INTERVIEW

bacho “萌芽” INTERVIEW!

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Interview by RYO TAJIMA
Photo by Cosmic Note

 

 


神戸発の4人組、bacho。エモーショナルなロックとして、日々ファンを増やしているバンドだ。SATANIC CARNIVAL'16ではO.Aとして出演して以降、着実に知名度を上げシーンでの存在感を大きくしている。1月31日にはニューシングル「萌芽」をリリースする。約半年ぶりの2曲入り。今作に収録されている『萌芽』と『全てはこれから』にはbachoらしい熱い日本語とメッセージ、歌い上げたくなるメロディが表現されている。この新作と、バンドの現状について、Vo&Gtの北畑欽也に話を聞いた。

 

 

”合言葉は「全てはこれから」。最高の瞬間が今だと決めたくない"

同居する陰陽から光が前面に出た楽曲『萌芽』

ーニューシングル「萌芽」が1月31日にリリース。前作が8月リリースのシングル「陽炎」だったことを考えると半年ぶりの新作となるわけです。

北畑欽也(以下、欽也):そうですね。

ー「陽炎」も「萌芽」も共に2曲収録※ですが、内容を見ると対比的な感じがします。陰のシングルが「陽炎」。陽のシングルが「萌芽」と。そこには心境的な変化があったりしたんですか? ※「陽炎」収録の楽曲は『僕はかげろう』と『夢破れて』。「萌芽」収録の楽曲は『萌芽』と『全てはこれから』

欽也:変化というと、ちょっと違うかもしれないですね。誰しもそうだと思うんですが、心の中には陰と陽、2つの感情が常にあるじゃないですか。「陽炎」と「萌芽」では、表現としての切り口が対照的なので相反する形になったんです。自分の気持ちの、どの部分を曲として抽出するかで変わってきますね。「萌芽」は"陽"の部分が前に出ているので前を向いている内容になったかな、と。でも、光と影、どちらも常に自分の中に同居しているものなので、伝える内容の根底にあるものは変わりません。



ーなるほど。意図的にタイトルを対照的にしたわけではなかったんですね

欽也:そうなんです、偶然なんですよ。実は『萌芽』はシングル「陽炎」に収録予定だったんです。もう、その頃には完成していた楽曲でした。が、『萌芽』は5分30秒を超える長尺の曲なので「陽炎」収録の2曲と合わせると世界観が合わなくて。

ーそうだったんですか! 世界観が合わないというのはシングルとして考えると、という意味ですか?

欽也:そうですね。『僕はかげろう』と『夢破れて』に並べてみると、なんかしっくりこないというか…違和感があったんです。それで今回のシングルに回したんです。『萌芽』と相性の良い楽曲『全てはこれから』を制作して。
ー でも、年明けの1月リリース作のタイトルが「萌芽」なんて、季節的にもぴったりな気がしますね

欽也:そうですね、今思えばぴったりきた、と言うか。結果的に、ですけどね。「陽炎」も8月にリリースした作品としてはマッチするタイトルだと思うし。季節を考えてタイトルをつけたわけではないんですけど、こういう偶然っていうのは、僕にとっては嬉しい偶然。曲が様々な意味でしっくりくるタイミングっていうのは、やっぱりあるものだと思うし、そこに辿り着くことができたことは、素直に嬉しいと思っています。

ーなるほど。ちなみに2曲めの『全てはこれから』なんて、実にbachoらしいタイトルだなーって思いました。欽也さん、MCで言いそうじゃないですか?

欽也:はは(笑)。これは、そう思ってbachoをやり続けていかないといけないなっていう、自分への戒めみたいな感じですね。これからも続けていく限り、この先により良い景色が待っていないのであれば、それはおかしいですから。もちろん、今までにも最高な瞬間はたくさんあったんですよ。「陽炎」のツアーも、すごく楽しかったし良かった。ふと思い出してみると『あの日は良かったな~』なんて思うんですけど、あれが"最高"の状態であるということに、僕は納得しちゃいけないと思っているんです。実際に歌っているんですけど『僕たちの合言葉は全てはこれからだ』って、そういう風に常に思ってやっていこうという自分の意思表示です。



 

良い楽曲を作って良いライブをやるということを続けていく

ー『全てはこれから』の楽曲も、バンドの未来を見据えてのメッセージが含まれていると思うのですが、具体的に描いているビジョンがありますか?

