Northern19 Pre “HOLY DIVERS Vol.3” LIVE REPORT!!
Report by 小林千絵
Photo by 半田安政
2020.2.7
Northern19 Pre “HOLY DIVERS Vol.3”
@渋谷TSUTAYA O- EAST
思わずダイブしたくなるような、思わず拳を握りしめたくなるような、気がついたら涙が出てしまうような、感情が“DIVE”するような1日を作りたい。そんな思いから企画されたこのイベント。3度目の開催となる今回も、そんな“HOLY DIVERS”を生むべく、ステージにはNorthern19のほか、TOTALFAT、EGG BRAIN、ハルカミライという強力なライブバンドが揃った。
トップバッターを務めたのは、「HOLY DIVERS」には初出演ながら、Northern19との付き合いは長いTOTALFAT。「俺らをトップに持ってくるってことは“そういうこと”でしょ?」とShun(Vo, B)が企むように話していたが、SEから会場には軽快なハンドクラップが響き渡り、すでに熱気に包まれる。フロアの興奮を味わうようにShunが「Give It All」を歌い出し、テンポが変わった瞬間、フロアにはさっそく、文字通り“ダイバー”が続出。「夏のトカゲ」ではさまざまなバンドのタオルが宙を舞い、「Northern19に贈ります」との言葉から届けられた「Good Fight & Promise You」ではフロアにいくつものサークルが発生した。Northern19と競演する際は楽屋でいつも歌を歌うというエピソードも明かしたShun。Northern19の笠原健太郎(Vo, G)、馬場豊心(Dr)と同い歳で、「お互い切磋琢磨してきて。こんなデカいところでやるんだもん、すごいよね。ただのモジャモジャじゃないね」と、笑いを交えて盟友を讃えた。
続いて登場したEGG BRAINは疾走感あふれる「CROSS THE SKY」でさわやかにライブを始める。続く「THE SWEETEST LULLABY」では、途中のブレイクでJOEY(Vo, G)が「この曲、ここからテンポ上がるねん。速くなるよ?」とオーディエンスを焚きつけ、場内を熱狂の渦に巻き込んでいった。取材時に渡されたセットリストに「Northern19リクエスト曲」とあったのは4曲目。そこで演奏されたのは「BELIEVE」だった。3人は力強い演奏で、哀愁漂うナンバーをエモーショナルに届けた。演奏後にはJOEYが拳を作りながら「すごいすごい前からライブハウスで、コレやってます」とNorthern19との関係を改めて語る。そして「大切な人、バンドを思い浮かべて聞いてください。Northern19とみんなを思い浮かべて歌います」との言葉に続いて演奏された「Brighter Than Ever」ではフロアからいくつもの拳がつきあがった。ラストナンバー「YEAH!YEAH!」ではUchie(Dr)がステージ袖にいるNorthern19メンバーにスティックを投げるなど楽しそうにコミュニケーションを取り、JOEYが「Northern19、愛してるよー!」と思いのままに叫んでいた。
ハルカミライは、メンバーがステージに飛び込む“ダイバー”に。彼らは4人組で歌詞は日本語、さらにはNorthern19よりも後輩と、バンドのスタイルもNorthern19との関係性もほかの2組とは違う。そんな立ち位置について「俺らと同世代くらいの日本語のバンドがここでライブしても、ここでガツンとやれるやつはいねえよ。(俺らは)やりにきたぜ!余裕だぜ!」と闘志をむき出しに。小松謙太(Dr, Cho)の荒々しいドラムが響く中、須藤俊(B, Cho)はベースを持たずにステージで大暴れ。関大地(G, Cho)は橋本学(Vo)が次々となぎ倒したマイクスタンドをフロアに投げ入れるなど、自由奔放なパフォーマンスで観客の度肝を抜いていく。しかしド派手なステージングだけではなく、学のボーカルから始まる「世界を終わらせて」や急遽セットリストに組み込んだ「Mayday」など穏やかで優しい歌声でも観客を引きつけていく彼ら。メンバーチェンジなどを経たこの日の共演者たちに向けて「先輩たち、いろいろある中、がんばっててすげーよな。一番若造の俺らががんばんないとな」とリスペクトを込め、「Northern19超えていくぜー!」と高らかに宣言して、Northern19へとバトンを渡した。
