INTERVIEW

BUZZ THE BEARS「MASSIVE」INTERVIEW!!

Interview by Chie Kobayashi


BUZZ THE BEARSが10月7日にミニアルバム「MASSIVE」をリリースする。レーベルをTHE NINTH APOLLOに移し、良くも悪くも責任感が強くなったという新たな環境で、ひさしぶりにリリースされる本作。「ベストアルバムみたいな作品ができた」と胸を張るメンバーに、話を聞いた。

自分らが思うダサいことはやらんとこう

──今作はこれまで以上に“BUZZ THE BEARSらしさ”を感じる作品だと感じました。構想のようなものはあったんですか?

桑原智(Dr, Vo):いや、そもそもフルアルバムにするかミニアルバムにするかというのも決まってなくて。

越智健太(G, Vo):どっちも作れるくらいの曲数をレコーディングしたんですよ。その中から「どの曲をつまもうか?」という感じで。ツアーもできるかどうかわからない状態なので、そんな中でフルアルバムを出してもという気持ちがあったのと、CDをリリースするのがひさしぶりなので、手に取りやすいようにということで、ミニアルバムにしました。

──選曲の基準のようなものはあったのでしょうか?

越智:ライブで映えるような曲を選びました。というのも去年からレーベルをTHE NINTH APOLLOに移して、ライブがめちゃくちゃ増えたんです。今まで誘われていたけど出られなかったイベントとか、対バンしたことない若いバンドとのライブとかにも出たりして、ライブ中心の活動になっていっているので。

──BUZZ THE BEARSはもともとTHE NINTH APOLLO所属だったので、また戻ったという形になりますが、THE NINTH APOLLOに戻って活動に変化はありましたか?

越智:むちゃくちゃ好き勝手やらしてもらってます。

桑原:良くも悪くも自分らの責任なので、「やりたいようにやってダメならしゃあないかな」って。

越智:そのぶん「自分らが思うダサいことはやらんとこう」というのは核にしています。“寄せていかない”っていうんですかね。そこはTHE NINTH APOLLOに入ってから強くなった気がします。そのぶん、自分らに自信を持ってやるようにもなったし。

──今のTHE NINTH APOLLOは特に若いバンドに勢いがあると思いますが、そこに対しての焦りみたいなものは?

越智:まったくないですね!

桑原:いいライバルだし、刺激にはなっていますが、比べるものではないので。まあ、負けたくはないですけどね。

越智:「ボコったるから来いよ」くらいの気持ちです(笑)。

桑原:年齢的にそういう歳になったんだなと思いますね。先輩がぬるいことをしてたらカッコ悪いんで。

越智:今の若い世代ってみんなしっかりしてるんですよ、演奏もライブも。そういう意味でも刺激になってます。

──今まで対バンしなかったバンドとの対バンも増えたとのことですが、そうなるとお客さんの反応もそれまでとは変わりますよね?

越智:それがいい感じっすね。今まで自分らの世代で固まっていたから、俺らのことを好きでいてくれたり知ってくれてるお客さんが多かったんですけど、俺らのことを知らない人の前でやることも多くて。そういう中でもブレずにやっていたら、去年の「LONELINESS」という若いバンドから同世代までいろんなバンドが出たイベントがあったんですけど、そこで同世代のバンドに「なんでそんなに若い子が知ってるの?」と言われて。改めて幅広くいろんな人に見てもらえる環境になってたんやなと思って、うれしかったですね。

ダイブやモッシュがなくても一体感を感じる

──そんな矢先の新型コロナウイルスの猛威ですが、今作の制作にコロナ禍中の自粛は影響していますか?

越智:していますね。2月末あたりからライブのキャンセル、中止、延期が始まって、ごそっとライブのスケジュールがなくなったときに作っていたので。

──ということはスケジュールというだけでなく、直接的に曲にも影響がある?

桑原:そこはあんまり……無意識で何か影響はしているかもしれないですけど。

越智:俺はちょっと影響してるかも。ライブをしながら曲を作っていると、対バンのライブを見て「こういうノリの曲、面白そうやな」とか「こういう曲、作ってみたいな」と思うことも多いんですけど、今回はそれがなかったので。

──そもそもライブがない生活というのが、いつもと違いますもんね。

桑原:バンド始めてからこんなにライブがないなんて初めてですよ。

越智:歌詞を考えているときも、「人に会えん」とかそういうことばっかり出てきて「またこんなん出てきたわ」って。例えば1曲目の「ROCK 'N' ROLL IS ALWAYS WITH YOU」はもろにタイトルがそれだし、2曲目の「BB SOLDIERS」は自分たちの企画ライブのタイトル。ライブのこととか、ライブハウスで会う人らのことを思って作った曲が多くなってるような気がします。

 

 

 


──自粛期間中はどう過ごしていましたか?

