LIVE REPORT

"Hub Slice7" LIVE REPORT!!

Report by 柴山順次
Photo by サカイマサト

 

2026.06.26 渋谷Spotify O-EAST

Hub Sliceとは何か。PIZZA OF DEATH RECOREDSが2025年9月より新たなイベントとして立ち上げたこの「Hub Slice」というイベントはバンド、客、ライブハウスの ハブとなることを目的として不定期かつ、定期的に開催されているイベントである。オーガナイズするのは2025年にPIZZA OF DEATHに入社した現在22歳の鈴木佑太郎。2026年6月26日、渋谷Spotify O-EASTにて行われた7回目の「Hub Slice」のテーマは「メロディックパンクの復権」。このテーマを掲げ鈴木佑太郎が選んだのはAFTER SQUALL、ENTH、FIVE STATE DRIVE、HONEST、KUZIRA、MACVES、MARIO2BLOCK、ONIONRINGの8組が出演。偶然なのか必然なのか、東海地区で活動するバンドが「Hub Slice」の名のもとに深夜の渋谷に集結した。

 

「Hub Slice」が掲げる理念としては、ジャンル、所属、年齢、形態などあらゆる垣根を取り除き、PIZZA OF DEATHがかっこいいと思うバンドを集め、かっこいいイベントを開催するといったイベントの趣向があり、過去6回の出演アーティストを見ても実に興味深い組み合わせでラインナップされていた。そんな中、今回の「Hub Slice7」は「メロディックパンクの復権」というテーマが明確にある。じゃあ何からの復権なのか。何をもって復権とするのか。それはこの日、あの場所で「Hub Slice」を体験した者ならば分かっているはずだ。Hub Sliceとは何か。正解なんて人それぞれ、答えなんてなくたっていい。バンドが、僕が、あなたが、鈴木佑太郎が、PIZZA OF DEATHの大きなロゴの下、「Hub Slice7」で観たこと感じたこと、その全てが、それだけが真実だ。

 

【HONEST】

「Hub Slice7」のトッパーを飾ったのはHONEST。メロディックパンクに魅了されて、心を奪われて、ときには毒されて、いつだって誰がなんと言ったって俺達のど真ん中にある「HOME」がライブハウスだと叩きつけるHONESTに台風なんて吹き飛んじゃえ。メロディックパンクバンドは数あれど、じゃあなぜHONESTなのかってことを、そしてライブハウスは行き場がない奴の居場所だってことを、しっかりと証明してくれた。

 

【FIVE STATE DRIVE】

好きなことを好きなときに好きなようにはちゃめちゃやる。SKAパンクがメッセージならFIVE STATE DRIVEが体現する「STAY YOUNG STAY PUNK」とは、負けないこと、投げ出さないこと、信じ抜くこと。その結果が今の彼らの勢いだし、目の前のこの光景だ。みんなで歌って踊った「Lonely Baby」が今でもこの身体に余韻を残している。

 

【AFTER SQUALL】

自分自身になるために、自分自身であるために、結んで描いて形にする。台風の中の台風の目となったAFTER SQUALLは、Taiyo Miyuがそのアームカバーに封印したものを解放したような攻撃モード。ぶっ放した黒龍波が縦横無尽にフロアを暴れまくるミッドナイトブレイクダウン仕様にフロアも熱を帯びていく。まだまだ朝まで遠い時間、未来が動き出しそうな予感がした。

 

【MACVES】

西海岸と名古屋をごちゃ混ぜにしたらこんなん出ました、みたいなライブで渋谷を揺らしたMACVES。深夜と真っ昼間がひっくり返ったみたいな陽気なナンバーに心も身体も踊っちゃう。いつかMACVESの軌跡を振り返ったとき、この日のライブはきっと彼らにとってひとつのターニングポイントになるんじゃないかな。シャルウィーダンスウィズミー、世界が動き出すのはいつだって今夜だ。

 

