INTERVIEW

ONIONRING “PURE,UNBREAKABLE,NAKED,KIDS” INTERVIEW!!

ONIONRINGが3rdアルバム『PURE,UNBREAKABLE,NAKED,KIDS』をリリースした。本作は、ミックス・マスタリングまでメンバーのTask(Ba, Vo)の自宅スタジオでのセルフレコーディングで制作された完全D.I.Y作品だ。本作に込めた思いとは。メンバー3人に話を聞いた。
 

Text by Chie Kobayashi
Photo by Akira Sorao、MASANORI  FUJIKAWA、タカギユウスケ

 

レゴブロック、ゲーム音楽、車

──SATANIC ENT.初登場ということで、音楽の話を聞く前に、皆さんのお好きなものを教えてください。

Takeshi (Gt, Vo)  好きなものはいろいろありますけど、子供の頃からレゴブロックはずっと好きですね。中学生のときには作品投稿サイトにオリジナル作品の写真を投稿してレゴ友達を作ったりして。地元の公民館を借りて、オフ会も主催していました。今はそういうことはしていないですけど、今でもレゴは好きです。

Task(Ba, Vo)  好きなものはゲーム音楽。昔から兄貴がファミコンとかスーファミがめっちゃ好きで、一緒にいたので自然とゲーム音楽を聴くようになって。そこから自分でもゲーム音楽っぽい曲を作りたいなと思って。今でも時々作っています。

──ゲーム音楽の魅力は何ですか?

Task ファミコンだったら3和音プラス1ノイズっていう形で構成されているんですけど、そういう制約の中で作られる音楽というところに魅力を感じます。最近のゲーム音楽にはそこまで制約はないですけど、やっぱり一つひとつちゃんと考えられているし、ずっと聴いていても疲れない。そこは魅力ですね。

Ayuki (Dr, Cho)  僕は車が好きです。大学に行くか車の専門学校に行くか迷ったくらい。でも車の専門学校には軽音楽部がなかったので大学にしました。車は見るのも乗るのも好きなんですけど、一番はいじるのが好きかな。車に限らず、機械をいじるのが好き。だから機材車も勝手にいじってます(笑)。それも高じて、今はPAもやっています。

──多才な3人ですね。

Takeshi 最終的にめちゃくちゃ音楽に精通している3人になったんですよ。というのも、Taskは今作のレコーディングエンジニアをやってくれたし、AyukiはずっとPAをやっていて、俺は最近楽器屋さんの店員になった。バンドで集まった3人なんですけど、それぞれがまた別の形で音楽に絡んでいる今です。

Ayuki 変な3人だよ、本当に(笑)。


「やっぱりメロディックパンクが最高なんじゃね?」

──ONIONRINGは昨年BUNS RECORDSに移籍しました。環境の変化はもちろんあったと思いますが、心境としてはどのような変化がありましたか?

Takeshi 前のレーベルはリリースだけだったんですけど、今はマネジメントもやってもらっているということもあるから、今はBUNS RECORDSを“背負っている”という感覚がありますね。今回のアルバムは、よりパンクでアグレッシブなものにしたいというテーマがあったのですが、それもレーベルを移籍して、心機一転またここから始めるみたいな感覚があったからかなと思います。 

──今、お話にもありましたが『PURE,UNBREAKABLE,NAKED,KIDS』はパンキッシュなアルバムですよね。聴かせていただいて、“こういう作品を作りたい”という明確なビジョンのもと作られたように感じましたが、そこは何かありましたか?

Takeshi そうですね。明確にありました。シンプルに“メロディックパンクを流行らせたい”。自分が青春時代にいろいろなメロディックパンクを聴いて衝撃を受けたように、これを聴いた若い子たちにも衝撃を受けてほしいなって。

Task そうね。

Takeshi 基本的には洋楽のバンドが好きなんですけど、大元を辿ると日本のメロディックパンクが自分をバンドの世界やライブハウスに連れ込んでくれたんですよね。洋楽っぽいというか、より広い世界観のものを作ろうとしたのが前作(『LEAD』)だったんですけど、コロナ禍のこともあって思うようにライブができなかったり、そこから戻ってきたりしているうちに、やっぱりくしゃくしゃのライブハウスが好きだなと思って。自分たちのライブを見ている人にも、自分がライブハウスに見に行っていた頃みたいな感じになってほしいなと思ったときに、わかりやすく伝わりやすいものにしようと思っていたら……「やっぱりメロディックパンクが最高なんじゃね?」って原点回帰した感じです。

 

──なるほど。ONIONRINGの曲作りはどういう感じで進むんですか?

