INTERVIEW

Baby smoker “VOLTEX” INTERVIEW!!

Interview by ヤコウリュウジ

切れ味鋭いサウンドを鳴らし、怒涛のビート感で西日本最速メロディックパンクとも呼ばれたBaby smoker。TIGHT REOCRDSの特攻隊長として着実に頭角を現しながらも2015年に活動休止に入り、惜しまれつつそのままシーンからフェードアウトするかと思いきや、2022年に突如として再始動。Naomichi(COCO-ROBINSON)、そしてRyo Koike(SPACE BOYS)が合流し、現体制となった2023年以降、これまで溜めていた鬱憤を爆発させるように、ライヴハウスで凄まじい熱を放っている。そんな彼らが煮えたぎる衝動とグッドメロディーをこれでもか、と詰め込んだ新作『VOLTEX』が完成した。今回は改めて再始動への道のりを辿りつつ、会心の出来栄えと語る新作についてメンバー3人に語ってもらった。

 


――いろんな事情が落ち着いてまた動き出すバンドもそれなりにはいますけど、ベビスモみたくガッツリと動き出すバンドはあんまりいないですよね。

Wattan(Vo/G):でも、ずっとやりてえと思ってたかと言うと、そうでもなくて。最初は完全に腐ってたんですよ。4年ぐらいはライヴハウスへも行かんとこ、ってなってましたから。バンドマンにも会いたくなくて。

――そのあたりの心境はnote(https://note.com/wattan_kobanashi/n/n030523d7a57b)にも書いてますよね。

Wattan:そうです、そうです。

――そこから考え直した最大の理由は?

Wattan:コロナ禍にアンドリューさん(TIGHT RECORDS)からベビスモの曲を弾き語りで、って配信ライヴの話をもらったんです。需要あるんかなと思ったんですけど、いざやってみたら想像以上の人がPPVを買ってくれて嬉しかったし、昔の仲間も「もし、復活するならツアーに誘うから」みたく連絡もくれたりもして。そんなとき、アンドリューさんからも「復活しようぜ」と言ってもらい、そこから動き出しました。

――その後、まずNaomichiさんが加入しました。

Wattan:EDDY、改名してからはCOCO-ROBINSONですけど、Naomichiはもともと大阪の先輩なんですよ。家も近くて、家族ぐるみで遊んでたりもして、冗談半分で「ベビスモに入ったらええやん?」とか言ってて(笑)。

――そのころのCOCO-ROBINSONは事実上の活動休止状態でしたよね。

Naomichi(Ba/Cho):発表はしてなかったんですけど、そうなってました。ただ、そのときはまた違うバンドをやろうと思ってたんですよ。だから、Wattanとやりたい気持ちもありつつ、軽く流してましたね(笑)。

――バンドをやること自体にネガティブな気持ちもなかった、と。

Naomichi:活動休止自体、自分が望んだ形ではなかったし、すぐに新しいベースも買ってたぐらいでしたから。で、その別でやろうとしてたバンドがあんまり活動できなかったんで、一旦はサポートでベビスモを手伝うようになりました。


――実際にやってみてどうでした?

Naomichi:再始動のサポートなんで、基本的には既存曲の練習だけだと思うんですけど、Wattanは会うたびに新曲を聴かせてくれるんですよ(笑)。で、その曲も面白かったし、一緒にやりたい気持ちが強くなって正式に加入しましたね。

――その次にRyoさんが加入したわけですが、その当時はSPACE BOYSもまだ動いてましたよね。

Ryo koike(Dr/Cho):ただ、活動が緩やかになっていた時期でもあって。僕はまだガッツリとバンドマンでいる時間が欲しいと思ってたし、メンバーに「もうひとつバンドをやってもいいか?」と許可をもらいましたね。

――現体制になった2023年4月以降、活動がわかりやすく前のめりになった印象があります。それまでの活動で自分自身が描くバンド像をやりきれなかった部分を抱えてる3人だからこその爆発力もあったのかな、と。

Wattan:それはそうですね。叶えたかったこと、各々いっぱいあるじゃないですか。それをやりきりたいし。ただ、なかなか上手いこといかんくて、悔しいことの連続なんですけど。

――再始動後にライヴも観させてもらいましたけど、ガツンとくる力強さを感じましたし、そんなバンドの良さが詰まってるのがこの新作だと思います。疾走感、熱さ、そこに押し潰されないドラマティックなメロディーもあって。完成した今、どう感じていますか?

