BUZZ THE BEARS “NOT ORDINARY TIMES” LIVE REPORT!!
Report by mame
Photo by タマイシンゴ
2018.11.17
BUZZ THE BEARS “NOT ORDINARY TIMES”
@TSUTAYA O-WEST
「NOT ORDINARY TIMES」=平凡じゃない毎日、というテーマが付けられた今回のツアー。正直、私は最初「ん?」と思ってしまった。だってBUZZ THE BEARSは平凡な毎日を歌うバンドだし、平凡な毎日を過ごす私たちの背中を押してくれるバンドだと思っていたから。だからその理由を探ろうと思い、ツアーファイナルのワンマンライブへと向かった。
「NOT ORDINARY TIMES」を冠したツアーファイナルは、TSUTAYA O-WESTでの2DAYSの2日目。2日目はワンマンライブで行われた。越智健太(G, Vo)がゆっくりとギターを鳴らし「BUZZ THE BEARS始めます」と挨拶すると、バンドは最新アルバム「THE GREAT ORDINARY TIMES」の「CRAZY MISSION」でライブをスタートさせる。桑原智(Dr, Vo)の繰り出すパワフルなツービートに乗せた「クライマー」、四つ打ちの「ピエロ」、跳ねるリズムの「ロメオとジュリエット」が続けられ、観客はジャンプをしたり、ダイブをしたりと、さっそく体いっぱいにライブを堪能していった。
越智が「ワンマンなので、いろんなことができる」と言ったあとには2010年4月発売の1stアルバム「爪痕」が届けられ、ワンマンライブならではの選曲でもファンを喜ばせる。かと思えば「THE GREAT ORDINARY TIMES」収録曲「WOLF MAN」演奏後には音源に収録されている「ワオーン」という狼の鳴き声についてのエピソードが話されたり、「ふぇすてぃばるまん」では池田大介(B, Cho)がホイッスルで盛り上げたりと、最新アルバムの魅力も余すところなく伝えられていった。
中盤、越智が今ツアー中に自身の祖父が亡くなったこと、数日前に桑原の祖母が亡くなったことを告白する。そして「今日はこの歌を歌いたい」と言うと、バンドは「白銀」の演奏へ。越智が亡くなった大切な人へ向けた同曲が切なく響き、演奏後には自然と温かな拍手が贈られた。続けて越智が「(ライブに)来てくれてるみんながいるのに『もっとデカいところで歌いたい』とか『もっとたくさんの人の前で歌いたい』なんて……」と自身の葛藤を吐き出してからミディアムチューン「最低で身勝手なメロディ」が届けられ、場内は感動的なムードに包まれた。
その後のMCでは池田がマイクからの静電気を避けるために購入したという真っ赤なマイクカバーの話題で大盛り上がり。池田は越智の提案で、まるでバラエティ番組のMCのマイクと化した、赤いカバーを付けたマイクでその後「サクラ」「エンドレス」を演奏して、場内を和ませていた。
終盤には越智が「いつまで経っても小さいバンドで、ちょっとずつしか進めんくて、周りの後輩にどんどん追い越されて……」とバンドの道のりを語り始める。「『あいつらみたいにやったらいいのか?』と悩んだ時期もありました。でも俺らがライブをしに東京に来たら、いつも来てくれるやつがいて、そいつらが『BUZZ THE BEARSが好き』って言ってくれるから、俺らはこのままでいたらええんやなと思います。俺らにしか歌われへん歌があるんかなって。みんなに応援してもらったから、今度は俺らが悩んでるやつに『そのままでええんやで』って伝えたくてこの歌を作りました」と続け、弾き語りから「FOREVER ONE」の演奏へと進んだ。
3人はフロアのファン一人ひとりの顔を見るように丁寧に演奏し、ファンは彼らのその思いを少しももらい逃さないとばかりに、じっと聴き入っていた。そして3人は人気曲「雨」、アルバム収録曲「10YEARS」をプレイ。最後に「ちょっとずつ歩いてって、もう無理やって思ったら、そのときはBUZZ THE BEARSを観に来い!」とファンへメッセージを贈ってステージをあとにした。
アンコールでは越智が「だいたいツアーファイナルってみんな何か発表したりするよね。BUZZ THE BEARSも発表があります……」と言って、フロアをざわつかせる。すると彼は「これからも元気にやっていきます!」と笑顔で宣言。観客も笑顔で彼らの“発表”を喜んだ。そして「歌って終わろうか」との言葉から「ひまわり」「あなたへ」を続け、観客は目を輝かせて楽しそうにシンガロングしていた。
彼らが「NOT ORDINARY TIMES」=平凡じゃない毎日、を今回のツアーのタイトルに掲げた意味。それは、私たちが過ごす毎日こそが「平凡じゃない」ということを教えてくれるということだった。ライブ中、越智はツアー中に「何をやってもダメで……」と落ち込むファンと話をしたエピソードを明かした。その際「俺らもそうやでって話をした。失敗失敗の繰り返しで、周りに迷惑をかけて、でも必死で10年間がんばってきて」と振り返りながら、その途中で出会ったスタッフやファンへの感謝の気持ちを伝え「俺らはまた歩いていかないといけない」と続けた。平凡に見える日々の中に、楽しい瞬間があれば悔しいことがあり、さまざまな人との出会いがあり、悲しいこともある。それでも私たちは歩いていかなくちゃいけない。楽しい瞬間を歌った「ふぇすてぃばるまん」、人との出会いから生まれた「FOREVER ONE」、日々の葛藤をつづった「最低で身勝手なメロディ」、そして昔に作り今の心情とも重なる「白銀」……とBUZZ THE BEARSの楽曲に彩られ、奮い立たせられながら、平凡じゃない毎日を、私たちは歩いていくのだ。
[SETLIST]
01. Through The Noise
02. クライマー
03. ピエロ
04. ロメオとジュリエット
05. スーパースター
06. 鳴りやまぬ歌
07. IRA IRA
08. Hurry Up!!
09. マジック スパイス
10. WOLF MAN
11. ふぇすてぃばるまん
12. パズル
13. シェアタイム
14. Cocoa
15. 白銀
16. 最低で身勝手なメロディ
17. サクラ
18. エンドレス
19. 夢の続き
20. 花に…
21. FAR AWAY
22. 別れ風
23. 羽根
24. FOREVER ONE
25. 雨
26. 10YEARS
en01. ひまわり
en02. あなたへ
>>> BUZZ THE BEARS OFFICIAL HP