COLUMN

SATANIC ART CHRONICLE Vol.07 by TM Paint

シーンの中でバンドのリリースする作品のアートワークやマーチャンダイズのデザインを手掛けるデザイナーやアーティストたち。彼らのデザインは音源の顔として我々の印象に残っていき「あー! あの飛行機のジャケのやつね!」なんていう会話に繋がっていく。
SATANIC CARNIVALでも、シーンで活躍するアーティストが多々参加している。この本企画"ART CHRONICLE"では、このシーンにいるアーティストに彼らのルーツを紹介してもらう。そのルーツは少なからずアーティストに影響を与えているし、このシーンが好きなのであれば知っておくべきレジェンドたちだ。アーティストに教えてもらえるアートのお話、"ART CHRONICLE"。第7回のセレクターはSATANIC CARNIVALで似顔絵を描いてくれているTM Paint、久しぶりの登場でございます!

Profile TM Paint

アーティスト、イラストレーター。国内外のアーティストの音源のカバーアート、ライブポスター、Tシャツなどを手がけ、ROCKフェス、アパレルブランドへのグラフィック提供などなど…。その活動がワールドワイドに多岐にわたる。たまにオリジナルアートも製作したりと、幅広く活動中!
https://www.tm-paint.com/
https://www.instagram.com/tmpaint/
THE-B-MART  

TM Paint SELECT.02:-僕が影響を受けた "90sくらいのMelodic Punk Cover Art" を描くアーティストたち-



みなさんコンニチワ!TM paintという名前で絵を描いております。
今回やっとの第2回目ということで遅くなってしまい、SATANIC ENT.編集部の皆様申し訳ありません。。。

前回はさくらももこ先生についての想いを書かせていただきましたが、このSTANIC ENT.ではパンクロックエリートの皆様もたくさん見られてるということもあり、今回は、僕が思春期時代にゴリゴリにストレートに影響を受けた90'sあたりのメロディックパンクのジャケットを描いた7人のアーティストについて当時に戻った気持ちで書かせていただこうと思います。





①SHAG先生

思春期の僕がメロディックパンクに触れるきっかけとなったコンピ『PUNK-O-RAMA 3』。
当時、このジャケのアートが突き刺さり。今でも大好きです。
誰が書いたんだろうと、ジャケに書いてあるSHAGというサインを元に彼の他のアート作品を探しまくりました(今でも)。
手がかりになる「SHAG」と言うたった4文字を手がかりに……。インターネットにも気軽に触れられない時代だったので足を使って探しまくってました。
しかし、出てくる絵は別人かと思うくらいにどれもこのタッチとは全然違うっ! カクテルやtiki(ハワイの守り神)をテーマにした、カラフルでコミカルなお洒落な作風っ!
後ほど得た情報で、SHAG先生はハワイ生まれのナイスガイ。そっちのタッチで大成功された超大御所SHAG先生なんです。(そっちのタッチでは後にTHE VANDALSのジャケを描いています。)

僕が食らったのは、別なタッチのほうだった?? と知った時の何とも言えない気持ち。。。は置いといて。

僕は『PUNK-O-RAMA 3』のジャケのような絵の世界感を永遠描こうと心に誓いつつ。
全然タッチの違う引き出しの振り幅の凄さにも挑戦して行きたいなと、改めて思いました。

おまけ
このコンピで僕は、1曲目のすごい曲名の長い歌を歌っていた "NOFX" と出会いました。最初聴いた瞬間に、一生このバンド聴くことになるなと直感で思いました。。。感動






②FRANK KOZIK先生

当時、佐世保の輸入CD屋でこのCDがこっち向きに置かれてて、「エライかっこよかたいね」と思ったTHE OFFSPRINGの『Americana』のジャケ。
しかし、限られたお金でCDを買っていた思春期時代だったので、NOFXを買いに行ってた僕は、このTHE OFFSPRINGのCDは……(後ほど……)。
このジャケを描いたのがKOZIK先生と言うのは後で知るのですが、当時はこの奇妙でPOPで怪しいアートをCD屋さんでずっと眺めていた良い思い出があります。

最近のKOZIK先生のCDのデザインでは、我らがハイスタの『THE GIFT』のジャケを描かれており、KOZIK先生の作品が皆様のお手元にも1枚はあるはず。

おまけ
当時、友達の家に自慢げに貼ってあったKOZIK先生のハイスタの『GROWING UP TOUR』?(デビルな女の子)のポスターが欲しくてたまらなかった思い出が強いです。。。泣







③COOP先生

COOP先生に関しましては後追いでNOFXの『I Heard They Suck Live!!』というライブアルバムで知り、もうこの辺で僕もこういう絵が描けるようになりたいっす! と芽生え始めてたような気がします。

今こうやって上記3人の作品を並べてみてわかったのですが、僕は「ちょいキモ」な人間が描いてある絵が好きなんだなと。
この頃、日本でもROCKIN'JELLY BEAN先生などLowbrow Art(1970年代後半にカリフォルニア・ロサンゼルスを発祥とする~続きはググってw)が ライブポスターやジャケなどでたくさん見られました。

Ken Yokoyamaの『Dead At Budokan』のDVDのジャケもCOOP先生が手がけられております。

おまけ
実はCOOP先生の中で一番好きな作品はニルバーナの鼻くそBOYのポスター。(coop nirvana posterでググってw)。後々、高円寺のバイオレン堂で生で見たときはチビった。。。泣







