w.o.d. "STARS" INTERVIEW!!
Intervew by SUNEO
Photo by 小杉歩
グランジ、オルタナ、、そこにきて一発録り、、日本では時代錯誤と言われてしまいそうなジャンルや手法を昇華し、ロックの王道の風格まで纏い始めたw.o.d.。流行病の影響下で封鎖的だったシーンの中で着実に牙を研ぎ続けた彼らが、直近の前作「My Generation」では、プロデューサーに中野雅之(THE SPELLBOUND、BOOM BOOM SATELLITES)を招き、新時代ロックシーンの騎手となるべく、自身の新たなフェーズを切り拓いたことも記憶に新しい。7/9にデジタルリリースされる新曲「STARS」が、全世界的に人気を博すTV アニメ「BLEACH 千年血戦篇」オープニングテーマに抜擢された。「時代が追い付いてきた」と安易に語るには、あまりも表層的。もう少し奥まで覗きたくて、彼らの楽曲制作についてインタビューを行なった。
絶滅危惧種か。/ 元良
『BLEACH 千年血戦篇-訣別譚-』のオープニングテーマに抜擢ですが、『BLEACH』はご覧になられてましたか?
サイトウタクヤ(Vo./Gt.)以下 サイトウ:子供の頃、普通にリアルタイムで放送されていたので、観てました。今、29歳なので、ほんまに小っちゃい時、一番漫画とかアニメにハマっていた年代に観てました。『BLEACH』に出てくる技、全部カッコいいと思ってましたもん(笑)。
一同:爆笑
中島元良(Dr.)以下 元良:今でもかっこいいと思ってるでしょ?
サイトウ:思ってるよ!10年ぶりにアニメとして放送されることになったみたいで。その最終章が、今の技術でがっつりアニメ化されるってことで、(w.o.d.と)同じくらいの世代から、おっちゃんおばちゃんくらいの人たちが「おっ!」となっていると思いますね。
元良:僕は原作(漫画)ファンでもあります。全部、ジャンプで読んでいました。
Ken Mackay(Ba.)以下 Ken:俺は、昨日初めてジャンプ買いました。
えっ!
サイトウ:今週のジャンプに「STARS」のことが掲載されてるんで、みんな買いましたね。
『BLEACH 千年血戦篇-訣別譚-』のオープニングに起用されると決まったタイミングは、どんなタイミングだったんですか?デモを送ってなのか、アーティストとして選定されてから作品に寄せた楽曲制作をしたのか。
サイトウ:「STARS」のデモ、、原曲を送って、ですね。
元良:後から知ったのですが、原作者の久保帯人先生が、前々からw.o.d.を知っていてくれたみたいで。送ったデモ音源をスタッフ皆さんが聴いてくれて、決まりましたね。ロック大好きだそうですよ。
デモでの採用とのことで、デモを送ってから、『BLEACH』に寄せたアレンジとかされましたか?
