LIVE REPORT

G-FREAK FACTORY "FLARE / Fire" TOUR 2019 Final Series -ONE MAN- LIVE REPORT!!

Report by 小林千絵
Photo by HayachiN 

 

2020.2.2
G-FREAK FACTORY "FLARE / Fire" TOUR 2019 Final Series -ONE MAN-
@渋谷 TSUTAYA O-EAST


原田季征(G)、吉橋伸之(B)、渡部“PxOxN”寛之(Dr)、サポートメンバーの多畠幸良(Key)がセッションしながら「大地の勇者たち」を奏でる中、茂木洋晃(Vo)がステージに登場すると、フロアからは大歓声が上がった。……と文字で書くには足りないくらいの大歓声だった。それはまるで何万人もを収容できるホールやアリーナにいるかのように錯覚してしまいそうなほど。それだけ“フリーキー”たちはG-FREAK FACTORYを待ち焦がれていたのだ。しかしひさしぶりのライブではもちろんない。このツアーは去年の6月に始まったものでバンドは各地をゆっくり回っていたし、ツアーの間には主催イベント「山人音楽祭」も行っている。それにも関わらず、多くのファンがG-FREAK FACTORYのライブを待ち焦がれていた。その理由は、この日ゲストとして参加したTOSHI-LOW(BRAHMAN、OAU / Vo)が話したことがすべてだった。「『遅れてきたルーキー』とか言ってさ、どれだけおせーんだよって思ってた。でも違うんだ。甚大なウイルスで、差別で戦争で、めちゃくちゃになっちまう今こそ、G-FREAKが必要だったんだ」。

東京ではひさしぶりのワンマンライブとなったこの日。茂木は「後ろのほう戸惑ってる?(笑)」「お前らもバカだなあ」と自嘲気味に声をかけていたが、なんならメンバーのほうがそわそわしていた印象で、そんな彼らのテンションを引き上げていったのもフリーキーの大歓声や大合唱だったように思う。2曲目、「SOMATO」のシンガロングパートからすでに大合唱が響き渡り、「REAL SIGN」ではドラムとあわせてファンのクラップがビートを刻む。「日はまだ高く」ではコールアンドレスポンスがいつも以上に広がり、「SOUL CONNECTION」ではフリーキーのクラップにあわせてメンバーの巧みなソロ回しが行われた。「らしくあれと」では茂木がダイバーと拳をぶつけ合ったり、「いつもここにいるから」というフレーズを歌いながらステージを力強く指さしたりと、エモーショナルなパフォーマンスでも観客の胸を打った。




茂木が早口でまくしたてるように歌い始めた「FOUNDATION」、問いかけるような歌詞が心に迫る「FLARE」からさらにバンドのメッセージ性は強くなる。平和を願う「Too oLD To KNoW」では歌い出しからフリーキーたちの大合唱が始まり、ラストの「でも二度と無駄な血は流すな」というフレーズは会場全員が拳を突き上げながら咆哮。茂木はその姿をうれしそうに見ていた。フリーキーたちの大合唱は「ただ歌う」のではなく、歌詞に一人ひとりの気持ちが、きちんと乗っている。それがゆえに人数以上の大歓声、大合唱となって会場中に響き渡っているのだ。




「ダディ・ダーリン」ではゲストミュージシャンとしてOAUのMARTIN(Vo, Violin, G)が参加。美しい旋律をより引き立て、観客をぐっと引きつけていく。茂木は歌いながらファンの頭上を進み、フロアの中央へ。そして2番に差し掛かると、TOSHI-LOWが歌いながらステージに登場。大興奮のファンに迎えられながら、2人は向かい合って同曲をエモーショナルに歌い上げた。





そのあとに演奏されたのは「島生民」。彼らの楽曲の中でも「最も」と言っていいほどに社会的なメッセージ性の強い、シリアスな、でもまっすぐな思いが綴られた1曲。近年は1年に1、2回しかやらないと決めているという。この日のライブで茂木がアドリブも含めて、同曲で何を伝えたかはあえて書かない。けれど、歌い終わったあと、ステージに倒れこむようにした彼は「今日、ここで(「島生民」を)やることができた。ありがとう」と言った。TOSHI-LOWの言葉をもう一度借りる。「甚大なウイルスで、差別で戦争で、めちゃくちゃになっちまう今こそ、G-FREAKが必要だ」。

穏やかな「GOOD OLD SHINY DAYS」で本編を締めくくったあとには、安心感からか、すこし気の緩んだアンコール。彼らは「チャンダンの香るこの部屋から~第二章~」と「いつの日か」の2曲を披露したあと、ライブを見に来ていたというイイカワケン(HEY-SMITH / Tp)を急遽ゲストプレイヤーとして呼び込み「風」を演奏。茂木は「バンドってこういうことができるからいいよなあ」とうれしそうにぽつり。イイカワも頷き、丁寧にG-FREAK FACTORYの演奏に彩りを添えた。スタッフに時間がないと言われていたため「風」でライブを終えようとしていた茂木だったが、スタッフからのGOサインが出てもう1曲プレイできることがわかると大喜び。軽快な「SUNNY ISLAND STORY」でライブの幕を下ろした。最後に茂木は「面白かったなー」と満足そうに声を上げ、ステージをあとにした。




この日、茂木は地元・群馬県安中市で小学生にヘルメットを贈呈するためのプロジェクトとしてTシャツを販売していることを話した。彼はそれをフリーキーに伝えて「Tシャツを買って欲しい」とは決して言わない。きっと彼が望んでいるのはTシャツを買ってくれることではなく、彼の行動を見て、各々が自身の家族や故郷に思いを馳せること。G-FREAK FACTORYの音楽やライブからさまざまな現状を感じ取り、それに一人ひとりが答えを出すこと、行動に移すことなのだ。だから「今こそ、G-FREAK FACTORYが必要なんだ」。

それからもう1つ。この日、私はライブ中に、フロアを見守っていたセキュリティスタッフが思わず頬を緩ませているのを見た。彼がG-FREAK FACTORYのファンなのかどうかは知らないが、緊張感が思わず緩んでしまうような、仕事を忘れて体が動いてしまうような。「ショーでも、プロモーションでもなく、ライブをしに来たんだ」と常に言う彼らのライブは、きっとこういうことなんだろう。





[SETLIST]
01. 大地の勇者たち
02. SOMATO
03. REAL SIGN
04. 日はまだ高く
05. SOUL CONNECTION
06. GRANDSLAM
07. Fire
08. Unscramble
09. sore-nari
10. DAYS(#29)
11. 風林花山
12. ONE DAY
13. らしくあれと
14. EVEN
15. FOUNDATION
16. FLARE
17. Too oLD To KNoW
18. ダディ・ダーリン
19. 島生民
20. GOOD OLD SHINY DAYS

En01. チャンダンの香るこの部屋から~第二章~
En02. いつの日か
En03. 風
En04. SUNNY ISLAND STORY



>>>G-FREAK FACTORY OFFICIAL HP