SHANK "15th Anniversary One-Man Tour The Heavy Clash" LIVE REPORT!!
Report by 小林千絵
Photo by KOHEI SUZUKI
2020.1.17
SHANK "15th Anniversary One-Man Tour The Heavy Clash"
@新木場 Studio Coast
結成15周年を記念したワンマンライブ。平日にも関わらず、会場の新木場Studio Coastには大勢のファンが詰めかける。フロアの後方にはスーツ姿のファンの姿も多く見受けられ、15年という月日の中でファンの年齢も広がっていっていることを感じた。しかし、語弊を恐れずに言うと、15年経っても庵原将平(Vo, B)、松崎兵太(G, Cho)、池本雄季(Dr, Cho)の3人は変化していない。そう思った。もちろん演奏技術やメンバー同士のグルーヴは上達しているだろうし、3人とも年齢を重ねた。バンドにとっては15年の間に、THE NINTH APOLLOに所属し、エイベックスへメジャー移籍も果たした。しかし彼らは今も、ひたすらにライブを重ねる。曲も作り方にも変化は出るが、基本的には「楽しいから」「カッコいいから」それだけを理由に、今日も各地でライブをする。この日も、彼らはただ楽しくてカッコいいライブをしてくれた。
いつもと変わらず、バンド名を大きく記したシンプルなフラッグが1枚掲げられただけのシンプルなステージ。そこにふらりと現れた彼らは、庵原のボーカルから始まる「Surface」でライブの幕を開ける。「ちょっと長いけど、脳みそをいっぱい柔らかくしていって」と彼ららしい言葉でファンを迎え入れると、疾走感あふれる「Departure」や松崎と池本のソロプレイから始まった「Phantom」、ダビィな「620」などを次々と披露していった。
MCでは年明け一発目のライブということで、3人が少し緊張しているという話題に。庵原がフロア上方にある大きなミラーボールを指差し「あのミラーボール、回したことないから今日回したろうかな」とポツリ。すると松崎がサザンオールスターズの「真夏の果実」を熱唱し始め、ミラーボールがゆっくりと回り出す。そして満足そうに「緊張ほぐれた!」と言うと3人は「Two sweet coffees a day」でライブを再開。すでにミラーボールの演出は終わっており、オーディエンスの大半が「ミラーボール、そこだけだったんかい!」と思わずツッコんだだろうけど、逆に言うと、彼らのライブにはミラーボールの演出すら不要ということなのだ。
この日のセットリストには「#8」「BOX」といった初期の楽曲も惜しみなく加えられた。どの曲でもイントロから大歓声が上がり、前方のキッズは大暴れ。後方のスーツ姿や、親子のファンも拳を上げたりシンガロングしたりしていた。ファンからのヤジや声援を受け取っては返していくというユルいMCを挟みつつも、あっという間に20曲を演奏した彼ら。「ちょっとゆっくりした曲を」との言葉に続いて「Wake Up Call」が伸びやかなボーカルで披露されると、観客はレゲエのリズムに体を揺らした。
この日はいつも以上に3人が楽しそうに演奏しているのが印象的だった。松崎と池本は何度も顔を見合わせて息を合わせていたし、「Honesty」では珍しく池本がタイトルコールをしたり。今さら彼らに対して「仲がいい」など使う気もないけれど、15年間共に活動している絆が3人の間には確実にある。
「15年ありがとう」「これからも自由にやっていくんで」とメンバーから感謝の言葉が述べられたあと、「感謝の気持ちを込めて」と「My sweet universe」が贈られる。それまで暴れていた観客もじっと彼らの演奏に聴き入っていた。そして「Long for the Blue moon」「Restart」「BASIC」がダイナミックに、かつ高速で届けられ、再びヒートアップしたところで本編は終了した。アンコールでは、「Keep on Walking」「drama queen」が続けられ、最後に「Lamp」……のはずがイントロで失敗し、3人は急遽「Love and Hate」にチェンジ。こういうとき、とっさに演奏できるレパートリーの多さも、ライブバンドならでは。最後にダブルアンコールとして「Stop the crap」をドロップして、3人は約2時間のステージを締めくくった。
終盤のMCでフロアから「今年の抱負は?」と問われた庵原は「日当たりのいい部屋に引っ越したい」と回答。彼は続けて、現在レコーディング中であること、そしてまさに「日当たりのいい部屋に引っ越したい」という思いを歌った曲などを制作していることを明かした。彼らは本当に生活の中にバンド活動が入っていて、だから「バンドでてっぺん取るために上京!」みたいなこともしない。地元・長崎で、家族や友人と共に暮らし、各地で釣りを楽しみ、そしてその中で生まれた感情を音楽に昇華させ、各地で鳴らす。たったそれだけのことなのだ。だからミラーボールも、派手な演出もいらないし、何年経っても変わらずにいられるのだ。そんな生活の中で生まれる次作も楽しみにしておきたい。
[SETLIST]
01. Surface
02. First Light Anthem
03. Smash The Babylon
04. Life is...
05. Departure
06. Phantom
07. 620
08. #8
09. Two sweet coffees a day
10. Good Night Darling
11. Take Me Back
12. Weather is Beautiful
13. Roots
14. Wake me up when night falls again
15. Hope
16. BOX
17. Wall Ride
18. Set the fire
19. Movie
20. TOP WATER
21. Wake Up Call
22. submarine
23. MONKEY FUCK
24. It's not a game
25. Honesty
26. Knockin' on the door
27. The One Second Future
28. My sweet universe
29. Long for the Blue moon
30. Restart
31. BASIC
en01. Keep on Walking
en02. drama queen
en03. Love and Hate
en04. Stop the crap
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