INTERVIEW

DRADNATS "ONE HiT TO THE BODY" INTERVIEW!!

特別無料公開中!

 

Interview by SUNEO
Photo by TAIOU KONISHI




約4年ぶりとなるフルアルバム“ONE HiT TO THE BODY”をリリースしたDRADNATS。前作を横山健プロデュースによりPIZZA OF DEATHからリリースし、順風満帆に見えた彼らだが、前ドラムが脱退することで活動の歩幅を小さくしなくてはならない事態に襲われた。しかし、下だけを見て立ち止まっているのではなく、新ドラムを迎えると共に新たなDRADNATSのメロディックパンクを創り出そうと歩みを止めなかったのだ。正直、この4年間で彼らは少し低空飛行になってしまった。それでも貫きたい彼らのメロディックパンクは何なのか?なぜ、ストレートではなく、ボディブローなのか?1万字を越えるインタビューの中で感じ取って欲しい。

 

(DRADNATSを)別のものにしたかったね、俺は。 /YAMAKEN

—4年振りのアルバムとなりますが、その過程の4年間は如何でしたか?前ドラムの脱退、新ドラムの加入など一筋縄ではいかなったと思いますが。

YAMAKEN (B/CHO):前のアルバムのレコ発でのワンマンをやった時は、未だTONO(前Dr)が抜ける話もなくて、いつだったかな?TONOが抜けたの。。。

KENTARO SASAMORI(Dr):2016年の10月だと思いますよ。僕が(一緒にやろうって)電話もらったのが(2016年の)春くらいなので。
 

KIKUO (Vo/G):そうか、そうか。
 

YAMAKEN:抜ける年(2016年)の年明けには脱退の話し合いをしたような気がする、確か。。
 

KIKUO :いつもスタジオで練習する前に、ロビーかなんかで他愛もないことを話してから練習に入るんだけど、その時は事前にかな?(TONOから)「話しがある」とか言われて。「明日、時間もらっていいかな?」って電話が来て。
 

YAMAKEN:電話、来てたわ(笑)。辞めるか誰か孕ませたかのどっちかと思ってたよ、俺は。
 

一同:
 

KIKUO:辞めるってことじゃない気がしてた。
 

YAMAKEN:それで、話し合いになったんだけど。話してる最中にTONOは泣いてるし、KIKUOはずっと笑ってるし、カオスだったよ(笑)。
 

KIKUO:(バンドの現状に)焦って言ってるんだったら、ちょっと違うなと思ったから、決断がね。「辞めるって言ってることが、どういうことか分かってるの?」って、確認はしたけど。初期メンバーでずっとやってきたから、何も考えなしで辞めるのは止めようと思ってた。でも、しっかり次の進むべきことを考えて答えを出してきてたから、それじゃ仕方ないね、って。
 

YAMAKEN:裏切り者が〜って思ったけどね(笑)。もちろん、マジトーンではないよ(笑)。決めたことは仕方ないから。俺らも長いこと一緒にやってるから、TONOの性格も分かってたし、俺らが説得しても、、、ってのがあったから。やべっ!(ドラム)探さなきゃっ!って、気持ちは別の方向に進んでたよね。12年一緒だったから、簡単に答えを出したわけじゃないのもよく分かってた。
 

SASAMORI:僕の登場って、、、いつですかね?
 

KIKUO:話し合いを終えて、2016年の4月だったかな。
 

YAMAKEN:俺は全く面識なかったからね。
 

SASAMORI:以前にBULLってバンドをやってた時に、ANTIKNOCKの昼間のオーディションにデモ音源とか持って行っていて。何度かライブもさせてもらってた時に、KIKUOさんに「DRADNATSの方ですよね?」って話し掛けたのが、最初だったと思います。
 

KIKUO:BULLでライブやってるのも見てたし、ドラマーだけが集まってやってるイベントにも出てたのを見てて、重たい2ビート叩くなーって印象が強くて。(ドラム)誰か居ないかな?ってなった時に、俺が候補として挙げて、YAMAKENに紹介するって感じで高円寺のデニーズでみんなで会ったのが始まりかな。
 

—初めに合わせた楽曲って覚えてますか?
 

