LIVE REPORT

BACK LIFT "Reach New Field Tour 2018-2019" LIVE REPORT!!

Report by mame
Photo by ヤオタケシ

 

2018.10.14
"Reach New Field Tour 2018-2019"
@千葉LOOK


BACK LIFTが最新ミニアルバムに「Reach」というタイトルを冠した、その意図を私は知らない。けれど「Reach New Field Tour」と銘打たれたツアーの初日を観て、このアルバムがリスナーの心に“届いている”ことを実感した。

この日ライブを観て、「ツアーファイナルみたいだ」と思った。帰り道「Reach」を聴きながらその理由を考えた。普通レコ発ツアーの初日というのものは、新曲になると観客が急におとなしくなって、拳を上げたりシンガロングしたりするタイミングがぎこちなくなるのだけれど、この日はそんなことが一切なかったのだ。例えば「Screaming」では軽快な演奏にあわせてハンドクラップが起こり、合いの手のような掛け声も完璧。



そんなフロアに向けて小林'KICHIKU'辰也(Vo, B)は「わかってんな!」とうれしそうに声を上げていた。むしろメンバーの演奏のほうがぎこちなかったくらい(笑)(そこはライブを重ねて成長していくことを期待!)。いかにファンが、BACK LIFTの新作を、この日を、楽しみにしていたかが伝わってきた。しかもBACK LIFTにとって千葉LOOKをソールドアウトさせられたのは今回が初めてだという。実際に彼らはライブの最後に「今までのツアーの初日で1番楽しい。1番通じ合ってる感じがする」と言っていた。その“通じ合ってる”感じは、たぶん新曲群がきちんとリスナーの心に届いていたがゆえに生まれたものだと思う。BACK LIFTの音楽はノリだけではなく、メッセージ性も受け取って初めて、全身で楽しめるものだから。

先ほど「メンバーの演奏のほうがぎこちなかった」と書いたが、新曲らしい粗さはあったものの、それとは別にいつになく前乗りだという印象も受けた。BACK LIFTは前作「Seeding」で種まきをし、その後に行った結成10周年記念ツアーでは「これからもう1度、(上に)行きたい」と全国で宣言してきた。つまり今作にはただならぬ闘志が込められているはずで、その思いはライブバンドである彼らのことだから、ライブに顕著に現れる。特に直球のメロディックパンクナンバー「Dawn」での都築'HEAVIN'史生(Dr, Cho)のドラムは走り気味だったが、勢いを加速させるような妙に心地よい走りで、KICHIKUの歌声はより感情的。深谷'YU-PON'雄基(G, Cho)のギターはいつも以上に楽しげに跳ねていた。コーラスワークも絶妙で、3人は互いのタイミングを確かめるように何度も見合わせたかと思えば、3人ともまっすぐ前を見据えたりと、息もぴったりだった。





またKICHIKUが「俺たちは『Reach』を届けるだけのために回ってるんやない」と話していた通り、彼らはもちろん既発曲も披露。「昔からの曲を大切に届けたい」との言葉通り、新曲と同じような緊張感で演奏されているのも印象的だった。ライブ定番曲でも決して手を抜かず、フロアと共に遊び、ファンの心にまっすぐに飛び込むような歌を届ける。

この日のゲスト・TOTALFATのShun(Vo, B)が「BACK LIFTはファンとのつながりを大切にしてるバンド」と話していたが、それがよく伝わる場面がこの日のライブにもあった。とある曲の演奏中にクラウドサーフしたファンがKICHIKUの前に到達し、ハイタッチを求めていたのだが、KICHIKUはベースをプレイ中で手が出せなかった。演奏直後にKICHIKUはフロアに向かってその話をして「ハイタッチできんくてごめんな」と声をかけたのだった。またフロアからライブでよく見かける顔だというファンに声をかける場面もあった。そういうところが、先輩に「ファンとのつながりを大切にしてる」と言わしめる点。全国でファンや仲間と出会い、その関係を大切に育て、そして次は“New Field”に届くようにツアーを回る。初日の最後、彼らは「こんだけのパワーがあれば、ツアー余裕だわ」と声を弾ませていた。前作で種まきをした彼らが、今回のツアーでどこまで届けられるのか。各地でものすごいパワーを手にしていく彼らの今回のライブ、ぜひどこかで目にしてもらいたい。





[SETLIST]
※ツアー序盤の為、割愛します。


>>> BACK LIFT OFFICIAL HP