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ROCK CLASSICS SELECTIONS Vol.02 selected by TAISHI IWAMI

この世に数多溢れる名盤と呼ばれる音源の数々。このシーンにおいても、そんなキラキラ金ピカのままに輝き続けるロックのクラシックが存在するわけです。この連載企画"ROCK CLASSICS SELECTIONS"では、現在のシーンに繋がるパンク、ロック、ラウドの名盤を各セレクターにピックアップしてもらい、セレクターの思いと共にお届けしたい。このシーンが好きでCDショップやサブスクでもっとディグりたい! というアナタに捧げる名盤特集。最高のロックエクスペリエンスをどうぞ! 第2回目のセレクターはDJでありライターであり、SUPERFUZZというRAW DISCO PARTYなイベントも手掛けているTAISHI IWAMIが担当。そんなTAISHI IWAMIらしい"これぞ!!"なクラシック盤をご紹介。

Select ROCK CLASSICS

100fun

Matthew Sweet / 100% Fun (1995)


Recommend by TAISHI IWAMI

"1986年にアルバム『Inside』でデビューし、現在も活動を続けるパワー・ポップ界のリヴィングレジェンド・Mathew Sweetが1995年にリリースした6枚目のアルバム。

パワー・ポップとは、簡単に言うと、年代を追うごとにどんどん派手にショウアップされていった商業的なロックとは異なり、オーセンティックなロックンロール/R&Bの質感やどこか甘酸っぱい良質なメロディを志向するスタイルのことだ。The WhoのPete Townshendが自らの音楽性をそう呼んだことが言葉の始まりとされており、RaspberriesやBadfinger、Big Starといった60年代後半~70年代の初頭に出てきたバンドらがその元祖とされているが、ジャンルとしての明確な線引きはない。そのため、パワー・ポップであることに自覚的なバンドやシーンよりも、むしろハード・ロックやパンクといったさまざまなジャンルのなかから、ファンのフェチシズムを以てそこにカテゴライズされているケースが多い。

そして90年代に入るとオルタナティヴ・ロックの流れに乗って、パワー・ポップの代名詞的にもよく語られるWeezerが登場しヒットを飛ばす。96年には先日コロナウィルスに感染しこの世を去ったAdam Schlesingerがソングライター/ベーシストを務めていた、Fountains Of Wayneがデビュー・アルバムをリリースし、2003年にはグラミー賞の「ベスト・ニュー・アーティスト」と「ベスト・ポップ・パフォーマンス」にノミネート。この2バンドの存在は、メインストリームからインディペンデントなシーンまで、現代のロックに大きな影響を与えた。

ネブラスカ出身のMatthew Sweetも、デビューは冒頭に述べたように80年代だが、90年代のパワー・ポップを語るには外せないアーティストで、WeezerやFountains Of Wayneほど世界的な知名度はないが、ぜひとも知っておいてほしい。エッジの効いたハードなサウンドあり、素朴で温かみのあるサウンドあり、そしてさきほど“甘酸っぱい”と定義したパワー・ポップ的なメロディにおいて、群を抜いたセンスを持っている。

そんな彼の作品群のなかでも、ここで紹介するアルバム『100% FUN』は、当サイトの読者にもっともおすすめしたいパワフルなロック・アルバム。Pearl JamやRed Hot Chili Peppers、Rage Against The Machineといったオルタナティヴ・ロックの隆盛を代表するアーティストらとの仕事でも知られる、Brendan O'Brienをプロデューサーに迎え、よりハードでざらついたギター・サウンドにより接近しつつ、さすがのメロディ・センスが光っている。そんな作風を象徴する収録曲「Sick of Myself」は、ビルボードTOP100にもランクインした。

Matthew Sweet - Sick of Myself

そして収録曲中、私がもっとも思い入れのある曲はこちら。

Matthew Sweet - We're the Same

私はJリーグ観戦が趣味で、なかでもヴィッセル神戸のファン。1995年1月17日、ヴィッセルはチームが発足して初練習の日に阪神・淡路大震災の被害にあい、本拠地の神戸ではなく岡山で練習することを余儀なくされた。その出来事も踏まえたうえで、チームの試合前には、サポーターが「愛の賛歌」の歌詞を変えた「神戸賛歌」を歌うことはよく知られている。

“命ある限り神戸を愛したい”

初めてスタジアムで試合を観た日、ゴール裏のコア・サポーターを中心に巻き起こる大合唱に覚えた大きな感動は今でもはっきりと覚えている。それに加えて、ホーム・スタジアムでは、試合後にいつもこの曲が流れるのだ。

ミュージック・ヴィデオから察するに、これは恋の歌かもしれないしそうでないのかもしれない。”僕らは一心同体。言葉を交わさなくても、会わなくてもわかる確かなものがある“、私の要約だとそんな曲。試合後の余韻とともに、この曲を最後まで聴くことで、心が穏やかになっていく自分がいる。

また、ヴィッセルには「トモニイコウ We walk together forever」というスローガンがある。そのフレーズをエモーショナルにプッシュする曲が「神戸賛歌」なら、子守唄のようにそっと寄り添ってくれるのが「We Are The Same」。どんなときでも心は一つ、人に優しくあることを教えてくれた大切な曲なのだ。

ちなみにMatthew Sweetは大の日本文化好き。1991年にリリースしたサード・アルバム「Girl Friend」収録の代表曲「Girl Fried」のミュージック・ヴィデオには日本のアニメ「コブラ」が、「I’ve Been Wating」には「うる星やつら」が使われており、彼の腕にはラムちゃんのタトゥーが入っている。



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TAISHI IWAMI
大阪を拠点に90年代後半よりDJを始める。心斎橋ROCKROCK、京都CLUB METRO、新宿ROLLING STONEといった東西老舗クラブでのレギュラーDJほかさまざまなイベントやフェスにも出演。レコードショップのバイヤーやラジオDJなども経験し、近年はライター/編集者として読むメディアの世界にも本格的に関わるようになる。2017年に上京。現在は執筆やDJ、イベント制作、自主でのマンスリー・パーティ・SUPERFUZZのオーガナイズなどを中心に活動中。


https://twitter.com/TAISHIIWAMI
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いかがでしたでしょうか、連載企画"ROCK CLASSICS SELECTIONS"。Matthew Sweet、いやぁ、その名の通りスウィートでロマンチック、そして何よりもロックなんだよなぁ。それでは、第3回目もお楽しみに!!

ROCK CLASSICS SELECIONS

Vol.01 selected by BONE$ aka Shuhei Dohi - Rage Against the Machine / S/T (1992)