越智:酒飲んでましたね。

桑原:いつもやんけ!(笑)僕は、バンドで動くことができなかったので、個人でSNSを使って配信をしたり、場つなぎというか……忘れんといてもらうようにしてましたね。

越智:まったく身動きが取れなかったので「俺は何をやってるんだろう」とかまで考えてました。周りに、自粛期間中に音楽業界を去っていった人もいたんですけど、気持ちはわからんでもないなと思いました。

──SNSでは「うたつなぎ」という企画も話題を集めました。お二人も参加されていましたね(https://twitter.com/BTBsuke/status/1248441327731130368 / https://twitter.com/BUZZsatoshi/status/1247513008248475657)。

越智:僕はSNSをやっていないのでよくわからんまま……あんなん回してこんでほしいわ(笑)。でもほんまそれくらいしかできることがなかったんで、もし少しでも「よかった」と思ってくれる人がいるんやったらいいなと思って。

桑原:お客さんは喜んでくれてたよ。僕は誰からも繋がれてないけど勝手にやってました(笑)。とにかくあの時期は、明るいことだけ、楽しくやってますよということだけ発信しようと思っていました。

──音楽の役割とか必要性みたいなものを感じる時期でもあったのかなと思うのですが、そのあたりはいかがですか?

桑原:そうですね。ファンの人からは「音楽が聴きたい」とか「ライブが見たい」とかよりも、とにかく「3人に会いたい」という声が多くて。なので、ライブを想像できるような動画をアップするようにしてました。

越智:僕は自粛期間真っ只中というよりも、ライブが少しずつ再開できるようになった今のほうがそれを感じていて。ライブハウスに入って、弦を変えて……みたいないつもやっていたことをひさしぶりにやっている今、「そうそう、日常はこれや」と感じています。

──感染対策をしながらではありますが、ひさしぶりのライブはどうですか?

桑原:体で表現できないぶん、表情を見て汲み取るしかないんですけど……でもみんないい顔をしてくれているようには見えます。

越智:ダイブとかモッシュとかなくても、いいライブをやっているときの一体感みたいなものは感じるんですよ。「今、爆発したな!」みたいな。一つになってる瞬間っていうのは、どういう形でもあるんだなと思いました。

桑原:お客さんも探り探りではあるみたいでもどかしいですが、俺らがめちゃくちゃ楽しめば伝わるのかなと思います。

「ライブハウス」はこれからさらに育てていきたい

──それこそ本作には「ライブハウス」という曲が収録されています。この曲は2019年7月発売の会場限定シングル「I'm BACK!」に収録されていますが、当時はどのような思いで作ったのでしょうか?

越智:恥ずかしいんであんまり言いたくないんですけど……10年くらい一緒にやっていたスタッフが一昨年にやめてしまって。その人に向けて作った曲です。一緒にやっていた間のことを振り返りながら作ったので、すいすい歌詞は出てきました。率直にいい曲ができたなと思います。

──聴く人それぞれが、ライブハウスでの思い出や、ライブをきっかけに出会った人とのことを思い出せる曲ですよね。特にライブハウスが悪だと言われたり、ライブハウスに足を運びづらくなってしまったりしたコロナ禍を経て、さらに大切な曲になりそうです。

越智:なってくれるといいですけどね。

桑原:なってるんじゃないかな。コロナの前ですけど、会場限定シングルでリリースしたあと、徐々に浸透していっている感じがして。初めはみんな“聴いてる”感じだったのが、だんだんみんな歌ってくれるようになってきて。

越智:これからさらに育てていければいいなと思います。

 

 


──6曲目の「ジブンシダイ」は昨年配信シングルとしてリリースされました。曲調にも歌詞にも和を感じる、ほかの曲とは一線を画す曲ですね。

桑原:この曲は横浜DeNAベイスターズの伊藤光というキャッチャーの登場曲として作りました。僕がもともと仲良くて、それまで登場曲に既発曲を使ってもらっていたんですけど、オリックス・バファローズから移籍するタイミングでもあったので、新しく作ろうという話になって。

──伊藤光選手はどんな方なんですか?