YAMAKEN:“Good Morning And Good Night”と、“Footsteps”“Sick Of You”だったかな?あと、“Get Our Future”?
 

SASAMORI:“Get Our Future”は少し後からだった思いますよ。フィルが違うって(YAMAKENさんに)怒られましたから。。。

 

 

YAMAKEN:(笑)。(バンドで)合わせてみて、初っ端は「音がデカっ!」って。あと、TONO以外のドラマーでやったことがなかったから、たった一人変わるだけで、既存の曲が同じ曲に聞こえなかった位変わることを感じたかな。良くも悪くも。
 

—SASAMORIと一緒にバンドがやりたいと、すぐに思いましたか?他にも候補が居て、絞り込んでSASAMORIに正式決定したとか?
 

YAMAKEN:上手いとは思わなかったけど、俺の思ってるDRADNATSのドラマーに必要なものは持ってたから。これだったらイケるかなと思った。
 

—まだまだ、アルバムの話まで行き着きません(笑)が、もう少しドラマーの脱退&加入について聞かせてください。正直、TONOはDRADNATSのバンドイメージ&キャラを出す上で、非常に良い役割を担っていたと思います。それが変わることに関して、不安などはありませんでしたか?また、以前のDRADNATSの延長線上で存在したかったのか、それとも違う方向性のDRADNATSを創りたかったのか?
 

YAMAKEN:別のものにしたかったね、俺は。俺が曲を創ってKIKUOが歌えば、DRADNATSになるんだけども。TONOが居た時にはTONOが居たDRADNATSの形が在って。それが変わる以上は延長線ではなくて、新しいものをやりたいという気持ちが少なからずあったし、最初にSASAMORIのビートを聞いた時に、根本的にTONOとビート感が違ったから、勝手に新しいものになるんじゃないかなというワクワク感はあったよ。すごく。
 

SASAMORI:僕は合わせた時に「本物だ」って思いましたね(笑)。DRADNATSは見てる側だったんで、内側に入ってやってみた時に「WAO!」って思いました。以前に居たBULL自体はファストコアみたいなバンドだったんですけど、FAT(WRECK CHORDS)とかEpitaph(Records)とかからはじまり、PIZZA OF DEATHのバンドも好きだったんで、そこから音楽始めてるんで。。。バンド自体もDRADNATS加入前はやれない時期が1年位あって、「バンド、、、やりてーなー」って思ってた時に話をもらったんで、チャンスだなと思いました。すごい楽しみでしたけど、ファストコアやハードコアのビート感に慣れていた分、メロディックのビート感に対して少し不安はありました。
 

—やっと、曲創りの話になるんですが、新しいビート感のSASAMORIが入ったことによって、曲のイメージは、以前のDRADNATSとは違うものが浮かんできたのでしょうか?
 

YAMAKEN:浮かんできた。DRADNATS=メロディックパンクだとして、今までがメロディック重視のバンドだったとしたら、パンク重視のバンドになるなと思ったね、どちらかと言うとね。メロディックパンクを変わらずやってるんだけど、今まではメロディ優先。SASAMORIが入ってからは、パンク優先というか、「こうやった方がカッコいいんじゃないか、パンクなんじゃないか」とか、ビートから拡がっていく創り方みたいな。「そのビート、いいね」をそのままイントロに持ってきたりとか、前のDRADNATSじゃあり得なかったかな。イントロとかは最後に出来るパターンが多くて、今までは。イントロから一気に創れるっていうのは、目に見えて変わったところかな。“Mistake”は入ってすぐに出来た曲だけど、これはイントロから仕上がったしね。
 

—“Mistake”が出来た時は手応えみたいなものがあったということですか?
 

