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Ken Yokoyama “Songs Of The Living Dead FINAL” LIVE REPORT!!

Ken Yokoyama “Songs Of The Living Dead FINAL”  LIVE REPORT!!
MAGAZINE

Ken Yokoyama “Songs Of The Living Dead FINAL” LIVE REPORT!!

Report by Daichi Yajima
Photo by Teppei Kishida


2018.12.06
Ken Yokoyama “Songs Of The Living Dead FINAL”
@Shinkiba STUDIO COAST



岐阜での追加公演を除けば、「Songs Of The Living Dead Tour」のファイナルとなる新木場スタジオコースト。さらに、今ツアー限りで松浦英治(Dr)が脱退するとあって、現編成Ken Yokoyamaとしてのラストライヴでもある。実際、8年という長い期間Ken Yokoyamaに在籍してきた松浦の脱退とあって、開演前から「寂しいなあ」という声が多く聞こえる会場内。自分のための人生を生きる、だからお前はお前のための人生を生きろと歌と生き様で遮二無二伝えてきた横山健のことを思えば、決して湿ったライヴにはならないだろう。むしろ、Ken Yokoyamaも松浦もさらに前進して行く意志を表明するライヴになるはずである。しかし、『Songs Of The Living Dead』のリリースまでは「レア」だった楽曲達が主軸になるはずのライヴに対する高揚と、去りゆくバンドメンバーに対する観客それぞれの想いが交錯する会場の空気はやはり、これまでのツアーファイナルのそれとはまったく異なるものだ。漂う感情の色がいつもより複雑である。

が、そんな複雑な空気を一瞬にして切り裂いたのがゲストのDizzy Sunfistだ。端的に言って「男のもの」という観念が根強かったパンクの系譜に女性の声でしか形にならない歌とメロディを持ち込み、しかしあくまでキュートさではなく、Hi-STANDARDから連なるメロディックパンクのストロングスタイルのまま貫き勝ち続けてきたDizzy Sunfist。そんな革新的な在り方と鮮烈な歌をKen Yokoyama自身がこうしてフックアップした事実にまず胸が熱くなる。あやぺた自身も「初めて生で観たパンクバンドがKen Yokoyamaやった。健さんにパンクの1から10まで教えてもらった」と語っていたが、過去の痛みや悔しさを想いながら「いつの日かわかって欲しい」という願いを抱えて走る“Someday”をオープニングナンバーに選んだことも、いつか思い描いた夢の舞台に今まさに立てている喜びと興奮をそのまま表したものだったのだろう。いつにも増して直情的に言葉を放ち、体ごと歌と音に突進していくようなパフォーマンスで畳み掛ける。2008年にKen Bandの「Ciao Baby Tour」(なんの巡り合わせか、当時ベースを担当していたサージが脱退することを受けてのツアーだった)のチケットを取ろうといやま(B)とともに徹夜したものの、その時はチケットが買えなかったというエピソードも披露。「だけどバンドを続けていたら、こんなに大事な日に誘ってもらえた。だからこそ正々堂々と闘う」という言葉から雪崩れ込んだのは、Dizzyの楽曲の中で最もストロングな音が連打される“No Answer”。もはや「女性としてパンクの系譜に革新を起こした」という文脈云々を飛び越えて、バンドそのものの力とエモーションだけでその場を輝かせる歌を響かせているあやぺた。憧れと夢が叶うステージに胸を躍らせるだけでも、大先輩へのリスペクトだけでもない。何よりも、ひたすら突き進んでいくのだという覚悟がドンと響くアクトだった。