Naomichi:意識したのは原点回帰的なわかりやすさとこの3人だからできることの融合だったんです。飛び出てるところは飛び出てるし、歪な形はしてるんですけど、最終的にいいまとまりが出たな、と。

Ryo:手応えはめちゃくちゃありまして。いろんなWattanの良さというか、初期衝動っぽさもあるし、バンドをやってなかった時期に培った音楽性も出てる。そこにこの3人になって挑戦するような、ちょっとギャンブルな曲もあるし、めっちゃワクワクしてます。

Wattan:僕はもう、すんごいアルバムを作ったな、と思ってて。『HEX』のとき、1stや2ndが霞むぐらいの作品を作ってもうたな、次も作れるのかな、と感じてたんですけど、やっぱりいい新曲がいくつもできましたね(笑)。

一同:ハハハハ(笑)。

Wattan:もちろん、NaomichiとRyoちゃんにいろんな意見をもらって、ホンマに3人で作った感じなんですけど、これが刺さらへんのはメロディックパンク好きじゃない、と思うぐらいの感触はありますね。

――バンドが動かせなかった7年の間で音楽の趣味嗜好に変化はありましたか?

Wattan:激しいヤツばっかりやってたんで、1回そこから離れようと思い、ジャズやR&Bを聴いてみたり。そういったところにもヒントがいっぱいありつつ、いちばん大きく変わったのは歌に関してですね。弾き語りをやっていたのもあり、歌うということを凄く理解したというか。そこを意識したら既存曲にも広がりが出てきたし、下ハモのNaomichi、上ハモのRyoちゃんっていうメンバーもいるから、無限大だな、って。

――新作の中でキーになるのが「No way」だなと感じたんです。序盤から2ビートで畳み掛けて、そのまま突っ走るわけじゃないんだけど、絶妙な歌いまわしと荒々しいコーラスで持っていく力が凄いな、と。

Wattan:嬉しいです。レコーディングが終わったときは「めっちゃええわ!」となったんですけど、制作にはかなり時間がかかった曲でしたね。いろんなことを試して煮詰まったりもして。最終的には最初に形に戻したけど、それでも何か……となったり。

Ryo:僕はWattanが持ってきた原型のインパクトが凄かったんで、そのままでいいと思ってたんですけど、最初のAメロをもう1回やりたいとか、そんな話も出てきたりして。

Naomichi:まあ、いちばん僕がいちゃもんつけてましたね(笑)。

一同:ハハハハ(笑)。

Naomichi:Wattanが曲を持ってきてくれると、最初はそういうモードに入っちゃうんですよ。

MV「No way」​

――もっと良くなる可能性があるんじゃないか、と。

Wattan:ホンマにNaomichiは曲作りに関して凄く細かい人間なんですよ。僕とRyoちゃんがサッと流しちゃうところを拾い上げてくれたりもするし。

――いいストッパーにもなってるんですね。

Wattan:で、いちばん客観的に見てくれるのがRyoちゃん。僕は「これが最高や。崩したくない」から始まるんですけど、Naomichiはそれをしっかり疑い、Ryoちゃんは全体を考えて「ここはこれでいいけど、こっちはどうかな」みたく調整してくれる。バンド内のバランスもいいですね。

――「No way」は派手さはないけど、芯を食ってる強さがあるなと思います。

Wattan:ライヴでも反応がいいですね。

――メッセージとしては、感情を殺して生きるなんてできない、とわかっているけど、現実と理想の狭間でもがいてる心の叫びを歌ってて。冒頭で《Before I knew it, my life was on the brink.(いつのまにか人生がけっぷちだ)》と綴ってますけど、そういう感覚もあるんですか?

Wattan:それはバンドというより、完全に僕っすね。歌詞は全部、僕の私情でしかなくて。

Ryo:我々はノータッチでWattanに任せてますね。

――ということは、Wattanさんは崖っぷち?

Wattan:常にそうっすよね。年齢もどんどん重ねていって、いつまで音楽をしっかりやれるのか、誰にもわからないですし。ただ、そういう素の感情とか、やり場のない嫌なエネルギーも歌詞にすると僕は結構楽になるんです。そこで消化できるというか。

――「where you're going」は36秒のショートチューンになってて、一気に駆け抜けていきます。

Wattan:わかりやすさとアンニュイな感じがいい感じに混ざったショートチューンやと思ってて。いいアダルトさもあるし。

――ベビスモはショートチューンでも展開や抜くポイントを作ることが多かったですよね。

Wattan:今まではそうでしたね。だから、この曲も最初はもうちょっと長くしようかなと思ってたんですけど、メンバーに聴いてもらったら「このままの尺がいちばん良くない?」って言われて。

――シンガロング必至なコーラスもあって、ライヴに欠かせない曲ができたようにも思います。

Ryo:ホントにセットリストのどこに入れてもいい曲ですね。どの位置でも起爆剤になってくれるから。

――歌詞としてはライヴハウスに帰ってこいよ、と呼びかけています。よくバンドマンは「ずっと待ってるから」みたいなことは言ったりしますけど、「あなたがいるべき場所はここだ」みたく言い切りパターンであんまりない気がしてて。

