LIVE REPORT

04 Limited Sazabys "YON FES 2022" LIVE REPORT!!

Report by 柴山順次(2YOU MAGAZINE)
Photo by ヤオタケシ

 

2022.4.2 / 4.3
04 Limited Sazabys "YON FES 2022"@ モリコロパーク(愛・地球博記念公園)

 

まず大きな声で言いたい。YON FES最高。04 Limited Sazabys最高。伝説の1日とか、奇跡の1日とか、別にこれまでだって簡単に言っていた訳じゃないけど、この2日間に限っては伝説というか何というか、もしこの数十年の音楽史の教科書が出来るとしたならば太字で掲載しなければいけないほど奇跡的な2日間になったと思う。それはYON FESに参加した人なら異論はないでしょ。04 Limited Sazabysが彼らの地元である愛知県は愛・地球博記念公園、通称モリコロパークでYON FESをスタートしたのは2016年のこと。毎年春の訪れと共に行われてきたYON FESだが新型コロナウイルスの影響により2020年は中止、2021年は開催断念を余儀なくされてきた。それはもう苦渋の決断だったはずだ。だからってじゃあこの期間04 Limited Sazabysが何も出来なかったといったらそうじゃない。定められた制限の中でのYON EXPOの開催、「Deliver 04 you tour」「Human Communication tour」の開催と彼らは彼らのやり方、在り方で戦ってきた。そうやって一歩ずつ前に進んできた先にあるのが3年ぶりの開催となった「YON FES 2022」だ。

4月2日、3日の2日間に渡って開催された今年のYON FESは新型コロナウイルス感染防止の観点から例年とは異なるレイアウトで構成されており、SKY STAGE、LAND STAGEが観客の移動がなく観覧出来るような配慮とスムーズな導線が確保されていた。物販スペースや飲食ブースも快適な空間が作られており、RYU-TAによるラーメン屋「麺や おがた」も大盛況の様子。しかし「麺や おがた」めちゃくちゃ進化していてRYU-TAの飽くなきラーメンへの探求が胃袋を満たしてくれる。こういうところも含めてYON FESだ。集まった人が安心して過ごせる会場作りは現在フェスを開催する上で大切なことだけど、その上でしっかり楽しめる施しが随所にされていることに感動する。2020年、2021年と開催出来なかったけれど、出来なかったことが大きな経験となることをYON FESが教えてくれているようだ。

4月2日、初日のYON FESに登場したのはHump Back、Track’s、SHANK、Suspended 4th、go!go!vanillas、Age Factory、Vaundy、ENTH、MAN WITH A MISSION、TOTALFAT。こうやって名前を挙げながら改めてとんでもないフェスなんだなと実感する。さらに開幕宣言ではKEYTALKの小野武正もメンバーに内緒で飛び出すというサプライズも。いきなり楽しすぎるぞ、YON FES。ここから04 Limited Sazabysまで怒涛のライブが続く。トップを飾ったHump Backが晴天の下で歌う青春の青さ。チルい空気感をまとったTrack’sの新しい時代のメロディックパンク。YON FES皆勤賞のSHANKが見せつけた圧倒的貫禄。地元名古屋で暴れまくるSuspended 4thの野生っぷり。go!go!vanillasが追い求めるロックンロールドリームの形。激しさと温かさを轟音で届けたAge Factoryの疾走するエモーショナル。普遍的なメッセージを最新の打ち出し方で放つVaundyの愛。フォーリミカバー&バニーボーイも飛び出すENTHのなんでもありパンク。動物界音楽界における絶対的王者感でモリコロパークを熱狂で包み込んだMAN WITH A MISSIONの雄叫び。KEYTALK武正も加えたTOTALFATのハッピー&ポジティブなパンクロック。どのバンドもそれぞれの在り方でYON FESに集まったオーディエンスを刺激する。

