LIVE REPORT

NAMBA69 "CHANGES TOUR 2019 FINAL" LIVE REPORT!!

Report by 山口智男
Photo by 半田安政(showcase)

 

2019.11.3
NAMBA69 “CHANGES TOUR 2019 FINAL”
@渋谷 TSUTAYA O-EAST


「自分の世界がつまらなかったら変えちゃえばいいんだ。作っちゃえばいいんだよ。変えちゃえ!変えちゃえ!」  終盤、今回のツアー・タイトルにもなっている「CHANGES」を演奏する前に難波章浩(Vo/Ba)は、そんなふうに言ったが、「CHANGES TOUR」のファイナル公演となるこの日、NAMBA69はさらなる前進とも進化とも言える変化=CHANGEをいくつも見せてくれたのだった。そして、その変化の数々=CHANGESが僕らに印象づけたのは、今のNAMBA69はバンドとして最高の状態にあるという誰にも否定することができない厳然たる事実、いや、真実だった。

 5月15日にリリースした2ndフル・アルバム『CHANGES』をひっさげ、5月18日の新潟公演を皮切りに全国を回ってきた今回のツアー。NAMBA69が打ち出したヘヴィな要素もある新しいメロディックハードコアの威力をアピールするという意味で、『CHANGES』が決定打になったことに加え、ライヴ・バンドとしてもレベルアップしたことが伝わっていったのだろう。各地、熱演を繰り広げながらソールドアウトの連続で辿りついた、今回のツアー中、唯一ワンマン・ライヴとなったファイナル公演もソールドアウトとなった。

1階も2階も埋め尽くした1,300人の観客が逸る気持ちを抑えきれず、開演前から「Oi! Oi! Oi! Oi!」と声を上げ、手拍子を打ち鳴らしながら、NAMBA69の4人を歓迎する。



 大歓声の中、「暴れる準備はいいか?」「シブヤ!やろうぜ!」と難波、ko-hey(Gt/Cho)がそれぞれに声を上げ、バンドは「GO FUCK SHIT UP」でスタートダッシュ! あっと言う間にモッシュとダイヴが始まる。SAMBU(Dr/Cho)がフロントの3人に発破をかけるようにフィルを入れ、演奏を加速させながら、バンドはたたみかけるように「HEROES」「100%」「MANIACⅡ」をフロアに投下。



「もっと!もっと!」とK5(Gt/Cho)が手でデジェスチャーしながらフロアを煽ると、ko-heyも負けずに「来いよ!来いよ!来いよ!遠慮すんじゃねえぞ!」と声を上げる。

 序盤の4曲が終わったところで、難波「Hoo woo!!」と声を上げながら、両手でヨッシャとガッツポーズ。そして、「いい感じだね!ここまでOK?」と言ってからつなげたのが、『Ken Yokoyama VS NAMBA69』収録のアンセミックな「PROMISES」、観客全員がジャンプで応えた「LET IT ROCK」、視界が一気に開けるようなサビが印象的な「PUNK AND RULES」。モッシュとダイヴが止まらない。
 体をぶつけあいながら、誰もが笑顔というところがいいじゃないか。そんな光景を、ko-heyは「美しい!」と言ったが、笑顔ならステージの4人も全然、負けていなかった。




「俺たち(ツアーを)回ってきたよ。(NAMBA69で)こんなにツアーやったの初めてだよ。24本! 数じゃないと思うけど、温度はあるかもね。ほんと暑かった。NAMAB69、アガッてます! アガるって、こういうことかなってほんと感じられてる。楽しい!」
 難波の、この言葉が今回のツアーの何たるかをすべて物語っていたと思う。難波のソロがバンドに発展したのが13年。そのバンドでやりたいことはわかっているし、実際、やっているにもかかわらず、それが観客にうまく伝わらず、バンドは足踏みしているというもどかしい状況が、ko-heyが加入した16年6月頃からぐんぐんと変わり始めたことを感じながらの『CHANGES』と、その後のツアーだった。しかし、ツアーを始めた頃は手応えを感じながらも、絶対的な自信はまだなく、ツアー・ファイナルもいっぱいにできるかどうかドキドキだったという。




