LIVE REPORT

Dizzy Sunfist "One-Man,BARI,Ya-Man" LIVE REPORT!!

Report by SUNEO
Photo by Jon…

 

2019.3.16
Dizzy Sunfist “One-Man,BARI,Ya-Man”
@新木場STUDIO COAST


98年のAIRJAMを経験した筆者からすると、あの当時の、豊洲駅についた時から感じる一種の異様な雰囲気を、この日の新木場でも感じることができた。駅から新木場スタジオコーストまでの道を行く人々を見れば、これから何が行われるのか、すぐに理解できるほどにその顔はDizzy Sunfistを欲してる。
会場内では、同世代であるメロディックパンクの楽曲たちが流されていて、世代が入れ替わったと受け取るボクのような人間もいれば、これが新たなスタンダードとして聴き慣れた人間もいて、メロディックパンクはしっかりと受け継がれているんだなーと思わせてくれる。そんな中、会場では影アナが流れるが、まー、それが雑(笑)!あくまでもお堅いコンサートではなく、ライブハウスとしてこの空間を作っているのだろう。
期待感がMAXになる頃、「Let’s go Dizzy Sunfist! Alright!」が流れると、ステージを覆うスクリーンにおそらく結成当時からであろう画像から現在に至るまでの画像が次々に映し出されていく。10周年を色濃くする演出にオーディエンスも応えるようにフロアを圧縮していく。

スクリーンにあやぺた(Vo/Gt)のシルエットのみが浮かび“SHOOTING STAR”を歌い始める。「ワンマン!バリヤーマン!」と咆哮するとフロアも一気に爆発し、バウンスも誘発。続けて“We Can!!”を投下し、「10年間、全てうまくいくと信じてやってきた!」と自らに掛けたであろう魔法の言葉“The Magic Word”から“Faultfinder”まで流れるように演奏し、サークルピットを作りあげた。「コースト!くらいやがれ!」と放たれた“Dizzy Beat”は、フロア中が鳴るようなコーラスをオーディエンスから受け取り、「おおきにー!」とあやぺたが笑顔で答えていたのが印象的だった。


暗転し、程なくするとすぐにオーディエンスからの野次(?)というか声援がこれでもか!とステージに投げ込まれる。そんな中、子どもの声で「バリヤーマン!」「あやぺたちゃーん」の声が聞こえてきた。これにはフロアも少しほっこり。10年の歳月は色んなものを飲み込む。「ヤーマン!」のコール&レスポンスをしてからは、すぐにいつも通りのたどたどしいMCに。その辺りは成長してない、、、のではなく、あやぺたの“味”だ(笑)。「ヤバイ!凄すぎるわ!」と、この日を形容できない語彙力もオーディエンスが応援したくなる一因なのかもしれない。飾らない言葉はやはり人の心を打つものだ。

「人生に正解なんてない!」と“No Answer”を投じるとダイブの波が起こり、“Raise your fist,Raise your voice”ではモッシュピット、“Piece Of Cake”ではハンドクラップにスカダンスを誘発し、オーディエンスを指揮しているかのように完全にフロアを操っていた。「天才に勝ってやるー!」と放たれた“Genius”から、間髪入れず、いやま(Ba/Cho)から歌い出す“NEVERLAND”へ。途中、moAi(Dr/Cho)の余裕が炸裂し、手のひらでスティックバランスを披露。大舞台でも変わらないステージングを見せてくれた。



「子どもの声を聞かせてー」と、オーディエンスの中に子どもの声が混じっていることを感じていたあやぺたが問い掛けると「あやぺたちゃーん!」と子どもの声が。それを聞き、「マジ、泣きそうになるよな。」と吐露した。アダルト?チャイルド?キッズ?とMC中に悩んでしまい、「なんでやねん!」と自らツッコミを入れる一幕も(笑)。