YAMAKEN:いや、「売れないな」って思った(笑)。流行ってないし。
 

一同:爆笑
 

YAMAKEN:でも、俺はこういう音楽をやりたかったなってことも思ったね。「古き良き」じゃないけど、正統派のメロディックパンクってこうだよなって。
 

前に進めてないなって瞬間が事実あったと思う /KIKUO

—メロディックバンドが、時代に合わせて多種多様な形になり存在していると思います。正統派メロディックパンクにこだわり続けていると、変化していったメロディックバンドに対して、焦燥感を感じたりはしませんでしたか?インタビューをしているボクとは結成当初からの付き合いだし、TONOが脱退することで苦悩していたことや腐っていた時を間近で見ていたから、思うところは多分にあったのかな?と。
 

YAMAKEN:動員だけで測られるような人気者に対して、何か思うことはなかったかな。少しは、俺らの方がかっこいいメロディックパンクをやってるって思ってる部分はあったけど(笑)。怒りはなかったなー。どうしたらいいのか分からない事が多くて。自分がいいと思っているものが世の中に受け入れられないけど、、、やる側としては受け入れて欲しいわけじゃん。(自分たちの思うメロディックパンクを)貫かないと意味がないと思ってるから。受け入れられる為に何かを変えるんであれば、、、人気者とかお金持ちになりたくてやってるなら、俺はバンドやらないと思う。何か、犯罪とかするよ(笑)。

 

 

KIKUO:それは、やめましょう(笑)。話を戻すと、、、売れてるバンドの真似は出来ないし、したくもないなと純粋に思った。需要と供給で、お客さんが付いてるバンドの方が世の中的には正しい、、、とされていて、その価値観を否定するわけでもないし、人が求めるものをやってるわけだから。。。個人的に見てて、どんなに「わっ、痛いなーこのバンド。。。」って思っても、あくまで個人的な趣向の話で、、、だから、認めないってわけでもない。でも、それを自分が「はい!どうぞー!」って言われても、「ムリムリ!」って思うし。そんなことを考える時期もあったりしたわけで 、、、だからこそ、今更曲げたくない、ってなっちゃう。自分たちのやってきたことで、そういった価値観に対してまくってやりたいって感情もある。お客さんに対しても、少し違うけど同じような感情があって。「昔、メロディック聴いてました」みたいな人たちに、またライブハウスに戻って来てもらえるバンドになりたいなって考えもあるし。
 

YAMAKEN:まぁ、、、腹立ってたかな(笑)。
 

一同:
 

YAMAKEN:バンドに腹立ってたわけじゃなくて、本当はメロディックパンクってものを知っている人たちが、メロディックパンクじゃないものをメロディックと言い始めたことには、マジでどうかと思ってる。お前ら、思ってねぇーだろ!って。そっちの方が、今の時代に受け入れられやすい姿勢だってことも分かるから、色々と事情はあるだろうから、口出したりしないけど、「ふ〜ん、、、」とは思ってた。
 

—懐を広げる(認める)というのも一つの考え方や在り方だと思いますが、それを突き放して自身の道を貫き通すと決めた覚悟なのか、DRADNATSにはこれしか出来ない!なのか。
 

YAMAKEN:それが一番好きだったからじゃないかな。今後、どこかで変わっちゃうかも知れないけど(笑)。なるべく、その時一番やりたいことをやりたいかな。やってて、楽しくなくなるのが嫌だ。
 

KIKUO:カッコよく「俺らはこれだから!」とか言えたらいいんだけど、、、そういうことでもなくて。例えば、よく言われるんだけど、日本語詞で歌ってみれば?とか。急に日本語詞になったバンドもいたし、周りには。それはそれで、腹を括ってシフトチェンジしたわけだから、その気構えはすごいなとは思ったけど。でも、そういうの見てると、笑っちゃうというか、、馬鹿にしてるわけじゃなくて、恥ずかしくなっちゃう感じ?俺がやったら、ギャグだな!っていう感じ(笑)。
 

—「日本語詞」という切り口で言うと、ボクは、DRADNATSのメロディに対する譜割りは日本語詞の方が合ってるなという曲も多々あったと思ってます。たぶん、そういったことを言われたこともあったと思いますが、それを選択しなかったのは、なぜですか?
 