Wattan:そうですね……ただ、これは半分は他人、もう半分は自分に歌ってて。音楽から離れてた期間、ずっと僕はしんどかったんです。お客さんでもライヴハウスから離れた人はいっぱいいると思うんですけど、バンドマンって音楽に人生かけちゃってるじゃないですか。だから、バンドがなくなって普通に生活し始めたとき、マジで自分に価値がなくなったように感じちゃうんです。そういう経験も含め、ライヴハウスや音楽にちょっとでも関わってないと心に良くないんじゃないかな、って思うんですよね。

――クセになるなと思ったのが唯一、日本語詞がある「desire」でした。冒頭にサビの日本語詞が飛び込んでくるのもインパクトがあります。

Wattan:弾き語り用で作ってた曲が元になってて、サビはあのままで、AメロやBメロはもっと暗くてダークな曲やったんですけど、あのサビをRyoちゃんが凄く気に入ってくれて。

Ryo:Wattanにしかできない日本語の使い方があるし。サビで《desire》と歌うのって、人を選ぶと思うんですよ。だけど、ベビスモを外から観てた経験も踏まえると、これは全然イケるな、と。

――ギリギリでカッコいいに着地できるというか。

Wattan:マジで歌詞がダサいっすからね(苦笑)。

一同:ハハハハ(笑)。

Wattan:だって、《行く宛のない宇宙を駆ける遊星のdesire》って歌ってますから(笑)。

――Naomichiさんはどう感じてました?

Naomichi:自分が日本語詞のバンドをやってたというのもあって、最初というか、終盤まで実はピンときてなかったんですよね。ベビスモは日本語詞もやるはやるんですけど、ここまでサビでガッツリと歌うのは初めてやったし、抵抗もあったというか。「これはあんまりちゃうかな」とレコーディングのときまで言うてたと思います。

――今の印象としては?

Naomichi:まだ半分半分ですね(笑)。

Wattan:何でや!(笑)

Naomichi:もちろん、完成形は凄くカッコいいと思ってるんですけど、どんな風に届くのか、まだわからないところもあって。

Ryo:その感覚は僕もあって。最初の方でお話したギャンブルな曲というのは「desire」なんですよ。

――あと、曲構成も面白いですよね。《I traced with my finger〜》から始まる短いBメロのスパイスが効きまくってて。

Wattan:そうなんですよ。そこがサビへのいい助走というか、緩急をつける場所になってて。

――ド頭で《眠れない夜は》と歌うのは最初からイメージしたんですか?

Wattan:いや、最初はなかったです。

Ryo:Wattanと2人で作業してるときに「サビのワンフレーズ、頭に持ってくるのはどう?」って言ってきて。たしかにBRAHMANの「BASIS」の《其処に立つ》とかめっちゃヤバいし、そこからトントン拍子でまとめましたね。

――「I can't hold on」は明るいロックンロールテイストな曲です。

Wattan:今まで、実はこういう曲がなかったんですよね。Ryoちゃんが「みんなで乗れるようなポップな曲が欲しいよね」と言ってくれて、やってみたかったけどできてなかったな、というタイプの曲ができました。僕はひとりでやってると0か100か、みたくなっちゃいがちなんですよ。だから、その間を求めてくれたからできた、っていう。

――「evolution」のアコースティックバージョンはボーナストラック的立ち位置かなとも思うので、作品を締めくくる曲としては「mothers rosario」だと思うんですけど、ホントにグッときましたよ。母親への贖罪と愛を綴っていますが、こういうことも歌うようになったのか、と感じたりもして。

Wattan:ホントに僕もこんな曲を書くとは思ってなかったですよ。歳を重ねたんやな、とも思いました。

――書こうと思ったキッカケはあったんですか?

Wattan:まあ、僕は大阪、オカンは東京、と離れて住むようになって。いろいろあったんですよ、私生活で。オヤジが死んだときに「Birthday」を書いて、オカンは死んだわけじゃないけどめったに会えなくなっちゃうのもあり、「Birthday」の対になる曲を、と考えたんですよね。

――出だしでは祈りを捧げるようにゆったりと歌い出して、歌詞的にもストレートなバラードかと思いきや、自分の好きな道を投影したかのように2ビートが入ってくる。ジレンマや葛藤がサウンドアプローチにも表れてるのかな、と想像しながら聴いてましたよ。

Wattan:ビートやメロディーに関しては、歌詞がどうこうっていうよりかは「Birthday」のことを思い出しながら書きましたね。小難しいことはせず、昔の直球的な感じがいいな、とも思ってたし。

――このインタビューで触れてない曲も含め、お気に入りだったり、思い入れのある曲を挙げるとすると、どのあたりになります?