「人生、何が起こるかわからんわー!だから、この一瞬を楽しもうぜー!」と“Life Is A Suspense”を演奏。メンバー自身も問題作(笑)として認識しているだろうMVが、ステージセットの後ろ側の大型ビジョンに映し出される。このMVはマジで傑作なので、是非チェックしてみて欲しい。それにしても、このコーストでステージいっぱいの大型ビジョンをセットに入れてくるあたり、正直赤字覚悟の関西人(事務所社長も含め)のサービス精神を見た気がした(笑)。



オーディエンスは、それを知ってか知らずか、呼応するようにリフトも上がるし、ダイブの数も増える。続けて“MY SWEET DOG”から「この歌が届くように歌うわ!」と“Joking”へ。ビジョンには歌詞の対訳が映し出され、大切な想いがあることをより分かりやすく届けてくれた。ピンスポの中であやぺたが歌い出した“No One Knows”は、聴いている者の背中を押すような力強さがより感じられたし、「負けるなよー!」というあやぺたの声も、しっかりとオーディエンスに響いていたと思う。“Hope Is Like The Sun”で希望の光に包まれたところで暗転し、MCヘ。

ライブの盛り上がりがそうさせたのか、振動でスタジオコーストの天井から埃が落ちてきていた。それを「雪が降ってくる演出やねん」とうまくMCしていたが、「埃さんもびっくり」というフォローも入れ、あやぺた節のMCは中盤にさしかかっても冴え渡っていた(笑)。
「雪は降ってるけど、夏にしに来たでー!」と“Summer Never Ends”へ。演奏中、バックのスクリーンにライブビューが流れ、スタジアム級の演出をコーストで行う太っ腹具合。日頃の感謝をライブで返したい。そういう思いがこの場面でも出ているのだろう。スペシャルゲストとして、Northern19の笠原健太郎(Vo/Gt)が登場し、「うちらの青春の歌~!」とカバーアルバムでも披露した“STAY YOUTH FOREVER”を披露。さすがのギターソロをかました笠原は花を添えるだけ添えて、サッとステージを後に。“Fly To The Moon”ではバウンスで会場が揺れ、OiOi!とオーディエンスも唸る。



「最強にしてあげるって曲!」と新曲“STRONGER”を投下。叙情的メロディを心地よいビートとマッシュアップして、力強い言葉で歌い上げる新曲に、10年を積み重ねた厚みのある新たなDizzy Sunfist像を描かせてもらえた。直後に「疲れてんとちゃうぞー!」とオーディエンスを鼓舞しながら“SUPERHERO”へとつなぐ。ここでは過去のライブ映像を流しながら、オーディエンスにとってのスーパーヒーローへといかに自らがなったかを紡いでいく。“Your Choice”では、思いを重ねる様に拳を挙げるオーディエンスでフロアが溢れ、気持ちが一体となったバウンスで、埃ならぬ雪が舞い落ちるのが見てとれるくらい会場が揺れた。ここで少し懐かしい曲“REGRET”を演奏し、モッシュピットを誘発。

moAiのドラムソロはいつ見ても、超絶うまい上に余裕がある。彼がしっかりバックを支えているからこそ、この大舞台でも実力を遺憾なく発揮できてるのだろう。照明の当たり方がX JAPAN的な印象を個人的には持ってしまい、少し笑ってしまったのは、ここだけの話にしたいと思う。

 

 


ドラムソロから“Haribo”“SULLEY” へと続き、会場中をダンスフロアに変えた。「久々の曲やるでー!」と“Sunrise”を投下し、オーディエンスも「待ってました!」とばかりにOiOi!と声援を上げる。メロディックパンクの楽曲は鳴らされたその瞬間よりも、ライブハウスを共有するオーディエンスの中で反芻され、育てられる曲もある。まさにそれを味あわされた気分だった。「デモに入ってる曲やってもいいですか?」と“Red Box”を演奏。ツアーを回り始めた頃に乗っていた機材車の赤いcocoa(車種)をバックに背負い、思い出の曲を歌った。「今、ここにいるすべての人に歌いたい。」と、Dizzy Sunfistとして初めてMVを制作した“New world”を楽しむオーディエンスに向かって、「この景色は、うちらの宝物です!」とあやぺたも満面の笑顔をもらした。

