Prompts ニューEP "Parasite Dream”で表現した新境地 INTERVIEW!!
6月16日にリリースされたPromptsのニューEP『Parasite Dream』。ここ数年間に発表してきたシングルを中心に現代のバンドのムードを表現した作品だ。先立って発表された「Death Of Me」はバラード調の楽曲ということもあって、これまでのPromptsのイメージを覆すものであった。他にも意外性のある曲がちらほら。さて、PromptsはEP『Parasite Dream』で何を表現しようとしたのか。
Photography: Yuji Sato, Text: Ryo Tajima
L to R: PIGURI(Ba,Vo)、Ryuki Matsuno(Gt)、Shusuke Yasui(Gt)、PK(Vo)
“Deceiver”のリリース後に楽曲の方向性について考えた
ーEP『Parasite Dream』ですが、これまでに発表されてきたシングル曲も多数収録されています。まとまった作品という意味では2022年の『Fracture』以来ですが、このタイミングでなぜEPという形式になったんですか?
Shusuke Yasui(以下、Yasui):最初はアルバムを作ろうと思って「Sun Eater」、「Edgerunner」を作ったんです。どちらもカオティックな楽曲で、そういう曲にハマっていたので、カオスな曲ばかりのアルバムを作りたいと考えていたんです。それが「Deceiver」を作ったあたりから飽きてきちゃって。まったく別の雰囲気の曲をやりたくなってきちゃったので、一旦ここでEPとしてまとめておこうって流れになったんです。
PK:「Deceiver」に入っているクリーンボーカルのパートはこれまでにPromptsでやってきたのとはちょっと異なる新しいアプローチでもあって、個人的にも苦労して作った楽曲ですね。ギリギリまで粘って作ったので、けっこう苦しかった記憶があります。
ー「Deceiver」の後半に至る部分には長尺のメロディパートが入っていますよね。では、この曲を境にメロディのパートを増やしていこうという方向に向かっていったんですか? いわゆるデスコア的なアプローチだけではなく。特に「Death Of Me」はシャウトよりメロディの方が中心に構成されています。
PK:他メンバーもヘビーミュージックだけが好きなわけではないし、『Fracture』にもメロディのある曲を入れているので、もともとメロディのある音楽が好きなんですよ。その辺りのアプローチを全面的に出したのが「Death Of Me」なんです。
Ryuki Matsuno(以下、Matsuno):そんな変化があったのは、メンバーが各々のルーツに向き合った結果だと思います。PKが言うように、もともと持っていたものを膨らませていって新たなアプローチに繋げていった感覚がありますね。
ー「Death Of Me」は今後のバンドの方向性を考えるにあたって重要な楽曲だと言えますか?
PK:そうですね。「こういう曲が1曲あったらいいよね」ではなく、今はこういうことをやりたいという思いを込めている部分はあると思います。「Death Of Me」のメロディはすぐに思い付きましたし、けっこうスムーズにできたので、自分的にもこういう曲をやりたかったんだなと気づけた曲でもあるんですよ。
もう一度ルーツに立ち返った曲作りを
ーそうなると、今回のEPには、その時々のバンドのムードを落とし込んだ楽曲が収録されていますね。全体の構成はどういう感じでしょう?
Yasui:今回のEPは大きく分けると3グループあると思います。「Sun Eater」、「Edgerunner」、「Deceiver」、「Stranger(feat. Landon Tewers)」の4曲はダークゾーンというか。激しいアプローチの世界観で、「Weirdo(feat. AG)」、「Death Of Me」がクリーンパートもありつつエモーショナルな楽曲。「Drowing」はMUSEだとか、自分が今までやってきたUKロックをどう混ぜるかということを表現しているので、そういう意味では今の作曲の指針を1番明確に表している曲でもあるんですよね。
ーなるほど、Yasuiさん的の今は「Drowing」なわけですね。ルーツを意識した制作が今回のEPのテーマにもなってくると思いますし、MUSEの名前がYasuiさんから出たので、皆さんのルーツについて改めて教えていただけますか?
