COLUMN

ROCK CLASSICS SELECIONS Vol.11 selected by BONE$ aka Shuhei Dohi

この世に数多溢れる名盤と呼ばれる音源の数々。このシーンにおいても、そんなキラキラ金ピカのままに輝き続けるロックのクラシックが存在するわけです。この連載企画"ROCK CLASSICS SELECTIONS"では、現在のシーンに繋がるパンク、ロック、ラウドの名盤を各セレクターにピックアップしてもらい、セレクターの思いと共にお届けしたい。このシーンが好きでCDショップやサブスクでもっとディグりたい! というアナタに捧げる名盤特集。最高のロックエクスペリエンスをどうぞ!
第11回目のセレクターはBONE$ aka Shuhei Dohi。記事のラストには、前回に引き続き、今回のセレクトに基づくオリジナルプレイリスト(Spotify)も掲載しているので、聴いてみて。メロディックハードコアパンクの伝説的1枚のルーツをご紹介!

Select ROCK CLASSICS 

NOFX “Punk in Drublic”(1994)

少し間が空いてしまいましたが皆さんいかがお過ごしでしょうか? コロナによってPUNK好きの皆さんには地獄の日々だとは思います。そんな中目に、耳に毒とも薬ともなるかもしれませんが、今回はこのアルバムをご紹介。



1994年リリース、バンド5枚目となるスタジオアルバムであり、後のSKATE PUNKブームに火をつけうねりを生み出すど名盤。ここ日本では"メロディックハードコアパンク"という概念を生み出した作品ですが、僕は個人的好みから"SKATE PUNK"と呼称したいと思います。
前回KORNのレビュー時にも触れましたが、90年代前半はNIRVANAをはじめとするGRUNGEがシーンを席巻し、ユースカルチャーを大いに沸かせました。
しかし、1992年ごろから数々のバンドの解散や、活動ペースの低下、そして1994年カートコバーンの自殺事件を経てブームは衰退を辿ります。そこへ入れ替わりとして出てきたSKATE PUNKは新たなムーブメントとして若者の心を強く掴んだのです。
本作がリリースされた1994年にはGreendayの『Dookie』、The Offspringの『Smash』、Bad Religionの『Stranger than Fiction』など、その後のブームの筆頭となる作品が数多くリリースされており、その辺からもいかに当時が盛り上がっていたかが窺い知れます。

RamonesやThe Misfitsなどのパンクをより高速に、そしてスラッシュメタル的に従来のパンクよりもテクニカルでソリッドにした楽曲、そして何よりもキャッチーなメロディにパンクとしてのメッセージや、孤独感を盛り込んだNOFX。1983年の結成から徐々に進化を遂げ、本作でその音楽性はついに完成。多くのフォロワーを生み出して行きます。
NOFXのフロントマンであるFAT MIKEは大学時代にバイトをしたEPITAPH RECORDSにヒントを得て、1991年に自らもFAT WRECK CHORDSを発足、結成以来行ってきたハードなツアーの中で出会った、たくさんの良質バンドをリリースし始め、EPITAPH RECORDSとともにSKATE PUNKのブームを牽引し続けます。
資本に頼ることなく、自らマネージメントを行う姿勢は次の世代にも大きな影響を与え、FATに続きたくさんのDIYレーベルが生まれてゆきます。FATの歴史は映画「A FAT WRECK」でも余すところなく知ることができますので、マストチェック。



ユースカルチャーの中心は現在、どんどんとSKATE PUNKから離れていっているものの、FAT WECK CHORDSは時代に流されることなく独自の視点を持ち続け、コンスタントに若手をリリースし続けています。そのブレてない感が非常にFATっぽい。

NOFXの音楽性、そしてFATは、後のBLINK-182やNEW FOUND GLORY、今日のPOP PUNKへの道筋となって行きます。また主観ではありますが、世界を見渡しても、ここ日本は特にNOFX、そしてFATの影響は大きいと言えると思います。
たとえばKen BandやPIZZA OF DEATHのバンドからパンクが好きになった方々も、そのルーツを振り返る意味で今回はプレイリストを組んでみたいと思います。何卒、何卒。



Selecter's Profile 


Hollow Suns(Vo/Gt),As We Let Go(Gt),Doggy Hood$(Gt)として活動する傍ら、Webデザイナー/コーダー/ディレクター、ファッションブランドWeird Nerveのディレクションなども担当。ロック、パンク、ハードコア、ヒップホップに傾倒し、ひたすら東京をレペゼンするが実は福井県出身。東京育ちだということだけは言わせてもらいたい37歳。
https://www.instagram.com/bones0513/
https://twitter.com/bones0513
http://hollowsuns.com/top/

いかがでしたでしょうか、今回の"ROCK CLASSICS SELECTIONS"。
いや~、『Punk in Drublic』はもう擦り切れるまで聴き込んだものです。1曲目の「Linoleum」のギターリフなんて、これまで世界中で何百万人がコピーしたんだろうってくらいのもんですよね。このアルバム、きっとみんな好きですよ!!
それでは、次回もお楽しみに!!

 

ROCK CLASSICS SELECIONS ARCHIVE 

Vol.19 selected by BONE$ aka Shuhei Dohi - Descendents “Everything Sucks”(1996)
Vol.18 selected by SENTA - TURNSTILE “GLOW ON” (2021)
Vol.17 selected by Taishi Iwami - RED HOT CHILI PEPPERS “BLOOD SUGAR SEX MAGIK” (1991)
Vol.16 selected by Taishi Iwami - The Jesus And Mary Chain “ Psycho Candy”(1985)
Vol.15 selected by BONE$ aka Shuhei Dohi - LIMP BIZKIT "Significant Other"(1999)
Vol.14 selected by TAISHI IWAMI - The Vines "Highly Evolved"(2002)
Vol.13 selected by SENTA - SWITCH STYLE "....TO INFINITY"(1997)
Vol.12 selected by TAISHI IWAMI - Machine Gun Kelly "Tickets To My Downfall"(2020)
Vol.11 selected by BONE$ aka Shuhei Dohi - NOFX “Punk in Drublic”(1994)
Vol.10 selected by TAISHI IWAMI - The Music "The Music"(2002)
Vol.09 selected by SENTA - V.A. "NEW YORK'S HARDEST"(1995)
Vol.08 selected by BONE$ aka Shuhei Dohi - Korn “Korn”(1994)
Vol.07 selected by TAISHI IWAMI - Jet "Get Born"(2003)
Vol.06 selected by SENTA from NUMB - Madball “Set It Off”(1994)
Vol.05 selected by TAISHI IWAMI-GREEN DAY “Dookie”(1994)
Vol.04 selected by BONE$ aka Shuhei Dohi - blink-182 “Enema Of The State”(1999)
Vol.03 selected by SENTA from NUMB - HATEBREED / Satisfaction Is the Death of Desire (1997)
Vol.02 selected by TAISHI IWAMI - Matthew Sweet / 100% Fun (1995)
Vol.01 selected by BONE$ aka Shuhei Dohi - Rage Against the Machine / S/T (1992)