出演バンドのバトンを受け取り、3年ぶりのYON FESのステージに立った04 Limited Sazabys。この日、彼らは沢山の奇跡を起こしてきたけれど、ライブが始まった瞬間に「あ、奇跡おきた」と思った。この日の1曲目に彼らが披露したのはコロナ禍以降封印していた「Buster call」だったのだ。YON FESを、04 Limited Sazabysを先に進める。4人がこの日にかけた思いの強さがモリコロパーク全体に伝わった瞬間だ。GENが息を吸い込み「Buster call」を歌い出した瞬間の空気の揺れ方には身体ごと震えた。何かが変わる気がしていたYON FESだけど、何かを変えたのはやっぱり04 Limited Sazabysで、扉がバーンと開く音が「climb」で確かに聴こえたし「kitchen」「Now here,No where」とこれまでずっと歌われてきた楽曲が久しぶりのYON FESで嬉しそうに鳴らされる。毎年開催されることだって決して当たり前ではない。当たり前ではないけれど、それでも桜の季節にYON FESがあって別れと出会いを感じながら新年度を迎えることが通例となっていた。それが叶わない時期があったからこそ、今年YON FESが帰ってきたことを奇跡だと感じる。

躓いたって何回だって軌道修正出来ることを「Jumper」で証明し、コロナ禍以降、ライブハウスで歌い続けてきた「Grasshopper」も「knife」も「mahoroba」も、いつもの何倍も大きな音で叩きつけ、いつかが今であることを実感する「Just」では今この瞬間の気持ちをモリコロパークに届ける。今年のYON FESで04 Limited Sazabysが届けたかった「先に進める」というメッセージ。それはラストの「Feel」で充分すぎるほど伝わった。諦めないといけなかった夢、きっとあると思う。モリコロ―パークに集まった人の中にも悔しい涙を流した人はいると思う。その流した涙を無駄にさせないのが俺たちのヒーロー、04 Limited Sazabysだ。彼らとって降り出した雨だって演出、アンコールでは「Squall」「Remember」を叩きつけYON FES初日を締めくくった。

4月3日、2日目の出演者はハルカミライ、四星球、Crossfaith、SPARK!!SOUND!!SHOW!!、東京スカパラダイスオーケストラ、Wienners、My Hair is Bad、ハンブレッダーズ、WANIMA、Saucy Dog。YON FESでしか実現しえない天下一武道会感に胸がワクワクするほど騒いでしまう。そのワクワクをドキドキで爆発させたハルカミライの衝動。笑顔の数だけ実は涙が出ちゃう四星球の駄々洩れた本質。バーサク状態でモリコロパークを暴徒化させたCrossfaithの攻撃力。あれもこれも全部吸収して音楽としてもメッセージとしても吐き出したSPARK!!SOUND!!SHOW!!の2022年だからこその言霊。ゲストボーカルでGENも参加した東京スカパラダイスオーケストラの極上のSKAサウンド。第1回目ぶりの登場でYON FESを沸かせたWiennersのポップネス。初年度から出演し続ける由縁を誇示したMy Hair is Badが見せつけた04 Limited Sazabysとの絆。弱者だからこその強さを持つハンブレッダーズの底辺からの大どんでん返し。優しさと力強さで5年振りのYON FES出演を彩ったWANIMAが咲かせた笑顔という花。初登場でLAND STAGEのトリを務めたSaucy Dogが奏でるアンサンブル。日本を代表するミュージシャンの熱演にハイライトの連続だらけだ。

そしていよいよ大トリ、04 Limited Sazabysの登場だ。ステージ袖に集まった出演バンドたちに見送られ4人がステージに走っていくと2日間で最大の拳がモリコロパーク全体に上がる。みんなこの瞬間を待ってたんだ。きっとこのライブが終わる頃、04 Limited Sazabysは、YON FESは、ライブハウスシーンは、フェスシーンは、音楽は、一歩前進する。まるでファンファーレのように鳴り響いた「monolith」のイントロがそう確信させる。先に進むためには当たり前だったことを当たり前だった状態に戻すことが必要で、でもそれは戻るんじゃなく進むってことで、だからこそ良い意味で「fiction」も「fade」も「Alien」もいつものライブハウス仕様だ。こうやって少しずつ先に進めていくのだ。

