SHIMA “FLAKES” INTERVIEW!!
Interview by Chie Kobayashi
Photo by Taio Konishi
SHIMAが3rdフルアルバム「FLAKES」を5月4日にリリースする。
8cmシングル2作を経て発表される本作は、「“面白い”だけで括られたくない」というバンドの想いが形になった意欲作。メンバー自らも「過去最高に手応えがある」というアルバムについて、EGACCHO(Vo)とYUSUKE HIKIDA(Gt, Vo)に話を聞いた。後半には、出演が決定した「SATANIC CARNIVAL 2022」への意気込みを聞こうとしたのだが……まさかのサプライズ発表となったその模様もお届け。
CDを買った人しか持てない特別感を作りたかった
──新作の前に、昨年リリースしたシングル「JET GET」「MAKE IT MAKE IT」の話から聞かせてください。この2作は、8cmシングルの形でリリースされましたが、これにはどういう意図があったのでしょうか?
YUSUKE HIKIDA(Gt, Vo):もともとシングルを作ろうとしていたわけじゃなかったんです。どういう形になるかわからないけどとにかく制作をしようと思っていて。そしたら出来上がった曲を聴いて、社長が「シングルにする?」って提案してくれました。それまでずっと僕たちはシングルとしてリリースできるような曲を作りたい、作らなきゃと思っていたので、社長にそう言われたときはめちゃくちゃうれしくて。
──しかも2枚ですもんね。
HIKIDA:そうなんです。で、僕はシングル2枚と聞いて、パッと90年代のダブルシングルが思い浮かんだんです。ダブルシングルって、ファンにとっては胸熱だったし、2枚がリンクしているのが面白かった。だから自分たちもせっかくだったらその2枚にギミックを入れたくて。アイデアの根本が90年代のダブルシングルだったから、8cmCDにしたいと言いました。
──反響はいかがでしたか?
EGACCHO(Vo):……様々でしたね(笑)。
HIKIDA:「わー! 懐かしい!」っていう人もいれば「何これ、知らない」という人もいたし、否定的な意見ももちろんありました。でも僕的には賛否両論あっていいというか、反響がデカいほうが面白いと思っていたのでよかったですね。
EGACCHO:周りのバンドマンからは「先やられたー」とか「おもろいな」って言われました。
HIKIDA:CDを出しても売れない時代だから、ただCDを出すだけじゃあまり意味がないと思うんですよ。サブスクで聴けるのにCDを買ってくれるなら、ちゃんとCDに音楽以外の価値をつけたいと思っていて。前作のシングル2枚と今作のジャケットを切ると1つの絵ができるというギミックを付けたんですけど、それも、CDを買った人しかこの構想に入れない。そのえこひいき感というか、特別感を持たせたかったから。「CDを買ったやつ」というコミュニティを作りたかった。僕、hideさんが好きなんですけど、hideさんってそういう遊び心にあふれたことをずっとやっていたんです。それに対してファンは「わぁ!」って感動して、「次はどんなことをしてくるんだろう」ってワクワクしていた。それに影響を受けているんだと思います。
「PARISLOTTE」を超える曲を
──先ほど「シングルとしてリリースできるような曲を作りたい」とおっしゃっていましたが、シングル級の曲を目指していたのはどうしてですか?
HIKIDA:俺たちの場合は「PARISLOTTE」(2015年リリースのアルバム「SHIMA ADDICTION」収録曲)がライブの代表曲なんですけど、代表曲に縛られていては、前にも上にも行けないじゃないですか。そのためにも代表曲を更新していかないといけない。社長にも「『PARISLOTTE』を超える曲を作らなきゃCD出さないぞ」と尻を叩かれていて。その呪縛に囚われすぎて、引っ張られすぎちゃった曲もあったし、スランプに陥った時期もあったんですけど、だんだん「ただただ、いい曲を作ろう」という感覚になっていって。そしたら「JET GET」と「MAKE IT MAKE IT」ができました。
──今回のアルバム「FLAKES」はそのときに作っていた曲が収録されているのでしょうか?
HIKIDA:いや、アルバム用に作った曲ですね。シングルの曲も収録されていますけど、それらを軽く超えるような曲が入っています。
──おお。
HIKIDA:だってシングルを持ってる人がいるわけだから、アルバムには、さらにとんでもない曲が入っていないと。
EGACCHO:本当にパーフェクトな、すげーアルバムができたと思っています。
──その手応えは、今までの作品とは違いますか?
EGACCHO:正直、マジで違います。めちゃくちゃいいアルバムだと思います。自分たちで作ったのに、このアルバム聴いて泣いたんですよ。今までにはない感情があるんやなって思いました。本当に手応えしかないですね。メンバー同士で「この曲聴きながら泣いてます」「サイコー」ってLINEしてますもん。
──HIKIDAさんは手応えとしてはいかがですか?