サイトウ:いつも通り、締切がしっかりあったんで、パッとデモを作って、そこから改良していって、、、最初出した(提出した)ときと、歌詞は違ったと思いますね。メロディもちょっと違いましたね、確か。ほんのりですけど。ココをこうしてくれ!みたいなオーダーは特になくて、「頭のイントロのインパクトがもう少しあれば」というリクエストがあったくらいですかね。
Ken:ほんと、それくらいだったね。
サイトウ:歌うのしんどいから、キー下げて送ってみたら「前の方が良かった」とかは言われたりしました(笑)。
一同:爆笑
サイトウ:わかりました!って言って、元のキーに戻しましたね(笑)。
元良:キー下げた雰囲気も好きだったけどね。
サイトウ:アレはアレでね(かっこよかった)。ただ、勢いが欲しかった、、、「勢い、くれ!」って感じの要望だったので、キーは上がりました(笑)。
元良:アニメのオープニングらしく、というのもあったと思いますね。
楽曲制作の工程は、どう進めていったのですか?サイトウさんがある程度仕上げたデモを持って、各々アレンジするとかですか?前作のアルバム「感情」は一発録りだとうかがっていて、そこまでの過程も気になってます。
サイトウ:ドラム、ベース、ギターで成り立つデモを最初に俺が作っていくんですけど、プレイによって変わるじゃないですか?同じフレーズでも、同じ音ではないというか。3人で演奏した時にどうなるんやろなー?って想像しながら一応作ってはいるんですが、曲を詰める時には、ガッツリ変わることもありますよ。ドラムのパターンや、ベースのフレーズはどんどん変えていく時もあるし、戻ることもあります。今回は89秒っていう縛り(オープニング楽曲として使用する尺)もあったので、楽曲の構成とテンポは決めて、バンドで合わせていく中で、演奏のニュアンスやったりとか、フレーズやったりとかは各々持ち寄ったり、何度も何度もバンドでプレイしく中で、w.o.d.っぽくなっていくっていう感じですかね。
それでも、頭のリフは「(もっと)勢いをくれ」という要望が?
サイトウ:当初、結構渋いリフで、ベースリフみたいなのにしてたんですよ、たぶん。(最終、楽曲に使用したリフみたいに)突っ込んだリフではなくて、渋いベースで。それもカッコよかったんで、曲中に採用して、頭のリフは、年末に実家の部屋で考え直しましたね(笑)。ピグノーズっていうミニギターがあるんですよ、ボディにスピーカーがついてる。電池が9Vのやつで、入れたら歪む(ギターで)。アメ車みたいなファイヤーパターンが描いてある(笑)緑のピグノーズが実家にあったんで、それを使って、9Vの電池は新しいのがなくてあるものを使ってやったら、激歪みで(笑)。その激歪みで、頭のリフを(デモ用に)録り直しましたね。それが勢いがあって(笑)、採用されました。
アレンジなどする場合、デジタルが普及して、音源データのやりとりで完結させるケースもありますが、w.o.d.はどうですか?
サイトウ:俺からデモを2人に送るとかはあるけど。。。w.o.d.はスタジオでマイクを立てて、それぞれの楽器を録るんで、それを整えて送って、聴いて、意見出し合って、またスタジオ入って(録る)、っていうのをやりはするんですが、データを送ってデータ上で修正し合うってことはないですね。
現代では珍しいですね。ソリッドなロックを体現しているバンドは稀有な存在で、w.o.d.はそのカテゴリーにいるかなと思ってます。
元良:絶滅危惧種か。
絶滅危惧種、、、正に、そうですね。(楽器の鳴りやニュアンスなど)ライブを想定してその過程を選んでいて、それしかしたくない!みたいな心持ちだったりしますか?
サイトウ:基本、3つの楽器と、ボーカル、コーラスで成立させたいな、というこだわりはあって。デモの方が良い時ってのもあるんですよね。スタジオで音被りとかもある中でギターアンプ、ベースアンプ、ドラムにはマイク2本立てて、デモを録るんですけど、その時の音に、お金掛けてセパレートで録った音が勝てない時が多々あるんですよね。やっぱ、(音源より)ライブの方がいいってよくあるじゃないですか。自分たちがしっくりくるのが、このやり方なのかな、と思ってます。グリッドに合わせた演奏とかも、それはそれの良さがあるけど、(w.o.d.には)それがあんまり合ってない。俺らに、単純に。
