
“PUNK IN SUMMER 2025” INTERVIEW!!
名古屋のインディーズレーベル「TRUST RECORDS」が主催するパンクの祭典「PUNK IN SUMMER 2025」が開催される。今年で3年目の開催となる「PUNK IN SUMMER」は名古屋のライブハウス、Diamond Hall / SPADE BOX / HeartLand / Shangri-La / Live & Lounge Vio / CLUB ROCK’N’ROLL / RADmini の7会場にスケールアップして行われる。過去2回はチケットソールドアウトと3回目の開催にして既に名古屋の夏の風物詩となった通称「パンサマ」の発起人であるTRUST RECORDS代表、綿谷“wata”剛に話を訊く。今年の夏も熱くなりそうだ。
Interview by 柴山順次(2YOU MAGAZINE)
Photo by 櫻木まお
---今年で3年目の「PUNK IN SUMMER」の開催となりますが、そもそもこのイベントを始めたきっかけは何だったのでしょうか?
綿谷:2023年の3月12日にKUZIRAのツアーファイナルでZepp Nagoya公演をやったんですけど、その丁度翌日の3月13日から厚生労働省がマスクの着用が任意になることを発表したんですよ。そのKUZIRAのZepp Nagoyaの日は当然マスクもしなきゃいけなかったし、ダイブもモッシュも禁止されていて。そのもどかしさがやっぱりあったんですよね。それでマスクが任意になったり、空気感が少しずつ変わっていく中で、夏頃に何かやりたいなと思って急遽DIAMOND HALLとSPADE BOXを押さえて。本当に急遽だったので平日開催になったんですけど、夏休みだしみんな予定空けてくれるかなって。
---改めてコロナ禍は綿谷さんにとってどんな時期でしたか?
綿谷:もうあまり覚えていないけど、ことモッシュやダイブが付き物のライブはやっぱりもどかしかったですね。個人的な内心では、どうでもいいっしょと思いつつ、でも自分の立場や仕事上は、アーティストやお客さんにも規制をお願いしないといけない、そんな環境でも何か動き出さないといけないという使命感みたいなのも相まって、葛藤はありましたね。
---あの時代背景だったからこそパンクの在り方が問われる時期だったのかなとも思いますが。
綿谷:そうですね。いま振り返ると、自分にとっても凄く重要な期間でしたし、改めて色々考えるきっかけにもなった機会ではありましたね。
---それもあって初年度の「PUNK IN SUMMER」は解放感も含め、ライブハウスで思いっきり遊んだ印象が強く残っています。
綿谷:第1回目はとにかく楽しかったですね。久々に何も気にせずにライブハウスで思いっきり遊んだなって。
---TRUST RECORDSの真骨頂というか、原点というか、そこに振り切ったイベントの誕生に興奮しました。そして2024年には2回目の「PUNK IN SUMMER」が開催されましたが、イベント前日、名古屋に台風が直撃して。
綿谷:当日は晴れたんですけどね。でも何組かキャンセルになってしまったり、来られないお客さんには払い戻しをしたり。かなりバタバタでしたね。
---でも2年目にして「PUNK IN SUMMER」というイベントが名古屋に定着したようにも感じたんですよね。「PUNK IN SUMMER」というパンクの祭典が名古屋に生まれたことが「RUMBLExJAG」にも繋がったと思いますし。
綿谷:実は自分の構想としては「PUNK IN SUMMER」を野外でやりたかったんですよ。Aichi Sky Expoの外とかめっちゃ良さそうだなと。ゆくゆくは海とかでもやりたいなと思ったりしているんですけど、並行して「RUMBLExJAG」も構想していたのでいわゆるフェスとしてはそっちに振り切ったというか。だから自分の中では「PUNK IN SUMMER」と「RUMBLExJAG」は関連性としても結構近いんですよね。
---「PUNK IN SUMMER」のときの綿谷さん、本当に楽しそうにされている印象があります。
綿谷:そうなんですよね。当然なんですけど、現場の日はライブが終わるまでお酒は飲まないようにしていて。主催者だし、責任者なので。でも「PUNK IN SUMMER」だけはOKみたいなルールが自分の中であるんですよ。普通に朝からみんなと乾杯して、お酒を飲みながら遊ぶっていう。
