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TOTALFAT "MILESTONE" INTERVIEW!!

TOTALFAT "MILESTONE" INTERVIEW!!
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TOTALFAT "MILESTONE" INTERVIEW!!

Interview by Tomoo Yamaguchi
Photo by Masaty




 結成20周年を目前にして、15年間、活動を共にしてきたKuboty(Gt)が脱退するというまさかの展開を迎えたTOTALFATが早くも最新アルバム『MILESTONE』を完成させた。Kuboty脱退からわずか3か月というスピードで3人で新たにスタートすることを決めたShun(Vo/Ba)、Jose(Vo/Gt)、Bunta(Dr/Cho)の並々ならぬ意気込みが窺えるが、もしかしたら、中には「TOTALFATどうなっちゃうんだろう⁉」と心配したファンもいるかもしれない。そんなファンは、いや、そんなファンこそ、『マイルストーン』を聴いてほしい。
 TOTALFATらしいアンセミックなメロディック・パンクはもちろん、ゴリゴリのハードコアからレゲエまで、硬軟織り交ぜた多彩な全12曲が印象づけるのは、TOTALFATというバンドが持つあらゆる可能性だ。これを聴いて、彼らのこれからが楽しみにならないファンはいないはず。『マイルストーン』で、TOTALFATは最高傑作を更新した――という表現を使うことを、筆者は躊躇しない。
 ファンのみならず、シーン全体に動揺を与えた状況を、彼らは見事、“ひっくり返した”わけだが、メンバーたちもかなりの手応えを感じているようだ。その手応えが決して、新作をリリースするとき、多くのバンドが口にするお決まりのものではなく、ちゃんと確信にうらづけられたものであることは、インタビューを読んでいただければ、ちゃんと伝わると思う。彼らは、いかにして3人で新たにスタートしようという決意に至ったのか? 

この3人がオリジナルだからなんですよ。

――すごく思いの詰まった、とてもいいアルバムが完成しました。まず手応えから聞かせていただけますか?

Shun:ほんとの手応えは、これから感じるんだろうなと楽しみにできる手応えがあります(笑)。

――う、うん? というのは?(笑)

Shun:ファンはもちろん、周りのバンドも「TOTALFAT、どうなの⁉」って思ってると思うんですよ。そこに対して、「いや、俺らやってやったっしょ!」って思っているんです。今まさに。だから、新しいアルバムを聴いたとき、「みんなはどう思うんだろうか」とか、「どれだけ俺らのこれからを楽しみに感じてくれるのかな」とか、そういうことを、今、楽しみにしているんです。

――なるほど。

Jose:僕らの1stアルバム『End of Introduction』を作った時の感覚に近くて。これまでずっと活動してきて、前回のアルバム『Conscious+Practice』なんかは、自分らのテクニックや、当時の4人でやれるTOTALFATをどう打ち立てて、伝えていくかってところに集中した手応えがありましたけど、今は夢しかないと言うか。Shunが言ったように、「これ、みんな聴いて、どう思ってくれるんだろう?(このアルバムの曲で)どういう景色を作れるんだろう?」みたいなところで、まだ自分も見えてないけど、超ワクワクしているんです。ほんとにあの頃に立ち返れた。けど、この20年やってきた3人の太い音で鳴らせているっていう感覚もあるんで、フレッシュなんだけど、歴史もある太い音を出せたアルバムができたのかなって。

――Buntaさんはどうですか?

Bunta:3ピースでライヴをする前に作ったんですよ。つまり3ピースでライヴを1本もやったことがない状態でアルバムを作ったんです。だから、実際、これからこの3人でアルバムの曲をやってみて、どういう形で鳴らせるかっていうのは、追々わかってくると思うんですけど、手応えって意味では、ライヴを1本もやってないのにアルバムを作ったっていう事実のほうが。

Jose:なるほど!

Bunta:俺は「やってやった!」っていう。

Jose:確かに、確かに。

Bunta:アルバムの内容にもちろん手応えはあるけど、このスケジュールの中でこれを作って、このままツアーで出られることにモチベーションも期待も高まるしっていう。

――アルバムを聴きながら、「そう来るよね」ってところもあったし、「そう来たか」ってところもあったし、新たなスタートを印象づけるのに相応しいものになったと思うんですけど、すごく良くできたアルバムですよね。

Shun:良くできたっていうのは、構造的な物とか、心情的な物とか、いろいろあると思うんですけど(笑)。

――心情的なものを抜いて、作品として、音楽として、すごく良くできた作品だなって。

Shun:うわ、うれしい。

――TOTALFATというバンドのいろいろな可能性を詰め込んだアルバムになっているから、いろいろなことはありましたけど、そういうことを抜きに、まっさらな耳でファンには聴いてほしい。

Shun:そうですね。実際、ものすごくいいアルバムができたという実感は今まで以上にあるんですよ。メンバーが抜けて、新しい体制で走り出したってことに対する感情の振れっていずれ消えると思うんです。それを消したいから俺らは休まずにと言うか、すぐに動いたし、それが消えて、ここから2枚目、3枚目とさらに出していってから、振り返ったとき、そういう色眼鏡抜きで、「このアルバムを作れたから良かったんだな」って思えるだろうなって感じたんですよね。僕自身、一歩退いた耳で聴いても、「いいアルバムだ」っておっしゃっていただいたことと同じ感覚はあります。でも、構造的に何か気を遣って、順序立てて作ったわけではないんですよ。むしろ、溢れたものをそのままつまんで、大至急、形にしたって感じなんです。3日間の合宿で5曲できたこともありましたから。
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――3日で5曲!