YAMAKEN:それは、一回スタジオで話したことがあって。WANIMAがバーンッと人気が出た時かな?TONOがまだ居た時か、「この曲、このまま日本語詞にしたら売れて、音楽だけで飯を食えるって言われたら、どうする?」って話をして。TONOは「いや、俺は出来ん!」って、何も考えてない答えだったんだけど(笑)。KIKUOは「悩みますねー」ってしばらく考えてて、話を流してそのままスタジオで4時間くらい練習をしてたんだけど、「俺は、自分がかっこいいと思ったことしか出来ないっすね、やっぱり」って言い出して。
 

KIKUO:やっぱり英語詞のメロディックパンクで育ってきたし。発音の悪い日本人がやってるメロディックパンクを聴いてきたから、それを聴いてバンドをやりたいと思ったから、どうしてもそういう意識は強いのかなと思うんだけど。もしも、その時のスタジオで「日本語詞でやってみてよ」ってメンバーに言われてたら、日本語詞に挑戦してたかも知れない。
 

YAMAKEN:俺もそう思う。
 

KIKUO:ちょっと、恥ずかしいけど、、、頑張ってみます!ってなってたかも。バンドとして、その方向に行こうよって意識だったら可能性はあったとも思う。
 

—今や「日本語詞」でメロディックバンドをやっているということが普通になってきていて、ギターロックと境目もないシーンになってきてるようにすら感じます。それでもやり続けるって勇気が要りますよね?
 

YAMAKEN:やってて、楽しいよ。
 

—先ほどKIKUOが言っていたように、「ライブハウスに戻ってこいよ」って意味が込められた“A Beautiful Place”のように、英語詞の中で、BACK、OVER、AGAIN、などという単語が多く見受けられて、振り返ったり、越えていこうとしたり、また挑戦しようとしていたりというメンタルが歌詞に表れていると思います。言い方は悪いですけど、、、今まで(の現状に)腐っていた人間の出しそうな単語かなと。
 

KIKUO:今回、英訳に関して、よりシンプルにお客さんが一回聴いたら一緒に歌えるような、本当に簡単な英語をチョイスして、伝わり易いようにって部分を意識して書いたりしてて。7割8割、Ken Bandの南さんが英訳してくれて、南さんと話してて、「分かりやすく、お客さんが歌える英詞メインでいった方がいいよね」って助言をもらって。だから、親しみ易い英語詞が多いのかな。歌詞に関しては、甘い曲は甘甘な感じで書いてて。それも今回挑戦してみようと思って。甘い曲に関しては、本来の俺の世界観ではなくて、、、どちらかというと聴いてくれる人が描きやすいように、甘めな言葉とかも意図的に入れてみようかなっていう挑戦があって。“Get Me Back”とか、めっちゃ甘い歌詞だと思いますよ(笑)。

 

 

 

—“Get Me Back”はMVも先行して出されていましたが、今まで甘い楽曲のMVは世に出したことはないですよね?
 

YAMAKEN:無い!Sell Outっす(笑)。
 

一同:
 

