COLUMN

SATANIC ART CHRONICLE Vol.05 by Hirotton

シーンの中でバンドのリリースする作品のアートワークやマーチャンダイズのデザインを手掛けるデザイナーやアーティストたち。彼らのデザインは音源の顔として我々の印象に残っていき「あー! あの飛行機のジャケのやつね!」なんていう会話に繋がっていく。
SATANIC CARNIVALでも、シーンで活躍するアーティストが多々参加している。本企画"ART CHRONICLE"では、このシーンにいるアーティストに彼らのルーツを紹介してもらう。そのルーツは少なからずアーティストに影響を与えているし、このシーンが好きなのであれば知っておくべきレジェンドたちだ。
アーティストに教えてもらえるアートのお話、"ART CHRONICLE"。第5回はHirottonが紹介するジャパニーズレジェンドの話。 ![IMG_1719]

###Profile Hirotton
ドローイングアーティスト/デザイナー。2012年に拠点をロンドンから東京へ移す。数々のバンドのマーチャンダイズ、アートワークを手掛けつつ、ファッションブランドやHeroin skateboardsといったスケートブランドともコラボレートする。自作のシルクスクリーンを用いたアート、アパレルプロダクトも幅広く支持されている。
https://www.instagram.com/hirotton/
https://hirotton.theshop.jp/


####Hirotton SELECT.02:USUGROW
日本を代表するドローイングアーティスト
http://usugrow.com/
https://www.instagram.com/usugrow/


###about USUGROW by Hirotton
「私のバックボーンにあるアーティスト紹介、第2回はUSUGROW氏です。
![FB_echosfromhepast_1_1]

USUGROWは90年代初頭にハードコアパンク等のフライヤーデザインから活動をはじめ、現在はジャンルを超えたバンド、CD、レコードカヴァーデザイン、スケートボード、ファッションブランド等、多方面で活動してきて、国内外で積極的に個展を開催するなど海外でも高い評価を受けている日本を代表するアーティストの1人。
![aaa]

![2020-07-06 17:11:53.068]

![bbb]

このSATANIC ENT.を読んでいる人にも、おそらく馴染み深いであろう"AIR JAM'98"のTシャツグラフィックも手掛けている。
![airjam1998_logo]

10代の頃からスケートカルチャーや、ハードコアパンクといったシーンに夢中になっていた自分にとって、彼のアートワークを目にしないほうが難しかった。
中でも衝撃を受けたのは、2009年の7月、LONDONのStolen Space Galleryというギャラリーで行われた彼がキュレーションした日本人5人による展示だった。

![ccc]

Stolen Space GalleryはLondonのグラフィティーアーティスト、D*FACEが運営するギャラリーで、その頃はまだBrick Laneという場所にあって、有名無名問わずD*FACEが認めたアーティストのみが展示を行えるというコンセプトで、当時ロンドンに住んでいた自分も注目していたギャラリーの1つだった。

USUGROW氏がキュレーションした"SHINGANIC SHOWCASE"と名付けられたその展示は、まさに素晴らしいのひと言だった。
USUGROW氏をはじめ、各アーティストの、日本という国のトラディショナルな文化を消化し、独自のスタイルに落とし込まれた作品達と空間はLondonに位置するそのギャラリーで異質かつ繊細で、自分が日本人であることを誇りに感じた。

育ってきた文化と違う文化に触れたくて、広い世界を見たいと感じ、日本から離れてLondonに住みはじめ、ある意味、生まれ育った日本という国をネガティブに感じていた当時の自分にとってその感情は新鮮で、ルーツを大事にすること、自分を見つめる作業を必要に感じた。
その展示に関わってもいないのに、大事な答えを発見した気分になって、夜中にオフライセンスの前で1人乾杯したのを覚えている。

自分がUSUGROW氏を尊敬している点は、ルーツを掘り下げ、彼自身の紛れもないオリジナリティーで表現をしている点、また閉鎖的になりがちなこのシーンで彼の視野が非常に広いことだ。
ハードコアパンクGIGのフライヤーデザイン等、アンダーグラウンドでローカルに根付いたシーンで活動しながらも、多くの企業とのコラボ、国内外での個展開催等、柔軟かつ意識の高さと視野の広さを感じる。
それでいて、ブレがない。
過去に実例もあるが、例えそのバンドがビッグネームであろうと、なかろうと、自分が納得したバンド、音じゃないとアートワークを提供しないことを徹底している。

ここ数年、何度か同じ空間に展示をする機会もあり、2018年にEXCELが来日した際に、USUGROW氏がキュレーションを務めたグループアートショーで光栄にも声をかけてもらい、後に2人でのアートイベントも行うこととなった。
今後、自分が仲間と運営しているシルクスクリーン工房"HAILPRINTS"とのコラボも決定している。

![F6A1201]

こういう瞬間の感情は、生きている感じがして、いつになっても忘れることはない。

過去は確実に現在につながっていて、未来は現在のすぐそこにいる。
彼のようなアーティストと、互いをリスペクトしあえることを嬉しく思う」。

![ddd2]




連載"ART CHRONICLE"第5回目、Hirottonが紹介してくれたのはUSUGROW。日本の文化を大切にしつつ、パンクやハードコアをベースに持ったアートで世界を魅了するレジェンドです。このシーンが好きな人は絶対にチェックしてほしい!
次回もお楽しみに!!
####SATANIC ART CHRONICLE ARCHIVES 

Vol.17 by TM paint
Vol.16 by KISHI KOUJI - Roy Lichtenstein
Vol.15 by KISHI KOUJI - JIM PHILLIPS
Vol.14 by Hirotton - Mark Foster
Vol.13 by TM paint コラム番外編! サタニック反省会
Vol.12 by Hirotton - Hundertwasser
Vol.11 by KISHI KOUJI - FRANK KOZIK
Vol.10 by TM paint - Melodic Punk Cover Art 2000年ver
Vol.09 by KISHI KOUJI - 佐伯俊男
Vol.08 by Hirotton - BB BASTIDAS
Vol.07 by TM paint - -僕が影響を受けた "90sくらいのMelodic Punk Cover Art" を描くアーティストたち-
Vol.06 by KISHI KOUJI - Boris Tellegen / DELTA
Vol.05 by Hirotton - USUGROW
Vol.04 by KISHI KOUJI - Andy Warhol
Vol.03 by Hirotton - SWAMPY
Vol.02 TM paint - さくらももこ
Vol.01 KISHI KOUJI - 村上隆