Shun:とにかく俺らは会話することをやめなかったし、先のことを話すことをやめなかったし、むしろそれが増えていった。俺らの中で全然消えないポジ(ティヴ)の部分っていうのが、ちゃんと3人で表現できたっていう実感はあります。

――そうなんですよ。すごく良くできた作品と思いましたが、作り上げていったようには聴こえないんですよね。おっしゃったように溢れ出てたきたものを詰め込んだ結果、すごくウェルメイドな作品になったのは、さっきJoseさんが言った、20年やってきたバンドの太い部分なのかなと思いつつ、それにしてもですよ。昨年の10月22日に新木場STUDIO COASTでKubotyさん参加の最後のライヴをやった翌日に……

Shun:日付が変わる瞬間に(笑)。

――早速、新曲「Give It All」を配信リリースして、「バンドは止まらないぞ」ってことをアピールしたじゃないですか。でも、そこからこんなに早くアルバムをリリースするとは思わなかったですよ。そこはびっくりでした。

Shun:俺らもなる早だとは思ってましたけど、意外と急げたなっていう(笑)。

――でも、3人になってからのアンサンブルを、改めて作っていかなきゃいけなかったわけじゃないですか。それを考えると、なぜ、こんなに早く出せたのかなっていう。

Shun:でも、たぶんこの3人がオリジナル(・メンバー)だからなんですよ。

――ああ。

Shun:新たにメンバーを入れたわけでもないし、Kubotyもずっとやってきたけど、後から入ったメンバーではあるんで、やっぱりTOTALFATっていう1つのバンドと言うか、1つの生き物と言うか、そういうものの本当にコアな部分は、この3人で支えていたっていう要素はやっぱり大きかった。Kubotyはいい意味で、その上に乗っかって、飛び道具と言うか、ものすごくでかい武器を振り回していた存在だったんです。だから、彼がいなくなったことで、俺らはこの3人の強さに改めて気づけたし、「3人でどういうアルバムを作ればいいんだろう?」って不安はなかったんですよ。

Jose:そうだね。

Shun:Buntaも「だってBLINK-182もGREEN DAYも3人じゃん」って(笑)。そういうある意味、軽々しい発言が意外と俺の中でしっくり来て、「そうだよな。BLINK-182だってサポートを入れずに、当たり前のように3人でライヴやってるし。それを俺ら、アメリカで体感してきたじゃん。2万2千人があの3人の演奏に熱狂しているんだから、俺らにだってできるでしょ」って普通に思っちゃったって言うか。しかも、あのバンドはヴォーカルが変わって、初めてビルボードで1位を獲ったわけじゃないですか。そんなふうにひっくり返していっているバンドが今一番、好きなバンドとして、自分の心の中に君臨しているから、考え方はそもそもシンプルでしたね。

――そうなんだ。

Shun:4人でやってきた曲を、3人で練習すればするほど、3人で作った曲が欲しすぎる気持ちになってきて。4人で作った曲に関しては、マイナスワンの印象を取り去るという意味で、やっぱりKubotyがいないって大変なことなんですよ。物理的にJoseにのしかかってくる作業量と、精神的な重圧はものすごくて、そこでJoseは一回折れましたから。でも、それをちゃんと俺らに言ってくれたから、俺らも支えられたけど、でも、危なかったよね、正直ね。

Jose:「別にやめたいわけじゃないんだけど、マジでつらい。どうしたらいい? 今すぐには無理だわ」って2人に打ち明けたんですよ。

Shun:「だったら、3人で早いとこアルバム2枚ぐらい出したらいいんじゃないの?」ってシンプルに思ったんですよ。

――なるほど。

Shun:だから俺は2人に「とにかく3人でやるって、みんなで決めた。でも最低条件として、まずはアルバムを作ることと、それも1枚じゃなくて、2枚ぐらい出して、新しい曲だけでワンマンができるバンドになろう」って話をしたんです。

――アルバムの曲作りはいつ頃から?

