ROTTENGRAFFTY "PLAY" INTERVIEW!!!
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Interview by SUNEO
Photo by ROTTENGRAFFTY
約5年ぶりとなるニューアルバム“PLAY”をリリースしたROTTENGRAFFTY。耳に残るフレーズと、衝動に突き動かされるような熱いライブが持ち味の彼らの中で、ギターリストでもあり、コンポーザーでもあり、と「ROTTENGRAFFTYの軸」として存在するKAZUOMI。自身は、体調不良によりライブ活動を一時STOPしながらも、制作活動だけは止めずに完成させた至極のアルバムについて語ってもらった。
--今回は、レコーディングエンジニアもご自身でやられてるんですよね。
KAZUOMI:はい。時間的な事とか演奏上でエンジニアさんに録ってもらうこともありましたが、ドラム以外はほぼ自分で。僕、レコーディングする環境ってあんまり気にしてなくて。ちゃんとしたスタジオじゃなくていいし、広い部屋もいらない。一人になれて楽器や機材、ソフトさえあれば何処でも。アンプを鳴らしたければアンプを鳴らせる環境にだけしておけばよくて。一人の方が突き詰めやすいし、その時頭に浮かんだ理想を形にしやすい。エンジニアさんに手伝ってもらって到達した音も沢山ありますが、レコーディングで人一人増えると1クッション増えるその感じが待ってられなくて(笑)。
--作曲に関する方法について、教えて下さい。
KAZUOMI:弾き語りで作るものが多いと思います。思い浮かんだものをボイスメモに保存しておいて、何日か経ち気になっているものは自分のスタジオで構築し始めるという感じ。変わった作り方でもないと思います。今回もギターを持って口ずさんで弾き語るところから作るのが多かった。
--先入観からいうと、フックになるリフがあって、そこから当ててく人が多いのかなって思っていたのですが、ソングライティングとアレンジって若干違う方向性の中で進んでいくじゃないですか?
KAZUOMI:そうですね。なるべくどちらのいいところも強調したいというのはあります。リフから生まれたもの、グルーヴから生まれたものに関してはノリが強くなるし、弾き語りから生まれたものは歌メインで旋律に偏ってしまうんですよね。なるべく自分の中のソングライティング面、アレンジ面、どちらの理想像も探りながら。
--プロフィールに轟音と静寂って書いてあって、ボクはそれよりもリズムを縦と裏でとる感じが綺麗だなってイメージだったんです。メロディーは歌謡曲ロックで、その割に、アレンジは本当にライブを意識しているなって思ったんです。
KAZUOMI:そうですね。僕がこのバンドで表現したい事と、こうしたらこのバンドが格好良くなるんじゃないかなと追い続けてる事が2つありまして。1つは激しさ。激しさの部分はラウドでも何でもいいんですが。ラウドだけが激しさとはこれっぽっちも思っていないので。それと邦楽の旋律感と言うか歌謡曲感と言うか。僕自身邦楽感が好きというのもあるんですが、うちのボーカル2人に(そのメロディを歌ってもらうと)いい感じでハマる。僕は洋楽を聴き10代を過ごしてきたのですが、ボーカル2人は邦楽にルーツがあると思う。ロットン結成当初は今よりも作る曲作る曲「なんか違うなぁ」ってなることが多かった。僕自身歌謡曲感と言えばいいのか、そういうのは小学生とか幼稚園まで遡るルーツでして。その当時触れる音楽と言ったらテレビから流れてくるものでしたから。例えばバラエティ番組で言えば『8時だョ!全員集合』とか『欽ちゃんのどこまでやるの!?』、音楽番組だと『ザ・ベストテン』とかね。あの時のああいう歌謡感がすごく好きなんです。なんか切ないとか儚い感情が見える世界観。Hawaiian6のYUTAが作る曲もそんな匂いしますよね。
--この人(このバンド)好きだったなという人いますか?
KAZUOMI:幼稚園小学生まで遡って言うと、山口百恵さんとかチェッカーズ、あみんの「待つわ」とか、荒井由実さんの「守ってあげたい」「あの日に帰りたい」とか、わらべ「もしも明日が」、小坂明子さん「あなた」、シュガーの「ウエディング・ベル」、寺尾聰さんの「ルビーの指環」とかとか、、、。そして、中学生になってギターをやり始めたんですけど、その頃から洋楽に、特にギターRockに惹かれていって。なんかどんどん閉鎖的な人間になっていった時期だったように思います(笑)。同級生周りで流行っている音楽は鼻で笑って聴きもしないとか、ひねくれてたなぁ。完全に嫌な奴ですね(笑)。ROTTENGRAFFTYが今の音楽性に行き着いたのは、僕のそんな所が出ているからだと思います。と、ボーカル2人の歌に対するルーツと。
--行き着いたのはいつですか?
