INTERVIEW

CASTAWAY "Paint It" INTERVIEW!!

Interview by SUNEO
Photo by CASTAWAY

 

 


SATANIC CARNIVAL’18に出演後、一気に知名度を上げた東京発のポップパンクバンドCASTAWAY 。作品に関してのインタビューは初ということもあり、作品のことはもとより、バンドの経緯やルーツ、それに対する現行でのメロディックパンクシーンについても語ってもらった。

アルバムのタイトルについて聞かせてください。

Sota(Vo/以下、S):えっとこれは“Paint it”っていうミニアルバムです。アルバムの最後の曲に“Paint it”っていう歌詞が入ってる曲があって、それを元に“Paint it”っていうアルバムのタイトルにしたんですけど、その英語自体が“Paint it like you feel it”=“思い描くように自分で何か物事をしてみろよ”、“Do what you think is right”=“その正しいと思うことをやりなさい、自分で思ったように描くんだよ”といったような、そして自分たちだけではなくリスナーに対しても、「意思というか、自分の思い描いた通りにまず行動してみよう」といった趣向のコンセプトにして、アルバムのタイトルにしました。

―既出の楽曲も収録されたミニアルバムだと思いますが、制作期間はそれぞれバラバラですよね?

S:そうです、1曲目の“Through The Noise”って曲はデモの頃から、結成初期の頃からやってる曲で、そのデモ音源(ep)自体を懇願するというかフィジカルで欲しいっていうお客さんが結構多くて、そういう思い入れもあり、全国流通で音源化したかったので入れてみました。

―因みにこの音源が初全国流通ですか?

S:3枚目になります。

―まとまった作品としては初ですか?

S:ミニアルバムとしては2枚目ですね。全国流通の1枚目としてミニアルバム“This Is What You Always Do”を出して。それがepっていう呼称もあって曖昧なところではあるんですけど。その後にシングル“Over And Over Again”を出してから同作の7inchを出しまして。それは流通を掛けておらず、今回がセカンドってことになります。

―そう考えると2014年に“The Way e.p.”を出して、2016年が“This Is What You Always Do”、、、割とコンスタントに出してはいますね。

S:そうですね。その最初の“The Way e.p.”をリリースしたのが2014年の5月で、12月にツアーファイナルをやって、それと同時に2枚目となる次の作品“On The Railroad e.p”を出したんですけど、ツアーファイナルとリリースパーティを兼ねたイベントを1日で完結させたことがあって。だからそこからまたツアーを回ってという形で完全に止まることなく、2014年の春からだいたい2015年の秋口ぐらいまでですかね、ずっとツアーみたいなことはしていました。

―因みに曲はSotaくんが制作されてますか?

S:元々は僕とギターのYossyと一緒に作っていたんですけど、最近はほとんど僕がやることが多いですね。色々話し合ったりする時も結構多いんですけど、作り方自体が、僕が結局パソコンでいじって全部作り上げてからみんなに共有するってことが多いです。効率化を図る時に一番やりやすいのは自分でやった方が早いので、もう全部作っちゃって投げて、それをみんながどうアレンジするかっていうのが基本になってますね。

―今回の全国流通は、ICE GRILL$からですよね?

S:自主流通で出していたのが“Over And Over Again”までで、その次の7inchからICE GRILL$に加入というか所属した状態です。で、その次にあたる今回のアルバムが、全国流通として初のICE GRILL$でのリリースという形になりますね。元々のきっかけは、ドラムのTatsuruやギターのYossyがcastawayに所属する前のバンドで、海外のバンドを招聘しているICE GRILL$の水木さんのイベントに呼ばれることがあって、その流れでcastawayを組んで2,3回目のライブですぐにオープニングアクト的な形でお誘い頂いたのが多分最初ですね。2012年とか2013年とかですかね。

“ICE GRILL$”というレーベルは海外バンドを招聘していて、海外のバンドを中心にリリースしているから、日本のメロディックハードコアシーンとはちょっと違うシーンの足場を持っていて、ICE GRILL$自体を知らない人の方が多分ここの読者は多いと思っています。海外で活動している良いバンドを日本に多く流通させているところではあるけど、日本のバンドをリリースしたのはAFTER TONIGHTに次いでということですよね。海外のバンドを多くリリースしているレーベルから出すっていうことは、日本のシーンとはちょっと違う立ち位置で音楽を追求したいなという思いがあったのですか?