元良:PCでドラム打ち込んでって人たちもいますけど、スタジオでお互いの演奏聴きながら、ニュアンス感じ取りながら、やった方が良いですね(w.o.d.は)。(音の)パズルじゃないんで。
Ken:1stから一発録りでやってきて、最近、クリックに合わせて、とかもやり始めたけど、一発録りのよさを俺らは知ってるんで。
サイトウ:最近、スタジオ変えたりとかして。アンプだけ別の部屋で鳴らしたりとか、リアンプとかもしたりとか良いスタジオでも録ったりしたんですけど、やっぱり同じ部屋で一発録りした時の音の感じとかに比べて、物足りなく感じるというか。
Ken:空気感だよね、、
サイトウ:空気感や熱量みたいなのが感じにくくなるんですよね。
元良:エネルギーが入っていかないよね。
Ken:マイク被りとかも良しとしてるんで。むしろ、あった方が俺らっぽい音になるというか。そういう部分は大切にしなあかんなと思ったり。
サイトウ:単純に、そっちの方が好きというか、音いいなって思っちゃうよな。スタジオで録った音を自宅に持ち帰って弄ったり、考えたりもするんですけど、机上の空論というか、、、実が伴ってない気がするんですよね。結局、スタジオでみんなで合わせないと分かんないですよね。(w.o.d.は)そっちの方が早い(笑)っていうのもあるよね、ずっとそれでやってきてるから。データでやりとりしてたら、「そういうことじゃない」ってお互いなりそう(笑)。
元良:スタジオで、ここはこういうイメージとか言ってもらえた方がインスピレーション浮かんだりするよね。3人で「こういうのがやりたい」とか曲聴いたりしてた方が良いフレーズ出てくるし。
本質以外のノイズを取り除いていった方が残るというか / サイトウ
今回の「STARS」では、リファレンスになるような楽曲って、何か存在してました?
サイトウ:部分、部分はありますけど。
元良:AメロはBloc Partyみたいにしようとか言ってたけど、結局、そうはならなかった(笑)。
サイトウ:そうそう(笑)。イメージ通りにならないことも結構あります(笑)。Pixiesのフレーズを参考にしたりもしましたし。Bメロとかイントロとか、、、そういう感じですね。ドラムはそういった感じでアレンジを加えてますけど、ベースやギターはデモから大きく変わってることはないですね。ストレートな楽曲になったので、リズムにフックというか、そういうものが欲しくて、みんな大好きQueens of the Stone AgeやFoo Fightersがやるような、絶対おんなじパターンで「食う」みたいなやつは入れたけど、それくらいですかね。
Ken:あとは『BLEACH』のイメージは、どことなく反映されてますね。
サイトウ:無意識的に。なんとなくイメージできる『BLEACH』の映像を持ちながらやってた気はしますね。それと、、、いろんなことやってみるんですけど、趣味じゃないことやると、やっぱり恥ずかしい(笑)。「このフレーズなんか恥ずかしわ~」(笑)が結構よくあるんで。
元良:似合ってる、似合ってない、は大事な気がしますけどね。バンドにとって。自分たちの演奏やスタイルに現れるというか。
サイトウ:元良くんにそんなにシンバル叩いて欲しくないとか(笑)。叩く姿もダサくあって欲しくない。(演奏している)姿がダサいから、そのフレーズやめようとかもある(笑)。
一同:爆笑
サイトウ:ギターもベースもありますね。(フレーズ)そんなに動くなよ、とか。
Ken:ステイした方がカッコいいんじゃない?とか。
元良:冗談みたいに言ってますけど、曲に説得力があるように構築はしてますね。「STARS」ではサビの頭にクラッシュシンバル入れてないんですけど、入れた状態入れてない状態で歌も乗せて聴いてみて、どっちの方が「グッ」とくるかで決めました。
サイトウ:ほんと、そういう感じですね。3つの楽器で必要最低限。アレンジって、細かくすればするほど安っぽくなるというか、強度が欠けてくるというか。。。シンプルにした方が長いこと聴けるし、ストレートじゃないですか。単純に。グッと入ってくるというか。「真摯さ」というか。手数が増えたり、色々と重ねることも悪くないんだけど、その本人のポリシーでやってたらいいんですけど、俺らのポリシー的に、シンプルだったりとか、ここのシンバル1音入るのか入らないのかとか、コードは動くけどベースは動くのか動かないのかとか、そういう判断を自分たちのポリシーでやるのが、結果、曲の説得力とか曲の誠実さとかに変わっていくと思うんで。単純な趣味もあるけど、そういう部分も大切にしてます。