そして、Ken Bandが登場。徹頭徹尾エモーショナルだったDizzyのアクトで湯気立ったフロアに「アルバム、聴いてきたんだろうなあ?」と一言やると、“I Fell For You, Fuck You”で口火を切る。ポップなメロディに載せて<Fuck You>を一斉に観客に歌わせ、一体感というより、清々しい暴動とでも言いたくなるような空間が早くも完成する。
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すると立て続けに“My Day”、“Dead At Budokan”をプレイするなど、なかなかライヴでお目にかかる機会の少なかった垂涎モノの楽曲が早速連打され、1曲ごとに大きな歓声が湧き上がる。特に“Dead At Budokan”は2008年の武道館公演時に期間限定でアップされた楽曲だったこともあり、リスナーにとってもKen Yokoyamaにとってもメモリアルな楽曲だ。音源としてリリースされるまでには10年かかったわけだが、しかしステージとフロアで繰り広げられる<Dead!>の掛け合いといったらとんでもない大きさである。時を経て再び命を持った楽曲達に対する大歓迎はそのまま、Ken Bandが「音楽」としてのみならず人の人生や生活や思想に寄り添い続けてきたことの証明のようである。
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“How Many More Times”や“Maybe Maybe”など従来のライヴアンセムも交えつつではあったが、カヴァー曲であっても過去のオリジナル曲であっても、本筋はひたすら「Songs Of The Living Dead」の楽曲達がフレッシュに跳ね回っているライヴだ。
途中、
「Dizzy Sunfist、ハードだったずらねえ。……夜のほうもハードなんずらかねえ?(笑)」(横山)
「あやぺたちゃん、うるさそうですよね(笑)。」(南)
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なんていう過去最低を記録しそうなMCもあったものの、とにかくバンド4人の表情は明るいし、カヴァー曲も含めてより音楽的に自由なライヴである。「Songs Of The Living Dead」の楽曲達によってすべての楽曲がまるで新曲のような衝動をもって鳴り響いている。松浦にとって最後のライヴだと信じられないほどしみったれたものが一切ない、むしろ4人の音は曲ごとに強靭に撚られていく。冗談を飛ばし合いながら、しかしどの曲にも真摯なメッセージを叩き込みながら、明るい表情を崩さずに駆け抜けていく「これぞKen Yokoyama」なライヴ。
しかしこの日印象的だったのは、真新しい楽曲達が多いセットリストであるにもかかわらず、横山が楽曲の説明をすることが少なかったことだ。新曲が多い時には懇切丁寧に説明をして、野暮なくらいに曲に込めた想いと精神性を伝え続けてきた横山であるしかしこの日は、観客に語りかけて交感するよりも、とにかく楽曲とバンドサウンドと歌に向かっていく姿が強烈なのである。「パンクスなら歌えるよな?」と煽った“If The Kids Are United”や、オリジナルブランドのミニギターの宣伝を茶目っ気たっぷりにしてみせてからなだれ込んだ“Believer”など、会話と言葉が途絶えることはないのだが、それ以上に曲と歌に没頭しようとするような、静かな凄みと迫力がある。特に“Ricky Punks III”では、ギターを持ったまま客席の中へと身を放り出し、全身全霊で歌い切った。。
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「このツアーはレコ発だけど、でも同時にマッチャンと一緒に回る最後のツアーでさ。……なんか感じるものはあったよ。いろんな気持ちがあったからさ、難しいツアーだった。だってさ、辞めるって決まってるヤツとツアー回るのは惨めなもんだよ? だけど、それでも続けて、自分たちがダメになったらまた誰かがつないで続けていくんだ」(横山)
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 そう言って本編ラストに放たれたのは“Let The Beat Carry On”。「惨めなものだ」と横山は言ったが、きっとそれが隠せなかった本音だろう。Hi-STANDARDを経て、NAMBA69とのスプリットも経て、Ken Bandとしての在り方と精神をより強烈に求めるようになったことはこれまでも語られてきている。だからこそ未来のほうをともに向けないメンバーと音を鳴らすツアーに対する戸惑いが強烈にあったのだろう。そして、それを振り切るようにして前へ前へと向かい続けたライヴだったのだろう。

そして、拍手は鳴り止まなかったもののアンコールに登場するまでの時間も比較的長かった。横山は「アンコールが聞こえなかったんだよ。アンコールがなかったら、帰るだけだからさ。だからヌルッと出てきた。ヌルッとやって帰るわ」と語ったが、ここまで松浦のラストステージに対して消化できない思いは間違いなくあったのだろう。しかしアンコール1曲目に鳴らされた“Soulmate”がこれまでの清濁すべてを包み込んでいくようだったし、“Come On,Let's Do The Pogo”では難波章浩らがステージダイヴを見せた。決して綺麗事では語れない複雑な感情が渦巻くライヴでありながら、しかしただの友達とも家族とも全く異なる絆で音を鳴らし続ける戦友。そんな関係だからこその巨大な愛情を感じる、横山の姿と言葉が印象的だった。そして、それを丁寧に消化していくようなアンコールだった。
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 が、それだけでは終わらなかった。
アンコールが終わったと同時に観客が退場していき、フロアから3分の1ほどが外に出た頃、突如バンドがステージにカムバック。Ken Bandがごく稀に行うサプライズである。そこで演奏されたのは“Sucky Yacky”。かつてサージが歌った、「上を向いて歩こう」だ。それを力一杯歌う松浦と、明るい表情でギターをかき鳴らす横山の姿。それが寂しくもあり、しかしお互いに対する愛もまたストレートに伝わってくるパフォーマンスだった。
 バンドも音楽も続いていく。だからこそ互いに道を違える切なさも振り切っていかなくてはならない。その思いとひたすら向き合ったドキュメントのようなライヴだったからこその「上を向いて歩こう」だった。
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[SETLIST]
01. Fell For You, Fuck You
02. My Day
03. Dead At Budokan
04. Punk Rock Dream
05. A Stupid Fool
06. How Many More Times
07. Maybe Maybe
08. Sayonara Hotel
09. Swap The Flies Over Your Head
10. Hungry Like The Wolf
11. Believer
12. Pressure Drop
13. Support Your Local
14. If The Kids Are United
15. My Shoes
16. Brand New Cadillac
17. I Won't Turn Off My Radio
18. What Kind Of Love
19. Ricky Punks III
20. Walk
21. Let The Beat Carry On

en01. Soulmate
en02. Come On,Let's Do The Pogo
en03. Sucky Yacky



>>> Ken Yokoyama OFFICIAL HP




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