S:最初の頃は僕自身それが凄く強くて、、、というか、僕個人の意見かもしれないんですけど、最初は洋楽思考というか海外に通用するようなシーンで動いて行きたいっていうのが一番強くあったので、それをどうにか周りを巻き込んでやっていきたくて。日本のメロディックシーンもやっぱりその、なんていうんだろ…凝り固まったっていう言い方はちょっと語弊があるかもしれないんですけど、その決められた中や枠組みで動くって印象があって。そうではなく、新しい音楽に察知するというか、色んな嗅覚を持っているファンを見つけたくて。。。日本でもそういうスタンスで活動できたらなっていうところからどんどんどんどん色んなシーンに身を乗り出すような形になったかなって感じです。


―castawayは、いわゆるポップパンクといわれるジャンルだと認識されていると思いますが、、、メロディックハードコア/パンクとポップパンクってなんか凄い近似値のライブハウスにいるはずなのに決して交わらないところにこの数年あったというか。で、お互いがお互いを牽制し合って何もしないっていう、交流もないっていう。そう言った意味では、 COUNTRY YARDは早い段階でいわゆる日本(のメロディックハードコアシーン)に乗り込んでいった部分もありますが、その後を追随する、っていう言い方も語弊がありますが、意識はされてますか?

S:そうですね。そこは凄く近いものがあると思いますね。その精神的な部分、マインドとかもやっぱりCOUNTRY YARDとかを見てて凄く惹かれる部分があったりして、勝手に先輩だと思っているところはあるんですけど。音楽性的には色んなジャンルというか趣味趣向があるのでそこは違うんですけど、マインドというかそういう部分でCOUNTRY YARDが一番僕らには近いものを感じて。やっぱりそこを先輩として意識する部分は少なくともありましたね。僕的には「先輩」っていう意識が凄く強いので、最初は同じ土俵で戦っていく感じではなかったのですが、ピックアップしてくれたり、同じライブに出させてもらったりとかする様になってから、少しずつ自分らしさも出せるようになって来たかなっていう感じです。

―castaway的にはシーン自体を、、、これも語弊が生まれてしまうような言い方ですが、広げていきたいのか、または逆にいうとまず自分たちを既存のシーンの中で認めさせたいという思いがあるのか。「若手がこんなこと言っちゃアレだ」っていうこともあると思いますが(笑)。

S:僕的にはもちろんシーンを広げるっていう意味合いも込めて活動はしてるんですけど、とにかく知名度っていうものに左右されがちな所が結構あるんですよね。最近、それこそSNSのやり方とか凄い色々研究してた時に、YouTuberもそうですけど、ジャンルとかまずその云々よりも先に来るその壁というか、そこに今凄く苦戦している部分があって。

―知ってる知らないで、もう聴く聴かないを決めてるということですよね。

S:そうです。つまりそれは何かっていうと、結局情報化が凄い進んだことによって人間自体がeasyな感じで。YouTubeやサブスクで流れてくるものが「ああ良いな」って思うもの、みたいになってしまっている部分があって。自分からこれはこうしようっていうのが凄く少なくなってる部分が強いというか。特に今のメロディックハードコアとかもそうですけど、同じ様なジャンルで固まってしまうのって、「同じ様なジャンルで集まらないと、やっぱりそうじゃない所にはみんな行かないから」という理由が結構多いんですよね。だからこそ、それを打破するためにはそういう情報化に合わせたコンセプトの出し方とか、打ち出し方っていうか、認知される為の手順がバンドマンにも必要なのかなっていうのは今凄く感じてますね。だからジャンルで世界を変えるっていうことは、それをクリアしてからの話になってくるかなって。