---そういう意味でもTRUST RECORDSやR.A.Dが始まった初期のイベントの空気感に近いのかもしれないですね。
綿谷:確かに。そういう気持ちで遊べる唯一のイベントかもしれないです。
---そして2025年、3回目の「PUNK IN SUMMER」が開催されますが、今年のラインナップの豊富さに興奮を隠し切れません。
綿谷:2年目のときも意識したんですけど、パンクとは言いながら音楽性としてのパンクには捉われず、幅広い意味でのパンクを体現するバンドに集まって頂きました。かなり面白いラインナップだと思いますね。中心にはENTHやKUZIRAやdustboxやHAWAIIAN6のようなメロディックパンクのバンドに居てもらいつつ、幅広く遊べるというか、踊れるというか、騒げるというか、そんなバンドが大集結していますね。世代感で言っても上下左右広がったと思いますし、アンダーグラウンドもオーバーグラウンドも取っ払った本当に濃い日になると思います。
---パンクという音楽やカルチャーに触れている人にとって、パンク感や観てきたシーンって結構世代ごとに分かれていると思うのですが、「PUNK IN SUMMER」はそこが全部混ざっている気がするんですよね。きっと初絡みのバンド同士もいると思いますし。
綿谷:めちゃめちゃあると思います。それも何かひとつのきっかけになってくれたらこのイベントに意味が生まれるというか。若いバンドが先輩にブッ込める場所にもなって欲しいし、その逆もしかりですけど、バンド同士の交流の場になると良いなとは思っています。
---最若手バンドはどの辺りになりますか?
綿谷:May Forth、HONEST、カライドスコープ、OwL、Reccaとかですかね。あとはオープニングアクトで出てくれるMORGICとか。
---昨年はSLACKがオープニングアクトでしたが、綿谷さんは最近の名古屋の若手メロディックパンクシーンをどう見ていますか?
綿谷:MORGIC、SLACK、knotは頑張っていますよね。どのバンドも普通に「PUNK IN SUMMER」に出ていてもおかしくないと思うんですよ。でもオープニングアクトに選ばれることも含めて、切磋琢磨の末の場でありたいと思っていて。出れなくてもそれがまた次の1年の原動力になると思うんですよね。あとknotはオープニングアクトじゃ出たくないって言っているんですよ。そういうのも凄く良いですよね。
---綿谷さんよりも上の世代のバンドも今回ラインナップされていますが。
綿谷:HUSKING BEE、RAZORS EDGE、DUB 4 REASON、STOMPIN' BIRD、山嵐など、自分が観たり聴いたりしてきた先輩方に出て頂けるのは凄く嬉しいですね。そういう先輩方に僕ら世代のバンドや更に若いバンドを知って貰うきっかけにもなったらなと思っています。
---レーベルとして、ライブハウスとして、色んな側面から向き合ってきた綿谷さんと同世代のバンドも本当に沢山ご出演されます。
綿谷:みんな、同じ時代を生きてきた仲間たちですね。waterweedは同い年で相当付き合い長いし、RUNNERS-Hiも復活したし。でも普段あまり一緒にやる機会のなかったバンドも「PUNK IN SUMMER」に出演してくれるんですよ。FOUR GET ME A NOTSは同い年だし勿論会って喋ることはあるんですけど、中々一緒に何かするってことがなかったのでこの機会にやりたいなと思ったり、歳の近いMEANINGとも本当に久しぶりに一緒にやれるのは嬉しいですね。
---MEANINGは2015年のFREEDOM NAGOYA振りなんじゃないですか。
綿谷:そうですね。YOKKUNはPAとして会うので飲んだりするんですけど、バンドとしてまた一緒にやれるのは嬉しいですね。
---お客さんやバンド同士だけじゃなく、綿谷さんにとっても再会と出会いの「PUNK IN SUMMER」になりそうですね。
綿谷:まだ観たことのないバンドでいえばBaja、moreru、SATOH、DECASIONも楽しみですね。名古屋のDECASIONはウチのレーベルのスタッフから教えて貰ったのですがめちゃめちゃかっこ良くて。そういう出会いも本当に楽しみですね。
---ちなみに「PUNK IN SUMMER」「PUNK IN AUTUMN」「PUNK IN WINTER」とありますが、それぞれ差別化はあるのですか?
