LIVE REPORT

HOTSQUALL “GRATEFUL ONION 2019 ~Rock Soldiers festival~” LIVE REPORT!!

Report by 小林千絵
Photo by manaty

 

2019.11.3
HOTSQUALL “GRATEFUL ONION 2019 ~Rock Soldiers festival~”
@新木場 Studio Coast


HOTSQUALLいわく「てめえらの20周年をてめえらで祝う」という趣旨で企画された「GRATEFUL ONION 2019 ~Rock Soldiers festival~」。会場に選んだのはバンドの地元である千葉から一番近いデカ箱・新木場 Studio Coast。当日は「GRATEFUL STGAE」「WONDERFUL STAGE」「HEARTFUL STAGE」という3つのステージが用意され、HOTSQUALLを含め全17組がライブを行った。

HOTSQUALLの3人が鏡割りをしたオープニングセレモニーのあと、ゲストの16組は各々のやり方で仲間の20周年を祝った。例えばWONDERFUL STAGEのトップバッターを務めたBACK LIFT。小林'KICHIKU'辰也(Vo, Ba)は競演するようになってから観たとあるHOTSQUALLのライブで「こんな“ロックソルジャー”がいるならロックバンドの未来は明るいと思った」とHOTSQUALLへの思いを語り、軽快なライブで会場を盛り上げる。1週間前に同会場にてKuboty(G)の脱退ライブを開催したTOTALFATは、この日が東京で行う新体制初ライブ。どこか緊張した面持ちで新曲「Give It All」を披露したあとには、「夏のトカゲ」や「PARTY PARTY」といったお馴染みのナンバーでバンドの健在ぶりをアピールした。今年結成20周年目を迎えたTHE CHERRY COKE$は「POLKA」や「Gypsy Moon」で観客を踊らせたあと、KAT$UO(Vo)が「人生の半分をHOTSQUALLと過ごして、まだまだ青臭い喧嘩したり、デカい夢語ったり、まだまだ青春ってできるんだなって思います」とHOTSQUALLと共に切磋琢磨してきたこれまでを回想。そして自らの20年も同時に振り返り「自分のためだけにバンドやる時期はすぎて、観てくれてるお前らのためにっていう気持ちになってくるんだよ。20年費やしてきたHOTSQUALL、信用しろよ!」と盟友、そして集まった観客へエールを送った。

ほかにもLAST ALLIANCEが今年の3本のライブの1本を本イベントに決めたり、RADIOTSのYOSHIYA(Vo)がアコースティックで出演したりと、さまざまな形でHOTSQUALLの20周年のお祝いに駆けつける。また同世代だけでなくTrack'sやKUZIRAといった若手のバンドが出演していたこともHOTSQUALLが多くのバンドに愛されている証拠。Track'sは「HOTSQUALLが大好きです。何が好きなのか全然わかんないんだけど、一緒にいることが大好きだし、ステージでいい音を鳴らすのが大好きです」とHOTSQUALLへ言葉と共に“いい音”を贈っていた。

HOTSQUALLの前にGRATEFUL STGAEに登場したOVER ARM THROWは、鈴野洋平(Ba, Cho)いわく「みんなのことを無視したセットリスト」として、「Shooting star」や「Full a Letter」といった、2組がたびたび共演していたバンド初期の楽曲ばかりをプレイ。「HOTSQUALLと同じ時代に、ステージから同じ方向を観てバンドをやれることを誇りに思います。一緒に育ってくれてありがとう」と募る想いを口に。ラストナンバー「Chime」ではチフネシンゴ(HOTSQUALL / G, Vo)が歌いに出てくる一幕もあり、場内はノスタルジーなムードに包まれた。

BUZZ THE BEARSがWONDERFUL STAGE、HOTSQUALL同様千葉のバンド・FOUR GET ME A NOTSがHEARTFUL STAGEをそれぞれエモーショナルなライブで締めくくったあと、GRATEFUL STGAEにいよいよHOTSQUALLが登場。大きなミラーボールが回る中、いつもどおりサザンオールスターズ「HOTEL PACIFIC」をSEにステージに登場した3人は「俺たちが千葉のHOTSQUALLだ!」と焚きつけると、「Yuriah」「Won’t let you down」「LIKE THE STAR」「Daylight」と、1stから4thまでのフルアルバムの1曲目を連投して一気に会場を熱狂の渦へと誘った。



新旧の楽曲を盤石のアンサンブルで聴かせる様は20周年バンドならでは。アカマトシノリ(Vo, B)とチフネは普段のライブハウスよりも高さのあるステージを意識してか、しゃがみこんでファンと目線を合わせるように歌い、ドウメンヨウヘイ(Dr, Cho)はファンの休む暇を与えないほどに次々とビートを刻む。どの曲でもシンガロングパートになると、アカマが客席にマイクを向けるより先にフロアから盛大なシンガロングが発生するなど、会場は凄まじい一体感に包まれた。HOTSQUALLの3人もステージ奥に掲げられた大きなフラッグを指差して「こんなにデッカいの!」と笑顔を見せるなどいつもよりもハイテンション。ステージ袖には多くのバンドマンが集結し、愛のあるヤジを飛ばしたり、ステージダイブを決めたりと、フロアのファンと同じく大いに盛り上がっていた。




「人生を笑え」と描かれたタオルをファンが掲げてから始まった「Laugh at life」では、「人生を笑え」の大合唱が響き渡る。それを聴いたチフネは噛みしめるように「何にも怖くねえな」と一言。アカマは「この景色を千葉に見せたいよ。この熱量、台風なんかに負けねえ!」と、会場に渦巻くパワーを千葉に向ける。そして受け取ったそのエネルギーを込めるように3人は「ROCK SOLDIERS NEVER DIE」を力強くプレイして本編を締めくくった。




この日、各アーティストがHOTSQUALLへの言葉を贈ったが、その中でも印象的だったのがShun(TOTALFAT)による「続けてることが全ての答えじゃない。けど続けてること自体がバンドにとっては武器になる」という言葉。HOTSQUALLも、そのほかのバンドも(もちろん“スリーピースバンド”となったTOTALFATも)ただバンドを続けることだけを目標にやっているわけではないだろう。しかしバンドを続けるためには、リスナーも自分たち自身も飽きないような楽曲やライブ作りが必要になる。HOTSQUALLは20年間、精力的に走り続けてきた。それでもいつも“今”が一番カッコいい。それは20年間の積み重ねを武器にしているからである。これからも年月を重ねていくHOTSQUALLが楽しみで仕方ない。




なおこの日、HOTSQUALLが会場で販売していた「ONION ROCK FESTIVAL 2019」のライブDVD、グッズの枡の売り上げは、台風19号で被害を受けた千葉の復興資金として寄付された。チフネはこのことについて「これだけかわいがってもらった千葉に少しでも恩返しができたら」と話していた。最後に「愛してます!」と言い放ってステージを去った彼ら。先輩を、後輩を、ファンを、そして地元・千葉を愛しているHOTSQUALLだからこそ、先輩にも後輩にもファンにも、千葉にも愛されるのだろう。



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