞を書いている伊藤雄和(Vo/Mandolin)がこの世界を見つめる眼差は今回、とことんやさしい。
 伊藤に加え、スージー(Gt/Cho)、上原子がインタビューに答えてくれた。
 コロナ禍の影響で思うように活動できなかった1年を振り返って、こんな調子になってしまうところもオールディックならでは。頼もしい。いまだ夜明け来ずという状況ながらも、なんだか励まされるではないか。

――前作の『POPs』をリリースしてからの1年3か月、コロナ禍の影響でバンドにとってはなかなか大変な時期だったんじゃないかと思うのですが、振り返っていかがですか?

伊藤:ライブができなかったのは残念でしたけど、しっかりと曲を作る時間はあったので、真面目に取り組めたと言うか、ちゃんと向き合えた気はします。
スージー:僕はバイトばかりしてました(笑)。
伊藤:だから、ライブがないだけで、そんなに変わらなかったよね。
スージー:でも、けっこう考えましたよ。バンドをやってない人って、こういうふうに生活しているんだ。楽勝だなって(笑)。
伊藤:あぁ、土日でしょ?
スージー:そう、土日が休める。
伊藤:だから、あんなに金曜日が待ち遠しいんだっていう。
スージー:思った。僕らは平日バイトして、土日ライブしてという生活だったんで、土日休んだことなんてなかったんです。
伊藤:楽は楽だよね。
スージー:こんな生活を送ってたんだ、みんなは。ズルいなって思いました(笑)。
伊藤:そうだよね。だって、俺たちは365日働いているんだもんね。
スージー:それは思いました。
伊藤:バイトしてないと思われているところが癪なんだよね。だから、いつも言っちゃうんですよ、バイトしてるってことを。

――バイトしている上で、これだけライブをやっているんだ、と。

伊藤:そう。ライブが多すぎて、過酷だったから、ちょっとイヤだなって思うこともあったんですよ。でも、できないとなるとやっぱりね。あれが楽しかったんだよなって改めて気づきました。だから、今は本当にライブがやりたいです。
スージー:久しぶりに大阪に遠征して、今、体が痛いんですよ(苦笑)。がんがんやらないと体が慣れないから、リハビリしながらちょっとずつやりたいですね。

――上原子さんは昨年4月に加入して、いきなりライブができなくなっちゃったわけですが。

上原子:最初は、何しに東京に来たのかなって思いました(笑)。でも、考えたところでできないものはできない。それはしかたない。だから、それは一旦、置いておいて、過去作をエレキベースで録り直すという機会をいただいたので、とりあえずそれに全力で取り組みました。

――じゃあ、コロナ禍の中でどんなふうに活動していったらいいんだろうかとそんなに悩むことはなかったわけですか?

伊藤:なかったですね。曲を作ることを含め、いつライブができるようになってもいいように準備だけはしておかないとって思ってました。
マネージャー:モチベーションが下がらないように配信ライブを月1回、合計5回やりましたしね。

――ところで、上原子さんはオーディションに受かって、バンドに加わることになったわけですが。

上原子:オールディックは元々好きで、よくライブを観にいってたんです。どうせダメだろうなと思いながら、軽い気持ちで応募したんですけど、スタジオで一緒に演奏させてもらったとき、ぜひ入りたいと思いました。そしたら「一緒にやっていこう」と言ってもらえたんです。
伊藤:シンデレラボーイですよ(笑)。

――以前にバンド経験はあったんですか?

上原子:高校生の時からバンドをやってたんですけど、その時はTHE BLUE HEARTSのコピーをやってました。ちょっとオリジナルもやりましたけど、ほとんどコピーでしたね。社会人になってからもバンドはちょっとやってましたけど。
伊藤:ライブもしたの?
上原子:たまに。3年に1回ぐらいしてました。

――パンク・ロックが一番好きなんですか?

上原子:ジャンルで言うと、パンクなのかな。
伊藤:照井さんじゃないの?
上原子:ああ、そうですね。BLANKEY JET CITYの照井利幸さんとか。
伊藤:THA BLUE HERBも好きなんでしょ?
上原子:はい。あと細野晴臣さんとか。

――オールディックを好きになったきっかけは?

