SATANIC ART CHRONICLE Vol.11 by KISHI KOUJI
シーンの中でバンドのリリースする作品のアートワークやマーチャンダイズのデザインを手掛けるデザイナーやアーティストたち。彼らのデザインは音源の顔として我々の印象に残っていき「あー! あの飛行機のジャケのやつね!」なんていう会話に繋がっていく。
SATANIC CARNIVALでも、シーンで活躍するアーティストが多々参加している。本企画"ART CHRONICLE"では、このシーンにいるアーティストに彼らのルーツを紹介してもらう。そのルーツは少なからずアーティストに影響を与えているし、このシーンが好きなのであれば知っておくべきレジェンドたちだ。
アーティストに教えてもらえるアートのお話、"ART CHRONICLE"。第11回はKISHI KOUJIがリコメンダー。FRANK KOZIK(フランク・コジック)をピックアップ。
Profile KISHI KOUJI
グラフィックデザイナー。パンク、ストリート、ポップアートなどに強い影響を受け、友人のバンドのフライヤーを手掛けることでキャリアをスタート。音楽シーンを中心に、アパレルブランドや企業にもアートワークを提供している。
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KISHI KOUJI SELECT.05:FRANK KOZIK
影響を受けたアーティストを紹介するこの企画、今回はグラフィック・アーティスト、ロウブロウ・アーティストの「FRANK KOZIK(フランク・コジック)」。 1962年スペイン・マドリード生まれ。10代でアメリカ・テキサスに渡り、アンダーグラウンド・パンクのポスターを制作しアーティスト活動を開始。その後、サンフランシスコに拠点を移し、NIRVANA、Nine Inch Nails、BEASTIE BOYS、GREEN DAY、THE OFFSPRING、PEARL JAM……など、名前を挙げればキリがないほど数々のロックバンドのポスターを手掛けている。
L to R_An Ode to Joy(1999)、Man’s Ruin(1995)、Desperate Measures(2002) 日本では、1995年にHi-STANDARD「GROWING UP」ツアーポスター、1997年「ANGRY FIST」ツアーポスターを担当。2018年に発売された「The Gift」のジャケットがKOZIKのデザインだと聞いたときはすごく興奮した。
Hi-STANDARD / The Gift(2018) またGOODENOUGH、BOUNTY HUNTER、ANNA SUIなど数々のブランドとのコラボレーションや、Smorkin’ Labbitなど自身がプロデュースしたキャラクターフィギュアも数多く発売されていて、その活動は多岐に渡る。
Tokyo Show ’96(1996) KOZIKを知ったのは学生時代。学校終わりは毎日のように暇に任せて街をブラブラしていて、そんな時、適当に入った雑貨屋で見つけたポストカードだったと思う。「Hi-STANDARDにこんなデザインがあったのか、めちゃくちゃかっこいい!」と他のデザインのポストカードも合わせて数枚購入して部屋の壁に貼っていた。
また8ボールやダイスなどのモチーフが描かれていた事で、元々自分が好きだったバイクカルチャーと新たに好きになった音楽やアート、自分の中の点と点が繋がったような感覚がしてますます好きになっていった。
当時買ったポストカード 学生の頃は、友人のバンドのフライヤーを依頼されることが多く、そんな中でよく言われたのが「イラストやビジュアルがメインになりすぎて、文字が読めない、バンド名が見えにくい」など……本当によくダメ出しされた。CDジャケットやバンドTシャツと違ってフライヤーやポスターはバンド名、イベントタイトル、日程や会場、チケット料金など伝えなければならない文字要素が沢山あるので、それをいかにかっこ良くデザインに落とし込んでいるのか、どんなフォントを使っているのか、KOZIKのポスターデザインを見て参考にしていた。
今はライブ告知といえば、SNSでの告知が多くなりポスターというものが昔よりも確実に減っていると思うが、今でもライブハウスの壁には、沢山のロックバンドのポスターが貼られている。スペースも限られているだろうし、基本的にはリリースやツアーが終わったタイミングで剥がされると思うが、中にはシミやヤニで変色し、端は破れていたりするのに何年も大事に貼られているものもある。皆それぞれ思い入れがあって剥がさずに壁に貼ってあるのだろう。そういう光景を見ると嬉しくなるし、自分はそういう仕事が出来ているかといつも自問自答する。 KOZIKを知って自分の中でロックポスターというものが特別なものになった。
SATANIC CARNIVALや、自分がポスターデザインを担当したライブの当日に、無料でポスターを配布したりしたことがある。正直フライヤーとは違って、ライブ終わりにポスターを持ち帰るのは邪魔にもなると思うのだが、折れないように少し気をつかって持って帰ったり、部屋のどこに貼ろうか考えたり、ポスターを見てその日のライブの事を思い出したり、そういう誰かの思い出の一つになれていれば嬉しい。
SATANIC ART CHRONICLE ARCHIVES
Vol.17 by TM paint
Vol.16 by KISHI KOUJI - Roy Lichtenstein
Vol.15 by KISHI KOUJI - JIM PHILLIPS
Vol.14 by Hirotton - Mark Foster
Vol.13 by TM paint コラム番外編! サタニック反省会
Vol.12 by Hirotton - Hundertwasser
Vol.11 by KISHI KOUJI - FRANK KOZIK
Vol.10 by TM paint - Melodic Punk Cover Art 2000年ver
Vol.09 by KISHI KOUJI - 佐伯俊男
Vol.08 by Hirotton - BB BASTIDAS
Vol.07 by TM paint - -僕が影響を受けた "90sくらいのMelodic Punk Cover Art" を描くアーティストたち-
Vol.06 by KISHI KOUJI - Boris Tellegen / DELTA
Vol.05 by Hirotton - USUGROW
Vol.04 by KISHI KOUJI - Andy Warhol
Vol.03 by Hirotton - SWAMPY
Vol.02 TM paint - さくらももこ
Vol.01 KISHI KOUJI - 村上隆