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THE CHERRY COKE$ "OLDFOX" RELEASE INTERVIEW!!

THE CHERRY COKE$ "OLDFOX" RELEASE INTERVIEW!!
MAGAZINE

THE CHERRY COKE$ "OLDFOX" RELEASE INTERVIEW!!

Interview by Tomoo Yamaguchi
Photo by Taiyo Konishi




 『THE ANSWER』から1年半足らずでリリースした9thアルバム『OLDFOX』は、結成20周年を迎えるアニバーサリー・イヤーにふさわしいTHE CHERRY COKE$(以下チェリコ)の集大成を思わせる意欲作となった。MASAYA(Gt/Bouzouki/Mandolin/Banjo)が言うようにアイリッシュ・パンクをバックボーンに、あらゆるエッセンスを詰め込んだ、あまりにも多彩な全11曲は、まさに海千山千という意味を持つタイトルどおり。思わずニヤリとしてしまうが、それだけで終わらないのが21年目のチェリコだ。荒波を乗り越えながら、ここまで20年、活動してきてもなお、チェリコにはやりたいことも、歌いことも、世の中に訴えかけたいこともまだまだいっぱいあるということがビンビンと伝わる熱い1枚になっているところがうれしいじゃないか。その感動を、KAT$UO(Vo/Banjo)とMASAYAにストレートにぶつけてみたところ、さらなるチェリコの大きな夢を聞かせてもらうことができた。


もっと個性を出してトガッてもいいんじゃないかな。

――『OLDFOX』、一ロック・ファンとして、こういう作品に出会えたことがうれしいと思えるくらい、いいアルバムで。遅ればせながら、チェリコの大ファンになりました。

KAT$UO:うれしい。

MASAYA:ほめられ慣れてないからなんだか(照)。

――手応えはいかがですか?

KAT$UO:まだ、お客さんの反応はわからないんですけど。

――そうでした。ツアーはこれからでしたね。

KAT$UO:ただ、自分たちの中では、いいものができたという感触はありますね。心底、いいと思った上で、聴いてくださいと言える作品になったんじゃないかなとは思います。

MASAYA:発売前に聴いてもらった関係者の方々が口を揃えて、“前作『THE ANSWER』からのスパンが短かったにもかかわらず、妥協が一切感じられない”って。いろいろな要素を入れるとか、遊び心を入れるとか、オマージュを入れるとか、そういうことは最後の最後まで、できるかぎり詰め込んだので、そう言ってもらえるのはほんとうれしいです。

――曲はいつ頃から作り始めたんですか?

MASAYA:ネタはヴォイスメモに溜めていたんですけど、それをまとめ始めたのが2月とか、3月とか。amiinAと2月1日にマイナビBLITZ赤坂でやったとき、メンバー全員で話し合ったんですよ。このタイミングでほんとにアルバムを出すのか? 出すんだったら急ピッチになるけど、みんな、やる気はあるのか? で、“やろう!ってなって。

KAT$UO: MASAYAがぼんと出してきたネタを、ほぼ全曲、同時進行で肉付けしていったんです。リード・トラックの「火華~HIBANA~」だけは最後に作りましたけど。

MASAYA:入る予定はなかったって言うか、存在してなかったんですけど、レコーディングの1週間前にKAT$UOさんがスタジオでホワイトボードに収録予定の曲を全曲書きだして、激しい、明るい、バラードってジャンル分けしながらバランスを見ているとき、“何かパンチが足りないんじゃない?”って。

KAT$UO:遠くから見たりしてね(笑)。

MASAYA:それ、全然意味がない(笑)。

KAT$UO:ハハハハ。

MASAYA:“今回、なんかきれいにまとまっててパンチが足りない。何か強いやつ、なくない?”みたいな。確かに今回のアルバム、弾き語りでみんなでワイワイやる「Of Music」をはじめ、けっこうアコギ主体の曲が多いんですよ。

――アコギがいろいろなところで鳴っていますね。

MASAYA:そうなんですよ。それもあって、よけいにパンチが足りないんじゃないかって思われるんじゃないかって話になって。じゃあ強いの作ろうって急遽作ったのが「火華~HIBANA~」。

KAT$UO:「火華~HIBANA~」がなきゃ成立しないってことはないと思ったんですけど、ここにさらに強い曲が入ったら、アルバムの印象は、だいぶ変わるだろうなって。

MASAYA:だから、リードにしようと思って、作ったわけではいんですけどね。

KAT$UO:うん、それは全然なかった。

MASAYA:とりあえず強い、パンチがあるやつって。

--でも、入って良かったんじゃないですか。

MASAYA:結果、良かったですね。

--「火華~HIBANA~」の歌詞は、今の音楽シーンにケンカを売っているようにも聴こえますが。

MASAYA:どうですか?

KAT$UO:うーん、まさに(笑)。お見せしていいですか?(とスマホを見せ)、この曲でどういうことを伝えたいのか、これがMVの監督に送ったメッセージなんですけど。
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--「個性がなく、同じような音楽が流行るシーンやリスナーに対して、20年間オンリーワンを目指してきたTHE CHERRY COKE$からのアンチテーゼの意味を込めた曲です」。

KAT$UO:音読されると照れくさいですね(笑)。

MASAYA:イキッてる、イキッてる(笑)。

KAT$UO:火をつけてやるじゃないですけど。それは自分たちに対してもなんですけどね。

--KAT$UOさんから見て、今のシーンは個性がないように見えますか?