上原子:THA BLUE HERBのILL-BOSSTINOさんがオールディックとリリースした「弾丸さえあれば」っていうコラボレーション・シングルを聴いたときかっこいいと思いました。

――どんなところがかっこよかったんですか?

上原子:やっぱり一番は伊藤さんの歌じゃないですか。
伊藤:あ、そう。ありがとう(照)。

――逆に上原子さんに決めた理由は?

伊藤:オーディションの時、曲もちゃんと覚えてきてくれたし、まだ30代で若いし、オールディックに入って、いい男になっていってくれたらいいなと思いました。それを見ていきたいと思ったんですよ。無垢な青年がいろいろなことを覚えて、どうクズ野郎になっていくのかを(笑)。俺はそういう理由でした。

――上原子さん以外の応募者の方ともスタジオに入ったんですか?

伊藤:最終選考に残った2人とだけ入りました。
スージー:プレイもしっかりしていて、何よりも合わせやすかったんです。それにプレイに柔軟な感じがあって、これまでは普通のロックだけやってきたと思うんですけど、まだまだ広がりそうだと思いました。実際、今まさに広がっているところなんですよ。

――『グッド・バイ』と『Gerato』を上原子さんと再レコーディングして、昨年12月に『グッド・バイ 継承編』『Gerato 警鐘編』としてリリースしたわけですが、コロナ禍がなくても再レコーディングする予定だったんですか?

スージー:予定はなかったです。何かやらなきゃなと思って、僕らから提案したんです。
マネージャー:エレキベースで録り直したいってスージーは思ってたらしいです。加わったとたん、ライブができなくなっちゃったから、Kにも目標ができていいのかなと思いました。いきなり25曲、Kは覚えなきゃいけなかったんですけど、目標ができていいんじゃないかなって(笑)。
スージー:Kは大変そうでしたけどね(笑)。
上原子:確かに大変でした。
伊藤:そうか、コロナ禍がなかったらライブがいっぱいで、そんなことをやってる時間はなかったのか。
スージー:10月まで決まってたライブが全部なくなったからね。

――上原子さんが加わってから、新たなアンサンブルやグルーブを作っていかなきゃいけなかったと思うんですけど、ライブをしながらそれをやっていこうと思っていたら、ライブができなくなってしまい、代わりに再レコーディングでと考えたのかなと想像したのですが。

スージー:そうですね。レコーディングしたら、細かく分析できたんですよ。それがなかったら、たぶんライブでばーっとやって、なんとなくの流れでできたとは思うんですけど、スタジオでKのクセなんかもすごくわかったので、やってよかったと思いました。

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――その後、今回のミニ・アルバムの制作に入ったんですね?

スージー:そうです。だから、再レコーディングは、新作の予行練習になりましたね。

――ライブができなかったから曲作りしていたとおっしゃっていましたが、その時にはミニ・アルバムをリリースすることは決まっていたんですか?

伊藤:いや、まだミニ・アルバムとは決まってなかったです。でも、家にいてもヒマだからなんとなく作り出しましたね。

――スージーさんもその頃から?

スージー:僕は7月とか8月とかでした。子供が7月に保育園に入ったんですよ。その送り迎えの途中に曲のことを考えてた記憶があります。

――今回もポップな曲からメランコリックな曲まで、バラエティに富んだ全7曲が収録されていますが、全体の印象としては、やるせない空気を感じました。今回、ミニ・アルバムを作るにあたっては、どんな作品にしたいと考えていたんでしょうか? 

伊藤:特にこういう作品にしようと考えてたわけではないんですけど、最初は、わかりやすいきれいな歌詞を意識して、書いていたんですよ。でも、やめました。なんで、こんな辛いことを聴かされてるんだろうって思われるぐらいでいいかなと思って(笑)。

――なぜ、やめたんですか?