—とはいえ、全体的な歌詞のイメージは、腐ってるというか、くすぶってる人間から吐き出された言葉が多いように感じます。
 

KIKUO:そうだね。今も腐ってるわけじゃない(笑)んだけど、(過去の)その瞬間、腐ってた自分に向けて書いてるかな。まさしく、アルバム作るまでの4年の間に、腐っているというかくすぶってるというか、、、前に進めてないなって瞬間が事実あったと思うし、背中を押すってのも、何か恥ずかしいんだけど、「そんなこと考えてる場合じゃないでしょ?」っていう歌詞が、等身大の自分に向かって出てきた部分があるのかなって思ってる。自分を鼓舞する部分もあるんだけど、少し書き溜めてた歌詞で、その時の自分の感情が歌詞に反映されているだろうし、“A Beautiful Place”は、常日頃思っていることだし。結構聞くからね、ライブハウスに勤めてるし。「昔はよく(メロディックパンク)聴いていたんですよねー」とか。40代くらいの人に言われて、素直に「そうだよね」って思うこともあるし、イラっー!ともしないし。でも、そういうライブハウスの楽しさを知っている世代の人たちにもDRADNATSのライブに来て欲しいなーって。そういう人たちって、今はハードコアとかを聴きに来てたりがメインになってるから、、、でも、KIDSたちに混じって、DRADNATSがやってるフロアに居てくれたら最高だなって。「若い子たちだけが聴くバンド(音楽)でしょ?」とかって思われたくない。そういう世代たちを取り戻したいっていうのがすごいあって。今でも、メロディックパンクを好きでライブに行っている人は多いと思うけど、DRADNATSをはじめとしたこの世代のメロディックパンクのシーンには少ないからさ、、、取り戻したいよね。

 

メロディック界のダチョウ倶楽部として

—歌詞はKIKUOさんが全て担当されていて、そこばっかり聞くことになりそうなので作曲面でお話しを聞かせてください。
 

YAMAKEN:今回のアルバムに向けて、40曲くらい書いたかな。
 

—その40曲を絞っていく作業は、どうされましたか?基準などはありましたか?前作では横山健プロデュースだったわけですが、今作はプロデュースとまではいかなくても、選曲などのアドバイスは受けていたと伺っています。
 

YAMAKEN:絞っていくのに、そんな明確な基準はなかったかな。“Go Start Now”とかは、絶対に入れたいと思っていて。意外に、健さんが(選曲から)外してたけど、メンバーがどうしてもやりたくて無理やり入れた。イントロが特に好きで。元々はTONOが居た時代に創ってた曲で、その時のやつは一回全部、健さんにボツくらったんだけど。。。それをSASAMORIのビートでやったらどうなるんだろうと思ったら、すごい良くて。やっぱり入れたいなって、新しいDRADNATSには必要な曲だなと思って。ビートが変わると、全然違うね、やっぱり。
 

—今回、カバーも入れられていますが、なぜBrian Wilson(The Beach Boys)の“Your Imagination”を選曲したんですか?
 

YAMAKEN:カバーはアルバムで1曲入れたいね、って話になって。いろいろ候補を出した時に“Your Imagination”も入ってて。「DRADNATSがこの曲カバーしたらいいんじゃない?」みたいな感じで色んな人からアイデアをもらっている時期があって、その時にもらったのが、“Your Imagination”だったんだよね。(提案を)もらった曲は全部いい曲だったし、知ってる曲だったから悩んだんだけど。この中でKIKUOの声に合うのはどれかな〜?っていう考えと、尚且つベッタベタなみんな知ってるような曲じゃない方がいいなーと思ってて。3曲ぐらいまで絞って、さらに悩んで。そん時はCarpentersの“I Need To Be In Love”と、、、なんだっけ?
 

SASAMORI:Chicagoの“Hard To Say I'm Sorry”ですね。でも、OVER ARM THROWがカバーしてるから、かぶっても仕方ないし、やめようって話になりましたよね。
 

—過去にカバー曲でかぶったことありますからね。The Eaglesの“Desperado”で。ボクとしては初期のDRADNATSに欠かせない曲だったのですが。
 

YAMAKEN:いいの、いいの!昔の話は(笑)!そんで、“Your Imagination”は候補の中でも一番最初に手をつけた楽曲で、そこで、超ハマったんだよね。コーラスも良くて。
 

KIKUO:“Your Imagination”の原曲が、コーラスが多彩でカバーするのが難しいですからね。アレンジ含めて。
 

YAMAKEN:Brian Wilsonがコーラスモンスターみたいなもんだからね。(コーラスを)入れまくるから。どこまで再現してやるのかとか悩んだ。全部のコーラスを再現してなくて、原曲だと声で重ねてる部分をギターに変えてみたりしてる。アレンジしたのはいいものの、、、ライブで出来るかどうか。。。
 

SASAMORI:コーラス隊入れたらいいんじゃないですか(笑)?
 