「三人で始めたバンドが、みんなに支えられてる。」と感謝を述べながらも、「歯ぎしり?かみしだいてる?噛み締めてる?」と着地がうまくいかないMCは、やっぱり味だ(笑)。支え、支えられている。金八先生理論で言うところの「人」。これがメロディックパンクには大切だし、それをDizzy Sunfistはやれている。一方通行ではないライブこそ、コンサートではない、ライブなのだ。相互間的な関係の中でも、バンドとしては「想像を超えていきたい」と吐露し、自分たちがみんなを引っ張った上で「ともに、幸せになろうぜー!」と咆哮したあやぺたに嘘はなかったと思う。手書きの“夢は死なへん”を背負い“The Dream Is Not Dead”を鳴らすと、会場中が歌い、ハンドクラップを送る。“Into The Future”から“Honestly”へと駆け抜けると、上から風船が落ちてきて、一気にハッピー感が増したところに“Tonight,Tonight,Tonight”でさらに幸福感を加速させる。



肩を組んで踊るオーディエンスも印象的だった。「今までライブで一番やってきた曲!お前ら掛かってこいよー!」と“Someday”で一番のダイブの波を起こし、最後ドカン!と金テープを放ち、本編を締めた。

もちろん、すぐに「One More!」の声が上がる。風船を降らしたのには訳があったらしく、その中に当たりが隠されていて、Tシャツと交換できるとのこと。そんなところにも遊び心を忘れてないDizzy Sunfistにファンはついてきているのだ。10周年だからこそなのか「今日やったら、当分やらない曲」として“Start A”を演奏し、「バリ、ヤーマン!言ってなー!」と“Yahman!”“Half & Half”、“119”を畳み掛け、巨大なサークルピットを生み出し、「グチャグチャになろうぜー!」と、1stのタイトルでもある“FIST BUMP”で、まさにグチャグチャのフロアに。これぞ、ライブハウス!メロディックパンク!という空間にしてアンコールを締めた。

「女の子がメロディックパンクなんて!」「アイドルバンドなんでしょ?」なんて嘲笑ややっかみを、Dizzy Sunfistはこの10年の間に何度も受けてきただろうと思う。そして、ボクも原稿に「男勝りの」などという形容をしていたこともあったに違いない。この日のライブを以って、それをやめたいと思った。Dizzy Sunfistが10年で築いてきた軌跡は、そんな安っぽい言葉では表現できないし、事実、最高にメロディックパンクをスタジオコーストで、しかもワンマンで、しっかり鳴らしていた。誰も置いていくこともなく。ただ過ごした10年ではそうはいかない。それ相当の10年があってこそだ。そして、その10年を飲み込んだ力強さ、優しさが今のDizzy Sunfistにはある。Dizzy Sunfistが鳴らすメロディックパンクを今こそ体験してみてほしい。






[SETLIST]
01.SHOOTING STAR
02.We Can!!
03.The Magic Word
04.Faultfinder
05.Dizzy Beat

06.No Answer
07.Raise your fist,Raise your voice
08.Piece Of Cake
09.Genius
10.NEVERLAND

11.Life Is A Suspense
12.MY SWEET DOG
13.Joking
14.No One Knows
15.Hope Is Like The Sun

16.Summer Never Ends
17.STAY YOUTH FOREVER
18.Fly To The Moon

19.STRONGER
20.SUPERHERO
21.Your Choice
22.REGRET

23.Haribo
24.SULLEY
25.Sunrise
26.Red Box
27.New world

28.The Dream Is Not Dead
29.Into The Future
30.Honestly
31.Tonight,Tonight,Tonight
32.Someday

en01.Start A
en02.Yahman!
en03.Half & Half
en04.119

en05.FIST BUMP



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