KAZUOMI:キングレコードにいた時ですかね。色々迷っていた時期でもありましたけど。そこから、確実にそう捉えられたのは『This World』を出した頃かな。そういうことをやろう!と自分の頭の中でも理解したのは。ちゃんと形にしようって。
--バンドマンというよりかはコンポーザーに近いのかなという感じがしました。1歩後ろで俯瞰で見れる人がいないとここまでなりたい像にめがけて進むことできないなと、ディレクションしてるのかな?と思いました。
KAZUOMI:そうですね。自分を含めたメンバー全員を1歩引いて見てるところはあります。曲を作るにしても詩を書くにしても一人一人の個性とか人間性みたいなとこは頭の片隅においてあります。
--新しく収録した曲の中からお聞きします。『hereafter』はインストですよね?インストは今までやったことありました?
KAZUOMI:僕はロットンを組む前はこうやって音楽を作って遊んでいるような人間で、映画音楽とか、ただただ曲というよりも、曲って言ったらいいのか音で遊んでいるのが好きでした。『hereafter』は僕のあまり見せない心情や、もう少し踏み込んだ表現で創ってみようと制作したものです。なので、反応が楽しみで。どう感じ取ってくれるだろう?って。
--なぜこのタイミングで自分の核に迫ったものを出したかったんですか?
KAZUOMI:新しい試みに挑戦する事で見えてくるものがある筈だと。逆に言えば、挑戦がないと、何も見えてこないなと思って。いわゆるROTTENGRAFFTYとは違う一面ですが、自分の心情を形にしている部分が濃く出ていて、…そんな心情をいろんな音で表現できる自分でいたいし。でも、一つの作品としてとっちらかるような事をやりたいんじゃなくて。アルバム『PLAY』の一編として成立する曲。バンドサウンドとは違う僕の音楽の一つです。そんな様々な世界観が表せるバンドでいれたらなと思います。音楽が好きだと好きなものも増えすぎて、バンドのあるべき姿も見えなくなる時ありますけど。一回違うチャンネルというか扉を開けてみるのも自分の中で新鮮で。
--前向きに取り入れているのに、歌詞は暗いんですよね。
KAZUOMI:暗いですよね(笑)。
--この歌詞は対象者がいますか?
KAZUOMI:対象者と言うか、僕が僕に思っている事でもありますね。旋律と言葉の噛み合いを考える時点で作詞ってものになってくると思うんですが、『hereafter』はただの言葉。僕はこれを作詞だと思っていません。日記みたいな感じ。それが良かったんですよね。いろんな事取っ払って、心情だけ見せたいっちゅうか聴いて感じて欲しい。完全に暗いですけど、音楽をしてる実感がすごくありました。
--お客さんから見るとアッパーな曲が多い中で、実はロットンって、人の気持ちを掴みに来る、日本人に向けた旋律と歌詞がベースにあって、そこにみんなが体感できる音が重なるのが本来の姿なのかなと。『Just One More…』もメロディーが良くて、いいですよね。気になったタイトルがありまして、、、『アイオイ』ってどういう意味なんですか?
KAZUOMI:これはN∀OKIがこのタイトルにしたいって言ってきて、本人から意味は聞いてないのですが、僕が思うのは、“愛を追う”という造語。詞と曲の世界観とこのタイトルはすごくマッチしてる。とても気に入っているタイトルです。タイトルも聴き手の解釈でいいと思うし、あまり断定する必要もないって思います。聴く人それぞれの中で変換してもらえば嬉しいです。
--アレンジも良くて、音数を減らしている出だしも、これから壮大になっていくんだろうなという前振りも効いていて良かったんですよね。
KAZUOMI:ありがとうございます。僕が過去にロットンで作ったパワーバラード『マンダーラ』という曲があって、個人的には手応えのある楽曲なんですけど。ポエトリーというかああいうナレーションにも似た歌をもう一度やりたいなと思って。
--バラードってライブだと使いづらい曲ですよね(笑)。
KAZUOMI:バンドのスタイルにもよりますけど、30分や35分の中に入れるのは難しいと思いますね。僕は入れた方が絶対濃いライブになると思うんですけど、そういう曲をするまでには距離や時間が必要ですもんね。
--そういう中に、『寂寞-sekibaku-』や『PLAYBACK』というアゲる曲もあって、制作時期は同じですか?
