LIVE REPORT

Dizzy Sunfist “『EPISODE II』ONEMAN TOUR -Go To New World-” LIVE REPORT!!

Report by Chie Kobayashi
Photo by NAOTO IWABUCHI

 

2020.10.10
Dizzy Sunfist 「EPISODE II」ONEMAN TOUR -Go To New World-


あやぺた(Vo, G)の妊娠・出産に伴い、2019年9月よりライブ活動を休止していたDizzy Sunfist。2020年4月より、振替公演含め「“STRONGER” TOUR 2020」を再開する予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大により中止が余儀なくされていた。そんな彼女たちが、満を辞してようやくライブハウスに帰ってきた! しかもただでは起きないのがDizzy Sunfist。7月には「第二章」なんてタイトルを冠した新作EP「EPISODE II」を発表して、ツアーにも「『EPISODE Ⅱ』ONEMAN TOUR -Go To New World-」なんて、ワクワクするタイトルを付けて。


当日は入場時間の規制、接触確認アプリインストールの義務付け、会場内ではソーシャルディスタンスを確保するための立ち位置指定や声援や歌唱の禁止など、厳重な感染予防が敷かれており、開演前の場内は異様な雰囲気が漂う。とはいえ、各々お気に入りのTシャツやタオルを身に付け、そわそわしていることだけは伝わってきた。3人がステージに現れると、客席からは声援の代わりに、まるで歓声が聞こえてきそうなほど大きなハンドクラップが贈られる。3人は弾けるような笑顔でそれを受け取る。そして楽器を手にすると、“おうち時間”やイヤフォンの中では決して受け取ることのできない爆音をライブハウスに轟かせた。


奇しくもバンドの第二章の幕開けが、新しい生活様式を必要とするwithコロナの中で始まったDizzy Sunfist。あやぺたが「人生何が起こるかわからへん。やからこそ、人生楽しもうぜ!」と話していたが、その通り、3人は「スカダンスだったらできるよね?」とスカダンスで踊らせたり、コロナ禍でリリースした新曲では歌わなくても楽しめるようにと振りを付けたりと(近日MVが発表されるそうなので、お楽しみに!)、現状を逆手に取って楽しませてくれる。その一方で、ライブハウスへの思いはひときわ募っていたようで、3人の演奏はいつも以上に感傷的に。一音一音を確かめるように丁寧に繰り出されるいやま(B, Cho)のベース音とmoAi(Dr, Cho)のリズム、かと思いきや気持ちがはやるのを抑えきれずにどこか走り始めてしまう演奏、表情豊かなあやぺたの歌声、何度も顔を見合わせる3人。ひさしぶりのライブハウスにDizzy Sunfistの音と表情を染み込ませていった。


ツアーは始まったばかりなので詳細は書かないけれど、“No One Knows”を歌う前、あやぺたは「不安と戦うためにこの歌を」と話した。Dizzy Sunfistはいつも「憧れていたステージに立てた」「見に行ってた先輩バンドと肩を並べられた」と、一つ一つ憧れを手にしていく姿を見せてくれていた。その姿とまっすぐで力強い楽曲が、リスナーの背中を押してくれていた。しかし第二章のDizzy Sunfistは、一緒に戦ってくれるのだ。それこそ振り付けで楽しませてくれるのもそう。3人がステージに立つ姿も客席を見つめる眼差しも、とにかくたくましくて、頼もしかった。不安も悲しみも、全部、明るい歌声が吹き飛ばしてくれるような気がした。



終盤、あやぺたは「やっぱうち、ライブハウス、めっちゃ好きやわ!」と言った。きっと、あの場所にいた全員が同じことを思っただろう。もちろんいつもと同じ楽しみ方はまだまだできないライブハウスだったけれど、それでも、ライブハウスでしか味わえない楽しさや喜びがある。もらえるエネルギーも山ほどあって、終演後、私は会場内でひさしぶりに会った知人に「生きる力をもらった!」と恥ずかしげもなく話していた。会場にはひさしぶりのライブとなった人、さらには、初めてライブハウスに来た人もいたという。新しい生活が求められる今、これまで以上に楽しみや元気を欲している今、第二章の幕を開けたDizzy Sunfistに感謝をしたい。改めてDizzy Sunfist、お帰りなさい!

 

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