LIVE REPORT

Hi-STANDARD “THE GIFT TOUR 2017” LIVE REPORT!!!

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Report by Ryo TajimaPhoto by Teppei Kishida / 半田安政(Showcase) / Takashi "TAKA" Konuma / Yuji Honda

 

 

2017.12.14Hi-STANDARD Pre. “THE GIFT TOUR 2017” @さいたまスーパーアリーナ

 

「Hi-STANDARDは生きている。そしてこれからも続いていく」

あえて、こう言いたい。この日をもってHi-STANDARDが完全なるカムバックを遂げた。生意気であることは百も承知、みんなに怒られるかもしれない。だが、全身でこう感じた。『Hi-STANDARDが、ようやくシーンに帰ってきたんだ…』。2017年12月14日、さいたまスーパーアリーナ。Hi-STANDARD "THE GIFT TOUR 2017"ツアーファイナル、この日を境に向う10年のジャパニーズ・パンクロックシーンは大きく変わっていくだろう。なぜって、レジェンドと言われ続けた巨大な存在が、シーンを回す車輪の一部として機能し始めるのだから。帰路、さいたま新都心駅から電車で渋谷へ。この日のライブを思い返しながら、来年のパンクロックシーンのことを考えると鳥肌が立った。想像するだけで楽しくなってガクガクしてしまった。このように興奮しているのも横山健(G/Cho)がMCで「ハイスタは2度と畳まない。こうなったらメンバーの誰かがくたばるまでやる」と言い放った言葉に起因する。このことは横山健のインスタグラムでも発信されているメッセージなので、すでにご存知の読者も多いのではないだろうか。

さて、12月14日のさいたまスーパーアリーナの話をしよう。
"THE GIFT TOUR 2017"最大規模となるハコ、さいたまスーパーアリーナは開場から数時間前の段階でハイスタT、ホルモンT、エアジャムTを着込んだオールドキッズ&リアルキッズで溢れかえっていた。誰もが興奮を押さえられない様子で食事を摂ったり乾杯したり。まるでフェスの一角を連想させるような光景で、あちこちからハイスタについての会話が聞こえてくる「ねぇ、健さんは今日、Navigator(ナビゲーター)のレスポールを弾くかなぁ?」「やっぱ1曲めはアルバム『THE GIFT』からかな?」「いや、いきなりの『Stay Gold』もあるっしょ。エアジャム 2000みたいに」。「私、Hi-STANDARDのライブを見るのは初めて!」と笑顔で話すのはきっと10代であろうガールズ。会場外に設置された『THE GIFT』パネルの前には記念撮影の長蛇の列。18時を回り、すでにTシャツ&ディッキーズに着替えた幸せなオーディエンスが寒空の下、アリーナへ、スタジアムへ、各々自分に与えられたエリアへ足を運んでいく。ステージバックにはマキシマム ザ ホルモンの特大フラッグが掲げられ、液晶ディスプレイにはTM PAINTが描いた"ライブの注意事項"イラストが流れていた。その中の1つには「ENJOY PUNK ROCK Hi-STANDARD」のワードがあったが、この日はまさにこの言葉に集約される1日になった。



マキシマム ザ ホルモンのライブが終わり20時15分、Stiff little fingersの『GO FOR IT.』の入場曲と共に、Hi-STANDARDが笑顔でステージへ。アリーナでは、すでにダイバーに加え多数のリフトが発生するという事態に。まだ、曲はスタートしてないというのに、だ。「Oi! Oi!」の大合唱が巻き起こる中、横山健(G/Cho)がレスポールを構えストローク。ギターのハウリングがツアーファイナルの幕開けを告げる。難波章浩(Vo/B)の「来ちゃったね! ついに」のMCから"THE GIFT"の意味が改めて告げられた。この話を聞くまで、私は『THE GIFT』というアルバムがHi-STANDARDから、もたらされた贈り物なのだと解釈していた。でも、本当はそうではなかったのかもしれない。こうしてHi-STANDARD3人のメンバーが再び集結し、作品をリリースしてツアーをすること、パンクロックそのものが自分たちに与えられた"ギフト"なのではないか。「パンクロックを信じて本当に良かったと思うよ。準備いいか? ハイスタ行くぜ!」で1曲目『The Gift』へ。