桑原:男らしくて、友情に熱くて……イケメンです! メロディはいくつか候補があったんですが、チームの中で、年上のほうだったので、それまでとはちょっと違う大人っぽい雰囲気を出せたらいいなと個人的に思って、この曲にしました。

──越智さんはどのようなイメージで歌詞を?

越智:バッターボックスに入るときの背中をイメージしながら書きました。凛と立ってる感じ。「やれるか どうか ジブンシダイ」という歌詞が最初に出てきたんじゃないかな。

──完成した曲を聴いた伊藤選手からは何か言われました?

桑原:寡黙な人なので「使わせてもらいます、がんばります!」くらい。でも実際に使ってもらえていてうれしいです。

「ショートホープ」完成は金キラのカードを引いたみたいな気持ち

──最後の「ショートホープ」は情景が思い浮かぶような叙情的な曲ですね。

越智:今年の初めに亡くなった、父親の歌です。「1曲くらい、父親の曲を作ってみようかな」と思って作ってみたらすいすい言葉が出てきて。歌詞ができたときは歌えんくらいの感情ではありましたけど、作ってよかったなと思いました。

──「作ってよかった」と思えたのはどうしてですか?

越智:文字を書いて、並べて、1つの歌詞になるじゃないですか。それを客観的に読んで「よく書けたな」と自分で思えたんです。なんというか……そういうものを作らせてくれたのかなと。金キラのカード引いたみたいな感じです。

──どんなお父さんだったんですか?

越智:音楽やるからって都会に出て行くことに対して、よう反対もせずに応援してくれたなと思いますね。東京のライブ見にきて、鼻血出してましたけど(笑)。

──いい関係だったんですね。

越智:そうですね。口うるさいけど、何があっても見放すということをしない父親でしたね。

桑原:僕もおっちゃんのことはよく知ってるんで、この曲をライブでやるときはグッとくるんじゃないかなと思いますね。

越智:智、俺ん家のオカンと二人でカラオケ行ったりするんですよ(笑)。

桑原:越智くんがいないときも越智くん家にいたし、犬の散歩して飯食って。だから俺にとってもお父さんみたいな存在でしたね。俺は自分の親に話せないようなことをおっちゃんに話して、おっちゃんもたぶん息子には恥ずかしくて話せないようなことを僕に話して。

越智:智のお父さんも去年亡くなって。父親が死ぬのって一生に一回しかないじゃないですか。だから「自分らがもうそういう歳になったんやな」とか、「その歳まで音楽やってるんやな」とか思って。聴いてくれるみんなも親父のこと大事にしてくれたらいいなと思って曲にしました。

お世話になったライブハウスから借りた「MASSIVE」

──今作に「MASSIVE」というタイトルを付けた理由を教えてください。

越智:僕らがお世話になっていたライブハウス・club massiveから勝手にいただきました。「MASSIVE」という単語自体には「デカい」とか、「大規模」「どっしりした」という意味があって。自分にとって、音楽は大きい存在だなとこういう時代だからこそ改めて思ったんですよね。しかも今回は、ひさしぶりのリリースというのもあるし、自分の中でベストアルバムみたいな作品ができたなと思って、「ベストアルバム」くらいの大きな言葉をつけたいなと思ったときにぴったりで。俺らにはmassiveという、帰るライブハウスはなくなってしまったけど、いつかは帰れたらという願いも込めました。

──今、「ベストアルバムみたいな作品ができた」とおっしゃいましたが、桑原さんはどんな作品になったと思いますか?

桑原:新しいレーベルからですし、今までとはまた違う感覚で作ったアルバムなので、どういう作品になったのかは、リリースして、ライブをやってわかってくるのかなと思いますけど……ひさしぶりのリリースだから楽しみですね。とりあえず、全曲好きです!

越智:現状、月に1回くらいのペースでライブをやっているんですけど、まだ新曲はどれもライブで披露できていないので、ライブでやるのが楽しみですね。「BUZZ THE BEARSがどういうバンドなのか」というのが詰まったアルバムになっていると思うので、最近僕らのことを知ってくれた人にも手に取って聴いてもらいたいです。

 

 


INFO
BUZZ THE BEARS「MASSIVE」
01. ROCK 'N' ROLL IS ALWAYS WITH YOU
02. BB SOLDIERS
03. Love Song
04. ライブハウス
05. NEVER ENDING 'SLOWLY'
06. ジブンシダイ
07. ショートホープ

2020年10月7日発売 / THE NINTH APOLLO
TNAD-0131 / 1700円(税抜)

>>BUZZ THE BEARS OFFICIAL WEB SITE