HIKIDA:同じく過去最高に手応えはあるし、同時に、制作は過去最高にキツかったです。飛び抜けてキツかったですね。
──どうしてキツかったんですか?
HIKIDA:何でだろう。自分の中での「いい曲」のハードルが上がったからかな。とにかく自分をめっちゃ追い込んで作った気がします。その結果、納得ができた作品ができましたけど。
「弱い部分もさらけ出せるって逆に強くね?」
──聴かせていただいて、これまでのSHIMAには珍しく真面目な曲というか、ストレートに想いを伝えるような曲が多いなという印象を受けました。
HIKIDA:はい。新しいチャレンジをしました。
──どうしてそういう曲を入れようと思ったのでしょうか?
HIKIDA:僕ら、バンドとして10年以上活動していて、結構長いんですけど、思ったような状況にいなくて。これだけやっても思ったところにいないということは、何かが足りないんだろうし、何かアクションを起こさないといけないと思った。その中のチャレンジの一つとして、「面白い」ではない武器というか引き出しを見つける必要があるんじゃないかと思ったんです。「SHIMAってこういうバンドでしょ」って思っている人たちをアッと言わせたかった。「ただ面白いだけのバンドだと思ってたけど、カッコいいんだね」って。ある種のイメチェンというか。今持っている武器を総動員して「これが今のSHIMAだ」って見せたかった。
──曲としては新しい一面ですが、ライブでは熱くて真面目なMCがあって、ライブでのSHIMAを知っていると、違和感はまったくないですもんね。
HIKIDA:そう。だから“面白い”だけで括られているのも違うなと思って、もっと素直に出してみた感じです。
──ストレートに歌うことに対して、気恥ずかしさみたいなものはなく?
EGACCHO:めちゃめちゃありましたよ。照れしかなかったです。でもヒッキーが今話したようなこと、「俺たちはこういうこともできるんだ」って証明したいという気持ちがあったし。あとは「JET GET」に入っている「倍音SUSTAIN RIOT」はヒッキーが作った曲なんですが、この曲を録っているときに「EGACCHO、こういう日本語の柔らかい感じハマるね」って言ってくれて。そういう言葉を信じて、自分も書いてみようと思えました。
──アルバムの収録曲で、EGACCHOさんが歌詞を書いた曲はありますか?
EGACCHO:「Tomorrow Song」とかはそうですね。俺、自分の弱いところは見せたくないタイプなんですけど、「弱い部分もさらけ出せるって逆に強くね?」と思ったら、自分の今の素直な感情を歌詞にできました。
HIKIDA:普段見せてない部分って、自信がない部分だったりすると思うんですけど、それを出せるってすごくカッコいいこと。EGACCHOが今回のアルバムで、今まで見せていなかった部分を見せたということは、そのぶん強くなっているということなんですよね。それに、今回SHIMAは “変わった”んじゃなくて、“デカくなってる”んだと俺は思っていて。このアルバムで、「まだまだ可能性があるんだぞ」ということが見せられたんじゃないかな。
──ちなみにEGACCHOさんが泣いた曲というのは?
EGACCHO:「Tomorrow Song」と「syasou」。「Tomorrow Song」はシングルのタイミングで録ったんですけど、帰りの車の中で泣いてました。「syasou」も録り終えて泣きました。
HIKIDA:「syasou」は僕が歌詞を書いているので、そのキャラクターの違いみたいなものも感じてもらえるとうれしいです。この曲、車の運転とかしながら聞くとエモい気持ちになるよね。
EGACCHO:うん。
HIKIDA:ツアーバンドの目線だからか、自分で書いておいて、自分でグッときますもん。
──「ツアーバンドの想いを歌っているんだろうな」と思いながら聴いていたのですが、バンドをやってない自分にも重なる部分がありました。
HIKIDA:うれしい。ライブに向かう車の中だったり、上京する電車の中だったり、聴いた人それぞれが自分に重ねて聴いてもらえたらうれしいです。&page:&
MOPPYはSHIMAの“ビッグボス”
──「面白い」と括られたくないというお話のあとに申し訳ないのですが……さすがに3曲目「MOPPY」に触れずにはいられなくて(笑)。これはレーベルの社長・MOPPYさんのことですよね?
EGACCHO・HIKIDA:そうです。
──SHIMAにとって、MOPPYさんはどんな存在ですか?
