HERO COMPLEX “TOUGH” INTERVIEW!!
HERO COMPLEXが新作アルバム『TOUGH』を完成させた。まさに“タフ”な楽曲とライブで、各地を沸かせてきている彼ら。3人の音楽的ルーツや、アルバム収録曲について話を聞いた。
Text by Chie Kobayashi
Photo by Ruriko Inagaki
3人のルーツ
──せっかくの機会なので、最初にメンバーそれぞれの音楽ルーツを教えてください。
柴田慎平（Ba,Vo） 僕は京都出身なので、同郷ということもあって先輩に10-FEETのアルバムをもらって聴き始めて。そこからdustbox、locofrankを聴くようになっていきました。ルーツという意味では、特にlocofrankが一番大きいかもしれないです。
──locofrankのどういうところが特に刺さったのでしょうか？
柴田 男らしいところですね。
──バンドをやろうと思ったきっかけは？
柴田 それもlocofrankですね。小倉の大学に進んで。そこで風太と出会ってバンドを組みました。
高杉泰宏（Dr,Cho） 僕もルーツはメロディックパンク。10代のとき、中古CDをジャケ買いしている時期があって。そこで何かが刺さったんだと思います。
──そもそもどうしてジャケ買いでCDを買うようになったのでしょうか？
高杉 音楽が詳しいとカッコいいじゃないですか（笑）。もともと音楽は好きだったので、だったらいろいろ知っているほうがいいかなと思って。でも何を買ったらいいかわからなかったから、とりあえずジャケのカッコいいやつを買おうと思って。ジャケが刺さったのはGorillazだったんですけど、音楽はあんまり好みじゃなくて（笑）。気がついたらパンクコーナーのものを聴くようになっていたという感じです。
──ドラムを始めたきっかけは？
高杉 ドラムは知り合いのおじさんに教えてもらって始めました。高校生でバンドを組んだんですが、進路を考えるときに就職したくなかったからそのままバンドをやることに決めました。そのバンドで当時HERO COMPLEXと対バンをしていて。で、前のドラムが辞めたタイミングでHERO COMPLEXに入りました。
三木風太（Gt,Vo） 僕はBUMP OF CHICKENとかRADWIMPS、ロードオブメジャーを聴いていたんですけど、大学で軽音楽部に入ってから10-FEETとかlocofrankとかのメロディックパンクにハマっていったという感じです。
──軽音楽部に入ったということは、その時点でバンドはやりたかった？
三木 ギターをちょっと触っていたので、誘われてなんとなく。バンドをしたいとかそういう気持ちもなく入りました。
──その軽音楽部で慎平さんと風太さんが出会ったと。
三木 はい。
「無理やろ」っていう感覚がなかった
──その後、HERO COMPLEXはライブハウスで人気を博していくわけですが、特にここ数年、バンドの人気は急上昇しています。そこは何かバンドとして変えたことなどはあるのでしょうか？
柴田 コロナ禍でも１回も止まらなかった。それくらいですかね。
三木 特に何かを変えたりはしていないですね。コロナ禍に限らず、たぶんキツイ時期はあったと思うんですけど、3人ともあんまり危機感がなくて。
──コロナ禍に限らず、バンドをやめたくなったり、止まりそうになったりしたことは？
柴田 ないっすね。最初4人組だったんですけど、そこからギターが1人抜けて、ドラムが抜けたんですけど……。
三木 それは始めてすぐだったんで、全然平気だったし。
柴田 全然ピンチではなかったですね。基本的に危機感がないんやと思います。
三木 たぶん他のバンドやったらやめていたタイミングもめっちゃあると思うんです。「これ、無理やろ」って。だけど俺らには「無理やろ」っていう感覚がなかった。あんまり考えてないんですよね。「バンドとしてこれからどうしていこう」みたいな話し合いもしたことがないです。
──ヘルシーな状態でバンドができているんでしょうね。
柴田 それこそ“タフ”なんじゃないですか。
HERO COMPLEXの言う“タフ”とは
──では、そんな新作アルバム『TOUGH』について聞かせてください。アルバムを作るにあたり、こういう作品にしようといった構想はあったのでしょうか？
三木 それは毎回なくて。毎回、俺と慎平で別々に曲を作って、それをあわせてアルバムにするみたいな感じなので、方向性とかは特に決めていないんですけど、なんだかんだ毎回まとまっているなという感じがします。
──それぞれご自身の中では「今回はこういう曲を作ろう」とか「こういうモードだな」みたいなものはあるのでしょうか？
柴田 マジで、できた曲って感じですね。「こういうのを作りたい」っていうのはありますけど、それができているかはわからない……けど挑戦はしていると思います。
──まずは１曲目「Tooth!!!」。先ほど、ご自身たちのことを「タフ」だと表現されていましたが、HERO COMPLEXが言う“タフ”とはどういう意味を持っているのでしょうか？
