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タイトル

ROCK CLASSICS SELECIONS Vol.05 selected by TAISHI IWAMI

この世に数多溢れる名盤と呼ばれる音源の数々。このシーンにおいても、そんなキラキラ金ピカのままに輝き続けるロックのクラシックが存在するわけです。この連載企画"ROCK CLASSICS SELECTIONS"では、現在のシーンに繋がるパンク、ロック、ラウドの名盤を各セレクターにピックアップしてもらい、セレクターの思いと共にお届けしたい。このシーンが好きでCDショップやサブスクでもっとディグりたい! というアナタに捧げる名盤特集。最高のロックエクスペリエンスをどうぞ!F
第5回目のセレクターはDJ兼ライター、TAISHI IWAMIによるセレクション。パンクの遍歴を辿り、このシーンにおける永遠のクラシックを取り上げる。

Select ROCK CLASSICS

dookie

GREEN DAY “Dookie”(1994)


Recommend by TAISHI IWAMI

"ひと言で“パンク”と言っても、そのイメージや解釈はさまざまだ。反体制?速い音楽?激しい音楽?DIY?ポップなロック?そのどれもが正しくもあり必ずしもそうではない。本稿では私的な見解ではあるが、その辺りを“ちょっとすっきり”させるところから始めてみようと思う。

まず大雑把ではあるが、パンク創成期の流れについて。1960年代後半に登場したThe StoogesやMC5、The Whoといったガレージ/R&Bバンドや、The Velvet Undergroundのような幻想的なバンドらの、インディペンデントなスピリットやスタイルを源流とし、70年代後半にはRamonesやPatti Smith、Televisionらが代表格に挙げられるニューヨークパンクが誕生。その熱量はすぐにロンドンに渡り、Sex PistolsやThe Clash、The Damnedらが出てきたことが、最初の大きな狼煙となった。

パンクはそこからニューウェーヴ、ハードコア、オルタナティヴ/グランジ、インディーロック、ポップパンクやエモなど、さまざまなジャンルに派生していく。さらには、ヒップホップやファンクとクロスオーヴァーしたり、エレクトロなどのクラブサウンドと結合したり、大衆的なポップスのフォーマットに採り入れられたりと、その魅力はどんどん拡散。そして2020年現在、The 1975のような今をときめくバンドや、Mura Masaのような前衛性を以てポップの概念を塗り替えるアーティストが、パンクを1つのキーワードにアルバムをリリースしたことなどもあって、新たなディケイドのトレンドを占う要素にもなっている。

では、音楽的にこれほど多岐に渡るパンクとはいったい何なのか。簡単に言えば、その人間が持っている思想や情熱や生活と、サウンドやミュージシャンとしてのアティチュードに誤差がないことだと私は考える。人間の持つ生々しくプリミティヴなエネルギーが根っこにあるのかどうか。だからこそ人々は時折、「〇〇なんてパンクじゃない」、「△△こそ真のパンクだ」と論争を繰り広げる。私も例外ではなく、頭の中はその話題だけで仲間と居酒屋やファミレスや公園で夜通し語り合った記憶だらけ(笑)。

そんな文脈において絶対的に外せないアルバムであり、ロックの歴史においても最重要作品の一つ、それが今回紹介する、カリフォルニアはバークレー出身の3人組・Green Dayが1994年にリリースしたメジャー・デビュー・アルバム『Dookie』だ。



1950年代や60年代のロックンロール、前述したオリジナル・パンク勢からの影響を受けたワイルドなサウンドや、ハードコアの性急でタフなビートやざっくりとしたギター・サウンドに乗った、もはやこの上なしと思うほどのキャッチーなセンスに溢れたメロディーが世界中を席巻。特にシングル「Basket Case」は、私の周りや日本国内をベースにすると、ふだんパンクや海外のロックは聴かない、テレビの音楽番組だけを追っているような若者たちも巻き込んでいった。そして同作登場前後で“パンク”の景気は大きく変わる。それはある人にとってはとても好意的なことであり、またある人の目にはパンクが本来のエッジを失ったように映った、すなわち気に食わない出来事だったというわけだ。



そして時期をほぼ同じくして、Bad ReligionやNOFX、Pennywiseといった大きく括ればメロディック・ハードコア勢がいよいよ世界的な盛り上がりをみせ、そういったバンドよりもポップな要素の強い、『Dookie』と同年にリリースされたOffspringの『Smash』の大ヒットなども相俟って、パンクはここ日本でも一大ムーヴメントとなった。



そこには『Dookie』と『Smash』の翌年にデビュー・ミニ・アルバム『LAST OF SUNNY DAY』をリリースしたHi-Standardがいて、BRAHMANがいて、海を隔てずとも私たちの身近にカッコいいバンドがたくさんいたことも大きく、その歴史は現在進行形である。そして私は……、と同列で書くほど何かを成し遂げたことはないが、いちファンとしてほぼ毎日のようにライヴハウスかクラブにいた。そして今もDJをしている。



ではGreen Dayはその後どうなったのかというと、そのパワーをどんどん拡張。今現在“世界でもっとも有名なロックンロールバンド”と言っても過言ではないだろう。そして最新アルバム『Father of All...』がこれまた素晴らしい。トラディショナルなロックをきっちり2020年に落とし込むそのセンスはさすがだ。





Green Dayは今年3月に、約8年ぶりの来日公演を行う予定であったが、コロナウィルスの影響により延期となってしまった。しかし間もなくして落胆は希望に変わる。先日振り替え公演が発表。2021年 3月26日(金)と3月27日(土)に東京、 3月29日(月)には大阪にやってくることが決まったので、こちらもぜひチェックしてもらいたい。"


Selecter's Profile taishi
TAISHI IWAMI
大阪を拠点に90年代後半よりDJを始める。心斎橋ROCKROCK、京都CLUB METRO、新宿ROLLING STONEといった東西老舗クラブでのレギュラーDJほかさまざまなイベントやフェスにも出演。レコードショップのバイヤーやラジオDJなども経験し、近年はライター/編集者として読むメディアの世界にも本格的に関わるようになる。2017年に上京。現在は執筆やDJ、イベント制作、自主でのマンスリー・パーティ・SUPERFUZZのオーガナイズなどを中心に活動中。
https://twitter.com/TAISHIIWAMI
https://www.instagram.com/taishi
iwami/
https://twitter.com/superfuzz2019
https://www.instagram.com/superfuzz2019/


いかがでしたでしょうか、今回の"ROCK CLASSICS SELECTIONS"。
『Dookie』! 文化祭で「Basket Case」をコピーしていた日々はもう20年前でございます。現代に聴いてもフレッシュ。メロディの良さがしみじみ伝わってくるパンクのクラシックであります。来年の来日は何とかして駆けつけたいところ!
それでは、次回もお楽しみに!!

ROCK CLASSICS SELECIONS ARCHIVE

Vol.04 selected by BONE$ aka Shuhei Dohi - blink-182 “Enema Of The State”(1999)
Vol.03 selected by SENTA from NUMB - HATEBREED / Satisfaction Is the Death of Desire (1997)
Vol.02 selected by TAISHI IWAMI - Matthew Sweet / 100% Fun (1995)
Vol.01 selected by BONE$ aka Shuhei Dohi - Rage Against the Machine / S/T (1992)