LIVE REPORT

04 Limited Sazabys “YON FES 2018 -DAY1-” LIVE REPORT!!!

特別無料公開中!

 

Report by RYO TAJIMAPhoto by ヤオタケシ

 

 

2018.4.7 YON FES 2018 DAY1 @モリコロパーク

 

変わらないために。大切なことを思い出させてくれる場所

04 Limited Sazabysが地元、名古屋で2デイズ開催している自主企画フェス、YON FES 2018。今回で3年連続3回目、場所は変わらずモリコロパーク(愛・地球博記念公園)で開催されたわけだが、YON FESには何かフンワリとした時間が流れていると、訪れる度に思う。森で囲まれたひっそりとした場所に、木材で作られたゲートが設けられ、敷石の道を歩いていると、メインステージのSKY STAGEを正面に構えた丘の上に風船のアーチ。日が暮れれば、場内を照らすバルーンが柔らかく光を放つ。

なんだかユラユラ揺蕩うような感じになる。誰かの物語の中で、ステージのバンドの音楽が鳴り響くような夢見心地な気分になる、ちょっと現世から離れた非日常を味わえる美しいフェスだ。その感覚は、深夜に1人でフォーリミの歌詞を読んでいる時に感じる、少年時代への憧憬に近い。


初日の4月7日(土)は予てより予測されていた大雨は降らず、朝型にパラリと小雨が降った程度。気温は低いが、その対策は来場者全員、万全だったようで、さほど気にならない。むしろ、雨のお陰で夕暮れには霧が少し立ち込め、その幻想的なシーンに華を添えていたように感じた。出演者のラインナップ(04 Limited Sazabysを除く)は出演順で以下の通り。

LAND STAGE:Dizzy Sunfist/SIX LOUNGE/teto/yonige/四星球
SKY STAGE:go!go!vanillas/SHANK/キュウソネコカミ/ORANGE RANGE/THE ORAL CIGARETTES

フォーリミの同世代を基軸としたラインナップの中、個人的に目についたのはSIX LOUNGEなどの後輩バンドも数多くピックアップされているという点。そして、このラインナップがYON FES初日のイメージを決定づけることになった。トップバッターはSKY STAGEのgo!go!vanillasによる『おはようカルチャー』から。続いてサブステージLAND STAGEのトップを飾ったのは、この日、注目していたオーディエンスも多いのではないだろうか、"サブステージにおける"Dizzy Sunfist。いわゆるフェスではメインステージを主軸とした進行が基本。サブはあらゆる意味で"プラスα"的な扱いになることが多いのが、この場では、そういった区分けはまったくなかった。メインもサブも、どちらも劇的な盛り上がりを見せることになったし、登場するバンドそれぞれが、ステージを思いっきり活用したアクトを披露し、フォーリミへの感謝や、はたまた憧れ、もしくは友情をMCや楽曲で伝えていた。
この日、あえて特筆するとすればSKY STAGEのTHE ORAL CIGARETTESだろうか。フォーリミとは同期でシーンを牽引するバンドとして並べられることも多い彼ら。プライベートでも親交が深く、初年度開催の2016年にも参加していることもあって、YON FESでのハマりっぷりは想像を超えたものがあった。山中拓也(Vo&Gt)はオーディエンスと共に手拍子を煽るMCで、絶叫にも近い声でフォーリミへの感謝を伝え、キラーチューンを連投。「フォーリミと出会えて良かった」と愛のある言葉でラストステージへ繋ぐ。その姿には、フォーリミとオーラル、同じ世代の盟友同士の絆と、今後も共にシーンで切磋琢磨していく意志を感じさせるものがあった。LAND STAGE、ラストの四星球を経て転換時間へ。
薄く広がった雲の切れ間からは群青色の夕空が見えていた。バトンは主催者、04 Limited Sazabysの手元に届いた。SEと共に沸き起こる大喝采の中、4人がステージに登場。GEN(Vo&Ba)のひと言目は「名古屋のHERO、04 Limited Sazabysです!」と満を持しての堂々たる宣言。1曲目はMCに誘導されるように『My HERO』。終曲後、GENはステージ中央からフロアに対峙し「大丈夫ですか? 連いてこれてますか?」と煽る。威厳すら感じられる立ち姿、4人が文字通り光を放っているように感じられた。

