LIVE REPORT

HEY-SMITH “Life In The Sun TOUR” LIVE REPORT!!

Report by Mame
Photo by HayachiN

 

2018.11.20
HEY-SMITH “Life In The Sun TOUR”
@TSUTAYA O-EAST



ツアーが始まって2日目で2本目。この日、猪狩秀平(G, Vo)はステージ上で「本気で楽しいな。たぶん『Life In The Sun』っていうアルバムがそうさせてくれてるんやと思う」と言っていた。今作を「とにかく明るいアルバムにしたかった」とインタビューなどで話していた猪狩。その言葉通り、今作にはシンガロングしたくなる楽曲や、思わず体を揺らしたくなるナンバーが多数収められている。



それは結果、リスナーはもちろん、何より演奏しているHEY-SMITHメンバーを楽しくさせるのだった。メンバーはステージ上をいつも通りに元気よく駆け回り、満(Sax)とかなす(Tb)はじゃれあうようなパフォーマンスで盛り上げる。曲間にはTask-n(Dr)の繰り出すさまざまなビートに乗せて、イイカワケン(Tp)がときに叙情的、ときに楽しげな旋律でつないだ。猪狩とYUJI(B, Vo)は攻撃的な意見を強く歌い上げたかと思えば、ハッピーな歌詞をハイテンションで歌い、伸びやかな歌声で切ない思いを届ける。「Life In The Sun」の収録曲のほとんどは猪狩の弾き語りから作られたというだけあって、歌詞のメッセージとメロディのハマり具合もぴったり。今回のツアーでは2人のボーカリストによる感情的なボーカルにも注目してもらいたい。




本作収録曲に「Not A TV Show」と銘打たれた楽曲がある。その名の通り、「これは“TV Show”じゃない」という思いをつづったナンバーだ。彼はライブの幕開けの際「本物のロックサウンド、楽しんで言ってなー!」と声をかけていた。例えばこの日、観客の反応を見て猪狩は「(新作を)聴いてない人多そうやな」と苦笑いをしていた(2階席から観ていた私の目にはそんなふうに見えなかったけれど。ソールドアウトした会場では新曲でもシンガロングが何度も発生していたし、みんな体を揺らしていた)。ツアー序盤らしく、猪狩が歌詞を間違えて思わず「間違えた!」と笑う場面もあった。しかしこの日のライブではそれすら「OKOK!」と思わせる楽しさがあった。



アンコールでもいろいろと……(当日来場しただけの秘密。そもそもアンコール自体、どの公演でも観られるわけではないですからね)。この日で言えば、新曲がまだメンバーにも観客全員に浸透していない状態で、どう楽しんでやるか?とメンバーが意気込みを見せるライブ、それこそTV Showでは観られないのだ。ライブは撮り直せない、やり直せないから。それは人生にも言える。猪狩は最後に「いろいろあると思うけど、友達や家族、恋人を大事に、素敵な人生にしてな!」とフロアに呼びかけていた。



そう、彼らが音楽で伝えたいのは「バンド最高」とか「音楽は楽しいもの」とかそういうものではなくって(それは伝えたいと思わなくても、彼らのステージを観ていれば自ずと伝わってくる)、それぞれが楽しい人生を送ってほしい、とそれだけなのだ。「今日のライブ、最高やったで」「あの曲やったで」なんて会話を友達と交わしたり、夢や目標に向かっていく勇気が持てないときに気持ちを奮い立たせたり、失恋したときの傷を癒すために音楽を聴いたり、そんなとき、HEY-SMITHの音楽がきっと力を貸してくれる。




ちなみに、自身の体に新曲群が浸透していない状態でも彼らは十分楽しませてくれると思うけれど、今作は一緒に歌ったり、一緒に踊ったりしたほうが絶対に楽しい。猪狩は「音楽は唯一の合法ドラック!」と彼らしい言葉使いで音楽の尊さを伝えていたけれど、絶妙だと思わず感心してしまった。だからこれからこのツアーに行く予定の人は、ぜひアルバムを聴いて向かってくださいね。行けない人はぜひ、チケットを手にした友達に「どんなライブだった?」ってお酒でも飲みながら話を聞いてみて。そこまでして、このアルバムはようやく完成するのだと思うから。






[SETLIST]
※ツアー中の為、割愛いたします。



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