Task 今まではTakeshiが持ってきたものをすり合わせいくという感じだったんですけど、今作からはAyukiも作曲に関わるようになりました。今作にはAyukiが持ってくるアイデアを元にすり合わせて作った曲もいくつかあります。

──その形になったのはどうしてですか? 

Task 単純にAyukiが作りたかったんだよね。「こういう曲が欲しいんだけど」って持ってきて、「じゃあ、それを作ってみようか」って。

Ayuki そうそう。別にどうこうしたいとかそんなことを考えたわけじゃなくて「なんか、こういうの浮かんだわ」くらいの感じで。

Takeshi これまでは俺とTaskが中心で作っていたからか、「これまで意外とこれやってなかったよね」みたいな雰囲気のものをAyukiが持ってきたりして。

Task だから今回のアルバムは“3人で作った”という感じがすごくありますね。

 


“メロディックパンクスパイス”をふんだんに盛り込んだ「Unbreakable」

──ここからは収録曲について伺っていきます。まず1曲目「Unbreakable」。アルバムのタイトルの一部でもあり、音楽やバンドへの思いを綴った1曲です。この曲はどのように出来たのでしょうか?

Takeshi 去年BUNS RECORDSの加入を発表して、夏に「Still Kids」、秋に「Wake Me Up When You Feel Down」を配信リリースしました。「Unbreakable」はその頃にサビができて。慎さん(BUNS RECORDS代表の長崎慎)含めたレーベルのLINEに「仮でこんな曲できました」って貼ったら、慎さんの反応がすこぶる良くて。俺らとしては3ヶ月連続リリースとかを想定していたんですけど、「これは今後リード曲でいけそうだから、リリースは焦らなくていいよ」と言われたので、温めて、このタイミングでリリースすることになりました。

──歌詞の内容としては、音楽やバンドに向けた思いが綴られていると思うのですが、それをこのタイミングで歌おうと思ったのはどうしてですか?

Takeshi レーベルを移籍して、アルバムとしては1枚目。1stアルバムのような気持ちで作ったので、改めて決意表明じゃないけど、そういう気持ちを込めたいなと思って。

 

──この曲の元はTakeshiさんが持ってきたということですが、アレンジなどでこだわったところはありますか? 

Task  Takeshiはサビと頭だけ持ってきたんだったかな。あとは俺とTakeshiで作っていったんですけど、“メロディックパンク最高”ということを念頭に入れていたので、“メロディックパンクのこの曲のこういうところがいいよね”っていうのをふんだんに盛り込んだアレンジになっています。 

Ayuki 料理みたいな言い方するやん(笑)。

Task はい、“メロディックパンクスパイス”をいっぱい入れました(笑)。

Ayuki ドラムもこれでもかって言うくらいメロディックパンクなドラムにしてやろうと思って。このアルバムの中で一番ドラムが難しい曲になりました。

──メロディックパンクは得意ジャンルだと思うのですが、それでもふんだんに盛り込むと難しい?

Ayuki 世の中の決まりとして、なんでも“速くやる”って難しいじゃないですか(笑)。ドラムに限らず、料理でも何でも。いろんなバンドのフレーズを入れてみたり、自分のオリジナルを入れてみたりしているうちにどんどん難しくなっていきました。

──6曲目「Tonight」は日本語詞も入っています。 

Takeshi はい、前回のアルバムにも1曲日本語のパートを入れた曲を入れたので、その流れを踏襲してみました。

──ということは、前回日本語詞を入れてみて手応えや面白みを感じた?

Takeshi はい。英語詞のときも文末の母音を揃えたり、韻を踏んだりということは意識しているんですけど、日本語でそれをやるのが結構楽しいなと思って。今回もやってみたらハマったので入れました。

Task 伝わりやすいしね。

──「Tonight」で気に入っているところやアレンジでこだわったポイントなどはありますか?

Takeshi 途中でテンポチェンジをするんですけど、こういうアレンジはこれまでやってこなかったので、うまいことできてよかったなと思いました。これもスタジオでセッションっぽいことをして出来上がった曲で。3人同時進行でこの曲を考えたみたいな感じだったので、そこも含めて結構面白い曲になったなと思います。

Task メロディックパンクっていってもいろんなものがあると思うんですけど、これは男くさい系メロディック。いい感じの曲ができたと思います。 

──ONIONRINGにはこういった硬派な楽曲は珍しいですよね。

Takeshi そうですね。これまでは美メロ推しの曲が多かったんで、これはもう思いっきり派手に。

Task 勢いを大事にする感じが新鮮だよね。シンガロングもたくさんあるし、ライブではみんなでがっつり歌いたいです。

 

──8曲目の「Won't Say Goodbye」は再録です。この曲を再録したのはどうしてだったのでしょうか? 

