LIVE REPORT

SABANNAMAN “ADVENTURE TOUR FINAL” LIVE REPORT!!

Report by Mame
Photo by IKKINOTDEAD 

 

2018.11.22
SABANNAMAN “ADVENTURE TOUR FINAL”
@Shindaita FEVER



「ADVENTURE」とはSABANNAMANが7月に発表したフルアルバムのタイトルであるが、それにしても「ADVENTURE TOUR」とはなんとワクワクするツアータイトルだろう。「ADVENTURE」の日本語訳である「冒険」を辞書で引くと「危険をおかすこと。成功のたしかでないことをあえてすること。」(広辞苑)とあった。ではSABANNAMANの今回の「ADVENTURE TOUR」は果たして成功だったのか? 吉田涼(Vo)はツアーファイナルのステージで「俺たちが全国で何をしてきたか見せに来た」と言っていた。その成果のほどはいかに。

まず旅と言えば仲間である。桃太郎では道中で出会った犬、猿、キジが、鬼退治の際それぞれの武器で参戦してくれたように、SABANNAMANにも旅を共にする仲間がたくさんいる。ツアーファイナルで共にステージに立ったのはPRAISE、39degrees、NUBO。一見共通点がなく不思議な組み合わせに思えたのだが、ライブを見たら、このラインナップでしかなかったのかもしれないと思わされた。PRAISEはミクスチャーロックというサウンド面で、NUBOはダンサブルな楽曲で観客を踊らせるという“ノリ”という点で、それぞれSABANNAMANと共鳴する。39degreesに関してはパンキッシュなサウンドでの共鳴ももちろんだが、それ以上に同世代であるということが大きいように思う。SABANNAMANは音楽的に言うと、現在の日本のバンドシーンで同じくくりのジャンルはほとんど見当たらないが、だからこそさまざまなバンドと共鳴し、多くのバンドと旅に出られるのだ。

そんな頼もしい仲間たちが熱い演奏と言葉で旅の終わりを祝したあと、いよいよSABANNAMANが、ツアー最後のライブを始める。ステージに登場するとまず吉田が「やっと帰って来たぜー!」とひと言。彼の言葉に「おかえり」の気持ちを込めた歓声がフロアから上がると、吉田は彼らに向かって「やれんのー? いけんのー?」と焚き付けて、バンドはアルバムの1曲目「Adventure」でライブの口火を切る。



與那城直記(Dr)と糸数航平(Ba)が繰り出す躍動感あふれるビートに乗せ、上田雄(Gt)が高らかにエキゾチックなギターリフを奏で、4人はライブの始まりを高らかに告げた。アルバムの曲順通りに「Peace Of Dancer」へとなだれ込むと、さらに「Spice Of Your Life」「Epic Code」と高速ビートに乗せたパンキッシュなナンバーを連投し、フロアはモッシュの嵐に。間奏では吉田が「最強のベース!」と糸数を指差し、アンプに乗った糸数が巧みなベースプレイを披露。さらに上田、與那城がソロプレイを続け、バンドはツアーであろう培った演奏力も惜しみなく見せつけていった。




中盤には「Show Me Your Black」「Good Time Love」と浮遊感のあるナンバーが続けられ、さらに吉田が「どっぷりいきましょう」と告げてからバンドは「Light In Dark」へ。與那城と糸数のリズム隊が全身を使いどっしりと楽曲を支える中、ダビーなサウンドで場内はドープな世界観に染められた。




またこの日のハイライトであり、この旅のクライマックスとも言えるのは「Wandering」であろう。演奏前に吉田は「勝手にやってるんですけど、こうやって来てくれてる人がいるので楽しいです」「まだまだ小さいかもしれないけど、この輪っかをどんどん大きくしていきます。これからも見ていてください」と、熱い思いを重ねてから楽曲へ。彼が語った決意や感謝の気持ちを具現化するかのようにバンドはグルーヴィかつ、エモーショナルな音色を聴かせる。観客はバンドの感情のこもった演奏に、拳を突き上げたり、共にくちずさんだりして応え、場内には感動的なムードが広がった。

しんみりしたムードを一蹴するかのようにバンドは最後にライブ定番曲「Mutant Walk」をドロップ。上田と糸数は暴れまわりながらプレイするなど、メンバーはよりパワフルな演奏を見せる。吉田は彼らの演奏に負けじと声を張り上げながら「俺たちは自分が好きな曲をみんなに聴いてもらいたくてやってるのに、来てくれるみんながいて本当にうれしい」と思いの丈を語り、本編を締めくくった。




アンコールで遊び足りないとばかりに、ノイジーなギター、心地よいシャウトの掛け合いとSABANNAMANらしい「Get Check Now」が届けられ、フロアは大盛り上がり。さらにダブルアンコールでは吉田がベース、糸数がハンドマイクに持ち替えて「Sabanna Party Time」をプレイ。会場は笑顔とシャウトでいっぱいになり、温かな空気感の中、ツアーは幕引きとなった。




「Wandering」演奏後に吉田が「この曲をみんなで歌いたかったんだ、サンキュー」と感慨深そうにつぶやいていた。「放浪」や「うねりながら流れる」といった意味がタイトルに付けられた「Wandering」は、まさにこれまでの彼らの“冒険”をつづった曲で、そこには誰のために歌うのか、何のために鳴らすのかといったバンドの思いが込められている。ここで描かれている冒険は、バンドのこれまでの道のりやメンバーの人生なのだろうが、「ADVENTURE TOUR」という新たな冒険を経験した彼らは、曲に新たな感情を吹き込んでいた。そこにはメンバーだけでなく、共演してきたバンドや、会場で共に歌ったファンの歌声や思いも加えられていて、「Wandering」、そして「ADVENTURE」というアルバムの完成をここに見たという気がした。吉田がツアー中に放った「俺たちが全国で何をしてきたか」という問い。それは「ADVENTURE」というアルバムを完成させるためのピース集めで、この日のライブを見る限り、この“冒険”の成果は、間違いなく成功だったと言えるのではないだろうか。ただ、彼らは「まだまだやるから見ててください」とも言っていた。彼らの冒険の旅はまだまだ続く。



[SETLIST]
01. Adventure
02. Peace Of Dancer
03. Spice Of Your Life
04. Epic Code
05. Freak Out
06. The Way
07. Show Me Your Black
08. Good Time Love
09. Light In Dark
10. Wandering
11. Mutant Walk

en01. Get Check Now

en02. Sabanna Party Time



>>> SABANNAMAN OFFICIAL HP