柴田 結構ライブとかでけちょんけちょんにされてきて。それでもやめずに今までやってきたんで、そういうタフを感じてほしいなって。
──けちょんけちょんにされてきているとのことですが、どういうときに感じるのでしょうか？
柴田 対バンのいいライブを見たときとか。
三木 でもだからといって凹んでるわけではないんですよね。けちょんけちょんにはされているけど、別に凹むわけじゃない。
──それがHERO COMPLEXのタフさなのかもしれないですね。この曲に限らず、HERO COMPLEXの楽曲は、悔しさや逆境を跳ね返そうとする曲が多いですよね。だからメンバーの皆さんにとって、悔しさがパワーや原動力になっている部分があるのかなと思ったのですが。
柴田 まぁ少なからずは。
三木 あと、自分自身がそういう曲が好きなので。
──話を「Tooth!!!」に戻します。この曲は慎平さんが作詞作曲ということで、風太さん、やすさんは初めて聴いたときどう感じましたか？
三木 難しいなと思いました。知らない言葉が結構出てくるし、演奏も苦手なタイプなので、よう練習しないとな、と。
高杉 僕はツービートがある曲が好きなので「ツービートある！」って感じでした。
──歌詞については？
高杉 歌い出しがかっこいいなと思いました。
──歌い出しの歌詞、カッコいいですよね。
柴田 ありがとうございます。
三木 俺なら絶対に使わんような感じなので、色が出ていいなと思いました。俺、夕日にカーテンかけれんもん。
目指すは野球選手の登場曲
──4曲目の「フルスイング」は、前作「SLUGGER」に続く野球を題材にした楽曲。“野球シリーズ”のような意識はあるのでしょうか？
三木 完全にあります。野球選手の登場曲になればいいなと思って作っています。
──それでいて「SLUGGER」とは違う角度で野球を捉えた楽曲ですが、今回はどのようなイメージで作っていったのでしょうか？
三木 野球で2死満塁というシチュエーションがあるじゃないですか。次の１球でフルスイングできるかどうかという場面。そこで三振しちゃったら終わりで、でも当たれば点が入る。その天国か地獄かみたいなことをイメージして作りました。よく野球ファンは「なんで、その球振るんだ！」って言いますけど、それになぞらえて、“俺は人の選択を笑わないぜ”、“どんな結果だろうが、フルスイングだったらいいんじゃないの？”みたいな気持ちを書きました。
──お二人はこの曲にどのような印象を持ちましたか？
柴田 僕、野球がわかんないんで「何のことなんやろ」って思いました（笑）。説明聞いたら、いい意味やなと思いましたけど。
高杉 今までにあまりないミドルな感じの曲調で。今までは速い曲に使っていたフレーズをミドルに落とし込んでから新しく考えていったので、時間がかかりました。だからしっかり聴いてもらえたらうれしいですね。
──ちなみに、野球は曲を作るうえでインスピレーションのもとになりやすいですか？
三木 そうですね。毎日野球見ていて、ずっと野球のことを考えているので。だからこの曲も歌詞は割とスラスラ書けた気がします。
──慎平さん、やすさんは野球は？
柴田 全く見ないです。
高杉 僕は好きです。でも見るよりやる方が好きです。
三木 やすとは一緒に草野球をやっているんですよ。でもプロ野球トークはできないので、プロ野球好きなバンドマンとライブが一緒になると楽しいですね。
──6曲目「紫川さくら通り」はエモーショナルな情景を歌ったHERO COMPLEX流のバラードです。この「紫川」というのは小倉の地名だそうですが、どのような思いで書いた曲でしょうか？
三木 僕、お酒がめちゃくちゃ好きで、毎日のように飲んでいるんですが、飲んでいると、家に帰りたくなくなるじゃないですか。でも時間も遅いし、みんな帰るって言うし、みたいな。その逆もありますけど。そういう帰り道の曲です。この紫川っていうのが、街と俺の家の間にある川で。友達とその川で別れるんですよ。だから「お互い明日もいい日になればいいな」みたいな気持ちで書きました。
柴田 今までになかった感じの曲だよね。今までのHERO COMPLEXの曲の中で一番のバラードなんじゃないかな。
高杉 確かに今までにあんまりやってない感じの曲だなと思いました。自分の中の引き出しにあまりないタイプの曲なので、レコーディングは結構難しかったです。
──風太さんはバラードを作ろうと思って作った？
三木 そうですね。だいたい曲はサビから作るんですけど、サビがゆっくりやったんで、このままゆっくりな感じでいこうかなって。
──バラードを作るのは難しかったですか？
三木 いや、作るのは難しくないですけど、ライブでやるのは難しそうやなって思いますね。ライブでは、あんまりバラードになりすぎないようにやりたいなと思っています。
──最後の「O•S」は展開が面白い１曲です。
柴田 初めの三連符を元に、使いたいコードを入れていったらいい感じになりました。
──次々展開が変わっていくところも狙い通り？