YAMAKEN:マイクが出てきて、The Supremesみたいなコーラス出てくる感じ(笑)?いいね!本当にそのアイデアいいな、、、ファイナルに向けて考えてみようかな(笑)。Brian Setzerを観に行った時も2人くらい居たもんな、コーラス。KIKUOと2人で初めて先輩とかのライブじゃないやつ観に行って、この前。そん時に居た(笑)。めっちゃ歌上手い人(コーラス)。
 

KIKUO:2人で行くなんて、グドモ(グッドモーニングアメリカ)の武道館くらいでしたっけ?
 

YAMAKEN:いや!UVERworldにも行ったよ。あの当時、KIKUOがスタジオに勤めてて、UVERworldがそのスタジオで練習してて仲良くなって、KIKUOが。「ファンクラブ限定のライブがあるんですけど、良かったら来ませんか?」ってチケットもらったっていうから、2人で観に行った。いつもスタジオにいる人が黄色い声援浴びてて、なんかソワソワしたな。
 

KIKUO:今みたいに飛び抜けて売れる前だったけど、すごいライブが良かったんですよ。違うジャンルでも得るものはありましたね。
 

YAMAKEN:(演奏も歌も)ウマすぎる。
 

—意外な繋がりですね(笑)。脱線しましたが、健さんはどこまで作品に携わってくれたんですか?
 

KIKUO:前作は結構、楽曲もそうだけど、歌詞も見てくれて。レコーディング2週間くらい前かな?全曲の歌詞を書き上げて渡したら、「書き直し!」って言われたの。理由が、(歌詞に)綺麗事を書いてて、「頑張ればなんとかなるよ!って、KIKUOが言っても響かないよ、まだ」って言われて。「すごいトップスターみたいな人が言えば説得力もあるだろうけど、まだそこまで来てないから。こんなに綺麗事並べても、ただ単に安い歌詞になるから、本音を書け!」って言われて。「はいっ!」みたいな感じで、すぐに取り組んで。ひたすら家で歌詞と向き合ってたんだけど、「もう、、、いいや!」って思って。本音書いちゃえ!って。書いたら、ほぼほぼHATEな歌詞が出来上がって、アーティスト名は出せない(笑)けど、フワッとその人の悪口みたいなことも書いてたりして。あとは、極端に絶望しかないような歌詞とかで、それを見せたら、「それでいいと思うよ」って。前回は健さんから、どういう内容であれ本音を書くということの背中を押してもらったんだけど。今回はそれを踏まえて、自分の本音もありつつ、他人に伝わり易い歌詞を書くように考えた。前だったら、健さんに「綺麗事書くな」って言われそうな内容だけど、自分の中で消化出来てることは、敢えて書くように挑戦したよね、半分くらい。残り半分は本音の部分だけど。2つの方向性があるのが、アルバム全体を通しての歌詞かな。個人的には、かなり挑戦した内容になってる。“Get Me Back”みたいな身体が痒くなるような甘い言葉も、前だったら書きたくなかったけど、、、意図してることに繋がるんだったら、敢えて使ってみようって感じになった。繕った言葉から、いろいろとそぎ落としていったら、本音の腐ってる部分だけが浮き上がってきたけど、、、そこまで行き着いた歌詞が書けるようになったし、だからこそ逆に、そこがあるから、綺麗事に見える言葉も地に足がついた状態で言えるというか。例えば、誰かに「いつか、いい方向に向かうよ。」みたいなことを言われても、俺自身が具体的にどうしたらそうなるの?って疑問が出てきちゃう性格だから、フワッと言わないようにしてる。

 

 

—前作のアルバム曲“Sign”には、すごくKIKUOの心情が出てるって話を、直接した記憶があります。ボクが提唱している“腐りメロディック”のはしりだったと思うのですが。
 

