LIVE REPORT

NAMBA69 “FRIENDS & CELEBRATION TOUR 2021” LIVE REPORT!!

Report by 山口智男
Photo by 半田安政

2021.11.23
NAMBA69 - “FRIENDS & CELEBRATION TOUR 2021” -
@Zepp Divercity

 それは終盤も終盤、さあ、これから今日イチ盛り上がるぞ、と誰もが意気込んでいるタイミングで起こった。
「まだまだ欲しいんでしょ?」
 最高のクライマックスに向かってラストスパートを掛けるきっかけを作るため、ko-hey(Gt, Cho)が観客を煽り始め、本当だったら、「やれることを一生懸命やって、死ぬ気で楽しんでいけよ!」というko-heyの雄叫びにNAMBA(Vo, Ba)が続き、バンドは「MANIAC III」になだれこむはずだった。
 しかし、一瞬の間をおいて、NAMBAの口から出てきたのは、「(セットリストの)最後のセクションに入りたくない。(ツアーが)終わっちゃうのイヤだ」だった。
 なぜこのタイミングで? そこにいる全員が思ったに違いない。しかし、NAMBA曰く「コロナ禍で一番つらかったのは、みんなに会えないことだった」のだから、名残惜しいと思うのも大いに頷ける。

思わず言ってしまったその言葉こそが、「FRIENDS & CELEBRATION TOUR 2021」と掲げ、全国7カ所を回った今回のツアーの手応えを、何よりも物語っていたんじゃないか。
「ごめんね、ko-hey。盛り上げてくれたのに」とNAMBAに言われ、「もう1回同じことを言います(苦笑)」と改めて観客を煽って、最後のクライマックスの火付け役を全うしたko-heyには申し訳ないと思いながら、筆者はNAMBAの言葉に、なんだか胸がいっぱいになってしまった。

 新ドラマー、MORO(Dr, Cho)加入後のNAMBA69のライブをこの日初めて観る筆者は、今年、いろいろなところから聞こえてきた「NAMBA69のライブがいい!」という噂に期待を高まらせ、ツアー・ファイナルとなるZepp DiverCity公演に足を運んだのだが、ダブル・アンコールを含む2時間の熱演は、期待通りでもあると同時に予想もしていなかったバンドの姿も見せてくれたのだった。

「声を出しちゃダメだとか、モッシュ&ダイブもダメだとかあるんだけどさ、俺たちが望んでるわけじゃない。でも、ハコのルールがあるから、ハコのルールに従ってやりたい。(イスがあるから動きづらいかもしれないけど、隣の人と)ぶつかっても、ちょっとくらいいいんじゃない? (いちいち目くじら立てずに)楽しくやろう。よろしく!」 
 NAMBAの挨拶からライブはスタート。1曲目の「DREAMIN’」から見応えあると思えたのは、観客に対して前に出ることが多いNAMBAとko-heyだけではなく、定位置にこだわらずに積極的にステージを動きながら、リード・プレイで演奏に色をつけていったK5(Gt, Cho)とタイトながらもズシッとしたドラムで演奏に迫力を加えるMORO、2人の存在も際立っていたところだ。

特にK5の成長には目を見張るものがあった。以前は演奏を支えることに徹していたK5は、いつしか自分が存在を主張することが、バンドを魅力的に見せることになると気づいたらしい。この日、「WAKE UP」他、何曲かでK5は自分の見せ場だとばかりにステージの真ん中でギター・ソロを弾いた。また、「YOU’RE MY FRIEND」「SUMMERTIME」でK5とko-heyが重ねるツイン・リードも大きな見どころになっていたと思うのだが、それもK5の意識の変化を含めた成長があればこそ。

その「SUMMERTIME」でもステージの真ん中でソロを弾いたK5に対して、「K5、今日かっこいいな」と声をかけたNAMBAが、続けて「今日、ご家族が全員来てくれてるんだよね。パパ、かっこいいでしょ?」と2階席にいるK5の子供たちに語りかけたのは、K5の貢献をねぎらう気持ちがあったのか、なかったのか。
ともあれ、話の流れから、大学生になった自分の長男がライブを観にきていることを明かしたNAMBAが「コンピュータとマーケティングを勉強しろって言ってたら、軽音部に入っちゃって。みんな、よろしくね。何が?(笑) しかも、ベーボ。だから、かっこつけて弾きながら、(自分のプレイをしっかり)観とけよって思ってた(笑)」と父親の顔を覗かせ、アットホームとも言えるハートウォーミングな空気が生まれたのは、コロナ禍のせいでモッシュ&ダイブ禁止のライブになったからこそかもしれない。
それを言えば、前述したK5とko-heyのツイン・リードもモッシュしながらぐちゃぐちゃになっていたら見逃していたんじゃないか。