―変な話ですが、その問答自体が割とナンセンスですよね。

S:そうですね、もちろん僕ら自身もライブとか見てもらえば、間違いなく心動かせるライブを出来ていると言うか、ジャンルもそうですけど楽曲自体も拘って作っているので。シーンを拡げるっていうことは、もしかしたらそういう機会が増えれば増えるほど影響力が必要なのかなとは思うんですけど。ただ今はそこの前で止まってるかなって、少し葛藤があるというか苦戦してるところはありますね。

―類似性の高い音楽をやってるバンドって、同じくらいの世代でいますか?

S:類似してるものを感じたところがないからやっぱりそれも一つの要因なのかな、とは思ってて。例えば「COUNTRY YARDっぽいよね」とか、「SHANKっぽいよね」っていう言い方をされるバンドっていうのはやっぱりどこかしらに、聴いてきたルーツとしてそういうものがあって、そういう楽曲を打ち出してるんだと思うんですけど。僕ら自体がもちろんそういうシーンに身を置いているっていうのもあるし、そういうシーンの曲を聴いて来たっていうのはもちろんあるんですけど、、、それだけではなくて、海外に向けてっていうのを意識した時にやっぱりモダンなものというか、海外のUS、UKの現行の音楽だったりとかそういったトーン&マナーを汲みつつ、僕自身が作るメロディは自然と日本独特のメロディになると思うので、その二つをうまく融合させたいっていう意味で、やっぱり唯一無二であるのかなとは自分たち的には思ってるんですよね。だからこそ、似ているバンドって聞かれると、うーん…って一瞬迷う部分が結構あります(苦笑)。ただその、例えば5人編成でやってたF.I.Bとか、例えばポップパンクでいうところのNew Found Gloryとかそういうのを僕自身は意識したりとか、結構近いものあるなと感じる部分はあったりしますけど。

―F.I.Bはやっぱ衝撃的でしたか?

S:いやもう、それこそYoheiとかTatsuruとかはそういう一線を見て来てるので。今は活動休止ってなっていますけど、僕ももちろんそのシーンを見てきたり聴いてきてはいたんですけど、どっちかっていうと後追いで色々聴いてきたので、バンドやり始めてから学んでいったっていうのが大きくって。そういう意味ではリズム隊のYoheiとTatsuruが一番そういったところに衝撃を受けてたんじゃないかなって思いますね。

―逆にSotaくん自体が衝撃を受けたバンドは?

S:それこそ、COUNTRY YARDでしたね。日本で言えばですよ。もちろん僕自身、中学校の時に青パンというか青春パンク、ロードオブメジャーだったりとか175Rっていうのを聴いて育ってきてはいたんですけど、外国のサウンドというか、、、そういう思考でバンドさん見た時に、どうしても僕自身が拘りが強かったりして、英語の発音だとか文法とかを意識しながら聴いちゃってる部分が結構強かったんですよね。なので、高校の時とかに聴いていたのだとELLEGARDENやRADWINPSとか、自分自身が本物と思えるようなバンドに憧れていたので、そういうのを深く聴いていたんですよね、日本のバンドというと。で、自分がいざバンドをやり始めるっていう時にたまたま八食フェスでCOUNTRY YARDを見て。僕自身、地元が仙台なので東北のフェスに行くにあたり、たまたまCOUNTRY YARDが出るってなった時に“Starry Night”は聴いてたんですよ。で、「あ、いい曲だな」って思ってたんですけど、ライブでのサウンドがまた違って。そのアグレッシブな部分だったりとか、ボーカルさんの感じとかやっぱり凄いなって思って(笑)。そこで「バンドってすげぇなっ!」っていうのを感じましたね。それが今のcastawayに近いものを感じてる所以なのかな。

