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live report

タイトル

TOTALFAT "PUNISHER’S NIGHT" LIVE REPORT!!

Report by 山口智男
Photo by TAKAHIRO TAKINAMI (Dragon Ash)
ヤオタケシ(BACK LIFT)
AZUSA TAKADA(TOTALFAT)


2020.1.23
TOTALFAT "PUNISHER’S NIGHT"
@渋谷 CLUB QUATTRO


09年からTOTALFATが続けている年明け恒例の3マン・ライヴ、パニシャこと「PUNISHER’S NIGHT」が今年も1月23日、渋谷CLUB QUATTROで開催された。今回の対バンは、新たに3人体制になったTOTALFATを一番に見せたかったバンドを、先輩、後輩から選んだそうだが、Dragon Ash(5人編成)、BACK LIFTともに繰り広げた熱演は、ガチンコでぶつかり合うと言うよりも、TOTALFAT史上最大の危機を乗り越え、新たな一歩を踏み出したJose(Vo/Gt)、Shun(Vo/Ba)、Bunta(Dr/Cho)の3人に明らかにエールを送るものだった。

そして、誰もが胸アツになった、そんな2組の熱演は、TOTALFATがこれまでどんなふうに活動を続けてきたのか、改めてその重さも印象づけたのだった。いくら3人が、ただ「3人で再出発します!」と言ったところで、どこまで遡るかはさておき、音楽性も人間性もひっくるめ、前述した“これまで”がなければ、先輩のDragon Ashはもちろん、後輩のBACK LIFTだって、彼らにエールは送らなかったはずだが、そんな2組と、彼らのエールに応え、やはり熱演を繰り広げたTOTALFATの間には、それぞれに対するリスペクトが感じられ……なんて書いている筆者は、なぜだかちょっとエモい気分になっている。
もっとも、TOTALFATの3人がそこまで見越して、Dragon AshとBACK LIFTに出演をオファーしたとは思わない。むしろ、そういうライヴになるなんて、予想外だったんじゃないか。そんなところも、始まってみなければ何が起こるかわからないライヴのおもしろさだ。

何が起こるかわからないと言えば、この日のトップバッターは、まさかのDragon Ash! 「23年目のDragon Ash、前座をやらせてもらいます!」とTOTALFATのロンTを着ているKj(Vo/Gt)がいきなり声を上げたオープニングは、なかなか衝撃的だった。
「飛び跳ねろ!」とKjが客席に発破をかけながら演奏になだれこんだ1曲目の「For drivers area」から、観客にダイヴさせたDragon Ashがそこから繋げていったのは、ラウドで、ダンサブルで、ポップで、アンセミックなロック・ナンバーの数々だ。
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中盤では、じっくり聴かせるタイプの新曲「ダイアログ」も披露。そして、イントロに観客が声を上げた「百合の咲く場所で」の途中で、「人生を音楽に救われた経験ある? 俺たちはあるよ、何回も。ライヴハウスを平日にもかかわらず、こうして埋めてくれるみんなに救われて生きてるよ。みんなを元気にするTOTALFATに、みんなで返してやろうよ」とKjが語ってから歌いだしたのが、《Forever 君は一人じゃない》というTOTALFATの「Place to Try」だ!! 
 そこにいる全員がシンガロングの声を上げたことは言うまでもない。「泣かされた」とこの後、Shunは言うのだが、こんなに心強いエールはなかったはず。しかし、Dragon Ashのライヴが、このままエモいまま終わるわけがない。ラストは、これしかないだろと言わんばかりに「飛び跳ねろ!」「腹の底から声を出せ!」と「Fantasista」を客席にお見舞いすると、早速シンガロングの声を上げ、ダイヴで応える観客の間に再び熱い交歓が生まれたのだった。
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 その直後に演奏するBACK LIFTのプレッシャーを考え、ゾッとしたが、いやいや、彼らは12年の活動歴を持つ百戦錬磨のライヴ・バンドだ。「知ってる奴も、知らん奴も思いっきり来い!」と小林“KICHIKU”辰也(Vo/Ba)が叫びながら、「GO OVER」でスタートダッシュをキメる。早速、モッシュ・サークルが出現したフロアにBACK LIFTの3人は、プレッシャーを感じている様子など、これっぽっちも見せずにメロディック~スカパンク・ナンバーをたたみかけるように繋げていった。時折ラップが混じったり、歌も英語にこだわらず日本語も交えたりするところは、90年代の日本のミクスチャー・ロックをバックボーンに持つ彼らならでは。
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「Dragon Ashの後にやるって、どんな緊張?(笑) 23年で前座やらせてもらってますって、12年の俺らどうする⁉ 初パニシャ。しかも、Dragon Ashの後。めちゃくちゃぶちあがってます!」(小林)  途中、そんな挨拶も交えながら、この日、彼らが観客に求めたのは、「声を聴かせてくれ!」だった。もちろん、それが自分たちのためではないことは、「TOTALFATをビビらせようぜ!」「TOTALFATにも聴かせてくれ!」という小林の言葉からも明らかだった。それがBACK LIFTなりのエールの送り方だった。そして、一際大きなシンガロングの声が上がった「Because of you」「Catch」をはじめ、観客も彼らに応え、声を上げた。
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「マジ、出会えて良かった!」
 お互いに生きてまた会うことを誓ったラスト・ナンバー「NEVER SAY DIE」を演奏する前に小林が言った言葉からは、彼らがこの日のパフォーマンスに確かな手応えを感じていることが窺えた。