もちろん、ko-heyの貢献も忘れちゃいけない。ギタリストとしてもさることながら、音源に客演したJESSEの代わりに「LET IT ROCK」でラップしたり、「MANIAC」シリーズでグロウルしたり、2人目のボーカリストとしても活躍しているko-heyの存在は「CELEBRATION」で、さらに際立ってきた。
「(コロナ禍が終わって)完全に(フロアが)ぐっちゃりいってるはずだった。タイミングがずれちゃったけど、Zepp DiverCItyで俺たちがワンマンをやれたこと。それがセレブレーションだ!」
 その「CELEBRATION」は、NAMBAとko-heyがツイン・ボーカルおよび掛け合いで歌う、どこかビートルズを思わせるメロディが魅力のスケールの大きなロック・ナンバーだが、そこにMOROがハードコアの2ビートを、K5が耳に残るリード・ギターを加え、NAMBA69ならではと言える曲になっているところが一番の聴きどころだ。今年9月にシングルとしてリリースされたとき、バンドの新境地を感じたが、4人の音が美しいモザイクを描き出している――つまり誰か1人欠けても成立しないアンサンブルはライブでこそ映えると、この日、改めて実感。

 NAMBA69はここに来て、また一皮剥けたようだ。その思いはお馴染みのメロディック・ハードコア・ナンバーの数々を披露していった後半戦もどんどん確かなものになっていった。
「計7本。数としてはそんなに多くないけど、MOROちゃんと初めてツアーに行ったなぁ」と今回のツアーを振り返りながら、NAMBAはしみじみと言ったが、「CELEBRATION」を演奏する前に「はじめまして!」と観客に挨拶したMOROは「バンドに入ってずっとライブができなかった。バンドに入ったのにバンドらしいことができなかったから、やっとツアーができて、マジでうれしい!」と泣きながら、悔しさと嬉しさ、さまざまな感情が入り混じる感情を激白。そんなMOROにNAMBAは「MOROちゃん、おめでとう。MOROちゃんが一番きつかったよね。がんばってきたよ。ありがとう」と声をかけたのだった。

 メロディック・ハードコア・バンドであるNAMBA69のライブ・レポートにハートウォーミングという言葉を使ってもいいものか、ちょっと考えてしまうが、コロナ禍だからこその、ある意味特別なライブだったのかもしれない。もしかしたら、今の若者はこれをエモいと言うのかもしれない。
 前述したとおり、「MANIAC III」からラストスパートを掛け、壮大かつアンセミックな「LIFE IS GOOD」でバンドは本編を締めくくったが、もちろん、そこで終わるわけがない。
 1番をK5が歌い、そのK5とko-heyがギター・ソロをリレーしたジョン・デンヴァーの「TAKE ME HOME,COUNTRY ROADS」のカバーから始まったアンコールは、「未来へ~It’s your future~」、「踊ろうぜ!」と言ったブラーの「SONG 2」のカバー、ツアーで全然やってなかったという「MANIAC II」をたたみかけるように披露。最後は轟音の中、大団円と思いきや、ひっこんだと思ったらすぐにステージに戻ってきたバンドは、本編でも演奏した「CHANGES」をもう1回演奏した。

ダブル・アンコールは予定外だったことが窺えるが、考えることなく「CHANGES」を選んだのは「変えていこう!」というメッセージをダメ押しで伝えたかったからなんじゃないか。
本編で「CHANGES」を演奏するとき、NAMBAは「自分が変わっていこう。変えちゃえばいい。自分の世界が一番でかいんだから簡単なことだ。変えちゃえ!」と言ったが、コロナ禍の中で悲願だったツアーに挑んだバンドが掴んだ手応えが、メンバー全員でシンガロングする《I know, I can, I will change the world》という確信だったのかもしれない。

NAMBA69はこれから、さらに良い方向に変わっていきそうだ。

[SETLIST]
DREAMIN'
LOOK UP IN THE SKY
MANIAC

YOU'RE MY FRIEND
GO FUCK SHIT UP
WAKE UP

MANIAC Ⅳ
LET IT ROCK
100%(THE STORY OF US)
SUMMERTIME

CELEBRATION
PROMISES

I DON'T WANNA KNOW
WALK
HAPPY?
CHANGES

MANIAC Ⅲ
BLOOD SUCKING DOG
LIVE LIFE
HEROES
LIFE IS GOOD

en
TAKE ME HOME, COUNTRY ROADS
未来へ~It's your future~
SONG 2
MANIAC Ⅱ
INTRO
JAW

w.en
CHANGES

 

>>NAMBA69 OFFICIAL HP