SHANK "20th Anniversary Tour BRAND NEW OLD SHIT FINAL SERIES -ONE MAN LIVE-" LIVE REPORT!!
Report by ヤコウリュウジ
Photo by 岩渕直人
20th Anniversary Tour BRAND NEW OLD SHIT FINAL SERIES -ONE MAN LIVE-
2024/10/18 @Zepp DiverCity(Tokyo)
結成20周年、続けてこられた感謝を伝えるべく今年4月から開催された『20th Anniversary Tour BRAND NEW OLD SHIT』、そのファイナルシリーズの一環であるZepp DiverCity(Tokyo)公演。今年1月からサポートドラマーを務めていた早川尚希が本ツアーの初日に正式メンバーとして加入し、新生SHANKの顔見せ的な側面もあっただろうが、そんな段階はとっくに過ぎ去っていたと痛感させられる盤石の内容。立ち止まりも後戻りもしていない、現在進行系で進化し続けるバンドとしての力を見せつけてくれたのだ。
ソールドで期待感も高まる中、いつもようにMad Caddiesの「Backyard」を背に登場し、「どうも、SHNAKと言います。よろしく!」と庵原将平(Vo/Ba)が声を上げて荘厳な歌い出しにグッと引きつけられる「Set the fire」からライヴをスタート。すると待ってましたと言わんばかりの観客が一斉に前へ詰めかけ、ダイバーも続出。会場全体の熱気が一気に高まるが、そこに翻弄されず、しなやかで重厚感のあるステージ上の3人も実に頼もしい。
そこから腰の入った音塊を放つ「Candy Cruise」でフロアを大きく揺らし、「620」へ。おどろおどろしさもあるイントロから一気にキレよく開けるスカチューンだ。松崎兵太(G/Cho) のカッティングも気持ちよく、終盤で咆哮するように歌う庵原の姿もたまらかなった。
ここで「(バンドが)20歳になったということで、自分らで自分らのことを祝うみたいで恥ずかしいんですけど、マジで感謝してます。ありがとう!」と改めて庵原が観客に気持ちを伝え、放たれたのが「First Light Anthem」。スケール感のあるリフ、庵原と松崎のハーモニーも美しく、輝かしく響く1曲に違いない。
そして、タイトルコールで大歓声が上がり、観客をガツガツと踊らせた「Life is…」から畳み掛けるようにドロップされた「Hope」の破壊力が本当にとんでもなかった。SHANKの特長のひとつとして、大所帯バンドにも負けないサウンド感の強靭さが挙げられるが、新体制になりその部分が更に強化されている。重心がグッと低くなり、押し寄せるパワーが素晴らしい。無理やりに前のめり、ということではないのに、この日も最後は早川が思わず立ち上がってしまうぐらいの勢いを誇っていた。
SHANKらしい軽妙なMCで笑いを誘った後、投下したのは心浮き立つスカチューン「Frustration」。軽快さはあれど、適度に重みもあり、そのバランス感は流石。そのまま次の曲へ続くかと思いきや、何故か吹き出して「ワンマンだとピリッとならん」と笑う松崎。「別に後にバンドが控えとるわけでもないしさ、自由にやっていいわけでしょ?」と庵原も同意し、「ダラッダラやるんで、みなさんよろしくお願いします」と特大ボリュームなセットリストを予告するかのような言葉に観客も歓喜するや否や、バチッとスイッチを入れて「Time is…」を放っていくのはライヴバンドらしい対応力だろう。観客による大きなクラップにも後押しされながら、グワッと会場を持ち上げていくのだ。
ひと息入れるような素振りから、一気に疾走して覚醒を促すような「Weather is Beautiful」をプレイ。松崎も大きなジャンプを決め、早川も左手を高く突き上げる。興奮が止まらず、もうグチャグチャなフロアに向けて激しいイントロから絶妙な間を開けて突き刺したのはエグりながら揺らす激烈なチューン「Can't keep them down」だった。上手く抑揚を作りながら前半戦を一気に駆け抜けていく。
「20年もバンドやってたら疲れてくるんですよ」と庵原がうそぶき、中盤戦のスタートは20周年というアニーバーサリーイヤーの幕開けを飾った新作であり、この3人で初めてのレコーディングにもなった「Midnight Grow」。オルタナティブロック的な芳醇な香り、速いビートではないが漂う緊張感、心地よく揺らしてくれるし、沁みる曲だ。早川の立体的なドラミングもあり、バンドとしての奥行きを堪能させてくれる。