Takeshi 最初、作品を作るときはフルアルバムじゃなくて、ミニアルバムの予定だったんですよ。でも順調に曲が揃ってきたので、フルアルバムにすることになって。そうしたら1曲くらい再録があってもいいよねという話になって、白羽の矢が立ったのが「Won't Say Goodbye」だった。変な言い方ですけど、この曲、自分たちの予想に反するくらい人気があって(笑)。

Task この曲は高校時代に作った曲なんですよ。

Takeshi そう。俺がONIONRINGで初めて作曲したのがこの曲です。高校2年生のとき、当時付き合っていた彼女に振られて書いた曲です(笑)。

Task 軽音楽部の部室で2人で作ったよね。ありがたいことに、みんながこの曲を好きと言ってくださるので今回再録しました。

──高校生のときに作った曲ということですが、楽曲制作において成長や変化は感じますか?

Takeshi レコーディングして、死ぬほど簡単な曲だと思いました(笑)。ここまでのシンプルな曲はもう作れない。絶対に凝ったアレンジしちゃうと思うんで。

Task ストレートで本当にピュアな曲だよね。

──初めて作った曲が入るというのもまた、原点回帰というアルバムのテーマに合っていますね。

Takeshi そうですね。結果そうなっちゃったっていう感じですけど。


 

随所に散りばめられた“メロディックってこうだよね”

──そのほかに特に好きな曲や好きなポイントをお一人ずつ教えてください。

Task 僕は7曲目の「Sunset」。これは一応全部僕が作った曲なんですけど、レコーディングしているときに「あれも入れたいな」「これも入れたいな」って思って、いろいろな仕掛けを入れたので、注目して聴いてほしいですね。

Takeshi この曲は、もともとBUNS RECORDSに所属していた同期のSUNsっていうバンドが解散するときに、SUNsに向けて書いた曲なんですよ。

Task BUNS RECORDSから出すアルバムにこの曲が入ったことで、奇しくも想いを継ぐみたいな形になりました。

Takeshi 俺が気に入っているのは10曲目の「All Time High」かな。5月に自分の結婚式を挙げたんですけど、そのときの気持ちを曲にした曲です。この曲にはもう1つこだわりポイントがあって。俺はAll Time Lowというバンドがめっちゃ好きなんですけど、そのバンドの曲を聴いているときにこの曲のサビのメロディができて。「All Time Lowの曲の1つにありそう」と思って「All Time High」というタイトルにしました。

Ayuki 僕はさっきも話に出ましたけどやっぱり「Unbreakable」が気に入っています。あとは最後の「Remember You」。この曲はもともと僕が「こういう曲をやってみたい」って原案を出した曲で。といっても、その曲が改変されまくって出来た曲なんで、俺が持っていったところはほんのちょっとしか残っていないんですけど(笑)。初めて俺の原案から出来た曲なので、記念すべき曲かなと。

 

Takeshi あと、このアルバムは曲単位ではなく、流れで聴いてほしいですね。バンドのエゴだとは思うんですけど、いろんな曲を作って、ストーリーを考えてアルバムを作ったので、それを感じてくれたほうが深くこのアルバムを理解できると思います。もちろん自由に聴いてもらえればいいんですけど、作っている身としては、いいものができた自信があるので、しっかり伝わるとうれしいです。

Ayuki 3人で作ったからこそ、曲の随所にそれぞれのこだわりが詰まっていて。聴きながら「この感じ、あのバンドっぽいね。あのバンド好きなのか?」とか考えてみるのも面白いんじゃないかなと思います。

Task それで言うと、ミックスも含めてレコーディングも僕が担当したので、「メロディックってこうだよね」とか「パンクってこうだよね」というミックスを施してあります、そこにも勘付いてもらえたらありがたいです。


ONIONRINGを引き上げてくれる1作に

──今お話にもありましたが、今作はTaskさんの自宅スタジオでのセルフレコーディングだったそうですね。その手法を取ったのはどうしてですか?