SEですでにシンガロングが発生し、会場の“HOLY DIVERS”の高揚が最高潮に達したところでNorthern19が登場。彼らは笠原によるギターリフが心地よい「BELIEVER」でライブの口火を切ると「MORATORIUM」「RED FLOWER」と次々にメロディアスなナンバーを続けていく。さらに初披露の新曲(タイトル未定)も。敦賀壮大(B)が加入してから初めて作ったその新曲は、笠原と敦賀により絶妙なコーラスで進んでいった。「SUMMER」では笠原がフロアを見渡しながら楽しそうに笑い、「THE NIGHT WITHOUT A STAR」では馬場が感傷的な表情を見せていた。
MCでは笠原が「今日はうれしくてたまんなかったなー!」と破顔したあと、全組が「HOLY DIVERS」初出演となった今回の共演者について話し始める。TOTALFATについては「一番付き合いの長いバンド。自分たちの企画で一緒にできて喜びを噛み締めました」、EGG BRAINは「また戻ってきてくれて素直にうれしかったし、どこかで『のこのこ戻ってきやがって』みたいな気持ちもある(笑)」と、メンバーの脱退や活動休止を乗り越えてきた盟友たちへの思いを語る。ハルカミライについては、「初めて見たときにカテゴライズ不能だと思った。そういうバンドがカッコいいと思ってる」と大絶賛した。そして最後に今年で17年目を迎える自らを振り返ると「バンドをやってよかったな。この喜びをこれからも爆発させていきたい」とうれしそうに話した。
笠原が「世代も性別もどうだっていいよ。これからもロックバンド好きでいてくれ!」と声をあげてから始まった「NEVER ENDING STORY」では3人の感情が爆発。アウトロでは笠原と敦賀が倒れこむようにエモーショナルな演奏を聴かせた。熱気によって視界が曇っていく中、バンドは最後にキラーチューン「STAY YOUTH FOREVER」を投下。1バンド目TOTALFATのライブでさまざまなバンドのタオルを振り回していた、さまざまなバンドを好きな“HOLY DIVERS”がこの日一番のシンガロングを聞かせる。その様子は圧巻で、メンバーが演奏を止めて、シンガロングに聞き入る場面もあった。笠原は「ロックバンド最高!」と破顔して、うれしそうにステージをイベントの幕を下ろした。
メンバー脱退を経てスリーピースバンドとなったTOTALFAT、約3年半にわたる活動休止を経て再始動したEGG BRAIN、メンバーチェンジを経験したNorthern19。彼らはそれでも今日もバンドを続けている。3人とも楽器を持ちながら歌うので、例えばステージ上をダイナミックに動き回ることも大してできず、ひたすらにステージ上で真摯に音を鳴らす。ただそれだけのことだけれど、その熱がフロアに伝わり、多くの“HOLY DIVERS”を生み出している。そしてハルカミライが「若造の俺らががんばんないとな」「Northern19超えていく」とその背中に魅了されて、彼ららしいステージングを模索する。会場に集まった“HOLY DIVERS”を前に、シーンがつながっていく様が繰り広げられた夜だった。
[セットリスト]
TOTALFAT
01. Give It All
02. 夏のトカゲ
03. 晴天
04. My Game
05. PARTY PARTY
06. Good Fight & Promise You
07. Place to Try
08. DA NA NA
EGG BRAIN
01. CROSS THE SKY
02. THE SWEETEST LULLABY
03. Start From Scratch
04. BELIEVE
05. Brighter Than Ever
06. VITAMIN
07. SEVENTEEN
08. YEAH!YEAH!
ハルカミライ
01. 君にしか
02. カントリーロード
03. ファイト!!
04. 俺達が呼んでいる
05. 春のテーマ
06. ファイト!!
07. PEAK'D YELLOW
08. 世界を終わらせて
09. Tough to be a Hugh
10. エース
11. フュージョン
12. ファイト!!
13. Mayday
14. アストロビスタ
Northern19
01. BELIEVER
02. MORATORIUM
03. RED FLOWER
04. 新曲
05. SUMMER
06. TRYOUT
07. THE NIGHT WITHOUT A STAR
08. NEVER ENDING STORY
09. TRUTH
10. MESSAGE
11. STAY YOUTH FOREVER
12. CRAVE YOU
13. FAR EAST EMOTION
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