欽也:このライブハウスでやりたいとか、大規模フェスにどんどん出演していきたいだとか、そういうことを目標に活動しているわけではないのですが、より大きい場所にチャレンジしていきたいというのは常々思っていることですね。bachoのことを好きになってくれる人を1人ずつ増やしていくというのが、僕らのやり方なんです。そうやって、どんどん人数が増えていけば、自ずと大きいハコでもライブできるようになると思うし、もちろん今まで通り小バコでも活動していくと思いますしね。まぁ、でも…ぶっちゃけるとFUJI ROCK FESTIVALには出たいと思いますね(笑)。2013年にROOKIE A GO-GOに出演させてもらったとき、FUJI ROCKのステージに出演しているバンドも実際に存在するんだな、なんてことを思って一気に現実味を帯びたんですよ。であれば、自分も、はなから無理だと諦めるのではなく、それに向かっていきたいと思いました。もちろん背伸びせず、着実にやり続けて、いつかは、と。良い曲を作って良いライブをやり続けていれば、好きになってくれる人を確実に増やしていけると思っていますし、それをしっかりとやれる体制を整えていれば、自ずと、その方向に向かっていくんじゃないかな、と。

ーライブという点で言えば、オーディエンスが時に涙してしまうほどの熱量のあるライブがbachoのアイデンティティの1つだと思います。ライブをやるときの"伝えたい"という思いが強く伝わってくるというか

欽也:自分で歌詞を書いて曲を作って歌っているわけなので、その内容を伝えたくないわけじゃないんですけど、実際のところは、それほどではないんです。まず、観てくれたり聞いてくれる人が楽しんでくれればそれでいい。好きなようにライブを見て、気分を上げて帰ってほしいんです。だから『僕の言っていることを100%理解してくれ』なんてことは思わないですね。もちろん、メッセージを受け取ってくれることは嬉しいですけど、それをやりたくて音楽をやっているわけじゃないんです。それぞれに何かを受け取ってくれたのなら、それでいいし、僕と全然違うことを思ってくれてもいい。ライブめっちゃ楽しかったな。来て良かったな、という気持ちになってくれさえすればいい、と思ってやっています。

ーbachoはSATANIC CARNIVAL'16にO.Aとして出演して、2017年を経て、日に日に活動の規模を大きくしていますよね。当初はアンダーグラウンドを拠点として、というイメージでしたが、今ではオーバーグラウンドも主戦場にしている。活動が続けば、さらにその規模は大きくなっていくように思えますが、バンドを取り巻く環境も大きく変化しているんじゃないでしょうか?

欽也:ライブに来てくれるお客さんが徐々に増えているというのは体感しているんですけど、まぁ、もともとアンダーグラウンドを軸に活動していこうと思っていたわけではないですからね。"何でもやる"という活動を続けていくうちに、ありがたいことに、色んな場所に誘っていただけるようになって、ライブできる選択肢が増えている感じです。特にオーバーグラウンドだとか、そういったことを意識的に選んでいるわけではないですよ。

ーbachoを取り巻くシーン、ということを考えてみるとbacho、FIVE NO RISK、PALM、waterweedの4バンドで共同開催している"MANPOWER"が思い出されます

欽也:"MANPOWER"は4バンド共催のイベントではありますが『皆で仲良くやっていこう』という趣旨で行なっているものではなく、4バンド各々の活動ありきなんです。だから、開催時期が決まっているわけでもないですし、定期的にやらなくちゃいけないものでもないんです。そういう意味では制約のないイベントなんですが、とにかく、それぞれが頑張っていかなくちゃいけないという集まりなので、だからこその結束の強さがあります。僕にとっては、自分がどんな方向に進んでいったとしても相談できる仲間であり、安心できる場所だと思っています。そこがあるから挑戦し続けることができるというか。……いやー、でも、あれはもう、本当に終わる気がしないです(笑)。共同開催のイベントって、何年かすると、どれか1バンドが活動休止してしまったりして、自然消滅してしまうケースもあるじゃないですか。でも"MANPOWER"の4バンドには、それがまったく感じられない。ずっと続いていくと思います。


 

[萌芽]
2018.01.31 RELEASE / ¥1,000 (+Tax)

01.萌芽
02.全てはこれから

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