イントロのリフ、その一音のインパクトは圧倒的だった。太く重い、Hi-STANDARDのパンクロックだ。巨大なさいたまスーパーアリーナにポツンと立っていた私の意識は一気に20年前へ。ステージは遠くにあるというのに、ダイブして転がっていけばステージに届くんじゃないか、と思ってしまい、一瞬、距離感がわからなくなった。あの日の光景がフラッシュバック。2000年の続きが、いきなり始まったような不思議な心地がしたのだ。『Growing Up』『All Generations』とこれまでの3枚のアルバムと『THE GIFT』収録の新曲を交互にしたセットリストの一体感がすごい。新曲、旧曲という時間的な違和感をまったく感じさせずにライブが進行していく。「オレたち3人はHi-STANDARDを名乗ってロックンロールしに来たんだよ。君らはロックンロールを楽しみに来たんだよね? ステキなことズラ」と横山健。「今日はいい感じに行こうぜ」と難波章浩。距離感の近さはアリーナと言えど"やはり"ライブハウス。そして『Summer Of Love』のイントロと同時に、フロアの熱気は急上昇していくことに。その後のMCでも難波章浩と横山健のMCの掛け合いに笑わせられたり、ウキウキさせられたり。

「行くぜ、オレの1、2、3、4からね」という横山健の言葉から始まったのは、そう『Glory』。この「1、2、3、4」をずっと聴きたかったんだ。私を含むオールドキッズの涙腺は1回ここで崩壊することになる。前半戦終了の辺りで、恒岡章(Dr/Cho)のドラムロールから「2012年にやりたかったこと、思い出した!」と、サッカー日本代表の"応援コール"を大合唱。

「日本」という言葉がさいたまスーパーアリーナに響き渡るというのも圧巻。この自由にライブが展開していく感じ、まさしく至高。ライブが進むにつれ、メンバー各々がツアーが終わってしまうことへの名残惜しさを口にする。そして「Hi-STANDARDは生きています!」と難波章浩が言えば「そして、これからも生きていくからね!」と横山健が繋げる。「難波章浩、横山健、恒岡章の3人でHi-STANDARDだと思っています!」と、何度も確かめるように、宣言するように語る姿は力強く、そこには(失礼ながら)ノリにノっている若手バンドが持ち合わせているような、弾けんばかりのエネルギーを感じさせられた。

『Starry Night』が始まればアリーナからスタジアムまで、スマホのライトが一面に花咲き、その光景に向けて横山健の即興『Lovin' You』。ここで止まることなく、横山健は「もう1曲聴いてくれ!」と『The Sound Of Secret Minds』を熱唱。サビで「ナンちゃん!」とパスして歌い回す。「本当に今、すごく楽しいです。バンドっていいね」と難波章浩。その言葉通り、3人それぞれが心からバンドマンとしてバンド活動を純粋に楽しんでいるのだと、胸を熱くさせられた。本編終盤「前歯だけでも金色にしようなんて思ったことがありました」という難波章浩のMCで、会場が色めき立つのが手に取るようにわかった。そう『Stay Gold』だからだ。最後のサビでは『I won't forget』を『You won't forget』で叫んだ難波章浩。再びニューアルバムから『Free』。1stアルバムから『Maximum Overdrive』。「今年は色々なことがあった。みんなが思っている以上にハイスタでいることを楽しんでいるんだ」と横山健。「こんなことになるんだね」という難波章浩の言葉は、この17年間の出来事を示していたのだろうか。

本編ラストは『Brand New Sunset』。演奏終了後、難波章浩と横山健は硬く抱擁を交わし、恒岡章としっかり握手し、笑顔のままに終幕となった。アンコールは2度。最後に演奏された『Turning Back』の痛快さは筆舌尽くしがたい。



