WANIMA "Summer Trap!! Release Party" LIVE REPORT!!
Report by 柴山順次(2YOU MAGAZINE)
Photo by JON…
2019.10.5
WANIMA "Summer Trap!! Release Party"
@三重・ナガシマスパーランド 芝生広場 特設ステージ
鬼に金棒、虎に翼、WANIMAに遊園地。とびっきりの最強と最強のマッチング。夏の幕開けと共に発表されたSummer Trap!! Release Partyの開催に、胸が弾けてドキドキが抑えられなかった7月。あの興奮が冷めないまま、あっという間に迎えた10月5日。東海エリア屈指のレジャーランド「ナガシマスパーランド」にて5thシングル『Summer Trap!!』のリリースパーティーが盛大に開催された。
東海地区の人なら一度は訪れたことがあるであろうナガシマスパーランド。子供の頃に家族で並んだジェットコースター、初めてのデートでドキドキしながら乗った観覧車、はしゃぐ子供を見守るメリーゴーラウンド。そのときそのときの思い出が溢れまくったナガシマスパーランドがこの日はWANIMA色で埋め尽くされていた。今回のライブのチケットを入手したファンは遊園地にも入園出来るということもあり、朝からWANIMAのファンで大賑わいのナガシマスパーランド。隣接する日本最大級のアウトレットモール「三井アウトレットパーク ジャズドリーム長島」でもWANIMAのTシャツに身を包んだ家族連れが買い物する姿を多く見かける。園全体をWANIMAがジャックしたようなその光景に、弥が上にも気持ちが高まる。子供の頃から何度も何度も訪れたナガシマスパーランドが今日はいつもと全く違う顔をしているのだ。
遊園地の閉館時間が近付き、会場となったナガシマスパーランド芝生広場にファンが続々と集まる。この日集まったオーディエンスはなんと12,000人。そして驚くほどに子供が多い。開演を待つ子供達がWANIMAやPIZZA OF DEATHのTシャツを着て芝生の上を走る姿に胸が熱くなる。目の前の子供達が「THANX」を歌いながらぐるぐる回っている。その後ろには大きなジェットコースター。目の前には巨大なステージ。もうすぐここにWANIMAが現れる。「そのときこの子達はどんな顔をするのかな」そんなことを思いながら3人の登場を待つ。
開演時刻ちょうど18時、時が来て、点火して、「JUICE UP!!のテーマ」に合わせKENTA(Vo/Ba)、KO-SHIN(Gt/Cho)、FUJI(Dr/Cho)がフル回転で飛び出してくる。「リリースパーティー、開催しまーす!」の開催宣言から「夏のどこかへ」でライブはスタートする。「透き通る青空」とはまさにこの日を指し、「言葉や想いが全部間違わずに届きますように」と歌うKENTAの真っ直ぐなメッセージは、確実に全ての人の心のずっと奥の方まで突き刺さったことだろう。「あっという間に終わるぞ!」とKENTAが会場を煽り「夏の面影」「サンセットストリップ」と夏ソングをぶち込み、序盤からボルテージは上がりっぱなし。「星も無い空に何が流れた?」と歌う「つづくもの」に周りを見渡して、そのシチュエーションに改めて驚く。ライトアップされた遊園地のど真ん中で歌うWANIMA。そこに全力で拳を上げる全オーディエンス。この光栄はちょっと本当に物凄い。今、僕らはとんでもない空間の中にいる。素直にそう思った。
「毎日毎日、仕事や学校が大変な人、今日の為に頑張ってきた人、全部出そう!」その言葉が「昨日の歌」をより届かせる。目の前で子供を抱きかかえてライブを観ているお父さんの腕に力が入ったように見えて、子供と手を繋いでライブを観ているお母さんの目に涙が浮かんだように見えて、「君の出番」というフレーズが目の前のお父さんお母さんに向けられている気もするし子供に向けられている気もするし、いや、今書きながらもグッときてる。続く「Japanese Pride」でもあの名フレーズ「今は立派な君のパパも 1度は聴いてたんだHi-STANDARD」が飛び出た瞬間に会場のお父さん全員と握手したくなった。繋いでいくことって本当に尊い。WANIMAの音楽も世代を超え時代を超えいつか誰かのルーツになるだろう。そう思うと未来が楽しくなる。