―メロディックハードコア、メロディックパンクが残ってるのって、多分音源だけではなくライブでの衝撃とか衝動っていうものにかなり比重があって、それこそ今また原点回帰じゃないけど、音源よりは現場でお客さんが楽しんでくれているか?みたいなことが割と重要視され始めてきてるかなとは思っていて。その衝撃ってやっぱり大切だなと今話しを聞いていて思いました。

S:そうですねー、泣いちゃったんですよね(笑)。いや、本当に恥ずかしいことではなくて、なんていうかこんなに心動かせるんだって、初めて観たのにこんなに泣いたのは初めてだっていうぐらいの。それでやっぱバンドってすげぇなっていうのを感じて、その時からCOUNTRY YARD追っかけて、ですね。で、バンドをやり始めて、COUNTRY YARDすげぇかっけぇなって思ってた時に対バンも決まって、「あぁマジか」っていうのがありましたよね(笑)。僕自身、バンドをやり始めたのがcastawayを組む直前だったので、感慨深いものがありました。もちろん楽器はやってたんですよ。けど本当にバンドと呼べるような活動をしてなくて、単純にドラム上がりなので、ドラムをずっと家でやったりとか、部活というか軽音でギターとかボーカルとかやり始めて適当にやってるぐらいだったんですよね。それでぼーっとしながら何か上京することになって、バンドやろうってなったのが始まりだったので。それまでは地元で何も活動とかもしてなくて。

―では、本気のバンド(?)としてはcastawayが初ですか?

S:そうですね、バージンですね(笑)。そこからだったので本当に何も知らないまま進んでいったっていうのがあって、メンバーから「いや、お前それ知らねぇのかよ」みたいな(笑)。例えば今やっているシーンの有名なバンドの楽曲とかもそうですけど、そういうところをうまく聴いてこなかったっていう言い方もちょっとアレかもしれないですけど、、、さっき言ったような後追いが結構多いので。だから色々凄い毎日新鮮だし、まだまだ知らないこともいっぱいあって。だからこそ、それらに縛られることなく自分は出来てるのかなと思うんですけど。

―他に、日本のメロディックハードコアで聴いていたバンドは?

S:OVER ARM THROWとlocofrankとCOUNTRY YARDが一番聴いていましたね。ただそこまで深くは聴いてないです。。。やっぱり、どうしても僕自身がR&Bとか海外のバンドが凄く好きだったので、それこそ高校とか大学の時にそういう日本のバンドのライブに行くってことがほとんど無かったんですよ。

―R&Bは何を聴いてました?

S:僕が一番影響を受けたのはLauryn Hillとか、それこそStevie Wonderとかポップスに近いようなものも凄い聴いていて、大学の時とかはBandcampでR&Bっていうタグ打って、めちゃくちゃ上手い素人というか、アマチュアの人たちをディグってそれを聴き狂ってた時期もありましたね。やっぱり自分の歌っていうのは結構そこに影響受けてるのかなって。


--楽曲の制作の仕方も聞かせてください。コードからメロディを追って制作されてますか?

S:えっとー、物によります。それこそメロディが先に浮かんだものもあれば、、、

―因みにそれはどの曲ですか?

S:メロディが先に浮かんだのは“Paint it like you feel it.”っていう歌詞が入ってる『Wendy』とか『Rain』とかですかね。『Rain』はシンガロングで歌って欲しい曲だったので、それを意識した時に、すぐパンって浮かんで来たのをそのままフレーズにしたというか。曲中に“What I’ve done before”っていう歌詞があって、その部分のメロディを常にイメージしながら曲全体を作っていく。メインは僕のドラムの打ち込みから始まっていて。コードというか雰囲気をイメージしながらドラムをここにこう入れていってこう当てていって、みたいなのを考えている時にそれと同時進行でベースを打ち込んでいって、それらに合わせてギターをどういうフレーズにするかをドラムのフレージングに合わせながら考えていく、みたいな感じですね。