伊藤:向いてなかったのかな(笑)。

――『夜明け来ず跪く頃に』というタイトルは、多くの人がコロナ禍だからこそと考えるんじゃないかと思うのですが、さっきおっしゃった辛いことも含め、やはり思うように活動ができなくなったバンドの状況が反映されているんでしょうか?

伊藤:いや、それはあんまりないですけど、みんな、そう思うかなって思って。タイトルは一見、ネガティブっぽいけど、『…跪く頃に』って、何か続きがあるようなニュアンスなんです。捉え方としては、夜が明けるのかもしれないし、そこで終わるのかもしれないし、どっちとも取れる。そこはその時々の精神状態によって変わるんじゃないですか。

――じゃあ、辛い歌詞とおっしゃった、その辛さはどこから来たものなのでしょうか?

伊藤:辛いとか、悔しいとか、妬ましいとか、そういう経験をいっぱいしてるってだけですよ。いつの間にか、そういう人間になってしまったんでしょうね(笑)。

――つまり、今までと変わらず、思っていることを書いている、と?

伊藤:そうですね。1曲だけ、ハッピーな「行け若人」という曲があるんですけど、それは3月発売だから、新社会人の応援ソングになればいいかなと思ったんですけどね。

――確かにロックンロール調の明るい曲ですね。

伊藤:もしかしたら、あの頃の自分に歌ってるのかもしれないですけど。

――あぁ、「行け若人」って、なぜ若人に歌っているのかなって聴きながら思ったんですけど、そういうことだったんですね。

伊藤:J-POPの人達ってクリスマス・ソングをリリースするじゃないですか。あれってたぶん、「クリスマス・ソングを出してもらえませんか?」ってちょっと前に言われると思うんですよね。でも、俺らは曲を作ってリリースするまで半年ぐらいかかるから、クリスマス・ソングを作るとしたら夏ぐらいに作りはじめなきゃいけないけど、暑いからそういう気持ちにはなれないんですよね。でも、今回は曲を作ったのが5月だったし、リリースも3月ぐらいってわかってたから、歌詞を入れたのはもうちょっと後でしたけど、3月を狙ったところはあります。

――若者に対して応援歌を歌いたいという気持ちがあることにちょっとびっくりでした(笑)。

伊藤:そんなにないですけどね(笑)。荒れた成人式の奴らは応援できないもんね。
スージー:できないね。でも、そもそも俺たち、社会人になったことがないから(笑)。

――いやいや、今、社会人じゃないですか(笑)。

スージー:ちゃんと就職したことないんですよ。
伊藤:うん、就職したことないですね。
スージー:ちゃんとした社会に入ったことがないからわからないんだよね。
伊藤:わからないんだよな(笑)。

――そんなスージーさんは今回、「逃げれない」「東京」「蟻」の3曲を提供していますが、3曲すべてアップテンポというのは、たまたまだったんですか?

スージー:何か新しいことをやろうと思って、作ったら全曲、速かったっていう。それに遅い曲はもう、(大川)順堂君(Dr)が作った「雨が止んでも」があったから、もう要らないと思ったんですよ。その他にミドルテンポの曲もありましたしね。
伊藤:速い曲の枠しか残ってなかったっていう(笑)。
スージー:バランスを考えて、そうなりました。

――さっき、そういうことはあまり意識していないとおっしゃっていましたが、「逃げれない」の歌詞はまさにコロナ禍の、いろいろなことに言及しているように聴こえますね。

伊藤:でも、それはコロナ禍だからなんですよ、きっと。これがまた別の状況、たとえば3.11だったら、そういうふうに感じるだろうし、今はそういうふうに思ってもらえるかもしれないけど、時代が変わって、また何か起きたとき、その歌っぽいなってふうに感じられるように仕上げているんですよ。

