INTERVIEW

Dizzy Sunfist "PUNK ROCK PRINCESS" INTERVIEW!!

photograph by Yuki Ohashi、text by Kosuke Kuroki、Edit by Teneight

 

ミニアルバム『PUNK ROCK PRINCESS』をリリースしたDizzy Sunfist。新メンバーにメイ子(Ba./Cho.)を迎えて初リリースとなった今作は、バンドの新スタートを切る作品に仕上がっている。Dizzy Sunfistらしいメロディックハードコアパンク全開なサウンドであるのはもちろんなのだが、初めての日本詞にチャレンジした楽曲など、これまでにないアプローチを込めたバラエティ豊かな作品に仕上がっている。タイトルにある”パンクロックプリンセス”の意味は何か?  またこのミニアルバムはバンドにとって、どんな作品になったのか?

 

左から、メイ子(Ba./Cho.) あやぺた(Vo./Gt.) moAi(Dr./Cho.)

 

“もう1度シーンやカルチャーを盛り上げたい”

ーコロナが明けてから初のミニアルバムリリースとなりました。

あやぺた:激動のコロナ禍を経て、やっとみんなで足並み揃えて楽しめるような状況になったと思います。この作品で新たに出会う人もいると思うし、また1からみんなでライブハウスやメロディックパンクというカルチャーを築き上げていきたいという気持ちが強いです。誰も置き去りにせずに、みんなで作り上げたいですね。

 

メイ子:今作はいい曲がたくさんできたし、今の3人が最強やと思っています。あやぺたが言った通り、ライブハウスから離れてしまった人もいると思うけど、同時にこれから出会う人もいるはずです。そんな中で、新しい出会いを作るキッカケのような作品になっていると思いますね。この作品を3人で日本中に広げていきたいです。

 

moAi:コロナ禍でライブ活動が止まっていたり、メンバーの脱退や加入に、あやぺたの妊娠があったりと、本当に激動の4年になりました。そういう中でも今回のリリースは、コロナ禍が明けて、ライブハウスやバンドシーンが再開する中で、メイ子と初めて制作した作品なので、改めてスタート地点に立ったかなと思いますし、いろんな人と再スタートしたいなって気持ちです。

 

 

ー2014年にリリースされたミニアルバム同様、プロデューサーにHEY-SMITHの猪狩秀平氏(Gt./Vo.) ​を迎えていますが、前回から変化した部分はありますか?

あやぺた:前回はサウンドだけのプロデュースだったんですけど、今回はすべてに携わってもらいました。当時と比べると作曲面でやっぱりハードルが高くなりましたね。

 

moAi:当時は右も左も分からないような状態でしたし、経験値も圧倒的に乏しかったので。

 

あやぺた:バンドとして色々な経験を経てきた今やからこそ、もう1回猪狩さんとやってみたいと思って、オファーしたんですよ。

 

ーサウンド面での変化というと、どういう点が挙げられますか?

moAi:『このバンドのあの音を取り入れてみたい』っていうニュアンスを、自分たちのサウンドにうまく落とし込むようにレコーディングのときに意識しましたね。

 

あやぺた:ギターを重厚なサウンドにしたりとか、けど音像的には歌とドラムが目立つようにしていて、そういう細部を意識して制作できたので、レコーディングも楽しかったです。

 

メイ子:私は猪狩さんとのレコーディングは初やったんですけど、ベースを何本か持っていって、最終的に普段から使っているベースの音が良いって言ってもらえたのが嬉しかったですね。自分が好きな音で、イメージ通りに作り込めたかなと思います。

 

 

“今までにないアプローチを込めたミニアルバム”

 

ー1曲目の「Going Psycho」はかなり疾走感のあるベースから始まっていて、バンドらしさを顕著に感じました。

あやぺた:それは意識した部分でもあって、以前から王道のメロディックパンクな1曲が欲しいと思っていたので、ほんまにそのままの曲ができましたね。Phycoは”狂った”って意味ですけど、音だけを捉えると”サイコウ!(最高!)”に聞こえるじゃないですか。なので、そこを掛け合わせたタイトルにしました。

 

ーそういう意味があったんですね。表題曲の「Punk Rock Princess」には何か意味はあるんですか?