―トラックメーカーと同じ様なやり方ですね。

S:多分そうだと思います(笑)。ただ良くも悪くも、メロディックシーンのフレージングっていうのはやっぱり特定のものというか、特別なものがあって、あの、なんていうんですかね、音で説明すると、例えばジャーン、、、、、、、、っていうお決まりのというか。

―フォーマット的なアプローチって多々ありますよね。

S:そうです。それに準じてというか、それをじゃあ自分らなりのサウンドでどう表現するのかっていうところから多分始まってると思うんですよね。それはもちろん良いことでもあるんですけど、逆に言うとファンからするとそんな自分らなりのフォーマット的アプローチを聴きに来てるのか、もしくは「いやもっと凄いものを聴きたいんだ」って思ってるのかは分からないです。ただそれをやってる演者側がそれで良いと思っているのかなって。僕自身はそんなフォーマット的アプローチをみんながやってるからこそ、自分はやらない、というか、もっと違うことをやりたくて。
リズムもそうですけど、今まで聴いたことない様なリズムを作りたいというか、今まで聞いたことのないフレーズを作りたい。で、それは僕のドラム上がりというのが功を奏していて、例えば縦ノリのサウンドとかHIP-HOPのブレイクビーツとか、そういうところを凄く聴いている時期があったので、そういうのを上手く引用しながら消化していって、そんなフレーズを日本のメロディックでは聴いたことがないっていうのを、castawayのバンドサウンドにあてがっていく、みたいな感じですね。コード感とかもそうですよね。
一つ、今後のcastawayの方針があって。明確になってるのは縦ノリのリズムを凄く欲してて。というのは、メロディックシーンの他で今流行ってるものっていうと、もちろんマイヘア(My Hair is Bad)みたいな日本語のバンドもいるんですけど、、、そういうのではなくて、HIP-HOPとかフリースタイルダンジョンとかのラップが流行ってる中で、縦ノリのリズムだとか、ちょっとサグいものをエッセンスというか、もろに入れる訳ではなくて、、、もろに入れるとなったらやっぱりそれはバックボーンが必要なので、僕ら自身はそういう気質はないので。ヤンキー気質はないので(笑)。やっぱりそういうサグいものではなくても、ある程度縦ノリのエッセンスとして、例えばニューメタルとかもそうですけどホルモンやシステム(System of a Down)じゃなくても、リンプとか初期のリンキンとかニューメタルの感じとか、ちょっとした縦ノリのリズムを入れながらのパンクサウンドというか。2ビートもそうですけど、そういった縦ノリのリズムを入れてあげると、それこそ2ビートでしかダイブ出来ない様なファンが、じゃあ歌が入っているところ、縦ノリのリズムのところで手を挙げます、みたいなことを、もっとライブ感が出る様なサウンドや楽曲でどんどん打ち出していきたいなっていうのがあります。もちろん、ジャンルとして確立されてるものはあるのかもしれないんですけど、ただ僕自身が結局歌は重要性があると思ってるのでそこを踏まえつつ、どんなサウンドになるのかなっていうのを模索しながらやっていきたいな、と思ってます。

―SATANIC CARNIVALで見た印象としては、正直に伝えると、Sotaくん一人が受け手側に飛び込んで来る様な感じに見受けられて、いわゆる「バンドサウンド」っていう感じが薄かったなとは思います。だから、おかず(フレーズ)は作ってもらうけど、基本的には全部仕上げて来てるんだろうなっていう気はしていました。