PK:やっぱりメンバー全員が好きなバンドでいくとDeftonesなので、シューゲイズは明確にルーツにあるんですよ。
Yasui:ただシューゲイズコア、デフトーンズコアをやっているバンドは山ほどいるので。今作だと「Death Of Me」はまさにそういう曲だと思うんですけど、今後ずっとこういうサウンドしかやらないというわけではないんですよ。これからシューゲイズコアをやっていきますという宣言をしたいわけではまったくないです。
PK:ありきたりのシューゲイズコアみたいに歌わないようにする、というのはメロディパートを考えるうえでもすごく考えましたね。この手のバンドだともの静かに歌うのがセオリーだったりすんですけど、韓国や日本ではしっかりと歌い上げる文化があるので、シューゲイズコアをアジアのバンドが解釈したらこうなった、という歌にしたいと思っていました。そう思って「Death Of Me」のボーカルラインを考えてバンドLINEに共有したら、メンバーから「感動しています」って反応があったので(笑)。それでテンションが上がった記憶があります。
ー日本のシーンを見ると、未だにシューゲイズコアが定着しているほどではないと思うのですが、Promptsが国内のシューゲイズコアシーン第一人者になろう的なことは考えないんですか?
Yasui:あまり考えないですね。そもそもPromptsの最終的な目標は世界で戦うことにあるので、日本でオンリーワンになってもあまり意味がないように感じるんですよ。
PK:そうだね。アジアのバンドとして世界で活動していくという気持ちがメンバー全員に強くあるから。それに『Magenta Smile』(2019年リリースのEP)を出した時にニューメタルコアを標榜してやっていたんですけど、Alpha Wolfと対バンした時に、日本でオンリーワンなニューメタルコアバンドとしてやり続けていたとしても、こいつらに勝てるか? って思ったんですよ。
Yasui:そうそう、本物に勝てねぇなって(笑)。同じことをやっていちゃダメだって思ったんです。
Matsuno:そんな中でオーストラリアツアーをしている時に感じたんですけど、ブレイクダウンのパートでなくてもフロアは上がってくれたりもしたので、アジアがルーツだからこそできる展開もあるんじゃないのかなと考えるようになりましたね。自分たちにしか表現できないドメスティックなものがあるはずではないかと。
ー一方で楽曲「Stranger(feat. Landon Tewers)」は逆に超ニューメタルコア、デスコアの要素を色濃く感じます。この楽曲についてはいかがでしょう?
PK:Promptsとして初めて外部のプロデューサーを入れて制作した曲ですね。それがThe Plot In Youのフロントマン、Landon Tewersでフィートでも参加してもらっているんですけど、もともと大ファンだったのですごく嬉しかったんですよ。
ーどういう経緯でLandon Tewersの参加が決まったんですか?
PK:The Plot In Youの来日ツアーに参加していた時、僕らのリハを見たThe Plot In Youがぶち上がってくれて「今の曲、もう1回やってくれ」って言ってくれたんですよ。その時にプロデューサーを入れたらもっとよくなると思うって言ってくれたので、1年後にお願いしてやってくれることになったんです。
ープロデューサーを入れると制作の仕方が変化したりするものですか?
PK:特にボーカルについてはたくさんのことを教えてくれて、今までにないレコーディングになりましたね。英単語の並びや表現の仕方をネイティブっぽく変えてみたらってアドバイス
をくれたりしたんですよ。普通のアメリカ人だったらこう表現すると思うとか、発音はこうしたらしっくりくるだとか。あの時の学びはすごく多くて、Landonと制作する前後でボーカルの作り方が大きく変わりましたね。The Plot In Youはカオティックなメタルコアのパイオニア的存在なので、そんなアーティストにプロデュースしてもらえた経験は大きかったです。


異邦人の孤独感を歌った“Weirdo(feat. AG)”
ー客演がある楽曲という意味で「Weirdo(feat. AG)」もそうですね。この曲には壮大な雰囲気が感じられます。
Yasui:曲自体はけっこう前にできていたもので、その時点でAGくんが合うだろうって思っていたので、それだけでオファーさせてもらったんですけどーー。
Matsuno:まさに僕らの想像通りに完璧にやってくれた感じですね。歌詞に日本語もあるのがポイントでもあるしスクリーモ的なアプローチもある曲なので、AGくんがピッタリでした。
PK:日本語詞も自分が書いていたんですけど、それをAGさんに渡してメロディの方向性も話し合った時に、AGさんの方で歌いやすいようにちょっと変えてもらったりしつつ、2人のハーモニーの重ね方を考えながら一緒に作っていったんですけど、すごく勉強になりました。
ー何か2人で作業している際のエピソードはありますか?