YAMAKEN:言ってた!KIKUOの心情漏れ出してるって(笑)。あそこからまた4年経ってるけど、TONOも辞めたし、バンドとして大きなことをしてきた訳でも、何かをちゃんと積み上げてこられた訳でもないことは分かってて。だからと言って、4年の間、何もしてなかったんじゃないし、それ(今ある実情を)をちゃんと受け止めてきたから、このアルバムも出来たと思ってる。
 

—タワレコのインディーチャート1位とかになった時もありましたよね。その時はTONOくらいしか連絡取っていなかったけど、頑張ってるんだなーって勝手に思ってました。大きな会場でライブして、そしてオーディエンスもしっかり掴んでって。
 

YAMAKEN:あの時は売れてたねー(笑)。天狗にはなってなかったけど、訳が分からなかった。あの経験があって、潜る時代があって、今になってる。どうなんだろう?成長してるのかな(笑)?
 

—ボクとしては、もう浮き沈みとか関係なく、メロディックパンクのお家芸って表現が正しいのか分からないですが、DRADNATSにはこのままメロディックパンクをやっていて欲しい気持ちもあります。メロディック界のダチョウ倶楽部として、いつまでも熱々のおでんを顔に当て続けて欲しいな、と。
 

YAMAKEN:見飽きてるかもしれないけど見たい!みたいな?健さんにも同じようなこと言われたなー。「お前らには長くやっていて欲しい」って。
 

一同:
 

YAMAKEN:えっ!ってなったよ。今は、、、売れることが正解じゃないって、逃げワードみたいになってるけど、残っていくこと、続けていくことも大事なんだなって思うところもあるよ。
 

KIKUO:CDにしてリリースっていうことも、もう、、、みたいな感じになってるのも少し感じてはいるけど、これだけサブスクが広まってきてると。でも、ハイスタに憧れて、PIZZA OF DEATHに憧れて始めたバンドだから、好きなレーベルのCDとしてちゃんと残していきたいと思ってる。
 

“メロディック風”じゃない、メロディックパンクを見せるんで /YAMAKEN

YAMAKEN:俺はそもそも疑問に思ってるんだけど、、、MCとかで「CD、買ってよ」みたいなこと言う人いるけど、お前は買ってんのか?って。俺らはCDを普通に買うじゃん?(あなたたちは)実際買ってますか?って、思っちゃうよね。建前で言ってるなら、なんだそれ!って感じだよ。確かにサブスクは、音楽に触れやすくしてくれてると思うし、選択の幅を広げてくれると思う。でも、そこで気になったら、「ジャケットどうなってる?」とか「歌詞カード見たいな」とかモノとして手にしたくなると思うんだけど、、、それすらネットで調べれば出てくるんだけど、、、。知ってもらえるツールはYou Tubeにしろ何にしろ、フライヤーしかなかった時代に比べれば遥かに手段は増えたし、良くも悪くも、って感じなのは分かってるつもり。
 

—時代の流れは常に感じています。AIR JAMをキッカケにメロディックやラウドが社会現象になったのが、98年頃だとすると、もう20年が経とうとしているわけです。冒頭に「発音の悪い日本人がやってるメロディックパンクで育った」という言葉があったように、その流れを今なお、大切にしている数少ないバンドにDRADNATSもなりましたよね。色々なバンドが多様性を求めて、幅を広くしていく中。
 

YAMAKEN:なんでもありなんだけどね。正統派とか泥臭い方とかを選んでるわけでもないんだけど。元々は、めっちゃ華やかだったわけだよ。それこそ初期にはハイスタもいたし、今でも健さんは現役バリバリだし。いつから、メロディックを純真にやってるバンドが泥臭いと思われるようになったのか分からない。全然。イケてる音楽だと思ってるんだけど。かと言って、自分がやりたいことだけをやりたいだけやってればいいと思ってるわけでもないのよ。色々なことを分かった上で、それでも、この自分たちのスタイルで、今のシーンに対して挑みたいって気持ちもある。時に戦うことも必要だなと思ってる。それが今回のタイトルにも出てるよ。“ONE HiT TO THE BODY”って。

 

 

—“ONE HiT TO THE BODY”のタイトルはどこから?
 