――あぁ、なるほど。

伊藤:歌詞にコロナって入っちゃうとダメじゃないですか。

――確かに、入っていないですね。

伊藤:そういうズルいことをやってますね(笑)。

――いや、ズルくはないと思いますけど(笑)。

伊藤:何とでも取れるっていうテクを(笑)。

――3曲目の「蟻」の歌詞がまた強烈で。

スージー:イメージどおりですね。ハード・ロックみたいな曲にしたかったんです。

――確かにハード・ロックっぽいです。

スージー:でも、ほんとにハード・ロックみたいな歌詞だとダサいんで。
伊藤:ハード・ロックみたいな歌詞ってどういうの?
スージー:なんかさ、愛してるぜとか、乾いた風に吹かれてとか(笑)。そしたら、それとは真逆の気持ち悪い歌詞が来て、いいな、バランスが取れたって思いました。

――「蟻」を聴きながら、夜中、こんな気持ちになったら死にたくなるだろうなと想像しました。

伊藤:スージーが作ってきた曲を聴いて、これはヤバい歌詞を書くべきだと思って、精神世界と言うか、神経が擦れるような、たとえば歯医者の治療みたいに我慢できるけど、すごく辛いっていう歌詞にしたかったんです。

――その時、伊藤さんがそういう気持ちになっていたんですか?

伊藤:なってないですよ(笑)。こういう歌詞を書いていると楽しいんですよ。書きながら、もっとヤバくしよう、ヤバくしよう、でも、ヤバすぎるとダメだからギリギリのところを攻めようって考えてました。

――ジャケットのアートワークは、「蟻」の歌詞からの連想ですよね?

伊藤:デザイナーに電話して、「静脈に蟻が入り込んで、体中が蟻の巣になっているやつにしてほしんだけど」って伝えたら、これができあがってきました。解体新書のイメージもあったんですよ。人体の解剖図みたいな感じで、もう全部、蟻っていう。
スージー:(ブックレットを見ながら)気持ち悪い。全部、蟻だもんな(苦笑)。
伊藤:かなり蟻推しなんですけど、MVはこの曲じゃないっていう(笑)。

――MVは「逃げれない」ですね。

伊藤:さすがに「蟻」はまずいと思って(笑)。
スージー:これを推し曲にしたらダメだろ(笑)。

――さて、いつものことではあるんですけど、曲もさることながら、あいかわらず印象に残る歌詞が多い。どの曲にも耳に残るフレーズが入っていますが、中でも「雨が止んでも」はいいですね。

伊藤:あれは日雇い労働の経験があると、もっとぐっと来るんじゃないですか。仕事に行く金がないんですからね。交通費がなくて、仕事に行けないっていう経験、みんなはしてないだろうな。
スージー:Suicaを解約して、500 円戻してもらって帰るっていう。

――スージーさんもそういう経験があるんですか?

スージー:ありますよ。
伊藤:給料を取りに行けなくなるとかね。ばっくれちゃうから(笑)。自分のせいなんですけどね。

――《だけど只管に金が金が無いから》という歌詞は、まさに心の叫びなんですね?

伊藤:ない時はほんと1円も持ってないですからね。だって、交通費も全部使うんだもんね、パチンコにね。
スージー:家のCDも売るからね。

――まぁ、CDはちょくちょく売りますよね。

伊藤:それでギターも売りましたからね。だから、一時期、ギターを持たないギタリストっていうキャッチコピーでね(笑)。

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――じゃあ、ライブの時は誰かに借りて?

スージー:「使っててもいいよ」みたいなのあるじゃないですか。

――永久貸与みたいな。

スージー:それを借りてやってました。

――それはパチンコですっちゃったんですか?

スージー:大体そうですね(苦笑)。

――上原子さんもパチンコやるんですか?

上原子:一切やらないです。
伊藤:ツアーが始まったら覚えればいいんじゃない?
上原子:えぇ。
伊藤:飲む打つ買うだよ。
上原子:えぇ。
スージー:Kを選んだのは、それもあるかもね。真面目っていう。あんまりヤバい奴が入ってきたら、めちゃくちゃになるもんね。

――ところで、前作の「不毛な錯覚」はインポテンツの歌でしたが、今回の「ベイサイドモーテル」にはそれとは真逆を思わせる《あれ以来私は放水路が開くたびに あなたを思い出します》という一節があります。

伊藤:あぁ~、放水路(笑)。歌詞にも出てきますけど、沼津で通ってた中学校の近くに《夢パズル》ってホテルがあったんですよ。それこそ海沿いに。でも、中学に上がった時には潰れちゃっていて、だから行ったことはないんですよ。

――それはいわゆるラブホテルですか?