Jose:すぐでしたよ。

Shun:(Kubotyが脱退するという発表をした19年)4月には、もう始めてました。「Perfect Pieces」のデモを最初に作って、Buntaと海に行ったとき、車の中で聴かせて、「ああ、こんな感じなんだ」みたいなところから、「ALL AGES (Worth a Life)」を作って。

Jose:4月中に合宿に入ったもんね。その時に「Give It All」のネタは出てきたし。

Bunta:4月に入ったのか。

Shun:だから、5月ぐらいには「Give It All」「ALL AGES (Worth a Life)」「Perfect Pieces」のデモは上がっていて、その中から第1弾で出す――Kubotyのラスト・ライヴが空けて、 「4人のTOTALFATの余韻を嘘みたいに消せる曲はどれだ?」ってなったとき、「「Give It All」じゃない?この曲、パワーあるよ」って話になりました。

――じゃあ、Kubotyさんがまだバンドにいる頃から作り始めていたってことですよね。その時の3人とKubotyさんの関係とかバンドの中の空気とかって、どんなことになってたんですか?

Shun:いたって平常運転でした。

Jose:うん、全然

Shun:ライヴが多かったから、リハも含め、しょっちゅう会ってたっていうのもあるし。だから、Kubotyがリハに来る前に3時間とか4時間とか3人で入って、そこにKubotyが合流するみたいに1日の内で3人の時間と4人の時間を分けたり、新曲を作る日はKubotyはオフだったり、個人の仕事をやってもらったりして。

Jose:既存曲に関しては、「ここのフレーズどう弾いてるの?」って動画を送ってもらったりもして、そういうことは全然やってたんで。

Shun:だから空気感は、いつも通りでしたね。たまに「この人、ほんとにやめるんだっけ?」 って(笑)。

Jose:Kubotyも脱退を発表してから3か月経った頃、「自分がやめることを忘れてた」って言ってました(笑)。

Shun:それが夏フェスが終わったくらいからちょっとエモーショナルになってきて。

Jose:そうだね。たまに元気がない時があったね(笑)。

Bunta:それで最後のほうは卒業旅行みたいになっていて(笑)。

Shun:各地で後輩を呼び出して、連れ回したりしてたね。

Bunta:もうあんまり行けなくなっちゃうからって。

Shun:それでどっかんどっかんやってみたいな(笑)。
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――今までのお話から想像するに曲作りはスムーズだったようですね?

Shun:時間がない中で滑るようにできていきましたね。でも、それにはメタルの要素がなくなったというところに1つでかいスピードアップの理由があって。しかもスピードだけじゃなくて、がっちりハマりも良くなったっていうのは、3人全員が実感していると思います。ギター・ソロを入れることを含め、メタル的なマナーでの曲の解釈ってところで、今まではどんな曲を作っても、大体、意見が分かれていたんですよ。もちろん、そこを超えていくための作業を、俺らは楽しんでいたし、その先でできた曲は、「やっぱいい曲だね」ってなってたけど、でも、それにはものすごい作業量と時間がかかっていたから、時間がうまく使えてないと感じることもあって。けど、この3人でパンクのマナーの中でやるってなると、言わずもがな、1曲の中で自分たちがやりたいことって揃ってくるんですよね。だからセッションしてフル尺ができたっていう曲も今回、けっこう多いです。

Jose:「My Game」は完全にゼロからセッションで作りましたね。

Shun:合宿の休憩時間にアコギちゃかちゃか弾きながらサビのメロディーを考えて、「じゃあ、スタジオに戻ってみようか」って。

――じゃあ、1曲できあがるまでの時間も短くなったわけですね。

Shun:そうですね。メロディーとか演奏とかは全然すぐに。で、1回できたものを一度冷静になってから、数日後に合わせてみて、「ここはこうだね」ってマイナー・チェンジしていくぐらいでしたから。

――それは新鮮でした? それとも昔に戻った感覚でした?

Shun:昔は深いことは考えずに、みんなで、「いいね!いいね!」ってやっていて、それと同じではないですけど、でも、なんか曲ができるテンポ感とか、物事を感覚で判断していく過程は、全部が全部じゃないですけど、1stアルバムや2ndアルバム(『ALL THE DREAMER, LIGHT THE DREAM』)を作った頃に近かったかもしれないですね。

Jose:それにしても、「すげえできるなぁ」って思ってましたけどね(笑)。セッションしながら、「めっちゃいいじゃん。この尺で、このアレンジで行こうよ」って決まって、パソコンに打ち込んで、デモを作りながら、「こんなにサクサクできていいの?」って時もありましたね。でも、3人っていうのは、こういうことなのかなって。

Shun:曲自体を、短く仕上げようっていう意識はあったよね、俺らの中に絶対。ギター・ソロとか、展開する要素がなくなった分、必然的に曲の尺は短くなると思うんですけど、そうじゃなくて、やっぱりぎゅっとさせたいって言うか。今まで40分セットで6曲、7曲しかできなかったところを、10曲できるようにしたいって気持ちがけっこうあって、それがパンクのライヴだろうっていうのは、けっこう意識にありました。それに曲を削ぎ落しても、いい曲にできるという自信も20年やってきて持てるようになっていたし。そこに対する自信はあったんですよね。それも短い期間の中でアルバムを仕上げることができた理由の1つだと思います。




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