観客が夢中で拳を突き上げ、面白いようにダイバーも転がっていった「Departure」、全身で叩きつけるように放ったメロディックチューン「CHOICE」と続け、仲間へエールを送ってから鳴らしたのが「S.T.S」と「Mr.Green」のメドレーだ。20周年というタイミング、昔の曲も聴きたいという声に応えたいが、冗長さをどうしても感じてしまうということで選んだ形式。懐かしむだけじゃなく、今の感覚でフルスロットルでやれることが大前提なのだろう。そこからシリアスさも感じさせる「Grimy Window」を鳴らす流れも良かった。
多彩なアプローチで駆け抜けていく中、存在感が光ったのが「Judy」。切なる願いを込めたような歌声、スローテンポで広がるスケール感、どちらも素晴らしくフロアから自然と大きな拍手が起こったのも当然。妖しげな松崎のカッティングに酔いしれ、サビではチャンネルを一気に切り替えて疾走していく「Wall Ride」、その勢いをより加速させる「Extreme」と続け、いい緩急にも惹きつけられっぱなしだ。
配信バージョンとも言える渋さが光るスカチューン「Mind Game」がプレイされると踊り狂う観客がそこら中に広がるのが恒例だが、どこもかしこもギュウギュウのフロア。踊るスペースなんてあったもんじゃないが、ステップを踏むのが踊りというわけでもない。感じるまま自由に体を動かして揺れるフロアもまた痛快だ。庵原が「ギター、松崎!」と声を上げ、長崎の童謡「でんでらりゅう」をモチーフにしたフレーズを松崎が響かせたのが「Knockin' on the door」。伸びやかなグッドメロディーに観客も声を合わせ大きなシンガロングを起こしていく。そそるベースから始まり、緊張と緩和を繰り返す展開がグッとくる「Take Me Back」からいつもその躍動感に飲み込まれそうになってしまう「Good Night Darling」へ。この並びはいつ聴いてもいい。
終盤戦の始まりは青白い光りに包まれて鳴らしたスローナンバー「High Tide」。波間に漂うような心地よさを沁み渡らせ、フロアへ活を入れるようにグワッと押し寄せる「Wake me up when night falls again」を続く曲としてセレクトするのはSHANKらしいところ。そのテンション感のまま、ハリのある勢いを誇る「Smash The Babylon」、歌い出しにドンピシャのタイミングで観客もクラップした「Two sweet coffees a day」と一気呵成の攻撃だ。庵原も歌い叫び、この踏み込み方も秀逸だった。そんな熱狂するフロアへ対して「絶対にケガだけはするなよ。なるべく助け合って」と庵原が呼びかけ、奏でていったのはゆったりと聴き入れる「Sandpaper」。SHANK特有の哀愁が随所に散りばめられ、松崎のギターソロも味わい深く響いていく。
最終盤は庵原の「また会おう! マジでありがとう!」という絶叫からこの瞬間の喜びを噛みしめるように「Surface」を鳴らし、瞬発力に負けない美メロが隅々まで届いていく様がシビれる「Steady」から大爆走必至のショートチューン「submarine」。すべてをなぎ倒すように本編を締めくくってくれた。
アンコールでは緩い会話をした後、一瞬で最高潮へ持って行くように「Cigar Store」、「My Special Reason」、「BASIC」と鮮烈な3曲を披露。そのダイナミズムにヤラれた観客がステージに置かれたアンプの電源が落ちた後でもまだまだと声を上げてしまうほど、強靭なトライアングルを構築していると断言できる充実のパフォーマンスだった。本公演は来年1月29日に映像作品としてリリースされることが発表。画面を通しても強烈な一撃の数々を味わえることは間違いなく、20周年を経て、もっともっと羽ばたいていくSHANKをぜひ味わって欲しい。
2025.1.29発売
LIVE DVD/Blu-ray
『20th Anniversary Tour BRAND NEW OLD SHIT FINAL SERIES -ONE MAN LIVE-』
DVD:4400円+税 / Blu-ray:4900円+税 / DVD+Tシャツ:7900円+税 / Blu-ray+Tシャツ:8400円+税
※公式通販限定商品(公式通販URL:http://baitfish-workshop.net )
※Tシャツ付きは12/15(日)23:59までの受注生産
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