coldrain "FATELESS" Interview!!
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Interview by RYO TAJIMA
10周年を迎え、フルアルバムとしては約2年ぶりとなる新作『FATELESS』をリリースしたcoldrain。同時に本作はワーナーミュージック移籍第一弾でもある。現在はそのジャパンツアーの真っ最中であり、ファイナルの2月6日には日本武道館公演を控えている。昨今、ますますライブバンドとして研ぎ澄まされていくcoldrainだが、活動10年を経て生み出した本作はバンドにとって一体どんな存在となったのか。そして2月に控えている日本武道館公演について。フロントマンのMasatoに聞く。
“運命って言葉はオレたちにとっては面白みを感じるワードなんです”
――活動10周年でのアルバムのタイトルは『FATELESS』ですが、ここに込められた意志は?
Masato: オレの場合、タイトルはパッと思い浮かぶか、なかなか出てこないか、なんですけど、今作は楽曲がバラエティ豊かですぐに決められなくて。タイトルを決める前に、まずアートワークをデザイナーに依頼したんです。「とにかく何でもいいから、作品を聴いて感じたままに作ってほしい」ってムチャ振りしたんですよ(笑)。それで、今回のアートワークが上がってきたんです。そのときに『聴いていて同じテーマがcoldrainにはあるよ。それをすごく感じてデザインにしたんだ』ってデザイナーに言われたんです。
――なるほど、タイトルが決まる前に、この“バラの花を錆びた釘が円状に取り囲んでいるアートワーク”が挙がってきたんですね。
Masato:ええ。次々に釘に刺されて、枯れ落ちてもバラの花は最後に残る。釘は花に攻撃したことで、その役割を終えるけど、それを踏まえてもなお、バラは生き続ける。そんなテーマがデザイナーにあったと聞きました。その内容にすごく感銘を受けたんです。人間の運命はいつか尽きるものですけど、音楽は生き続けるものだから、そのテーマがマッチするんです。そこで“運命がない”って良いことだと思って、造語で『FATELESS』にしたんです。“運命”ってオレらにとって面白い言葉なんですよ。
――なぜ面白いと?
Masato:というのも、オレたちがここまでやってこれたのは決して運命的なものではなかったんです。“こうすれば売れるだろう”という前例がない音楽を表現して、自分たちの力で今を築いてきましたから。今でこそ、日本でも英語詞の歌が人の心に響くということがわかったし、ラウドロックが伝わるのもわかった。同時に日本のバンドが海外で通用できるんだってことも体感できるようになっていますが、それは、この10年活動し続けてきて、やっと感じられるようになったことなんです。そういうすべての思いが、このタイトルに昇華されています。
――最初にMasatoさんが「バリエーション豊か」と言った通りで、今作は非常に表情豊かな楽曲が並んでいますね。王道のラウドロックを感じる部分も多々ありました。これまでのラウドのヒストリーを今作に取り入れようとした部分はあるんですか?
Masato:意識的にそうしたわけではないんですが、根底の部分にはあるかもしれませんね。楽器を初めて手にとったときに聴いていた音楽は決して色褪せることはないし、そこに1番刺激を受けているわけなので、楽曲を制作する際にもエッセンスとして入ってくるものだと思います。でも、これだけ長くやっていると、coldrain流儀の表現の仕方が定着していますから、インスパイアを受けてオマージュ的に表現したパートを作っても、coldrainのオリジナリティを体現することができるんですよ。そのバランス感も10年やってきたからこそだと思います。
“10年やってきたからこその新たな流れで制作できた”
――今作はメロディはMasatoさん、楽曲はY.K.Cさんという担当分けで制作されたんですか?
Masato:いえ、今回初めてメロディもY.K.Cに任せたんです。そのお陰で自分はアレンジに注力することができて、より歌うことに対して集中できたんです。なんで今までやってこなかったんだろう? とすら思いましたよ。
――楽曲制作において、これまでと立ち位置が変わったと
Masato:そうですね。ある意味、プロデューサー的な立ち位置で楽曲に挑めたんです。より気持ちよく、ライブに近しい空気感でレコーディングできました。客観的に自分たちの曲を捉えることができて、よりcoldrainの曲が好きになりましたし、楽しさが増えた感じですね。
――ボーカルとしてメロディを他メンバーに任せることに抵抗はありませんでしたか?
Masato:まったくなかったですね。これまでと違ったやり方をすることを嫌がる人も多いと思うんですが、アイディアがたくさんあるなか、自分がそれを選別していくという流れで、単純にメロディを作っている人間が1人増えたという感覚でした。ここにきて改めてメンバーと共作していることを再認識するような……不思議な話なんですけどね。それも長年やってきたからだと思いますし、Y.K.Cも作曲者としてオレがどう歌うのかを理解してきたんだと思います。
――なるほど。そこには新プロデューサーの影響もありますか?
Masato:新しいプロデューサーのマイケル・エルヴィス・バスケットに関しては6人目のメンバーみたいでしたね。オレらのことを好きだってことを、最初から明示していましたし、プロデューサーというよりかは友人と『これ、ヤバいよね』って言い合いながら作っている感じでしたよ。とにかくレコーディングの空気感もよくて、サウンド面に関しては絶対的な安心感がありました。10年目で、こういうプロデューサーに出会えて、こんな作品を作れたということは『FATELESS』って言っておきながらも運命だったのかなと(笑)。
“日本武道館公演は通過点ではあり1つのお祭りとして”
――スケールの大きい楽曲も耳に残りましたが、これは意識的にそういう楽曲を作った?
Masato:意識した部分もあるし、自然とでてきたものもあったと思います。フェスを踏まえて、というのは念頭にあるんですが、狙い過ぎず、作品全体に、スケールの大きさを散りばめることができたのではないかな、と。そこもプロデューサーとの連携がうまくいった点ですね。彼がアメリカのラジオで流れているバンドの要素を入れてくれたり、ビッグサウンドにするのが得意なタイプだったので、うまくアレンジしてくれたと思いますし、バンドの方向性と感覚がマッチしていてよかったです。そもそもなんですが、オレらは日本のマーケットに向けて制作することはなくて、全世界へcoldrainの音楽を届けようとしているんです。プロデューサーも『アメリカで売ろうと思っていないバンドをやる気はない』といったことを言っていて、そういう感覚の持ち主だったからこそcoldrainらしい絶妙なバランスで、世界のどこにもない楽曲になっていったと思います。
――これから『FATELESS』を携えてのツアーがあり、ファイナルには日本武道館が待ち構えていますね
Masato:日本武道館公演に関しては、何年も前からやろうと計画していたことではないんです。いざ“何かやばいことをやりたい”と考えたときに、英語詞でメインストリームでもないオレらが日本武道館でライブをやってキメることができたら最高にカッコいいんじゃないかな、と思ったんです。かなり早い段階で発表したのは、ファンと共に日本武道館に向かっていく、ということをしたかったからです。これを経験して、その先に海外ツアーに行くことができたら、これまでと違う勝負ができるんじゃないかと思っています。10周年だし、ここでやらなかったら、もうやらないだろうな、とも思いますしね。バンドにとっての通過点ですが、1個のお祭りとして、全力でかましてやろうと思っていますよ。
full album
FATELESS
1.ENVY
2.FEED THE FIRE
3.LOST IN FAITH
4.BURY ME
5.R.I.P.
6.INSIDE OUT
7.STAY
8.COLORBLIND
9.F.T.T.T
10.UNINVITED
11.AFTERMATH
12.A DECADE IN THE RAIN
2017.10.11
¥2,700 (Tax in) / WPCL-12764
coldrain OFFICIAL HP