PK:作業途中で飲み物を買いに2人でスーパーに行ったんですけど、僕がイチゴを見てテンション上がっていたら、AGくんが「イチゴ、食べる?」って4パックも買ってくれて(笑)。
Matsuno:イチゴ、美味しかった?
PK:美味しかった! 優しいんですよね、兄貴って感じです。
ーいい話。
PK:曲順は「Stranger」→「Weirdo」と続くんですけど、この曲順にした理由が、「Stranger」終わりのギターの音がそのまま「Weirdo」に繋がっているからだって、Yasuiが教えてくれたんだよね。
Yasui:そうだ、もともとアルバムにする予定だったので、全曲残響音とかで繋がるようにしようと思っていたんですよ。その名残じゃないですけど、5曲目〜6曲目にかけては、そういう音を仕込んでいるんです。
PK:「Weirdo」の歌詞も「Stranger」から繋がるテーマで書いているんですよ。何度か札幌にツアーしに行った時に韓国と雰囲気が近いと感じたんです。NOISEMAKERやHIKAGEのみんな、CVLTEのavielくんと話していてもシンパシーを感じることが多くて。彼らも札幌から東京に上京していて、自分も韓国から東京に来ているわけですけど、どんなに仲間が増えても、どこか孤独感や寂しさを感じることがあるんですよ。タイトル(Weirdo=変わり者、奇妙な人)にもある通り、そういう内容を歌っています。
Yasui:「Weirdo」は、宮沢賢治の『よだかの星』を読んで、そのラストシーンに着想を得て、その風景を曲にしたいと思って制作したんですよ。だから自分的にも寒い夜空を孤独に飛んでいる鳥、というイメージが曲にあったので、歌詞ともしっかり繋がってくる部分があるなと。タイトルも話し合ったわけじゃないのに、曲のテーマとしっかりリンクしていることに、今気づきました。
PK:どんな曲なのかってことをYasuiが説明してくれること自体、初めてのことで、ボーカルを考えるのも苦労しましたね。20パターンくらい考えてレコーディングも最後にしたと思う。そんな風に『Parasite Dream』というEPはすごく歌詞にこだわった作品でもあるんです。「Weirdo」の歌詞とボーカルラインは特にそれが顕著に現れている曲でもありますね。悔いを残したくなかったので、とことんメロデイにこだわって作り込んでいった思い入れのある曲です。
ー今回のEPは、ここ数年のPromptsを総まとめした作品でもあり、今後の変わっていくバンドの方向性を示唆するものでもあると思います。そんな中でタイトル『Parasite Dream』にはどんな意味を込めているんですか?
PK:今作に収録されている楽曲はネガティブな感情をいろんな方向性から歌ったものが多いんです。本来であればネガティブなことは考えたくないし向き合いたくもないのですが、まるで寄生虫のように頭の中に入り込んでしまうことが多々あります。でも、そういう負の感情やネガティブな側面も自分自身の一部なんですよね。そう考えると、自分の中に入り込んできたネガティブな感情という寄生虫が見ている夢は、自分が見ている夢と同じなんじゃないかと思って。それでタイトルを『Parasite Dream』にしました。まずはリリースパーティ『RITE OF PASSAGE』が8月14日にclubasiaで開催されます。そこにはNOISEMAKERも出演してくれる予定です。その後は、今作を携えて今のPromptsを見せにツアーして回りたいです。順次、情報をアップデートしていくのでチェックしていてください。
INFORMATION

Prompts 『Parasite Dream』
1. Sun Eater
2. Edgerunner
3. Drowning
4. Deceiver
5. Stranger feat. Landon Tewers of The Plot In You
6. Weirdo feat. AG of NOISEMAKER
7. Death Of Me
https://promptsofficial.com/
https://www.instagram.com/promptsofficial/
RITE OF PASSAGE
"PARASITE DREAM" RELEASE PARTY
2026.08.14(金) @ 渋谷clubasia
eplus.jp/prompts/