Naomichi:お気に入りで言ったら1曲目の「Diamond」なんですけど、思い入れみたいなのは「desire」の方が強いかもしれないですね。

――「desire」は半信半疑だったみたいな話もありましたけど。

Naomichi:僕、第一印象から覆ることがあんまりないんですけど、WattanとRyoちゃんの絶対的な自信を信用してみようかな、みたいな気持ちが生まれ、それがだんだんと強くなっていって。それが自分の中では新しい感覚だったりもするんですよ。

――「Diamond」の好きなポイントはどのあたりですか?

Naomichi:王道というか、アンセム感がありますよね。

――1曲目らしい軽快さもあるし、広がりのある新作へスッと入っていける扉にもなってると思います。

Naomichi:ただ、曲順はかなり悩んでて。他の曲はそのままで、「mothers rosario」と「Diamond」の位置を逆にするという案もあったんです。

Ryo:逆張りっていうわけでもないんですけど、そこは悩みましたね。

――「Diamond」はカットアウトっぽく終わりますけど、それもそのままで?

Naomichi:そうでしたね。あの終わり方って、その後にまた続いてく感じがあるじゃないですか。

Wattan:「Diamond」がバツっと終わって、また「mothers rosario」の歌い出しに戻ってくる、っていう。

Ryo:最近の作品は1曲目からパンチがないと、みたいな話もありますけど、そこをWattanの歌で黙らせたいな、みたいな気持ちもあったんです。

――そして、この新作を引っ提げたリリースツアーが始まります。すでに発表されてる前半戦だけで18本というボリュームになりますが、『HEX』のときとはまた違う気持ちがあると思います。

Wattan:『HEX』は帰ってきました、みたいなツアーやったんですけど、リハビリ的な側面もあって。それを比べると、今回はめちゃめちゃ挑戦というか、この先のバンド人生を左右するんちゃうかな、っていう予感がしてます。ワンランク、自分たちのレベルやステージを上げられるツアーにしたいな、って。

Naomichi:昨年までもバンドは本気でやってましたけど、この3人でここまでの本数のツアーをやるのは初めてなんで、もうひとつ本気度が上がったというか。やっぱり、無理をしなかったら何となくは続けられるんでしょうけど、3人の歩幅をしっかり揃えて全速力でやれる時間は限られてるだろうし。みんなの生活を棒に振りながらでも本気のツアーをまわりたいと思って組んだので、熱量としては凄く高いですね。

――ここでさらに走り続けられる理由が手にできれば、という。

Ryo:そういうところでは、Wattanは7年ぐらい休んでたし、Naomichiも止まってた時期があったけど、僕はコロナ禍もずっと止まらずにバンドをやってたんで、変わらずに本気でやるぞ、っていうだけというか。ホントに楽しみにはしてるんですけど。

――この3人で長いツアーを終えたら、何かが変わりそうな予感も?

Ryo:ただ、いつだって会えば最高潮なんですよ、僕たち。

Naomichi:ハハハハ(笑)。

Ryo:いい大人になってから組んでるんで、最高のグルーヴなんですよね。だから、ツアーを駆け抜けて、それがもっと固まってるのが怖いぐらいというか。

Wattan:いいコメントやな(笑)。

Ryo:ツアーが終わってもまたすぐに作品を出したくなっちゃうんじゃないか、っていう予感もしてますね。





2nd Mini Album“VOLTEX”
TIGHT RECORDS / TIGHT-033/ 2,500円(税抜)

01.Diamond
02.desire
03.No way
04.I can't hold on
05.How far, How long
06.where you're going
07.missing
08.mothers rosario
09.evolution (Acoustic ver.) 

 

2nd Mini Album“VOLTEX”Release Tour 2026 - First Season-

2026/02/20(金) 千葉LOOK
2026/02/21(土) 八王子RIPS
2026/03/14(土) 富山SOUL POWER
2026/03/15(日) 新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
2026/03/21(土) 横浜F.A.D
2026/04/03(金) 福岡OP's
2026/04/04(土) 長崎STUDIO DO!
2026/04/05(日) 大分CLUB SPOT
2026/04/17(金) 堺東Goith
2026/04/18(土) 三重ANSWER
2026/04/19(日) 名古屋R.A.D
2026/05/09(土) 上越EARTH
2026/05/10(日) 金沢vanvanV4
2026/05/29(金) 新宿ACB HALL
2026/05/31(日) 宇都宮HELLO DOLLY
2026/06/06(土) 八戸FOR ME
2026/06/07(日) 仙台ROCKATERIA
2026/06/13(土) 横須賀PUMPKIN
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