Task 去年配信で出した2曲ともミックス・マスタリングまで全部うちでやったので、そのままの流れで「Taskの家で録ったらいいんじゃない?」って慎さんが言ってくださって。すべて僕の家で完結させてみました。

──全部ご自身でやってみていかがでしたか?

Task いや〜、地獄でしたね(笑)。急にフルアルバムをやるもんじゃないです(笑)。メンバーとミックスの要望をすり合わせして、最終的にマスタリングしてってやると膨大な時間がかかるんですよ。でもいい勉強になりました。

 

Takeshi 普通にすごいなと思いましたね。俺はDTMが全然できないので、普段から俺が作った曲もTaskの手によって形になっていたんです。それが遂にここまできたかっていう。素直に尊敬しかないです。Task自身もきっと自信になっただろうし、バンドとしてもアピールポイントになるし、俺も自信になりました。

Ayuki 最初に配信の曲をTaskが録るという話になったときは、正直「できるの!?」って思っていたんですけど、実際に完成したものを聴いたら「いいじゃん、これで」って思って。そこからはもうTaskに対して任せて大丈夫でしょっていう信頼しかなかったです。俺もPAをやっているから音のことはわかるし、結構クリエイティブな会話もできました。

Task そうだね。Ayukiに助けてもらったところはいっぱいありますね。

Ayuki 他のところで録ると、どうしても「はい、次はこれしてください」「これしてください」って、言われたことをやって、気付いたらできているっていう感じだけど、今回はみんなで作り上げている感じがありました。

Task だから苦しかったけど、楽しかったですね。

──今後の作品もこのスタイルで?

Takeshi 俺はこれを極めていきたいなと思っていますね。

Task そうですね。今回やっていて課題も見えたので、次はもっと良くできるはず。次はもっといい音源にしたいですね。

──「PURE,UNBREAKABLE,NAKED,KIDS」というタイトルに込めた想いを教えてください。

Takeshi アルバムのテーマである“メロディックパンクを流行らせる”とか“原点回帰”とか、そういうものを総括して付けました。それぞれの単語の頭文字を繋げると「PUNK」になるんですけど、そういうタイトルはいつかやってみたいと思っていたので、今回はそれがハマって。いいタイトルだなと思います。

──改めてこのアルバム、バンドにとってどんな1枚になりそうですか。

Takeshi ONIONRINGをまた引っ張り上げてくれる1枚になるのは間違いないと思っています。あとはしっかりライブで伝わるように練習して、よりやばいバンドになれるように頑張ります。

──まさにリリース後にはツアーがありますが。どんなツアーにしたいですか?

Takeshi ここでも一貫して「やっぱりメロディックパンク最高!」を体現するライブが各地でできればいいなと思っています。個人的にはメロディックパンクのくくりにはめてほしくないと思っていたときもあったんですけど、10年バンドをやってきて、1周回って「やっぱりメロディックパンクは最高だな。ワクワクするな」になった。でも今って、シーンとしてはあまり元気がない。だからそれを再び盛り上げて、俺らが日本から世界に届けるという気持ちでいるので、その気持ちを強く持って頑張ります!

 

ONIONRING「PURE,UNBREAKABLE,NAKED,KIDS」

1. Unbreakable
2. Still Kids
3. Life in Bloom
4. Smile
5. Wake Me Up When You Feel Down
6. Tonight
7. Sunset
8. Won't Say Goodbye
9. Just a Number
10. All Time High
11. Remember You


ONIONRING TOUR 2024 "Bop P.U.N.K"

2024年7月24日(水)愛知県 今池HUCK FINN ※対バン有(後日解禁)
2024年7月26日(金)京都府 KYOTO MUSE ※対バン有(後日解禁)
2024年8月6日(火)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎 ※対バン有(後日解禁)
2024年8月16日(金)神奈川県 F.A.D YOKOHAMA ※対バン有(後日解禁)
2024年8月18日(日)宮城県 LIVE HOUSE enn 3rd ※対バン有(後日解禁)
2024年8月23日(金)北海道 札幌KLUB COUNTER ACTION ※対バン有(後日解禁)
2024年9月7日(土)福岡県 Queblick ※対バン有(後日解禁)
2024年9月8日(日)広島県 広島ALMIGHTY ※対バン有(後日解禁)
2024年9月14日(土)大阪府 LIVEHOUSE BRONZE ※対バン有(後日解禁)

TOUR FINAL
2024年9月28日(土)東京都 下北沢SHELTER ※ONEMAN SHOW

 

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