④CHRIS SHARY先生

最初に紹介した『PUNK-O-RAMA 3』にも入っている"ALL"というバンドのジャケを描いているCHRIS先生。
彼が描く人間の絵もとにかく個性的で、代表的なALL、DESCENDENTSの他にも本当に数多くのパンク、ハードコアのアートを手がけてらっしゃいますレジェンド。そして、今でもジャケやTシャツの絵を現役ゴリゴリに描いていてPUNK ROCKのアートワークにこだわる姿勢は本当に尊敬しています。

おまけ
以前、クリスパイセンにアメリカのアート展とかには参加しないのですか? とメッセージを送ったら、俺はアート展のために絵を描くより、1枚のパンクバンドのTシャツを作ることの方が幸せなんだ!と言われた時はチビりました。。。泣







⑤BRIAN CLARKE aka LES TOIL先生

NOFXのFat Mike率いるアメリカのPUNK ROCKレーベル"FAT WRECK CHORDS(以下、FAT)"にどっぷりな僕が出会った変態的アーティスト。

パッと見はブラシで描いたようなタッチで繊細で綺麗な絵なのに、内容はというと…。
皮肉たっぷりなシュチエーションの絵ばかりで奇妙で、すごく笑えます。
当時のFATといえばBRIAN先生のアートと言っていいくらい描きまくっていらっしゃいました。
最近は、なぜか太った女の人の絵ばかり描かれています(笑)。
実はFATのお仕事をされる前から。太った女の人を描くのが本業だったのかなーという疑惑が最近出てきました。
そして彼は写真でいつも笑顔です。

おまけ
TM paintの初期の楕円の丸いサイン的に使っていたロゴはブライアンパイセンとおそろ? もちろん公認済。そのロゴは初期すぎて誰も知りもしないけど。。。(笑)






⑥HONGOLIAN先生


ここを見られてる皆様には説明不要だと思いますが、Hi-STANDARDの『MAKING THE ROAD』のジャケ&PIZZA OF DEATH RECORDSのLOGOを手がけられているホンゴリアンさん。BBQ CHICKENSのまさかのボーカリストでもあります。

『ANGRY FIST』の闘志を感じる写真のジャケから、このPOPなイラストになったことの衝撃っ! 綺麗な青空の絵で、とにかくハイスタの最新作感をすごく感じた思い出があります。
そして、僕はこのジャケットを見て、日本でもこういうPOPでアメリカンな絵を描くアーティストがいらっしゃるということを知り、いつかこういうCDのジャケの絵とか描いてみたいなぁと思わせていただいた作品。
しかし、掘ろうにも、とにかく情報がないで有名だったホンゴリアンさん。後日、高円寺に置いてあるフリーペーパーで特集ページがあることを発見し、 高円寺在住の親友に送ってもらったのは良い思い出です。


おまけ
FAT25周年フェスのときに隣で一緒にハイスタを見させていただいた時は1人いろいろとグッと来てました。。。泣
後、DRADNATSの『ONE HiT THE BODY』のジャケを見て、こんな大人数を細かく描く狂気の沙汰に身震いしました…。






⑦HIDE先生

日本のメロディックバンドBANANA BOATのジャケを手がけられているHIDEさん。こちらもまさかのスカパンクバンドCOQUETTISHのボーカリストでもあります。
このジャケの人間の細かさ、よく見るといろんな人がいろんなバンドTシャツを着ていたり、永遠に見てられるんじゃないか、ジャケットに穴空いちゃうんじゃないかくらい当時、かぶりついてみてました。
このCDは1回どっか行っちゃたけど、買い直して手元に置いてるくらい好きです。
他にはPOTSHOT、SUICIDE MACHINESのジャケなど日本でのスカパンクのアート=HIDEさんというイメージなのです。
そんなHIDEさんがメロディックパンクバンドのアートを描いたレアな1枚。

おまけ
東京に上京するきっかけを与えてくださったありがたい先輩。。。泣。僕が以前描いたBAYSIDE CRASHのポスターはHIDEさんのBANANA BOATのジャケの影響をすごく受けていると思われます。


という感じで思春期時代からメロディックパンクにはまり、その周りのアートに興味を持つきっけかとなったアーティストのほんの一部を紹介させていただきました。
今回のコラムがもし評判良ければ、全然ディグれなかった田舎少年90's時代から、次回はついにインターネットという最強の武器を手に入れ、どんどん頭でっかちになっていく僕の00'sについて書こうかなと思います(笑)。
※CD、DVDはすべて本人・編集部私物


 

SATANIC ART CHRONICLE ARCHIVES 

Vol.17 by TM paint
Vol.16 by KISHI KOUJI - Roy Lichtenstein
Vol.15 by KISHI KOUJI - JIM PHILLIPS
Vol.14 by Hirotton - Mark Foster
Vol.13 by TM paint コラム番外編! サタニック反省会
Vol.12 by Hirotton - Hundertwasser
Vol.11 by KISHI KOUJI - FRANK KOZIK
Vol.10 by TM paint - Melodic Punk Cover Art 2000年ver
Vol.09 by KISHI KOUJI - 佐伯俊男
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Vol.07 by TM paint - -僕が影響を受けた "90sくらいのMelodic Punk Cover Art" を描くアーティストたち-
Vol.06 by KISHI KOUJI - Boris Tellegen / DELTA
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Vol.04 by KISHI KOUJI - Andy Warhol
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Vol.02 TM paint - さくらももこ
Vol.01 KISHI KOUJI - 村上隆