 それが蓋を開けてみれば、前述したように見事、ソールドアウト。しかも、開演前からNAMBA69を求める観客の熱気で会場は、はちきれんばかりだったのだから、「NAMBA69アガッてます!」という難波の宣言も大いに頷ける。 もちろん、ライヴを重ねながら、バンドに取り組む気持ちにもメンバーそれぞれに変化が起きたに違いない。それはもしかしたら後から加わったko-heyがぐいぐいと3人の中に食い込んでいったことが、1つきっかけになったのかもしれない。この日、メンバーひとりひとりがバンドを背負っているように見えたパフォーマンスからは、NAMBA69の新境地が感じられたが、それは「バンド名にNAMBAってついているけど、もういいよ」という難波の言葉を聞き、確信に変わった。

「俺らに負けるなよ! 4対1,300の勝負しようぜ、シブヤ!」
 ko-heyのそんな言葉から「MANIACⅢ」になだれこんだ中盤のブロックでは、「WAKE UP!!!」「LIVE LIFE」「I DON’T WANNA KNOW」「SUMMERTIME」といった聴かせる曲も織り交ぜる。そして、「ぶっちゃけ、めっちゃ奇跡を感じてんの。雑草みたいな俺たちがこんな光景を見られるなんてめっちゃ奇跡だ。このツアー、ハンパない。だって(ファイナル含め、各地が)ソールドアウトするってすごくない? そんなこと今回が初めてだよ。そんだけいいんだ? 俺ら!(とガッツポーズ)」と飾らずに自分の気持ちを曝け出す難波のMCを挟んでからの後半戦は、「BLOOD SUCKING DOG」のウォール・オブ・デス、「LOOK UP IN THE SKY」のシンガロングで、さらに盛り上げる。




 観客のモッシュ、ダイヴも止まらないし、心の底から溢れる難波の思いも止まらない。「WALK」を歌い終わったあと、「行く当てもなく、居場所もなく、でも、てくてく歩いてきたら、このステージに辿りついたよ!」と語った難波は、「NAMBA69ってバンド、最高! K5、SAMBU、ko-hey、そして難ちゃん(笑)」と付け加え、またガッツポーズ。パンク・ロックのレジェンドがそこまで飾らない姿を曝け出せるバンドをついに手に入れたのだ。その意味はあまりにも大きい。
「今世紀最強のキラー・チューン!」と難波自ら言った「MANIAC」からバンドがラストスパートをかけると、モッシュは激化。「DON’T JUDGE ME」では、観客がステージからダイヴ。「CHANGES」では、観客も歌う。そして、「JAW」でメタリックな爆音を轟かせ、本編は終了。しかし、そこで終わるわけはなく、「みんなが呼んでくれるならいくらでもやるよ!」とアンコールを求める声に応え、「2001」「MY WAY」、スカ・パンクにアレンジしたブラーの「SONG2」のカヴァー、そして、「ファイナルだけど、スタートにしよう!」と「INTRO」をたたみかける。

 誰もが笑顔だった。そこで終わったとしても、文句を言う人間はひとりもいなかっただろう。しかし、ツアー・ファイナルを新たなスタートに変えることができる確信が生まれたからには、もう2曲演奏したかった。予定になかったダブル・アンコールに「育ったのは新潟だけど、生まれたのは中野。東京も故郷だと思ってるからこの曲を歌いたい」(難波)と「TAKE ME HOME, COUNTRY ROADS」のカヴァーを演奏したのは、ここがホームだと思えるくらいこの日のライヴに手応えや熱烈な歓迎を感じたからだ。そして、最後にもう1曲、「もう1回やっちゃおうぜ!ルールを変えちゃおうぜ!みんな歌え!」と難波が言い、バンドはこの日2回目の「CHANGES」を披露。タイトル通り、バンドの変化をダメ押しでアピールしたが、「俺の人生を変えてくれたNAMBA69の3人に拍手を!」と言ったko-heyに対する難波の返答がすこぶるイカしていた。

「3人なんて言うなよ!自分も入ってたんだよ。(観客に)みんなも入ってんだよ!NAMBA69なんだよ。みんな最高!」  ここからまたスタートする新生NAMBA69 のこれからは、楽しみでしかない。まだまだ行ける。もっと行ける!







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