セットリストの真ん中で「758」を聴けたことも新鮮だった。名古屋のライブハウスの名前を連呼する「758」をYON FESで聴けるのはやっぱり嬉しい。歌詞の中には今はもうないライブハウスの名前もある。だけど「758」を04 Limited Sazabysが歌うことで生き続ける気がする。そういう意味でも本当に4人はヒーローだ。「My HERO」を熱唱した後、東京スカパラダイスオーケストラのホーン隊が続々ステージに登場し「swim」をジョイント。

ヒーローとヒーローの合体ロボ、こんなの無敵だ。しかしスカパラを従えて04 Limited Sazabysがライブしているなんて「swim」を初めて聴いた頃に何億通りの未来を想像しても予測していなかった。でも未来を信じていたらなんだって起きるってことを04 Limited Sazabysが教えてくれたんだ。

そしてこの日のハイライトであり、フェスシーンを、音楽シーンを大きく前進させたのが「hello」だ。YON EXPOでも、その後のツアーでも何度も演奏されてきた「hello」には、コロナ禍以降失ったパーツがあった。その失ったものをYON FESで彼らは取り戻したのだ。ここで詳しくは書かないが、YON FESに参加した人にとってこの日の「hello」は生涯忘れることのない出来事になるだろう。そしてコロナが終して数年経った頃、音楽の歴史の教科書があるとするならば太字で大きく載るような小さいけれど大きな出来事が起きたと思う。踏み込むこと、進めること、言葉の何倍も難しいけれど、大舞台でやってのけた04 Limited Sazabysには感服しきりだ。その流れで「Buster call」では「新しいものを作り出すために一度壊してまた作り直す」と語ったGEN。このYON FESで04 Limited Sazabysが何をしようとしていたか、それは結果論かもしれないけれど、奇跡が起きたんじゃなく、奇跡を起こした4人の意思がモリコロパークを包み込む中「Terminal」でフィニッシュ。そしてアンコールでは「midnight cruising」「message」を披露してYON FES 2022は幕を下ろした。YON FES、やれて良かった。本当に良かった。もう何が起きたって怖くない。いや、怖いけど、心配はない。耐えて耐えてきた景色を一緒に観れる仲間がこんなに沢山いて、何が起きてもその都度立ち上がって、駄目になりそうなときは支え合って、そういう場所がYON FESだし、そこで生まれた大きなパワーを名古屋からドバっと放出して、主語が大きすぎると思うかもしれないけれど、大げさじゃなくて、世界中が幸せになれって強く思った2日間だった。また来年、モリコロパークで夢の続きをみんなで見たい。

 

◆「YON FES 2022」公式プレイリストhttps://lnk.to/yonfes2022

YON FES 2022
【日時】2022年4月2日(土)3日(日)
【会場】モリコロパーク(愛・地球博記念公園)
【出演】
■4月2日(土):04 Limited Sazabys / Age Factory / ENTH / go!go!vanillas / Hump Back / MAN WITH A MISSION / SHANK / Suspended 4th/ TOTALFAT / Track's / Vaundy
■4月3日(日):04 Limited Sazabys / Crossfaith / My Hair is Bad / Saucy Dog / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / WANIMA / Wienners / 四星球 / 東京スカパラダイスオーケストラ / ハルカミライ / ハンブレッダーズ
【主催】YON FES 2022 実行委員会
【企画】No Big Deal Records / 日本コロムビア
【制作】DGエージェント
【運営】SUNDAY FOLK PROMOTION
【問】SUNDAY FOLK PROMOTION 052-320-9100(12:00~16:00)
【HP】
YON FES 2022 オフィシャルTwitter:@yon_fes
YON FES 2022 オフィシャルHP:https://yonfes.nagoya/
 

04 Limited Sazabys OFFICIAL WEB SITE