EGACCHO:“ビッグボス”です。歌にしやすい存在ですね。
HIKIDA:これまでにMOPPYさんから「こんな曲を書いてほしい」とお題をもらったことがあって。例えば「海苔が好きだから海苔の曲」とか(笑)。でも一度も実現したことがなくて。そうすると必然的に、頭の中がMOPPYさんでいっぱいになってくるわけですよ。で……「MOPPYさんの曲を作ろう」となりました(笑)。結局、僕はMOPPYさんに「いいね」「いい曲作ったじゃん」って言われたいんです。あとはやっぱりメンバーにもびっくりしてもらいたいというか、クスッと笑ってもらいたいという気持ちがあって。(EGACCHOのほうを向いて)この曲のリフ、MOPPYさんっぽくない?
EGACCHO:うん。すごくいいです。
HIKIDA:なんかブリッとしていて、MOPPYさんっぽくて気に入っています。歌詞はEGACCHOが。
EGACCHO:インタビュー的なことをして書きました。
──何を聞いたんですか?
EGACCHO:「プロレス好きですか?」とか。好きなものと嫌いなものを聞きました。
──「作詞のため」というのはご本人に言って?
EGACCHO:いいえ。
HIKIDA:だから「好きだけど、なんで?」って言われてました(笑)。
EGACCHO:「本音を探りたくて」って(笑)。
──そこで発見などはありましたか?
EGACCHO:いや……だいたい知ってることでした(笑)。
──出来上がった曲に対して、MOPPYさんからはどんな反応が?
EGACCHO:あんまり反応なかったですね。
HIKIDA:でも収録曲を決めるときに、この曲のこと「俺」って言っていました。「『M.a.D』と『俺』と~」って(笑)。SNSでも「SHIMAが俺のテーマ曲を作ってくれました」みたいなことを言ってくれていてうれしかったです。
替えのきかない“flake”が詰まった1枚に
──ツアーも控えていますし、リード曲「M.a.D」にも「Mosh and Dive」という言葉が出てきますけど、モッシュ&ダイブができない今のライブの状況は寂しいですか?
HIKIDA:うーん……、「変わっちゃった」とは思うよね。
EGACCHO:うん。でもライブが一切できなくなったあと、ひさしぶりにライブをやったら、やっぱり精神衛生上ライブはめっちゃいいなと思いました。それだけで解決するパワーが出てくるというか。マスクをしていても楽しそうにしているのもわかるようになってきたし、生きてるっていう実感が一番湧く。一緒に合唱したいという気持ちはもちろんありますけど、その場所にいるということがお客さんの意思表示なので。その上で楽しめることをマックスでできていると思うし。とにかく楽しいですね。
──それで言うと「Tomorrow Song」はイントロとアウトロがシンガロングで。こういう時代だからこそあえてなのかなと推測してしまいました。
HIKIDA:SHIMAってもともとシンガロング、ユニゾンが多いバンドで。あるときEGACCHOが「これってSHIMAの1個の強みっすよね」って言ったことで確信に変わったところがあって。だからあえてというよりかは、強みとして入れたという感じですかね。まあでも、合唱できたらいいですけどね。「MAKE IT MAKE IT」とかも。
EGACCHO:歌いたいですよね。みんなで歌える環境になったらどうなっちゃうんだろう。
HIKIDA:俺ら、ステージで泣いちゃうと思う。
EGACCHO:曲の良さがさらに増しそうですよね。
HIKIDA:逆に言うと、現状ではまだ完成してないってことだから。たくさん声が入って完成したものをいつか聴きたいですね。
──そんなアルバムにタイトル「FLAKES」と冠した想いを教えてください。
HIKIDA:メンバーそれぞれが、時間だったり、自分自身だったり、自分の人生だったりを削ってできたものがこのアルバムというイメージで。その一つひとつが替えのきかない貴重な“flake”なんですよね。そんなものたちが詰まったアルバムという意味で付けました。
──ツアーも「Flake of life TOUR」というタイトルで。
HIKIDA:はい。ツアーのタイトルも一本一本替えのきかない人生の“flake”だし、ライブに来てくれるお客さん一人一人の想いも大切な“flake”だと思っています。
「SATANIC CARNIVAL 2022」出演が決定
──そして……6月5日には「SATANIC CARNIVAL 2022」への出演が決定しました。
EGACCHO・HIKIDA:えー! マジ!?
──まさかメンバーさんに内緒にしているとは思わず、先ほどマネージャーさんに「メンバーにまだ内緒にしていて」と言われて私もびっくりしました(笑)。こんな形で出演をサプライズで発表する形になってすみません(笑)。
EGACCHO:マジですか……すごい!
HIKIDA:よろしくお願いします!