YAMAKEN:健さんちでタバコ吸ってたら、The Rolling Stonesの“ONE HiT”が流れてきて、「これで良くない?」って。「WANIMAがストレートだとしたら、お前らはボディでしょ」って。それでいきましょ!って、即答したよ。「ボディへのワンチャンではなく、ボディへのワンパン」ってパンチラインもらったんだけど、MCで言っても全然浸透しなくて。「ワンパンって、何すか?」って、「ワンパンクですか?」とかまで言われて(苦笑)。そこから説明しないといけないんだ!って思って、衝撃を受けたね。
 

—ジェネレーションギャップですね(笑)。そんな強敵(?)を目の前にする“ONE HiT TO THE BODY”のリリースツアーもあると思いますが、意気込みはありますか?ボク自身、DRADNATSの音源に関しては評価している反面、ライブでは少し物足りなさを感じていることがあります。音源ほど自分たちをさらけ出せていないし、CD(音源)に対する情熱とライブに対する情熱がイコールではないと感じてしまっています。
 

KIKUO:本当にイメージしてるのは、MC中とかも客がウルさいバンドになりたいなと。イコール、距離感が近いバンドって思ってて。自分をさらけ出すことも大切だけど、ライブハウスの居心地がいいバンドでありたい。自分たちがさらけ出して、向き合った分、そのライブ中での距離感が近くなるのかなって。俺自身がどんな人間かっていうのもライブを通して見せられればいいんだけど、現状ではそれが出来てないな、、、とも思ってるんだけど。お互い、肩肘を張らず、楽しめる空間にしたいと思ってる。このレコ発では特に考えてやっていきたい。
 

SASAMORI:僕に関しては、レコ発自体が初めてなんです。DRADNATSに入ってから、色々なメロコアを見たりするんですが、、、正直メロディックパンクじゃなくて、歌ものじゃん!って思うことが多くて。違いますね。BULLとか FORESIGHTとかで対バンしてる時も思ってました(笑)。そんな中でも貫き通してるバンドに入れたのは嬉しくて。自分が思っているメロディックパンクやメロディックハードコアを、ちゃんと打ち出したいなと思ってます。昔の世代の人たちには戻ってきてもらいたいですけど、若い子たちには、逆に新鮮に映ると思うんですよね。古いけど、その子たちからしたら新しいって思われるだろうし、こっちの方がかっこいいって思わせたいですね。TONOさんというバックボーンがDRADNATSの中にはあるんで、そこから変わったんだぞってところもちゃんと見せたいです。
 

YAMAKEN:俺は肩肘張っちゃうことがあるけど、、、なるべく、そのままでステージに立とうと思ってる、最近は。俺はずっと、音楽で勝負したいって気持ちが強すぎて、割とステージ上でも自分の思ってるところにこだわり過ぎてた、、、かもって思って。もっと、ライブハウス全体を見てオープンマインドでやろうと思ってるよ。
 

SASAMORI:(YAMAKENさんに)出来るんですかね?
 

一同:爆笑

YAMAKEN:“メロディック風”じゃない、メロディックパンクを見せるんで、一度でいいんでライブハウスに来て欲しいかな。ハライチの岩井とか、すごい気持ち分かるんだよね、腐り芸人の。お互い、本気でメロディックとかお笑いを考えてるからこそなんだけど。

 



SASAMORI:ライブに来て欲しいですね。MC SASAMORIとしても。

6th Album [ONE HiT TO THE BODY]
PZCA-82 ¥2,500 + 税

01.Intro
02.Time To Go
03.A Beautiful Place
04.Go Start Now
05.Your Imagination
06.No More Tears
07.Don't Follow Me
08.Dance With Me
09.Get Me Back
10.#Summer Days 2
11.What Is True Freedom?
12.Over And Over
13.Mistake
14.Over Again
15.Peace For Granted
16.Tomorrow Won't Be Another Today

DRADNATS OFFICIAL HP