LIVE REPORT

WANIMA “COMINATCHA!! TOUR 2019-2020” LIVE REPORT!!

Report by 山口智男
Photo by JON...

 

2019.11.5
WANIMA “COMINATCHA!! TOUR 2019-2020”
@新木場STUDIO COAST


「過去最大級に…。とんでもないツアーにしたいと企んでおります?」
 バンド自らそう掲げる「COMINATCHA!! TOUR 2019-2020」が11月5日、いよいよ新木場STUDIO COASTから始まった。年内はライヴハウスおよびホールを、年が明けてからは4月29日、30日のポートメッセなごや第一展示館公演まで、全国のアリーナを回るWANIMA史上最大級となる同ツアー。その初日に今回のツアー中、唯一のライヴハウス公演を選んだのは、ドッカンドッカンと盛り上げて、威勢よくツアーのスタートを切りたいという思惑も少なからずあったのだと思うが、本編の16曲中12曲が10月23日にリリースしたメジャー2ndアルバム『COMINATCHA!!』からの曲だったにもかかわらず、新木場STUDIO COASTが丸々2時間、興奮のるつぼと化したことは、過去最大級のツアーに臨み、「とんでもないツアーにしようと企んでいる」メンバーたちの気持ちをさらに奮い立たせたに違いない。

「JUICE UP!!のテーマ」から「COMINATCHA!!のテーマ」に新装したオープニングSEが流れる中、ステージに飛び出してきたKENTA(Vo/Ba)、KO-SHIN(Gt/Cho)、FUJI(Dr/Cho)がそれぞれに客席を煽りながら演奏は『COMINATCHA!!』収録の「JOY」からスタート! すでに暴れる気満々だった観客が早速、モッシュ、ダイヴ、モッシュ・サークルで応える。そして、バンドが間髪入れずに「夏のどこかへ」を繋げると、大きなシンガロングが響き渡った。




「WANIMAとみんなのとんでもない1日が始まりました。職場、教室で隅っこにいる人たちも今日くらいは楽しんでいってください!我々も楽しみにしてきました!」
 KENTAの短い挨拶を挟み、バンドが繋げていったのは、前述したとおり『COMINATCHA!!』からの曲の数々。「夏のどこかへ」をはじめ、アルバムに先駆け発表した曲もあるとは言え、観客の反応を見ながら思ったのは、『COMINATCHA!!』のリリースから2週間。みんな、アルバムをしっかりと聴き込んで、1曲1曲を体に叩き込んでいるということだった。ただ暴れているわけじゃない。手拍子で応えるところは、精一杯に手を叩き、KENTAとともに歌うところでは、大きな声を上げる。この日、KENTAは1曲終わると、しばしば自分が紡いだ言葉をまるで噛みしめるように1人で繰り返したが、その言葉はもはや、KENTA1人だけのものではなく、誰もが一緒に歌えるという意味で、そこにいる全員のものになっていた。KENTAもそれがうれしかったに違いない。
「初日とは思えないくらい歌ってくれてありがとう!」

 ところで、今回の『COMINATCHA!!』。中には前作の『Everybody!!』に比べて、ちょっとおとなしめ?と感じたファンもいたようだが、それはこの日、KENTAも言っていたとおり、成長したWANIMAを見せることで、これまでの感謝を音楽で返したかったからだ。その意味では、ジャズっぽいとも言えるメランコリックかつスウィンギーな「Baby Sniper」、ダンサブルなビートにラテンのエッセンスが溶け込んだ「シャララ」、KO-SHINのギターとKENTAのベースが絶妙なアンサンブルを聴かせる「Like a Fire」――成長の表れと言える新境地に観客がじっと耳を傾けた3曲もまた、この日の見どころだったと忘れずに記しておきたい。




さあ、そこからの終盤戦。演奏は再びテンポアップ。「Drive」「BROTHER」とたたみかけてからコール&レスポンスを交え、「シグナル」で特大の一体感を作り上げたWANIMAが本編の締めくくりに選んだのが、「りんどう」と「Mom」。 「りんどうは熊本の県花。群れては咲きません。答えは1人で出すもの、だから、《弱いままで強くなれ》という歌詞を、そうなりたいし、そうなってほしいと思って入れました」と言った前者。そして、覚悟がなかったせいで、祖母の死に向き合えなかった後悔を語ってから、「何でも覚悟だと思う。これから覚悟を持って音楽をやっていきます。WANIMAとともに生きてください」と言った後者。ともにこの日、KENTAが言った「音楽で返したい」という思いを目一杯込めた2曲を、テンポを落とした重心の低い演奏とシンプルなアレンジでじっくりと聴かせたことで、最後の最後に剥き出しになった歌心が観客の胸を打つこととなった。




 その余韻を味あわせるなら、そこで終わっても良かった。しかし、もう一暴れしなきゃ帰れないという観客に応え、まず「ここに」を演奏したアンコールは、恒例のリクエストに! いつもどおりWANIMA会議を含め、すったもんだしながら、演奏する曲が決まったのだが、「最後まで演奏できそうもないから、ごめん!」と断った「また逢える日まで」とリクエスト権がない観客が言った「BIG UP」までやってしまうサービス精神なのか、ファンには真摯に向き合いたいという誠実さなのか、そんなところにもちびっこから大人まで、幅広いファンを魅了するWANIMAの人気の理由があるのかもと思ったりも。




そして、ラストは、「アルバム(『COMINATCHA!!』)のラスト・ナンバー!」(KENTA)と「GET DOWN」を、「BIG UP」でぐちゃぐちゃになったフロアに投下! ダメ押しで観客を踊らせ、たとえ成長を遂げてもWANIMAはWANIMAということを見せつけると、「いろいろあるけど、踏ん張って生きろよ!また会おう!」(KENTA)と再会を誓って、ツアーに旅立っていった。



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