S:そうですね。元を正すと僕自身がそういう、、、なんて言うんですかね?最終的には僕がやりたい様にやりたいっていうのが一番強いので、それにバンドメンバーが合わせてくれてるのもちょっとあるのかなとは思います。ただ、それもバンドとして崩れない微妙な均衡があって、それを崩さずにやれてるのは、今のところ現状は良いのかなっていう。全員が満足できる音源って、多分当たり障りのない音源になっちゃうっていうのはあると思ってるので。僕自身も納得できている部分はあるので、やっぱりそういう意味でたまに、じゃあ今回はベースが、今回はドラムが、今回は俺が100と、他の奴らは何も言えないっていう様な物を出しても良いのかなとは思ってます。それがお互いの底上げになって、誰かが出過ぎてるとかっていう印象を無くせれば良いかなとは思います。

―今回、初の日本語詞を入れてますね?

S:『Sway』っていう曲ですね。ワンフレーズだけAメロとかBメロで日本語入れようと思ってたんですよね。そしたらもう歌詞の一言一句で揉めるというか。「いや、こうじゃねぇ」「こうじゃねぇ」みたいな。「いやそれはシャバい」とか、もうすっごい考えてて、もうぽんぽん決まんないすよね。だから「あ、こんなに日本語って難しいんだ」って思いましたね。

―英語より直感的に理解できてしまいますからね。

S:そうですそうです。だからこそ、みんなが敏感に感じて「ああでもない、こうでもない」っていう時間が増えて、「ああ!!もう、一曲丸々日本語にするんだったら、もう完全に完成させてから持っていかないとヤバイな」っていう物になっちゃって。僕ら自身音源を作るペースっていうのは、それこそメジャーのバンドさんとかに比べればやっぱり遅くて。もっと、どんどん音源は出したいんですけど、じゃあ仮に英語で音源を作ってももちろん出来ますけど、より多くの人に伝えるってなった時に日本語が必要。でも、やっぱりみんなの意見が色々ぶつかっていて、摸索中です(笑)。

―そんなに違和感はありませんでしたよ。流して曲聴いてて、「あ、日本語だな」って思うぐらいで、それが凄い違和感だったかっていうと、別にそんなこともなく。

S:それを聞けたの、ちょっと今安心しました(笑)。聴き流せる、「あ!今、英語歌ってたんじゃないの?」ぐらいの感じで聴き流せるのであれば僕は良いかなって思ってて、今の所は。それがシングルカットの作品だったらまた話変わりますけど。ある程度バズる為にはちょっとしたクセが必要で、ちょっとシャバくても、ちょっとダサくても誰かが貶すぐらいの情報量がある作品というか楽曲である方が、打ち出し甲斐がある作品になるのかなと思います。ただそれは自分のマインドとして絶対嫌だというのであれば絶対やらない方が良いし、僕ら自身がまだその許容に達してないので。


―その伝えるっていうことが大切になってくるところではありますが、伝えるってことに終始しすぎちゃうと自分たちがこういう物を打ち出したいっていう物がどうしても薄まってしまう、そのバランス感ってすごい難しいじゃないですか?

S:そうですね。もちろんそれこそ技術的な面でいうと、やっぱり僕らはまだまだなところがあって、それをいざみんな満足できる技術に達した時に、何が生まれるのかっていうのは今の段階では分からないですけど。けれどそういう所から面白さが出てくるのかなって思うんですよね。ただ今はそれが出来ないからこそ、無骨に、「もうこれしかないんだ!」っていう形でパンクサウンドをやってるみたいな。でも、、、2ビートやめたいなってずっと言ってるんですよね。。。メロディックシーンに居たくないとかそういうことでも全然なくて。

―2ビートは楽曲的にオーディエンスに求められないですか?