伊藤:ラブホです。そこでこんなことがあったんじゃないかという想像を駆使して書いた物語です。

――フォークっぽく始まって、歌謡曲になって、大サビは演歌っぽくなるおもしろい曲という印象でした。

伊藤:昭和ですね。

――シンセも使ったダンサブルな曲もあった前作とはまた音色が変わってきたという印象がありました。60年代っぽいと言うか、70年代っぽいと言うか、そういう音色になっていると思うのですが、それは意識的に?

伊藤:俺はしてないです。
スージー:基本的に古いロックが好きなんで。たぶんKも好きだよね。順堂君も好きなので、自然にそうなっちゃうんじゃないですか。

――yossuxiさんが弾くキーボードもオルガンっぽい音色が多くて。

スージー:あぁ、「雨が止んでも」はチェンバロを使ってますね。昔のロックっぽくっていいなと思いました。あれは曲を作った順堂君がそういう音色にしてくれって指示してました。そういうイメージがあったんじゃないですか。

――それでは、おひとりずつ今回のフェイバリット・ソングを1曲ずつ教えてください。

伊藤:「逃げれない」はいいんじゃないかな。でも、あれかな。「低空飛行」かな。俺の感じが出てますね。いや、違うな。「東京」もいいんだよな。けっこう全曲いいんですよ。今回、全曲、登場人物が同じと言ってもいいぐらいなんですよ。そういう意味で、全体的に、まとまりのある同じような世界観で全曲の歌詞を書けたというのはありますね。

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――狙ったんですか?

伊藤:狙ってないですけど、そうなりましたね。最初から狙っちゃうと、あんまり良くないんじゃないですか。

――「東京」の《道端の手袋が財布に見えたのは 月明かりのせいさ》という歌詞もポップな曲調と裏腹で、いいですよね。

伊藤:そこは俺も気に入ってますね。みんな、経験があるんじゃないですか。

――全曲、登場人物が同じでもいいというのは、イコール伊藤さんってことですか?

伊藤:いや、俺みたいな経験をしたことがある人みんなじゃないですか。そういう意味では、誰もが主人公になれる。
スージー:いつでもなれるよ(笑)。
伊藤:こんな主人公、なりたくないと思うけど(笑)。

――いつでもなれますか?

伊藤:家にある使っちゃいけない金を使い出したらなれますよ(笑)。
スージー:狭い家に引っ越して。窓を開けたら目の前がビルみたいな。
伊藤:最後は蟻に運ばれて。
スージー:で、逃げれない。
伊藤:がんばれ若人、俺は昔すごかったんだぞって。
スージー:相手にされないっていう(笑)。

――すごい。曲が見事に繋がった(笑)。スージーさんもフェイバリット・ソングを教えてください。

スージー:「逃げれない」ですね。Kのチョッパーが入っているんですよ。オールディックはファンキーな感じの曲ってあんまりやってないから、そういうおもしろさもありつつ、最後、メロディックな速い曲になるというバランスも良くて、おもしろい曲だと思います。イメージしてたとおりの曲になりましたね。



――スージーさんは割と新しいことをやりたいタイプなんですか?

スージー:そうですね。でも、オールディックはそんなにやってきてないんです。なぜかっていうと、以前はウッド・ベースだったから、限界があって。でも、エレキになったから、これからもっと広がると思います。「逃げれない」でファンキーなサウンドができて、広がったという手応えがあったんですよ。視野がばっと広がった実感がありますね。
伊藤:次のアルバムに期待だね。
スージー:そうだね。

――今回もいいと思いますよ(笑)。

伊藤:これはまだちょっと、夜明け来ずだから(笑)。

――そして、上原子さんは?