いつの間にか大人になって、封じ込めた記憶も沢山ある。子供の頃になりたかった自分になれなかったのなら大人のフリするなと自分に言い聞かせながらも、身体も立場もすっかり大人になった。鏡に写るくたびれた顔、老いていく身体。そんな大人を奮い立たせる曲「アゲイン」が、子供の頃から遊んできたナガシマスパーランドに響き渡った瞬間に感じた光のようなものは、きっとこの先どれだけ現実に押しつぶされそうになっても大丈夫だって思える強い力をくれた気がする。WANIMAから放たれる眩いほどの光を浴びることでどんどん澄んでいく自分に気付く。その光を、集まった全員に届けるべくフロア中央のセンターステージでも演奏する3人。「いちばん遠くの人とちょっとでも近くなるように」「みんなに会いに来たよ!」そう語るKENTAの言葉通り、ひとりひとりに届くように「SLOW」を披露する彼ら。どれだけその規模が大きくなってもいつも傍にいる。近くに感じる。この距離感がWANIMAだ。「サブマリン」のエロさ、絆を歌った「GONG」、これもWANIMAだ。WANIMA全部乗せなライブに大人も子供も夢中になることを納得する。
遊園地という環境の中で聴く「エル」も感情的にならずにいられなかった。思えば沢山の人の優しさに助けられてきた。その優しさに気付かないこともあった。「明日は晴れるかな」と大合唱しながら思い浮かぶ色んな人の顔。みんな元気でやってるかな。そんなことを思いながら聴く「ともに」のパワーも凄かった。過去が辛くても、過去が暗くても、明日が不安でも、今悩んだり泣いたりしていても、心が躍る方に進めたらな。進まなきゃな。いや、進むんだ。この曲はいつもいつもいつもいつも背中をドーン!!と押してくれる。この曲をライブで聴く度にWANIMAに出逢えて良かったと心から思う。
一転してWANIMAのもうひとつの真骨頂でもある「渚の泡沫」や「オドルヨル」といったエロ曲ゾーンに突入する。こういう面を持っていること、包み隠さず出すことはそのままWANIMAの信頼に繋がっている。男はみんな馬鹿だ。そして一言一言大事に歌われた「ANSWER」も印象的だった。「ワカラナイが分かる日 目指して」と力強く投げかけるメッセージを遊園地というシチュエーションが後押しし、子供の頃の自分と大人になった自分を照らし合わせながら答え合わせをする。「まだまだ途中、音を上げない」まるで自分の心を代弁してくれるようにKENTAが歌ってくれている。力強く鳴り響くリズムが鼓動を早くする。
「シグナル」もそうだ。まるでこの日、この状況で歌われるために作られたようにすら感じる。夏の終わりのライブ会場に遊園地を選んだのは、子供達の為でもあるけど、もしかしたら大人達の為なのかもしれない。苦笑いを覚えた僕らの前で無邪気に笑う子供達。この姿をかつて子供だった僕ら大人に見せたかったのかもしれない。考えすぎかな、でも僕はそう思ったんだ。本編最後に演奏された「Mom」でKENTAは「遠くのばあちゃんに届くように全力で歌う」と語った後、「ばあちゃんがおらんくなってからずっと向き合えずにいました。でもここにいる人たちは失いたくないのでこれからもずっとWANIMAと一緒に生きていってください」とその思いを吐露した。僕は僕で数年前に亡くした母とナガシマスパーランドに遊びに来たときのことを思い出していた。集まった人の数だけ大切な人がいるんだろう。大事な人を想う気持ちが穏やかな風に乗って遊園地内に染みわたる。今日、ここに来て本当に良かった。
大熱狂の中本編が終わり、アンコールでは会場で開催されていた大声コンテストのベスト3とワースト3が発表され、ワーストの3人がステージに招かれアンコール曲を決めるという遊び心も。小声コンテストベスト3に輝いた3人とWANIMAが会議の末決めたのは「1CHANCE」「BIG UP」「いいから」の3曲。最後の最後で下ネタ3部作がエントリーするあたりもWANIMAだ。心から泣いたあと心から笑った。ライブ冒頭で「あっという間に終わる」とKENTAが言っていた通り、本当にあっという間だった。それは子供だった僕らがいつの間にか大人になっていたことに似ているのかもしれない。目の前でいつまでも叫び続けている子供達もすぐに大人になるだろう。だけど本当に楽しみなのは、WANIMAを聴いて育った子供達がどんな大人になってどんな日本を作り上げていくかってこと。きっと笑顔の絶えない、優しさを知った世界になるんじゃないかな。帰り道、お父さんの腕の中で眠る子供達の姿に明るい未来を見た気がしてならない。WANIMAは世界を笑顔にする救世主なのかもしれない。楽し過ぎて嬉し過ぎて涙を流すなんて、自分の中では都合よく夏の終わりのせいにしたけれど、きっとそれはWANIMAのせいだ。
[SET LIST]
1. 夏のどこかへ
2. 夏の面影
3. サンセットストリップ
4. つづくもの
5. 昨日の歌
6. Japanese Pride
7. アゲイン
8. サブマリン
9. GONG
10. SLOW
11. エル
12. ともに
13. 渚の泡沫
14. オドルヨル
15. ANSWER
16. シグナル
17. Mom
En1. 1CHANCE
En2. BIG UP
En3. いいから
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