KAZUOMI:『寂寞-sekibaku-』はこのアルバムの最終レコーディングに入る直前に作りました。『PLAYBACK』は去年の夏が終わる頃ですかね。制作時期はどの曲もバラバラで、『夏休み』は何年も前に作った曲です。常に制作をしているんであまり「アルバムを作るぞ!」っていう気負った感覚はなかったです。
--ライブ後とか割といつも書き溜めているんですね。
KAZUOMI:そうですね。一人になると何かないかなと常に探している感じですね。職業病というか。モノ作りに対しての不安もありますし、鼻歌でも思いついたら何かに残すというのが癖づいてますね。曲作りではその時のテンションが凄く大事だし、何がやりたかったのか感覚を忘れる前に何かに残す。なるべく熱が冷めないうちに…。ギター1本と口さえあれば。なので、ボイスメモに「♪♪♪♪♪♪♪」て、たくさん入ってますよ(笑)。
--書き溜めている中でもアルバムに向けて組み上げていくことはあると思います。一番時間がかかったことってなんですか?
KAZUOMI:「出来た!」と思えるフレーズや詞が出てくるまで時間がかかります。(楽曲のベースが)出来たら、意外と早いんですけど。自分が「沸点超えれた!」とか思える時までに時間がかかるというか…生み出すのに一番時間がかかったのは『寂寞-sekibaku-』かも。
--最後に出来た曲をアルバムのトップに持ってきたんですね。
KAZUOMI:そう。メンバーにもどんな曲順がいいかを聞いた時に、みんなこれが最初ではなくて(笑)。僕はできた瞬間から1曲目だと決めていたから、ああ違うんだって思った(笑)。でも『寂寞-sekibaku-』を1曲目にした事でアルバムの温度も上がったと思います。アルバムの作品性に関して制作時期が違う曲達が1つにまとまるかな?と思っていましたが、『PLAY』というタイトルが一つにしてくれたと実感しています。アルバム『PLAY』では失敗も後悔も挫折も幸福も愛も希望も、いろんな想いを曲に歌にしてます。そういう様々な感情を持つ事こそが生きているっていう事で。人生を“PLAY”という事。いわゆる演奏するという意味のPLAYじゃなくてね。次出すなら『PLAY』がいいなって思ってたんです。
--もう20周年なんですね。
KAZUOMI:2019年で20年ですね。(僕がやってきた)バンドはここだけだし、よくやってこれてるなと思います。本当に、応援してくれる人、スタッフ、メンバーや仲間に「ほんとありがとう」って思ってます。紆余曲折、順風満帆なバンドではないし、それでもやれてるのは幸せな事です。
--曲というか人となりが他のバンドと違うというか、覚悟を感じるんです。
KAZUOMI:そうですかね。周りにもすごく恵まれていると思います。同志と思える上の世代も同世代も、新しい世代も、僕たちはどんなアーティストにも負けないと思いながらバンドをやっているし、その思いがROTTENGRAFFTYを成長させてくれているって思うから。そうじゃなかったらここまで続けてこれなかったって。周りには覚悟を強く持った仲間がいっぱいいます。
--20年目に向けてやりたいことはありますか?
KAZUOMI:1曲でも多くいいものを作っていたいなと思うし1回でも多くライブをしていたいですね。あと何回ライブができるんだろうとか思ったりします。
--それまでにもツアーもがっつり入っているんですよね?
KAZUOMI:去年はツアーをやっていなかったので、多く周ろうとメンバーとスタッフと決めてたことでした。超楽しみです。
--既存の曲もそうですが、今回の『PLAY』がどう変化していくのかも楽しみです。
KAZUOMI:やっと突き詰められるなって。バンドで向き合って。ツアーってバンドとしてレベルアップできるタイミングだし。このキャリアで成長できる事が嬉しいなと思います。
--ツアーに来てくれる人に向けて一言お願いします。
KAZUOMI:ライブってステージに立つ演者だけが作るものでは無いと常々思っているので、自分がライブをやりに行くくらいの気持ちで来てくれたら嬉しいです。ライブハウスで会いましょう。
6th Album [PLAY]
VIZL-1323(初回限定盤・スリーブケース仕様)CD+DVD ¥3,800 + 税
VICL-64948(通常盤)CD ¥2,800 + 税
1.寂寞 -sekibaku-
2.PLAYBACK
3.世界の終わり
4.SHRED
5.Just One More...
6.hereafter
7.「70cm四方の窓辺」
8.Rainy
9.夏休み
10.P.I.L
11.アイオイ
12.So...Start
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