綿谷:「PUNK IN AUTUMN」は次世代のバンドを中心としつつ、枠に限りがあってそこまで拡げれないのでメロディックや、ポップパンクなど中心で、そこから「PUNK IN SUMMER」にステップアップ出来るようなイメージでやっていて。さらに若い、まだ僕も観たことのないバンドで、オススメをウチのライブハウスのブッカーやレーベルスタッフに聞いて「PUNK IN WINTER」に誘っています。
---このイベントを通して色んなストーリーが繋がっているのですね。
綿谷:夏、秋、冬と繋がって、春に「RUMBLExJAG」みたいな。だから「PUNK IN SPRING」がないんですよ。
---「RUMBLExJAG」の開催も発表されましたが、初年度開催してみて如何でしたか?
綿谷:これまで有料フェスをやったことがなかったので、お金を掛けられる、やりたいことを形に出来る楽しさを知ってしまいました(笑)。結果、めちゃめちゃ赤字でしたけど、その辺りの反省を踏まえて、来年はより精度を上げて、より尖っていきたいですね。
---レーザーの照明やENTHの炎の演出など、凄かったですからね。
綿谷:あれは2月前半に開催されたCrossfaithの幕張のフェスの影響もデカかった。「RUMBLExJAG」としては開催1ヶ月前だったのですが、その時期から僕と石川さんのグルーヴがかなり高まって「あれもやりましょう、これもやりましょう」となって進めて、結果、大赤字になったんですけど(笑)。でもそれを結果や数字だけを見るのではなくてOKしてくれたJAILHOUSEの吾郎さん(武内吾郎)がやっぱりかっこいいなと。「それ、100万円かかるからやめよう」じゃなくて「カッコいいと思う事を、とにかくやってみよう。お金は後で考えよう」っていう考え方が僕らと近いのかなって。あとはやっぱりJAILHOUSEが今まで培ってきたものを間近で見せて貰えたので凄く勉強になりましたし、それを「FREEDOM NAGOYA」や「PUNK IN SUMMER」に活かしていけたらなと思っています。
---どんどん規模が大きくなる「PUNK IN SUMMER」、今年も楽しみですね。
綿谷:今年は7会場ですからね。DIAMOND HALLからRADminiまで、出来ることなら全バンド観たいのですが、そこが悩みですね(笑)。
---RADminiはとんでもないことになりそうですね。
綿谷:キャパ60ですからね。RADminiに出て貰うバンドは最初から「RADminiでお願いしたい」という誘い方をしているんですよ。どのバンドもすぐ入場規制になってしまうと思いますけど。きっとRADminiでしか体験出来ないライブをどのバンドもしてくれると思います。
---ちなみに6月初旬の現時点でDIAMOND HALLの大トリは決まっているのですか?
綿谷:僕の中では決まっています。これまでの大トリは1年目がKUZIRA、2年目がENTHなんですよ。今年の大トリを務めて貰うバンドもきっとみんなが喜んでくれるバンドだと思うので楽しみにしていて下さい。お陰様でチケットもかなり少なくなって来ているので、お見逃しなく。僕もお酒を飲みながらみんなと一緒に最高の夏にしたいと思っています。
TRUST RECORDS presents.
PUNK IN SUMMER 2025
日程:8/29(金)
会場:名古屋Diamond Hall / SPADE BOX / HeartLand / Shangri-La / Live & Lounge Vio / CLUB ROCK’N’ROLL / RADmini
OPEN/START 11:30/12:30
チケット:¥5,900 (+1d ¥600)
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2510248
オフィシャル最終先行 6/6(金)18:00〜6/15(日)23:59
ACT:39degrees / BACK LIFT / Baja / CrowsAlive / DECASION / DUB 4 REASON / dustbox / Earthists. / ENTH / FIRE ON FIRE / FIVE STATE DRIVE / THE FOREVER YOUNG / FOUR GET ME A NOTS / Good Grief / GOOD4NOTHING / HAWAIIAN6 / HERO COMPLEX / HONEST / HOTSQUALL / HUSKING BEE / INKYMAP / THE JAPANESE PRIDE / KNOSIS / KUZIRA / MARIO2BLOCK / May Forth / MAYSON’S PARTY / MEANING / moreru / NOISEMAKER / Northern19 / ONIONRING / OwL / POT / RAINCOVER / RAZORS EDGE / Recca / RUNNERS-Hi / SATOH / See You Smile / SHE’ll SLEEP / Some Life / STOMPIN’ BIRD /Survive Said The Prophet / TOTALFAT / Track’s / UNMASK aLIVE / waterweed / かずき山盛り / カライドスコープ / 裸繪札 / バックドロップシンデレラ / 普通隊長(台湾) / 山嵐 / ヤングオオハラ / MORGIC(O.A) /