王道のロックサウンドを突き詰めつつも、現代の音楽アプローチに近い感性が混在してる気もします。今は、なるべく音を減らして、なんだったらコード感すら余計だ、みたいな風潮もあって。シンプルさ=ソリッド、現代的と捉えられる部分もありますし。ロックの浮き沈みの波線があって、そこに現代的な音楽アプローチの曲線が交差した、みたいな感覚もあります。
元良:好きな音楽が、その時代(王道ロックサウンドの隆盛期)なだけで、(現代的にしていこうということは)特に意識はしてないですね。
サイトウ:映画とかでも演出を派手にやるか、シンプルにやるか、色々あると思うんですけど。別に嫌いじゃないけど、すごいエンタメな演出もあるじゃないですか。?もうバラエティ番組見てるみたいな(笑)気持ちになる映画もあったりするというか。効果的ではあるだけど、伝えたいことが本質の方ではなくて、演出の方にあるというか。結果、俺の記憶にはそういう映画は残らへんというか。本質的なことを伝えようと、必死になると、そういう(過度な)演出って出来なくなると思うんですよね。自ずとシンプルになるというか。本質以外のノイズを取り除いていった方が、(心に)残るというか、そういうことがしたいんやと思います。
ラジオ、直近のもの聴かせてもらったんですが、「演出をバカにしない」??みたいなこと、言ってませんでしたか??
サイトウ:あ、そうです!そもそも、自分らが演出をしてるってことに気がついてなかったんですよ。
元良:「演出をしない」って、演出ね。
サイトウ:今までは演出しないことが正義だと思ってたんですけど、そもそもロックバンドって演出があって、ライブハウスって演出があって、なんなら俺ら音デカいし(笑)、それもそっちの演出やん!ってことに気付いたというか。アレンジと演出って近しいと思うんですけど、自分らの音や活動に、自覚的になって気付いていけたらいいなって思ってます、作る中で。無意識的にやってたことが、解るようになってきたというか。無意識でやってた方がかっこいいとは思うんですけど、やってく中で絶対、意識的にはなっちゃうじゃないですか(笑)、、、成長、、、してます(笑)。
一同:爆笑
8月にワンマンライブが控えてますね。
サイトウ:夏にやるワンマン2本に関しては、音が良いデカいとこでやろうぜ、っていうテーマで。しばらくやってなかったんですよね、ワンマン。これも、、演出の話になるんですけど、、もっと無意識的にやってたんです。セットリスト組むのも、曲間とか、曲の並びとか、照明どうするとか。個人的な趣味で言うと、The Strokesみたいに1曲1曲、曲も繋がずにやっていくのが好きやったりするんですけど。w.o.d.として意識的にやって、w.o.d.っぽく、かっこいいライブをどう演出ができるかな、って考えてますね。ガチっと固めたライブをみんなに届けられたらと思ってます。
ラジオからの続きで、今年の抱負、聞かせてもらってもいいですか?
サイトウ:(SPARK!!SOUND!!SHOW!!の)ユーキくんと遊ぶですね。家も近くなったし。
Ken:(SPARK!!SOUND!!SHOW!!の)チヨさんと飲むにしようかな(笑)。
元良:(SPARK!!SOUND!!SHOW!!の)イチローは勘弁してほしいな(笑)。
各種サブスクリプションサービス・DLサイトにて配信リリース
配信はこちら>>> STARS
※7/9(日)0:00〜配信開始
“バック・トゥー・ザ・フューチャーⅤ”
日程:2023年8月10日(木)
会場:東京|恵比寿ガーデンホール
時間:open 18:00 / start 19: 00
日程:2023年8月17日(木)
会場:大阪|梅田CLUB QUATTRO
時間:open 18:00 / start 19:00
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