あやぺた:この曲はAvril Lavigneのライブに行った後にできたんですよ。私は、昔からAvril Lavigneが大好きで、彼女から生きていく糧や元気をもらっていたので、普段の生活で辛いことや苦しいことがあっても、頑張ろうと思ってもらえるような存在になりたいっていう気持ちを込めて作った曲ですね。

 

ー一方で、バンド史上初となる日本詞の「そばにいてよ」は新鮮でした。これは恋愛の曲ですか?

あやぺた:実はずっと日本詞は書いていたんです。これまでは結構ボツになることが多かったんですけど、何曲も作ってみたうえで唯一生き残ったのがこの曲でした(笑)。以前から猪狩さんに「日本詞をやってみてもいいんちゃう?」とは言われていて、猪狩さんと一緒に制作できるタイミングで挑戦したんです。

 

moAi:これ、恋愛じゃなくて犬の曲らしいんですよ。

 

あやぺた:そうなんです、犬の曲なんですよ。まあ恋愛に近いんですけど、亡くなった犬のことを歌った曲で。

 

moAi:今のところ、犬の曲って言ってるのあやぺただけやけど、これ最初に聞いた人どう思ってるんやろうな(笑)。

 

ーなるほど。4曲目の「Yesterday」はどこか西海岸を彷彿させるような印象でした。

moAi:西海岸のイメージは意識していますね。意外と今までこういう雰囲気の曲はやっていなかったので、レコーディングで合わせるのは難しかったです。

 

あやぺた:この曲と「Going Psycho」は最初からの構想がバチっとハマったと思います。「Yesterday」は、今までにないような、早くもなく遅くもない絶妙なテンポ感で難しかったですね。これからいっぱい練習します(笑)。

 

ー「Carry On」もハモリが多くて、レコーディングは大変だったんじゃないですか?

あやぺた:そうですね。とにかく難しい楽曲でめっちゃ練習しています。それにmoAiとメイ子の2人でハモって歌うっていうのは今までにない慣れない部分だったので、特に大変でした。

 

メイ子:私はレコーディングの歌録りは1発でオッケーもらいました。ただYouTubeでも公開されているように、足りない部分をビシッと伝えられて、泣きそうになるシーンもあったんですけどね(笑)。

 

あやぺた:それがこのレコーディングで1番熱いシーンやったやん。

 

メイ子:悔しくて泣きそうだったけど、泣いたらアカンと思って、猪狩さんが出て行った瞬間にトイレに泣きに行きました(笑)。

 

あやぺた:前回は私が泣いたので、毎回1人ずつ泣いていくっていう。

 

moAi:あやぺたが泣いた理由もよく分からないんですけどね。前回のレコーディングのときに、「歌録りのタイミングやから食べたらアカンで」って言われていた差し入れのケーキをこっそり食べて怒られて泣くっていう(笑)。

 

あやぺた:差し入れてくれた人に失礼かなと思ってん!(笑)

 

moAi:メイ子と同じエピソードみたいになってるけど、全然ちゃうからな。

 

ー6曲目「Decided」はいかがですか?

あやぺた:これはTVアニメ「マイホームヒーロー」のエンディングテーマでもありますね。

 

moAi:これは元々あった楽曲で、いつかカタチにしたいと思っていた曲なんですけど、アレンジを猪狩さんと詰めて洗練された仕上がりになったと思います。メンバーと話し合って、イメージ的にも、この楽曲がこの作品のラストを飾るのにふさわしいと思って追加した曲です。

 

 

ーでは最後に。今作のツアーも決まっていますが、意気込みを教えてください。

あやぺた:やっぱり自由なライブハウスが戻ってきたからこそ、それぞれの思いも尊重して自由に楽しみたいですね。最高のみんなが最高と思えるような空間を作れるようなツアーにしたいです。あと練習、頑張ります!(笑)。

 

メイ子:難しい楽曲も多いし課題というか挑戦することも多い作品になりました。その分、これから色んな表情のDizzy Sunfistを見せられると思うので純粋に楽しみです。

 

moAi:ツアーは全部で20本以上あるんですけど、規制緩和してからの初ツアーなので、どんな感じになるのか分からないですが、とにかく、ライブハウスにいるみんなで一緒にライブを作り上げたいです。

 

 

Dizzy Sunfist

ミニアルバム『PUNK ROCK PRINCESS』

01.Going Phycho

02.Punk Rock Princess

03.そばにいてよ

04.Yesterday

05.Carry On

06.Decided(TVアニメ「マイホームヒーロー」エンディングテーマ)

 

 

Dizzy Sunfist Official Web Site

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