SHADOWS “LIVE or DIE” LIVE REPORT!!
Report by 荒金良介
Photo by Takashi Konuma
2021.11.5
SHADOWS - “LIVE or DIE” -
@新代田FEVER
今年、初の野外開催となった『SATANIC CARNIVAL 2021』(6月5、6日)。その2日目にSHADOWSは登場し、1年4カ月ぶりにライヴを行った。当日のインタビューでは「壁が一枚壊れた感じ」とKazuki(G/Vo)は語っていた。昨年から続くコロナ禍で多くのバンドマンがライヴという現場を奪われ、SHADOWSも悶々とした気持ちを抱えていたに違いない。けれど、ずっと悶々としていても何も始まらない。とにかく動き始めるしかない、自分たちのスタイルは微塵も変えずに。
SHADOWSがワンマン・ショウ「LIVE or DIE」を開催。開演19時の3分前に暗転するや、Kazuki、Takahiro(G/Vo)に加え、リズム隊2人がステージに並ぶ。邪悪なリフが刻まれ、一気に場内は不穏なムードに包まれると、オープニングはインスト曲「Flare」で始まった。まずここで驚いたのは音のでかさだった。体の奥底からライヴハウスにいるんだという実感が突き上げてくる爆音である。この爆音こそ、非日常の入り口なのだと改めて再認識した。Hiro(Vo)が登場し間髪入れずに「All I Want」に雪崩れ込む瞬間、何者にも代え難い興奮に襲われた。心の中で「最高!」と叫ばずにはいられない。ふと、今日集まった観客たちもタガが外れて、暴れ出すのではないかと危惧してしまうほど。正直、この猛り狂った爆音を浴びて、ジッとしているのは過酷な試練と言わざるを得ない。しかし、ウズウズした気持ちを精一杯抑え込んで、観客全員が所定の位置で一生懸命ノッている。もうそれだけで個人的にグッと来るものがあった。
そんな光景を見ても、SHADOWSは攻撃を微塵も緩めない。いつもと変わらぬ激越パフォーマンスを貫くだけである。バンドは全力でぶつかり、観客はそれを全力で受け止める。その構図はコロナ前と何ら変わらなかった。スレイヤー風味のスラッシュ・リフが火を噴く「Senses」に突入すると、拳を上げる観客は増え、ブレイクダウン・パートではヘドバンに励む人たちも多く見られた。そんなフロアの熱をさらに押し上げたのは「Into The Line」だ。「飛べ!飛べ!」とHiroは煽り、場内はジャンプに加えて、クラップが響き渡り、ラウド・パーティーと形容したくなる沸騰ぶりを記録。
そして、未発表の新曲をここで投下。キャッチーなギターを用い、ポップだがヘヴィな質感も兼ね備え、後半はシンガロング・パートを設けて明るく開ける展開が印象的だった。初めて耳にする観客からも好反応を得ており、早く音源で聴いてみたいと思わせる魅力を放っていた。
「今日はできることをできるだけやって、楽しんでください!」とHiroは呼びかけ、「Further Away」へ。するとHiro、Kazuki、Takahiroのフロント3人がジャンプを決めた後、SHADOWSの真骨頂とも言えるメロディック・ハードコアで豪快に駆け抜けていく。観客も両手を掲げて楽しそうに騒いでいた。この初期衝動全開の音を聴きながら、久しぶりにストラング・アウトやストライク・エニウェアなどの作品を引っ張り出して聴きたい気持ちにも駆られた。
Hiroの伸びやかなハイトーン・ボイスが映える「BEK」では途中でゲストボーカルを招き、熱いシャウトで援護射撃。それから「Fail」、「My Direction」と経て、コンピ盤『The Very Best Of PIZZA OF DEATH Ⅲ』収録の「Drifting」をプレイ。重心の低いオルタナ・ロックを響かせ、後半はFACT時代のライブを彷彿させるHiroがステージ上で鉄琴を叩くシーンも見られた。
ミラーボールが回る中で口火を切った「Chain Reaction」では「心の中で思いっきり歌ってくれ!」とHiroが叫び、ウォー!ウォー!の合唱パートに移行。もちろん観客は声を出せない。しかし、送り手と受け手が強い絆で結ばれた磁場をしっかりと作り上げる。「Candles」、「Freedom Is Yours」、「So What」とヘヴィなナンバーを畳み掛け、ニルヴァーナのカヴァー「Tourette’s」もショウの流れに極上のフックをもたらしていた。
ショウは早くも終盤を迎えると、Hiroの美しい歌メロを軸に壮大に聴かせる「Homes To Stay」も素晴らしく、ラストは「The Lost Song」で盛大に締め括った。アンコールに応え、再びメンバーがステージに現れると、Hiroは今後もライヴをやりたいと意欲を露わにする場面もあった。最後はチョッ速の「Under My Skin」を放ち、全21曲1時間強に及ぶワンマンは終了。
コロナ禍の制限付きのライヴではあったものの、SHADOWSはここに集まった観客の気持ちを吸い上げ、自身のパフォーマンスで完全燃焼させるライヴをやってのけた。耳鳴り寸前の爆音ショウは、SHADOWSなりの観客に対する最大級のギフトだったのかもしれない。今後もライヴをガンガンやってもらいたい。この爆音さえあれば、ほかは何も望まない。そう思えるほど痛快なワンマン・ショウであった。
[追加ONEMAN SHOW!!]
-SHADOWS「LIVE or DIE」ONE MAN SHOW-
2021年12月9日(木)名古屋RAD HALL
19:00 OPEN / 19:30 START ADV 3900 / DOOR 4400
2021年12月10日(金)静岡UMBER
19:00 OPEN / 19:30 START ADV 3900 / DOOR 4400
2021年12月17日(金)福島club SONIC iwaki
19:00 OPEN / 19:30 START ADV 3900 / DOOR 4400