LIVE REPORT

“Northern19 presents HOLY DIVERS vol.4“ LIVE REPORT!!

Report by Chie Kobayashi
Photo by 岩渕直人(dustbox)、半田安政(Northern19)

2022.2.11
“Northern19 presents HOLY DIVERS vol.4” @Spotify O-EAST

バンドというのは、メンバーが楽器を持ってステージに立てば、そこで音楽が鳴って、空間を作り上げられる。これまでに何度も見てきた、もはや当たり前とも言える事実に、改めて気づいた。そんなことを気づかせてくれるのが、この「HOLY DIVERS」というイベントなのかもしれない。

「HOLY DIVERS vol.4」は当初、2021年2月に開催が予定されていた。しかし緊急事態宣言により延期となっていた。当初から、ゲストにはdustboxの出演が決まっていた。さらに同年5月に振替開催を予定していたが、こちらも開催できずにいた。笠原健太郎(Northern19 / Vo, G)いわく「三度目のアレ」だ。

dustboxは「Right Now」で幕開け。「Riot」の演奏後には次曲「Bitter Sweet」のイントロを弾くJOJI(Ba, Vo)が、自身の立ち位置を探って前に出たりフロアに座ったりとウロウロ。そんな姿を見てSUGA(Vo, Gt)が思わずニヤニヤしてしまう。YU-KI(Dr)の繰り出す軽快なリズムにSUGAが体を元気よく揺らしたりと序盤からライブが楽しくて仕方ない様子を見せた。

最近はdustboxのアコースティックセットに笠原がメンバーとして参加している。中盤のMCでその話になると、突然dustboxメンバーが笠原を呼び込み。突然の展開に笠原は驚きつつも、笠原がSUGAのギターを持ち、SUGAはハンドマイクという形で4人は演奏することに。「すごい! dustboxだ!」とまるで少年のように目を輝かせる笠原を囲むようにしながら、「Sun which never sets」をアコースティックアレンジで披露した。

そんな自由なステージ展開で会場を喜ばせたdustbox。さらに「Here Comes A Miracle」や、SUGAとJOJIが走り回った「Hurdle Race」を経て、最後に「これからもライブハウスを、みんなの遊び場を一緒に守っていきましょう」と告げ「Tomorrow」で、何より自分たち自身が一番楽しんだであろう“遊び場”を締めくくった。

Northern19は「STAY YOUTH FOREVER」「BELIEVER」「MORATORIUM」と、冒頭からキラーチューンを連投。もはやモッシュやクラウドサーフ、シンガロングの有無では測れない一体感が会場を埋め尽くす。笠原が「ロックバンドらしい、思い切りの良いライブができたら」と言ってから始まったブロックでは敦賀壮大(B, Vo)と馬場豊心(Dr, Cho)の生み出す骨太なビートに乗せて、「THE DEPARTURE」「HEARTBREAKER」や「MOVE ON」「DRAIN」とシリアスなナンバーが続けられ、ひりつくようなムードに染められた。

MCでこの日のゲスト・dustboxの話題になると、「世界でも有数の、指折りの、屈指の素晴らしいバンドだと思う」と笠原。するとNorthern19メンバーでスタジオに入る際も嬉しそうにdustboxの話をすると馬場が明かし「そのときの表情がたまらない」と続ける。すると笠原が「Northern19の曲を最初に持っていってるときもそんな顔してるでしょ?」と、Northern19への愛情も全開に。(ちなみに二人からは「自分のバンドの曲だからか、どこか張り詰めた表情をしている」と返されていた。)そして、Northern19は、そんな笠原が意気揚々とスタジオに持っていた新曲「MEMENTO MORI」を初披露。3人とも生き生きとした表情で新曲を軽快に届けた。

今年、結成19周年目を迎えるNorthern19。笠原と馬場が19歳のときに結成したことから、バンド名に「19」が付けられた。そんな彼らが19周年を迎える。この話題になると、笠原と馬場は「まさか人生折り返しまでやるとは思わなかった」「本当にすごいことだと思う」と口々に振り返る。さらに、笠原が「いろんなことを乗り越えて今がある。だからこそ今が最高だと思える今がある」と言えば、馬場が「まだまだこれからでしょう!」と頼もしく続けた。そんなふたりのやりとりを見守っていた敦賀も、笠原から「ねえ、壮大?」と声をかけられれば「イエーイ!」とシャウト。Northern19らしい決意を見せる。

そんな新たな決意を乗せるように「START AGAIN」でライブを再開した。気迫を増した3人はさらに「NOTHING BUT MY HEART」「NEVER ENDING STORY」を続け、ラスト「MESSAGE」演奏後にはふらつくようにしながら全力でプレイ。アンコールでは新作ミニアルバム「LUCKY CHARMS」のリリースを発表し、「SUMMER」で「HOLY DIVERS vol.4」の幕を下ろした。

笠原の「俺たちにとって、ライブって特別だなって思うんだよね。でも実感しまくる世の中も嫌だね」という言葉が印象的だった。観に行く私たちにとっても、まったく同じことを感じる日々がまだまだ続いている。それでもやはり、こんなに自由で頼もしくて、たくましいライブを観た夜は、「ライブって特別だなあ」と思ってしまう。ちなみにNorthern19は「LUCKY CHARMS」のリリースツアーも開催が決定している。19年目の彼らが、どんなツアーを見せてくれるのか楽しみだ。

Northern19 Official Web Site