KAT$UO:個性はあるんでしょうけど、古い人間である僕には瞬時には区別がつかないものも多い。みんなそれぞれに魂を込めてやっているものだから、それに対して何か言うつもりはないですけど、もっと個性を出してトガッてもいいんじゃないかな。これが流行るから、これがメインストリームだからってところでやるもんじゃないなっていうのは、チェリコをやる上では常々思っていることではあるので。もちろん、こっちの勝手な主張ではあるんですけどね(笑)。
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--楽曲としては、アイリッシュ・パンクを基調に、これでもかって言うくらい、「火華~HIBANA~」は、いろいろな音楽のエッセンスを詰め込んでいますね。

MASAYA:オープニングの静かなところではケルト・ミュージックの雰囲気を思いっきり出しながら、そのあとドラムのスネアからパーンってなるところは、スーパーファミコンの『ロマンシング サ・ガ』――『ロマンシング サ・ガ』シリーズの作曲をしている伊藤賢治さんが、僕は大好きで。延いては、『ファイナルファンタジー』シリーズの植松伸夫さんも大好きなんですけど、その『ロマンシング サ・ガ』の四魔貴族の音楽のオマージュになってるんです。

--なるほど。

MASAYA:そのあと、Aメロで裏打ちになるんですけど、そこはケルトとスカのトロージャンズ。それがKAT$UOさんの和を意識した歌詞と節回しが乗ることで一気に日本風になる。そこがかっこいい。で、曲の最後は、『聖闘士星矢』の「ペガサス幻想」(笑)。ダサいけど、敢えて、あのジャジャジャーンをやろうって。そんなふうに、ほんといろいろな要素を詰め込みました。

--イントロの泣きのリード・ギター、ドラムのツイン・ペダルにはメタルの要素が感じられますが。

MASAYA:そうですね。やっぱり幼少期からジャーマン・メタル、メロスピはゴリゴリ通っているんで。ハロウィンとか、アングラとか、アングラはブラジルのバンドですけど、そういういろいろな要素を入れたいんですよ。

--そして、おっしゃったように歌詞は、和風で。“火事と喧嘩は江戸の華”からの連想なのかなと思ったんですけど、時代劇っぽいと言うか、江戸時代を意識した、ここまで和風の歌詞は、これまでなかったですよね?

KAT$UO:なかったですね。今回、他の曲もそうなですけど、口頭語的と言うか、きちっとしていない言葉が多くて。〈それで〉っていうのを、〈んで〉って歌うみたいに砕けた歌詞をつけているんですけど、「火華~HIBANA~」がなぜそういう世界観になったのかというと、〈あっぷっぷ〉という歌詞があるんですよ(笑)。歌詞をつけるとき、そこはもう〈あっぷっぷ〉としか聞こえなくて、そこからイメージを広げていったんです。元々、こういうかぶいている感じの歌詞を書きたいっていうのはあって、この曲ならハマるだろうと思って、つけていったらどんどんハマっていたんです。

--そのかぶいている感じは、どんなところからの発想だったんですか?

KAT$UO:俺、ヒップホップも好きなんですけど、ヒップホップのほうがロックよりも自由度が高いと言うか、歌詞のメッセージがロックはメロディーに縛られている分、ヒップホップに負けているなと思う時があるんですよ。だから、できるだけ強い言葉を乗せたいと常々思っているんですけど、大阪弁とか京都弁とか、方言ってかっこいいじゃないですか。だったら東京で生まれ育った俺たちにふさわしい、かっこいい言葉があるんじゃないかってところで、こういう言葉遣いは江戸弁って言えるんじゃないかなって。

--KAT$UOさんは東京出身なんですね。

KAT$UO:そうです、蒲田です。大田区の。

――あ、そうなんだ。

KAT$UO:そうなんですよ。それで今回、「蒲田行進曲」のカヴァーが入っているんです。

--そうだったんですか。なぜ、「蒲田行進曲」なんだろうと思ったら、そういうことだったんですね。そして、2曲目の「Daydream Believer」はアイリッシュ・パンク調の曲ですが、20年前の自分に歌いかけながら、いつの間にか今の自分に今一度、発破をかけているようなところがおもしろい。

KAT$UO:まさに。

--〈何も恐れないその目で睨んでた未来ってそんなモンかよ〉〈いつも叫んでた張り裂ける心がこのまま終われるのかよ〉という歌詞からは、みなさんがこれまでどんな思いでバンドを続けてきたのかが窺えます。

KAT$UO:紆余曲折しながらやってきたバンドですからね。メンバーの出入りも激しかったし、浮き沈みも多かったし、その都度、岐路に立たされてきたと思うんですけど、休止することもなく、ここまでやってきた道のりを改めて振り返ってみると、“あの時がピークだったのかな”って思うことも正直あります。でも、結局、“いいの?おまえはそれで”ってなるんですよ。今、やめて、何が残るかっていったら、犠牲のほうが多いだろうしって考えると、まだまだやめられない。もう1回、でかいステージに立って、昔の自分に、もっといい景色を見せてやりたいって思うんですよ。




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