   この時点で、TOTALFATの3人はピースサインを掲げ、早くもこの日の勝利を宣言。あとはその勝利を、どれだけデカいものにできるか、だ。それはもちろん、自分たちの演奏しだい――と彼らが考えていたかどうかはわからない。しかし、《今日がスタートって戦い抜く》と歌いながら、Kuboty(Gt/Cho)脱退後もTOTALFATは一瞬も止まらない!とアピールした「Give It All」からアンコールの「Good Fight & Promise You」まで、前日にリリースした最新アルバム『MILESTONE』からの2曲も含め、代表曲中の代表曲を並べたセットリストからは、この日、彼らが新たな一歩を踏み出した自分たちに向けられてきた、あらゆるネガティヴな思考を完膚なきまでに叩きのめそうと考えていたことが窺える。

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「今年もここから始めようぜ!」(Jose)
 冒頭のバラード・パートからテンポアップした途端、観客がステージに押し寄せた「Give It All」。観客が声を上げると、「聴こえるぞ!」とShunが応える。そこに「走る準備はできてるか?」(Jose)と繋げた「ALL AGES(Worth a Life)」という原点回帰を思わせるメロディックパンク・ナンバーの2連打に一気にフロアの温度が上がる。
 3曲目の「World of Glory」は、サビの4つ打ちのリズムが観客にジャンプさせたが、興奮を抑えきれない観客がダイヴを始めるんだから、えぇ、この曲で⁈と思わずにいられない。そして、コール&レスポンスで、さらに盛り上げてから、「俺たちの2020年、超ヤバいんだ」と演奏した「晴天」では、観客全員が飛び跳ねながらシンガロングの声を上げた。

 ステージの3人が破顔一笑。
 序盤からの盛り上がりがどれだけ凄かったかは、Shunの言葉からも伝わると思う。
「ヤバいね! 新体制になったとか、アルバムをリリースしたとか抜きにして、今日は狂ってます(笑)」  そりゃあそうだろう。圧勝を望む気持ちは観客もバンドと同じなのだから! そこから「My Game」「Lucky Boy」と最新アルバムから2曲を披露してからが序盤に輪をかけて凄かった。観客が踊り狂った「PARTY PARTY」、シンガロングとダイヴが止まらなかった「Room45」、疾走する演奏が聴く者を鼓舞した「Show Me Your Courage」、観客が体をゆらゆらと揺らしたレゲエ・ナンバー「Delight!!」、そして、タオル回しで盛り上がったTOTALFAT流ミクスチャー・ロックなパーティー・チューン「夏のトカゲ」。曲名を挙げるだけでもフロアの熱狂は目に浮かぶはず。
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 本来なら、そこで最後のMCを入れるはずだった。しかし、「(頭に垂れる)汗がハンパない」と坊主頭にしたBuntaがふと言った一言に「俺の髪、あげる!」と一人の観客が応え、「おまえの髪は、おまえがとっておけ。いつまでもあると思うな、髪と預金(笑)」とシュンが突っ込んだことで、フロアに笑いが広がった。
「こんなふうに気にせず、一緒に笑える時間が何よりも幸せだよね」とShunが思わず言ったのは、ご存じの通り、Kuboty脱退というTOTALFAT史上最大の危機を乗り越えるため、バンドがShun曰く怒涛と波乱の1年を送ってきたからだ。
「その中で前に進んでいるどころか、逆戻りしているんじゃないかと不安になったこともあった」と振り返るShunたち、TOTALFATのメンバーたちに大丈夫だと思わせてくれたのが、先輩と同世代の仲間のバンド、そして必ず自分たちの前にいる観客だった。
「だからこそ、Kubotyを送り出せたし、3人で胸を張ってステージに立てた。今日も、みんな来てくれると信じてた。最高の景色を見られた!」
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 そう感謝を述べたShunは、この3人で『MILESTONE』という最高のアルバムを作り上げたことを、改めて観客に報告すると、「俺たちは超えていくぜ。見ててくれ。一人も置いていかない」と新たな決意を口にした。  そして、頭から泣かせてくれたDragon Ashと、出演をオファーしたらその日のうちに返事をくれたBACK LIFTにも感謝を伝えた。
「BACK LIFT、明日、沖縄でライヴなんだって。それなのに(名古屋から)東京まで来てくれたんだよ!」(Shun)

この日2度目の《Forever君は一人じゃない》というシンガロングが起きた「Place to Try」「DA NA NA」、そしてアンコールの「Good Fight & Promise You」の盛り上がりは、改めて書くまでもない。
 『MILESTONE』のリリース・ツアーで、ともにステージに立つ対バンの第1弾を、終演後に発表すると予告したShunは、「今回のツアー、凄えアルバムと凄え対バン。とにかく凄えんだから! 俺ら、キ●●マが爆発しそうだよ(笑)!」と興奮を隠しきれない様子で、「俺たちはまだ拳を下げない(←急にマジメになる)。(今年、TOTALFATが迎える)結成20周年は、ただの通過点に過ぎない」と付け加えたが、この日、観客を熱狂させたアンセムの数々は、その20年の中で彼らが作ってきたものであることを、今一度、胸に刻んでおきたい。
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 かなり濃い20年だったと思う。それを超えていこうと言うんだから、現在の3人の、はちきれんばかりの自信が窺えるではないか。その自信は、2月26日から始まる『MILESTONE』のリリース・ツアーの中で、さらに大きなものになるに違いない。



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