LIVE REPORT

Report by SUNEO
Photo by 岩渕直人

2023.5.11 ＠Zepp Shinjuku
“Intergalactic Tour FINAL”

 

全国３７ヵ所を巡ったツアーもZepp Shinjukuにてツアーファイナルを迎えるdustbox。しかも、流行り病が5/8を境に５類へと移行し、オフィシャルとしても色々と解放された状況下でのライブ。期待しかないに決まってる。ライブハウスシーンと大きく括るには難があるかもしれないが、24年のキャリアを持つdustboxがこの環境下で見せてくれるライブが、今後のライブハウスシーンの指針になっていくことは容易に想像できる。もちろん、本人たちはそんなことを全く思っていないと思うが（いい意味で）。

Intergalacticの1曲目である”Vortex Of Light”流れると、アルバムのジャケットがステージいっぱいのスクリーンに映し出されると、今日までのツアーの模様が次々と流れ、オーディエンスの期待も膨らんでいく。”Emotions”のリフが始まるとSUGA（Vo/Gt）がピンスポで抜かれ、フロアからリフに合わせて、OiOiとコールが起こる。自由に声を出せる当たり前を取り戻したように思えて、ボク自身がエモい感情になったのは別のお話。

SUGAの「自由に思っ切りいこうぜー！」からそのまま”Not Over”、"Riot"へ。オーディエンスによるコーラスも完璧。”Sparks”の歌詞にある「踏みにじられても」が日本語だからか何だかすごく胸に飛び込んできて、熱い感情になったのは２階で見てたボクなんかより、フロアのオーディエンスの方がよっぽど、だろう。バッシ！バシ！にクラウドサーフは起こり続けているのがその証明だ。

MCになると変わらずの、dustboxへの野次。野次と言っては失礼かな。愛のあるキャッチボールが始まる。「最高すぎる。ありがとう。今日は出し切った方がいいよね？」と、JOJI(Ba/Vo)。オーディエンスからの「携帯落としたー！」に「落ちた携帯はステージに置いておくので、音が鳴ったら取りに来てください」と粋な返し、フロアも沸く（笑）。「いつも通りやるんで」というSUGAの言葉が、このツアーで『いつも通り』を貫いてきたdustboxの全てを表してるようにも感じられた。”Try My Luck””Don’t Call Me An Average Guy”ではオーディエンスも大いに歌い、モッシュも多発。”Still Believing””Hole”を続け様に投下し、ボルテージを一気に上げるように階段を一気に上がったところで、一瞬の間から”Right Now”へ。この極上のアクセント（間）は２４年のキャリアがなせる技。ライブへの没入感、醍醐味は大きな演出じゃなくて、この呼吸なのかもしれない。フロアの密集度がさらに増した状態でのクラウドサーフは２階から見ていても安心感がある。「これこそ！」というライブハウスの景色が広がっている。

一息つく間もなく、ずっと野次（笑）。「疲れてるんじゃないよ！緊張してるんだよ！」とJOJIが返すと笑いが起こる。厳しい状況下の中、長いツアーをともに完走してくれたオーディエンスを労う言葉をかけたSUGAだが、ファイナルだし、お客さんのリクエスト曲に応えてやってみようと思い立ち、TWITTERで募ったところ、意見がバラバラすぎて、どの曲を演奏するか悩んだと吐露。それもそのはず、アルバム10枚もリリースしているのだから。JOJIの「緊張している」はきっと昔の曲をちゃんと演奏できるか？という不安から来ているのだと察しがつく。JOJIの「おおめに見てよ」から”Dreams Are Reality”、そのままディレイの残響から”Wall Of Ice”へ。暗転から、ギターのアルペジオが印象的な2004年リリースEP"triangle"収録の”Next Story”を演奏。フロアにニョキニョキとリフトが持ち上がる光景も久しぶりに見えた。

来年が25周年であることを告げる。中学校から仲良しでここまでやってきたフロント二人の思い出話に花が咲く。中学校からイキりまくっていたとのことだが、卒業アルバムをアー写にしようとの案もでつつ、「イキっていきましょ！」とSUGAがまとめると”Sunburst”を投下、「俺たちの旅はまだまだ終わらない！」と咆哮し”Bird Of Passage”へ。フロアのイキり具合も素晴らしいものだった（笑）。それを目を細めながら笑顔で見ていたSUGAは「最高ですね、、、このまま明日の朝まで踊りたい！って曲」と”Dance Until Morning”を演奏し、ミラーボールも回ってダンスフロアにしたかと思えば、その流れのまま”Chocoholic”で多幸感のあるフロアにしたかと思えば、”Summer To Remember”でしっとりと聴かせた。あらゆる感情を表現できて、それがそれぞれの場所にあるんじゃなくて、いつも近くでその人の側にある。そういった音楽をdustboxは鳴らしているんだなと思った。心象風景はコード感に現れるなんて人もいるが、ボクはリズムも大切だと思っているタイプで、そういった視点でいくとYU-KI（Dr）のドラミングは素晴らしい。感情に寄り添っているドラムって言えばいいのか？メロディックパンクではなかなかいないと思ってる。