S:そうなんですよね。だから、今回のミニアルバムに2ビートの曲が入ってるんですけど、『Rain』なんかは特に上げる為の曲というか、チョッパヤで一瞬で火がつく様な曲を作りたくてそういう曲を作ったんですけど。でも、もうそれ自体(2ビート)はフェスとか、それこそウン万人とかの場所でやるには適してないというか。それこそウッドストックのフェスとかのLimp Bizkitじゃないですけど、もう本当にどこもかしこもクラウドサーフみたいな、ウン十万人のクラウドサーフが起きてるとかっていうんだったら話変わりますけど、それがない現状で、そういうのに頼るのもなんか違うかなとは思って。フェスに合わせたっていう言い方はアレですけど、僕ら自身がそういうのでみんなを楽しませられる楽曲が出来るんだったらやっても良いかなっていう。あくまでも、そこは検討中という感じですね。ライブハウスで盛り上がるテンプレみたいなものがある中で、理想はやっぱりあるんですよ、僕らも。例えば、海外で言ったらTitle Fightみたいにどこでもというか、もうアグレッシブなダイブとか、ステージダイブとか、クラウドサーフとかが起きているっていうのは最初の頃はイメージとしてあったんですけど。でも、そのうち海外のそのバンドさんがそういうインディサウンドとかそういうシューゲイザー、アンビエントだったりとか分からないですけど、ちょっとそっちの方向性に持って行った時に、2ビートをしなくても、それこそクリーンな歌い出しの所でも、クラウドサーフが起きる、ステージダイブが起きるみたいな。

―Basementとか、異常な盛り上がりを見せますよね。

S:Basementのその感じとかを見てて、「あ、これが日本で出来たらどれだけ幸せか」って思ったんですよね。例えば、SUMMER CAMPに松崎しげるさんがステージに出て、クラウドサーフが起きるみたいな、ああいうのは何となくバンドの本望というか。何となく“見えるお客さんのレスポンス”として一番欲しいものがそこにあって、じゃあ2ビートで!っていう、お互いに寄り添わなくても自動的に俺らのBGMで勝手にアガって、俺らがBGMとなってお客さんのレスポンスを勝手に受けてっていう、そのうまい流れがお決まりのところでやるってなると、本当にどうしてもお遊戯感が出てしまうというか。それが凄くどうしても嫌で。
参考動画<Basement - Outbreak Fest 2015>

 

 

 

 


―「はい、ドーン、やってください」みたいな、「さぁここはみなさん飛ぶ所ですよ」とかっていうのは提案したくも無いっていうことですよね?

S:そうです、好きにやれよみたいな。なんでこっちが決めなきゃいけないんだよっていうのは感じてはいるんですよね。ただ、それが打破出来ない現状っていうのはもちろん分かっているので、今のところ。俺らを聴いた時に「Basement良いよな」「Basementどんなバンドなんだろう」「ライブ見よう」っていって「うわ、ヤッベェ」みたいな所からそういう2ビートじゃなくてもダイブ出来るシーンとか、っていうのが出来てくると、もっともっとバンドサウンドって色んな自由な発想が出来るのかなって。今の決められたメロディックのテンプレというかフォーマットに従わなくても、そういうレスポンスを貰えたりとか、お互いに自由なイベントが出来上がるんじゃないかなとは思います。

―そう考えたら日本のシーンなんかね、97年をターニングポイントとして考えたら、20何年しか経ってない訳ですしね。

S:浅いですよね。でも、僕ら自身もやっぱり前にも後ろにもいないっていうのは自覚してて。自分ららしい、castawayらしいバンドっていうのはいないなと感じてるので、それに孤独を感じることもなく好きな様にもっと出来たらなとは思うんですけどね。オープンマインドというか、もっとどんどん色んなことをやりながらというか、楽しいこと、お客さんもそうですけど自分ら自身が楽しめることを色々やりたいなと思いますね。

―リリースした後は何本くらいライブ回るんですか?

S:今のところ、公開してるのだと20本くらいは決まっているのかな。現状はそれくらいだと思います。年末もまだ発表してないのとか色々あると思うので。年始も色々調整中のイベントとかも。僕ら自身の冠で回るのは、その十何本ですかね。で、それに海外から招聘したバンドのツアーもあったり。一応3月、4月くらいをファイナルの目処に色々考えて行こうかなっていう感じですね。もうすぐレコ発のメンツとかも発表すると思います。

―ライブで意識してることとかってあります?