──SHIMAが「SATANIC CARNIVAL」に出演するのは、2015年のオープニングアクト以来となりますね。
EGACCHO:大型フェスに出たのが初めてだったので、2015年のサタニックはめちゃめちゃ印象的でした。SEが始まってステージに出たときの「うおー!」っていう声とか、目の前の人の多さとか。足がすくんでしまいそうなくらいでしたが、めちゃめちゃ楽しんでやれました。でも「今思えばもっとこうできたな」という気持ちもあって、ずっとまた出たいと思っていたので……めっちゃうれしいです。当日はこの喜びを爆発させたいです。
HIKIDA:すごい景色で、僕ライブ中に泣いちゃったんですよ。ちょうど僕が歌う曲だったのかな。僕が歌っているのに対して、とんでもない人数がダイブしてくる光景がたまらなくて。わけのわからない感情の涙を流しながらライブをしたのを覚えています。当時は無我夢中という感じだったので、今年は成長できた姿を見せられたらいいなと思ってます。オープニングアクトで出てからは出られない年が続いていたので観に行っても悔しい気持ちがあって。「俺たちのオープニングアクトはダメだったのか」って。
EGACCHO:その間も「見てくれたんやな」って、今すごくうれしいです。
HIKIDA:今の俺たちはマジでヤバイんで、満を持して出演させてもらいます!
SHIMA『FLAKES』
1. Destruction is the Answer
2. JET GET
3. MOPPY
4. ISHITA
5. BREAK
6. M.a.D
7. メッセージ
8. Sleepless Night
9. MAKE IT MAKE IT
10. medicine
11. 倍音 SUSTAIN RIOT
12. syasou
13. Tomorrow Song
SHIMA「Flake of life TOUR」
日程:2022年5月14日(土)
会場:愛知県 名古屋RAD HALL
日程:2022年5月15日(日)
会場:兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
日程:2022年5月20日(金)
会場:岡山県 CRAZYMAMA 2ndRoom
日程:2022年5月21日(土)
会場:三重県 MUSIC SPACE 鈴鹿ANSWER
日程:2022年6月18日(土)
会場:青森県 八戸 FOR ME
日程:2022年6月19日(日)
会場:秋田県 Club SWINDLE
日程:2022年6月21日(火)
会場:山形県 酒田hope
日程:2022年6月22日(水)
会場:宮城県 仙台MACANA
日程:2022年6月24日(金)
会場:埼玉県 越谷 EasyGoings
日程:2022年7月1日(金)
会場:山口県 LIVE rise SHUNAN
日程:2022年7月2日(土)
会場:佐賀県 LIVE HOUSE GEILS
日程:2022年7月18日(月・祝)
会場:石川県 金沢vanvanV4
日程:2022年7月23日(土)
会場:北海道 CASINO DRIVE
日程:2022年7月24日(日)
会場:北海道 Bessie Hall
日程:2022年7月27日(水)
会場:岩手県 the five morioka
日程:2022年7月31日(日)
会場:茨城県 mito LIGHT HOUSE
日程:2022年8月4日(木)
会場:長崎県 Studio Do!
日程:2022年8月6日(土)
会場:熊本県 Django
日程:2022年8月7日(日)
会場:福岡県 小倉FUSE
日程:2022年8月10日(水)
会場:岐阜県 柳ヶ瀬ants
日程:2022年8月13日(土)
会場:長野県 長野Live House J
日程:2022年8月14日(日)
会場:新潟県 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
日程:2022年8月16日(火)
会場:愛知県 club KNOT
日程:2022年8月18日(木)
会場:千葉県 LOOK
日程:2022年8月19日(金)
会場:福島県 OUT LINE
日程:2022年9月3日(土)
会場:山梨県 甲府KAZOO HALL
日程:2022年9月4日(日)
会場:静岡県 Shizuoka UMBER
日程:2022年9月9日(金)
会場:京都府 KYOTO MUSE
日程:2022年9月22日(木)
会場:鹿児島県 SR Hall
日程:2022年9月24日(土)
会場:宮崎県 LAZARUS
日程:2022年9月25日(日)
会場:大分県 clubSPOT
日程:2022年10月1日(土)
会場:栃木県 HEAVEN'S ROCK 宇都宮 VJ-2
日程:2022年10月2日(日)
会場:神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
日程:2022年10月8日(土)
会場:香川県 高松DIME
日程:2022年10月10日(月・祝)
会場:愛媛県 松山Double-u Studio
日程:2022年10月22日(土)
会場:広島県 ALMIGHTY
日程:2022年10月23日(日)
会場:島根県 出雲APOLLO
【FINAL SIREAS】
日程:2022年11月3日(水・祝)
会場:東京都 SHIBUYA CLUB QUATTRO
日程:2022年11月20日(日)
会場:大阪府 UMEDA CLUB QUATTRO
日程:2022年11月23日(水・祝)
会場:福岡県 BEAT STATION