ライブも終盤戦。MCも締めくくりに入る。SUGA「最高のツアーファイナルです。」対バンで回った本ツアーの意味を噛み締めながら語る。「音楽ってなんだろう？と迷っちゃう時もあった。」それでも、各地でツアーを共にした対バンたちにその意味や価値を見出し、結果的に支えられてきた、と。24年を経ても全然上手くならないMC（SUGA本人談）であったかもしれないが、その真意はきっとオーディエンスには伝わっていると思う。そうでなければ、こんなに求心力のあるバンドにはなっていないはずだ。37本という長いツアーを一本も飛ばすことなく、完走した奇跡に”Here Comes A Miracle”を演奏。メンバーがコーラスを歌わなくてもいいくらい、オーディエンスが歌う。”Hurdle Race”からの”Smash The Crown”では、SHADOWSからKAZUKI(Gt)とHAYATO（Ba）が参加し、SUGA、JOJIがステージを縦横無尽に動き回り、無双状態に。「今日集まった人に送ります。」と”Tomorrow”で大合唱を起こし、”Unnamed Song”で本編を締めた。

ONE MORE!の声はすぐに上がり始める。その声に呼び寄せられるようにSUGAがアコギを持って登場。「さて、この時間がやって参りました。」とツアーで恒例化したのであろうアコースティック”Strawberry”の練習へ。「Lets laugh everything away.」＝（全てのことを笑い飛ばそう）を「th」の発音を特に注意しながら行なった為か、本番の”Strawberry”ではオーディエンスの追っかけるコーラスもバッチリで、SUGAも「100点です！」と、太鼓判を押した。JOJIとYU-KIがゆっくり戻ると、アコースティックを引きずってか、”Unnamed Song”をJOJIがしっとり歌う事態に。本人は「気持ちいいー！」とのこと。"My Life Without You"から次曲へスムーズに繋がるかと思いきや、ここにきてSUGAの痛恨のミス！（おそらく曲順）によって、JOJIより注意を受け笑いを誘った。無事に（？）”Bitter Sweet”を演奏し、HEY-SMITHよりイイカワケン（Tp）を呼び込み”Jupiter”を投下し、アンコールも最高潮で締まった。のではなく、、、
「これじゃ終われねー！」とアンコール延長戦へ。Dizzy Sunfistからメイ子（Ba）が登場し、バイクを盗まれた曲”Neo Chavez 400”を演奏すると、JESSE（The BONEZ/Vo）がコーラスに登場し、そのままステージダイブをかまして去っていった。MCでも言っていた仲間が多く集まったファイナルらしい光景だった。”Just One Minute”を最後に投下して、「幸せなツアーでした。」と締め括った。思えば、ワンマンなはずなのに、来場したバンドマンの多さは凄かった。オーディエンスや対バンをした仲間がここに存在することで、ライブをやる意味、音楽を鳴らし続ける意味を改めて、感じさせてもらえるファイナルだったのかなと思う。SUGAは最後にJOJIに押されて、ステージダイブをさせられたりして、締まるに締まらない最後だったが、、、締めない、続いていくライブ、という意味で深読みしたら、きっとそれも正解だろう。

締めなかった分、来年の25周年は何をしてくれるのだろうと期待しかしてない（いい意味で）。

 

[SET LIST]
SE Vortex Of Light

01 Emotions
02 Not Over
03 Riot
04 Sparks

05 Try My Luck
06 Don’t Call Me An Average Guy
07 Still Believing
08 Hole
09 Right Now

10 Dreams Are Reality
11 Wall Of Ice
12 Next Story

13 Sunburst
14 Bird Of Passage
15 Dance Until Morning
16 Chocoholic

17 Summer To Remember

18 Here Comes A Miracle
19 Hurdle Race
20 Smash The Crown
21 Tomorrow
22 Unnamed Song

En1S trawberry
En2 My Life Without You
En3 Bitter Sweet
En4 Jupiter

En5 Neo Chavez 400
En6 Just One Minute

 

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