【ONIONRING】

生活を鳴らすこと。東海のパンクシーンを背負うこと、仕事をすること、家族を持ち子供を育てること。その全てを、燃え尽きるまで真っ当すること。新曲「Until We Burn Out」はONIONRINGというバンドが、そのバンド人生を全うする生き方、在り方そのもの。渋谷だろうが名古屋だろうがONIONRINGがその生活を歌えば、そこが彼らのホームタウンになる。ライブハウスが彼らの生きる場所だ。

 

【ENTH】

遊びをクリエイトするENTHというカルチャーてんこ盛り。死に場所より生きる場所を見つけた奴らの勝ちだっていうならここにいる奴ら全員勝ちでしょう。そんでもって"EN" とか"TH"とか意味ない言葉に意味を持たせたENTHの価値。友達の作った服を着て、友達の作ったもん食べて、そうやって作り上げたボディとソウルで無双するENTHちゃん。渋谷に叩きつけた「ムーンレイカー」は地獄絵図のようなのに是認笑顔なことが答えでしょ。



 

【MARIO2BLOCK】

不屈のメロディックパンクファイター、MARIO2BLOCK。諦めるなんて奴らの辞書にはなく、這いつくばって走り回って、岐阜を背負って渋谷の真ん中でファイティングポーズ。シンテツヤの「岐阜はKUZIRAだけじゃねえ」という魂の叫び。MARIO2BLOCKのやってきたことってまるで少年漫画なんだけど、天下一武道会で戦い続けてきた彼らがここからは主役だから。加速したマリツー物語の続きを早く読ませてくれ。

 

【KUZIRA】

PIZZA OF DEATHのでっかいロゴの下でひっちゃかめっちゃか。言葉なんていらない、ライブハウスで起きたことが、その目で見たものが全て。柵なしに策なんてなし、ノーセキュリティ、真夜中のKUZIRA大乱闘。ステージに入り乱れる人、人、人の中で起きた爆発みたいな衝撃と衝動の「BOX」が超ハイライト。予定調和じゃなく衝迫、それによる動因。これがKUZIRAのパンクだ。



 

 

台風が直撃する中、オールナイトで行われた「Hub Slice7」。この日の出演バンドは愛知、岐阜といった東海地区のバンドオンリーだったけれど、PIZZA OF DEATHはなにも東海地区のバンドを集めたかったわけじゃないのだと思う。それならそれできっとテーマとして「東海地区の~」と掲げるはずだ。そうじゃなくて、PIZZA OF DEATH が、鈴木佑太郎が、いま本当にかっこいいと思うバンドを集めたら、それが東海地区のバンドばかりだったのだろう。だって「Hub Slice」に縛りなんて何もないから。そんなの全然パンクじゃないから。かっこいい奴らとかっこよく遊ぶこと。それってまさに僕らがずっと見てきたPIZZA OF DEATHなんだけれど、22歳の鈴木佑太郎によってまた新しいPIZZA OF DEATHの層が生れていることは火を見るより明らかだ。パンクがカウンターカルチャーだとするならば、PIZZA OF DEATHに対するカウンターとしてのPIZZA OF DEATHが「Hub Slice」なんだと思う。

 

「Hub Slice7」のテーマは何だった?そう、「メロディックパンクの復権」だ。あれが駄目、これが駄目、分かる。分かるけれど、僕らがパンクから学んだことは、ルールは作らず、マナーは守るってことだ。マナーが守れないからルールができてしまう。そんな堅苦しい世界なんてクソ喰らえだ。立てる中指の先を間違えてはいけない。パンクは、メロディックパンクは、どこで鳴っている?そんなのもちろんライブハウスだ。画面越しにスクロールなんかされてたまるか。誰かの暇つぶしのネタになってたまるか。「メロディックパンクの復権」は、ファッキンSNSから僕らの手にパンクを取り戻すこと。僕はあの日、いやあの日以降、それをすごく考えていた。これは特定の誰かを指しているわけでも、誰の味方でもなく、あのPIZZA OF DEATHの大きなロゴが掲げられたライブハウスで、かっこよくいたいよなって話だ。Hub Sliceとは何か?

その答えは現場にしかない。



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