上原子:家で、ひとりで聴いていると、「低空飛行」が染みますね。
伊藤:ある? こういう経験? 《一緒にいる時は笑ってくれていたのに トイレから戻ると退屈そうな顔して 時間ばかり気にしていた》っていう。
上原子:まさにそこが染みるんですよ。
スージー:経験があるんだ(笑)。
伊藤:トイレに行ってる間に女の人は食うからね。唐揚げとか(笑)。
スージー:ピザとか、餃子とかね(笑)。

――何か身につまされるな(笑)。今回の『夜明け来ず跪く頃に』はそんなふうに聴いた人それぞれに染みるところがある作品なんじゃないかと思うのですが、さっきお伝えした全体的にやるせないという印象は、いかがでしょうか。合っていますか?

伊藤:みんな、そんなもんじゃないですか。そういうところは、自信を持っていいんだよって気持ちもあって、後々、そのかっこ悪さは絶対に宝になると俺は思ってるんです。だから、情けないところにもっと自信を持って、そしたらいつか夜明けが来る……来ない人もいますけどね(笑)。

――4月4日に新宿LOFTで発売記念のワンマン・ライブを開催したのち、主要都市を回るツアーが予定されているわけですが、いわゆるガイドラインに沿ったライブにはもう慣れましたか?

伊藤:暴れるのが好きじゃない人は観やすそうに観てるから、それもいいと思いますけどね。しっかり観られるし、ぎゅうぎゅうじゃないし。全然大丈夫ですよ、こっちは。ちゃんとみんな観ててくれるから、モッシュになってなくても大丈夫です。

――では、最後にツアーの意気込みを聞かせてください。

伊藤:ガイドラインに則って(笑)。いや、時間が空いたんで、ちゃんと準備して、しっかりと挑みたいと思います。
スージー:ずっと地方に行けてなかったんで、お客さんももちろんですけど、各地にいる仲間のバンドに会いたいですね。
伊藤:いろいろなところで金も借りてるからね。それも返しにいかないと(笑)。
スージー:そうですね。取り立てに来るかもしれないですね。それも含め、会えてない人達に1年ぶりに会えるのが楽しみです。
上原子:本格的なツアーは初めてなので、終わったとき、生きてるのかちょっと不安です(笑)。
伊藤:どんなクズになってるかね(笑)。
上原子:まぁ、楽しみですよ。
伊藤:まずタトゥーだよね。
スージー:温泉好きだから入れたくないんだよね。
上原子:そうなんですよ。
伊藤:大丈夫だよ。
上原子:大丈夫じゃないですよ。
伊藤:ウェットスーツみたいの着ればいいじゃん。
上原子:それじゃあ全力で楽しめないじゃないですか。
スージー:相当好きだね(笑)。



<INFO>
New Mini Album「夜明け来ず跪く頃に」
2021/3/24 ON SALE
Diwphalanx Records / PX360 / 2,500円+Tax
01.逃げれない
02.東京
03.蟻
04.低空飛行
05.ベイサイドモーテル
06.行け若人
07.雨が止んでも

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<LIVE>
OLEDICKFOGGY「蟻の行進TOUR 2021」
4月04日(日)東京 新宿LOFT(ワンマン / 1部、2部入替公演)
4月24日(土)東京 下北沢SHELTER(ワンマン)
4月25日(日)愛知 名古屋CLUB UPSET(ワンマン)
5月15日(土)広島 CLUB CONQUEST(with NEVER AGAIN)
5月16日(日)岐阜 柳瀬ANTS
5月23日(日)群馬 高崎CLUB FLEEZ(ワンマン)
5月28日(金)東京 下北沢SHELTER(ワンマン)
5月29日(土)福島 いわきCLUB SONIC IWAKI(ワンマン)
6月05日(土)三重 四日市CLUB CHAOS(with gyouninven)
6月06日(日)三重 四日市CLUB CHAOS(ワンマン)
6月19日(土)高知 CARAVAN SARY(ワンマン)
6月20日(日)大阪 心斎橋LIVE HOUSE PANGEA(ワンマン)
6月25日(金)東京 下北沢SHELTER
7月03日(土)埼玉 熊谷 HEAVEN'S ROCK VJ-1(ワンマン)
To be continued….


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