そして、この言葉でガソリンを注がれたオーディエンスは、2曲目の『Warp』でテンションの向こう側へ。RYU-TA(Gt&Cho)は右から左へ駆け回り、HIROKAZ(Gt)もステージ前方で攻めの姿勢を崩さない。続く3曲目『swim』では弾け飛ぶようなクラウドサーフがモリコロパーク中に溢れることになった。ここでGENのMC。リハーサルで、用意してきたセトリを演奏したときに「オレたちの曲って本当にいいなぁーって思って」と自画自賛な話で場内の笑顔を誘う。が、冗談ではなく、これは本当にそうなのだ。楽曲それぞれが個性を持って耳に残る。イントロを聴けば、あの曲だ! とすぐに思い出す。

 

 

そしてサビまで一緒に歌えて盛り上がれる。フォーリミの強さの1つには確実に楽曲の良さがあり、それは、絶対に彼らにしか表現できない。そんな強い楽曲を携えて、「みんなにも大事なものを思い出してもらっていいですか?」と、2013年発表の2ndミニアルバム「sonor」からのパンクチューン『Remember』、ここからはノンストップで『fiction』、『mahoroba』と繋げ、いよいよYON FESが一体になる瞬間を迎えていた。ステージとフロアが織り成す多幸感は美しい情景となり、続く『midnight cruising』では、RYU-TAが満面の笑みで「YON FES、やっぱ最高だな!」と呼びかける。

 

 

同意、オーディエンスとバンドが同じ気持ちのまま、ライブは進んでいった。『hello』を経てMCへ。「今日は後輩のバンドも呼んでいて、そのライブを観ていると、何か焚き付けられるような気持ちがありました。僕たちも大人になってきて、少しずつ変わってきているけど、YON FESは、わがままを言い続けて、自分たちの好きをこだわり抜いて形にしています。それが今日です。大切なことを思い出させてくれる1日でした。それを思い起こしてくれた皆さん、ありがとうございます」とGENは、YON FES初日の感想を述べた。こだわることを諦めなくてはいけない、と考えられるようになるのは大人になってからだろうか。でも、それでは、演者も聴き手も絶対的な満足は得られなくなる。自分たちらしく徹底して、自分たちを作り上げていく、フォーリミが感じたのはそんなことかもしれない。そして、GENは「この場所は大切なことを思い出させてくれる場所なのかも。僕たちがブレそうになったら、皆さんに教えてほしいし、お互いに、それを確かめあって、毎年ここに帰ってきて遊べたらいいな」と言葉をつなぎ、自身の大切な歌である『Buster call』に。

 

 

アンコールで演奏されたのは「再会を約束して」『Terminal』。中盤では、ステージの左右から、同じ世代を生きる共演バンド、THE ORAL CIGARETTES、キュウソネコカミ、go!go!vanillasが走り込んできて大乱入。「なんかいっぱい出てきた!!」とGENも驚きを隠せない様子にモリコロパーク全体が笑顔に包まれた。
04 Limited Sazabysが3年目にして築き上げた、自らが帰る場所、YON FES。変わっていく毎日の中で、変わらないものは何か、どこに本来の自分を映し出すのか、そう考えたときに、確かな鏡、楔のような存在が人間には必要だ。フォーリミは、それを自ら作り出し、自身のものとして昇華させたのではないだろうか。すべてのライブが終了した後、YON FESのバルーンが青く淡い光を放つ下、幸せなオーディエンスは各々、笑顔で余韻に浸りながら、リニモへ向かっていった。

 




[SETLIST]
01.My HERO
02.Warp
03.swim
04.Remember
05.fiction
06.mahoroba
07.midnight cruising
08.hello
09.Buster call

en1.Terminal

>>> 04 Limited Sazabys OFFICIAL HP