柴田 はい。前に作ってボツになった曲を持ってきて、合体させました。
三木 この曲はライブの１曲目でも最後でも、どこでもできそうでめっちゃいいなと思っています。
柴田 歌詞で言うと、最後の転調のあと、＜彗星の降る空が＞から始まるところは特に気に入っていて。自分の気持ちを重ねて聴いてほしいですね。
──野暮な質問で恐縮なのですが……タイトルの「O•S」はどういった意味なのでしょうか？
柴田 好きな漫画に「オーバーソウル」っていう技が出てくるんですが、その技名から取りました。ぶち当たっている困難を忘れて、魂を解放させようぜっていう意味を込めた曲なので、タイトルにいいかなと思って。
──この曲はMVにもなっています。ライブ映像を使ったHERO COMPLEXらしいMVですね。
三木 安上がりっすよね、ライブして同時に映像も撮れるんで（笑）。でもMV撮影があんまり好きじゃないんでありがたいです。
柴田 僕の髪の毛生えているときの映像なので、知らない人は一致しないかも（笑）。ライブ来ても、この人はいません（笑）。
https://x.com/herocomplexkkk/status/1800724712818909362?s=46&t=77xbm8YH5CLhOjAzN3zA3Q
ファイナルは憧れのZeppワンマン
──この『TOUGH』というアルバムはバンドにとってどのような作品になったと思いますか？
三木 売れたらいいなと。毎回「めちゃくちゃ売れないかな」と思って出してはいますけど、そんなことはないので、今回も変わらず、何かの間違いでめちゃくちゃ売れないかなと思っています。
柴田 今回は初めてサブスクでも同時リリースするので楽しみですね。CDでもサブスクでもいいので、たくさん聴いてほしいなと思います。
──8月からはレコ発ツアーが始まりますが、どんなツアーにしたいですか？
三木 ファイナルが東京・Zepp Shinjukuでのワンマンで。Zeppは憧れやったんで、めっちゃ楽しみです。
──ツアーファイナルでZeppに挑戦することも決まっていますが、この先のバンドの目標や展望はありますか？
柴田 明確なものはないですね。
三木 Zeppの次にさらにデカイところを、みたいな願望もそんなにないし。先のことはあんまり考えていなくて。
柴田 マイペースなんで。
三木 せかせかするのも苦手なので。まぁ楽しく自分たちのペースでやっていければという感じです。
HERO COMPLEX「TOUGH」
1. Tooth!!!
2. やりたいこと
3. いつか言えたら
4. フルスイング
5. 今まで
6. 紫川さくら通り
7. O•S
HERO COMPLEX「TOUGH」Release TOUR "GOOD TIME TOUR 2"
2024年8月4日（日）福岡県 小倉FUSE
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2024年8月8日（木）大阪府 LIVEHOUSE BRONZE
w/ GUEST
2024年8月10日（土）愛知県 新栄シャングリラ
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2024年8月22日（木）岐阜県 柳ヶ瀬Ants
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2024年8月29日（木）宮城県 LIVE HOUSE enn 2nd
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2024年8月30日（金）岩手県 the five morioka
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2024年9月1日（日）北海道 KLUB COUNTER ACTION
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2024年9月7日（土）香川県 高松 sound space RIZIN'
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2024年9月8日（日）大分県 CLUB SPOT
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2024年9月16日（月・祝）岡山県 CRAZYMAMA 2ndRoom
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2024年9月20日（金）京都府 KYOTO MUSE
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2024年9月29日（日）東京都 Zepp Shinjuku (TOKYO)
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