S:僕個人としては、どんだけ楽曲をしっかり聴かせられるかというところは意識しています。よくPAにも言われるんですけど、目先のやつらを楽しませるために叫んだりとか、アグレッシブな動きをするのは良いんだけど、今それを覆すというか、脱却しなければいけない時期にきていて、大きいイベントに呼ばれた時に一番後ろの人が俺らを観てくれるかっていうのが凄く重要だっていう話をしてて。サタニックもそうだったんですけど、ちゃんと最後まで歌い切る、ちゃんと最後まで自分らしさというか、castawayらしさを出すって考えた時に、じゃあ自分の歌しかないなって思ってしっかりと歌いあげようっていうのはあります。ライブでみんなを楽しませようっていうのはもちろんあるんですけど、ただ第一として俺の音、声が雑音にならない様にというか、しっかりと音源を聴いて来た人たちが楽しめる様な物になるよう意識はしてますね。
よく言われるんですけど、音源はそうでもないけどライブはめっちゃ良いとか言われて。それって多分音源にパンチがないっていうか、、、やっぱ音圧戦争な部分があって、結構一発目の音が重要、もうガンガンコンプ掛かってるみたいな、とか。そういうの僕らは凄く嫌で、色んな耳の肥えたという言い方はアレですけど、信頼の置けるエンジニアさんに頼んで、自分らが良いと思える、ちゃんとバランスの取れた音源を出し続けてるっていうのはあるんですよね。ただ、それがまだ現状響いてない部分はあって、楽曲としては分かんないですけど、それがライブに来た時に「あぁこんなバンドなんだ」みたいな。音源では聴いてたんですけどライブ観たらもう「つい滾っちゃいました」みたいな。「あ、これだけ映える歌なんだ」「これだけライブで熱い歌になるんだ」とか、っていうギャップを感じて凄い盛り上がるお客さんは結構いるかなって。

―僕自身、アルバムを聴いてライブに来てくれている人に対してインパクトを残して、またその次も「このライブで体験したい」って思ってもらえるような循環が出来ればいいのではないか、と。

S:音源を理想の完成度にするのは、正直良いと思うんですよね。ただ、それって結局理想でしょ?っていう。今の自分らのあり方はこういう物なんだよっていう、今のcastawayはこういうバンドなんだよっていうのを打ち出してるのがその時その時の音源だと思ってます。それぞれメンバーの良さを最大限に出した音源っていうのが、現状の最高の傑作だっていう意識があるので、音圧やレベルじゃないっていう。

―音圧はライブに行って感じろってことですか?

S:そうです。むしろ、ライブに来ればなんぼでも内臓爆発させてやるよみたいな。音源はむしろ僕の声や歌、メロディもそうですけど、そういう雰囲気というか、思わず口ずさめるくらいで来て欲しいかなっていう。単純にその楽曲でどうこうして欲しいっていうのはあんまり無いかなって。それに、、、本当にムカつくんですけど、音源が全て的なお客さんが多すぎて(ライブ自体がないがしろにされている)。それこそYouTubeとかコメントで「どんどんパンチが無くなっていく」とか色々コメントあって。でも俺すげぇ嬉しいんですよ、そういうコメントとか付き始めて。やったー!と思って。炎上っていうか、ヘイトが付くのはやったーと思って。結局「何で俺はこれを聴いてこなかったんだろう」って、解散した時に思われてしまうのが、バンドマンとしては辛くて。その時その時に感じた物をすぐチェックして欲しいし、その時その時のライブに来て欲しいなっていうのはやっぱりあるんですよね。






“Paint It”
01. Through The Noise
02. Rain
03. Sam
04. Sway
05. Float Away feat. Joe Taylor of Knuckle Puck
06. Wendy

IG-090 (¥1,500 + tax)



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