いちファンとして、こんな日が訪れるとは本当に想像できなかった。Hi-STANDARDが沈黙を破った2011年のエアジャムで。翌年、東北で開催されたエアジャムで。それ以降も、いくつかのイベントにHi-STANDARDは出演してきたし、2016年にニューシングル『ANOTHER STARTING LINE』がリリースされ"GOOD JOB! RYAN TOUR 2016"が全国4ヶ所で敢行された。福岡で開催されたエアジャム 2016の記憶も、まだ新しい。でも、そこには何と言うか「きっと、これがHi-STANDARDを観れる最後の機会になるんじゃないかな」という、漠然とした寂寥感があった。だから『MAKING THE ROAD』『ANGRY FIST』『GROWING UP』『LAST OF SUNNY DAY』の曲が演奏されるたびに、思い出を回想しながら合唱していた。ここからは、再び失礼を承知で述べたい。きっと私は、過ぎた青春に思いを馳せたいがために、2011年以降のHi-STANDARDを観ていたのだ。レジェンドだと決めつけて、『Stay Gold』と『The Sound Of Secret Minds』と『Maximum Overdrive』が聴きたいだけだったのだ。過去の幻影を追い求めるように。エアジャム世代と呼ばれる我々にとって、90年代後半から00年代前半の、あの空気感を体験した思い出というのは、決して解くことのできない複雑な呪いのようなものだ。だから、パンクロックが好きでライブハウスに通っていたのに、すっかり頭が固くなってしまっていた。もうあの日の感動は再来しないと勝手に決めつけていたのだ。『THE GIFT』がリリースされ、全国ツアーが発表され、12月14日にさいたまスーパーアリーナに行くまで、頭の固い偏屈な大人に成り下がっていたのだ。それが、この日の1曲目『The Gift』でぶっ飛ばされた。そのとき、私の足元には2000年8月26日の千葉マリンスタジアムのブルーシートの地面が広がっていた。あのとき立ち止まった自分の背中を思いっきり押すような衝撃だった。だって、Hi-STANDARDはもう(これも誠に恐縮ながら)ツアーを経て、完全に仕上がり、まるで生まれ変わったように活き活きと、今のパンクロックの表現者としてステージに立っていたのだから。そして、繰り返しになるが「Hi-STANDARDはもう2度と畳まない」。不安はもうない。「Hi-STANDARDは生きている。そしてこれからも続いていく」のだ。これから先、Hi-STANDARDはいちパンクロックバンドとして活動を続けていくことになる。レジェンドだが、レジェンドの席に収まっているアーティスト様ではない。進化し続けるバンドとして、これから当たり前のようにシーンに存在する。では、それがどのような作用をもたらすのか。想像しただけでも面白いでしょう。難波章浩のMCにある通り「こんなことになるんだね」と自分自身に思わさせられた。もう幻影を追いかけない。10代前半で1度、自分の頭の中にある既存の価値観を壊してくれたバンドが20年後にもう1度、また違った角度から価値観を壊し、新たな明日を見せてくれるなんてことが現実にあるんだなぁ。パンクロックを信じて良かった。ウェルカムバック!! Hi-STANDARD!


[SETLIST]
01.The Gift
02.Growing Up
03.All Generations
04.Summer Of Love
05.I Know You Love Me
06.Dear My Friend
07.Hello My Junior
08.Glory
09.Close To Me
10.Pink Panther Theme
11.Nothing
12.Going Crazy
13.We’re All Grown Up
14.Pacific Sun
15.California Dreamin'
16.Fighting Fists,Angry Soul
17.Starry Night
18.The Sound Of Secret Minds
19.Stop The Time
20.Stay Gold
21.Free
22.Maximum Overdrive
23.Brand New Sunset

24.Another Starting Line
25.Teenagers Are All Assholes
26.Happy Xmas (War Is Over)
27.Can't Help Falling In Love
28.Mosh Under The Rainbow

29.My Heart Feels So Free
30.Turning Back


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