LIVE REPORT

ROTTENGRAFFTY & SPARK!!SOUND!!SHOW!! "Let's go to the 30th LUCKY" LIVE REPORT!!

Report by 山口智男
Photo by SARU(SARUYA AYUMI)

 

2019.12.02
ROTTENGRAFFTY & SPARK!!SOUND!!SHOW!!
[Let's go to the 30th LUCKY “カントーロード ~30周年SPECIAL~”]
@千葉LOOK


  単に2組のバンドが演奏したということだけで終わらずに、ROTTENGRAFFTY(以下ロットン)とSPARK!!SOUND!!SHOW!!(以下スサシ)――この2組だからこそと言える対バン・ライヴが千葉にあるライヴハウス、LOOKの30周年記念イベントの1つとして実現した。彼らはこれまで何度かフェスでは顔を合わせたことがあったそうだが、ライヴハウスでサシでやり合うのはこの日が初めてだったという。

 今年、結成20周年を迎えたロットンと結成から10年ほどというスサシ。活動歴に10年の差がある先輩と後輩の対バンは、その度量の大きさで後輩のやんちゃを受け止めたと言うか、先輩の胸を借りながらも臆せずに勝負を挑んだと言うか、バチバチと火花を散らしながらも、そこにはちゃんとお互いを認め合っていることが伝わるという意味で交歓という言葉が相応しいピースフルな空気も多分に感じられ、そんなところもまた、ついに実現した対バン・ライヴの見応えになっていたのだった。

 ライヴは意外にもロットンからスタート。開戦を告げるサイレンが鳴り響く中、「うおぉりゃあ!」というN∀OKI(Vo)の雄叫びから演奏になだれ込み、先手必勝と言わんばかりにいきなり観客をダイヴさせた1曲目の「零戦SOUNDSYSTEM」から、ステージの5人が怒涛の勢いで披露していったのが、新旧の――ラウド・ロックな演奏で観客にモッシュさせたり、ヘッドバンギングさせたり、ジャンプさせたりすることに加え、キャッチーなサビではシンガロングの声も上げさせる必殺チューンばかりなのだから、この日のロットンの本気が窺える。




「スサシがやりそうなこと、俺らが一発目で全部やったるぞ! おまえらもかかってこい!」。明らかにスサシに対する挑発だったNOBUYAのアジテーションからなだれこんだ「THIS WORLD」では、そのN∀OKIとNOBUYA(Vo)がモッシュする観客の上にダイヴ! それぞれに「遊ぼうぜ!」「来いよ!来いよ!」と声を上げながらガッツを見せつけるんだから、観客だってそれに応えないわけにはいかない。




「歌え! 今日はスサシとおまえらの心、粉々にするぞ! 飛び跳ねろ!」というN∀OKIに応え、「STAY REAL」で観客が上げたシンガロングの声が実に心地いい。
 中盤では、「12月18日にリリースするニュー・シングルは、クソ上がる楽曲となっています」という女性のアナウンスを流してから新曲「ハレルヤ」も披露した。スピード・メタルに《それ!それ!それ!それ!》という祭りを思わせる掛け声とロットンらしい哀愁の展開を交えた“クソ上がる楽曲”に観客は狂喜、そして乱舞。とてもこの日、初めて聴いたようには見えない観客の反応にNOBUYAが歓喜の声を上げる。「さすが千葉! 新曲なのにおまえらすごいぞ!」。
 そんなフロアの盛り上がりは、観客全員をいったん座らせてからジャンプ、そしてモッシュ・サークルと展開したロットン流EDMとも言える「D.A.N.C.E.」でさらに大きなものに!  「30周年おめでとう! (LOOKに)来た当時は観客が3列くらいしかいなかった。それが続けてきたらこの景色!」。



 そんなN∀OKIの挨拶を挟んでから、バンドは後半戦に突入していく。いや、「マンダーラ」「銀色スターリー」「金色グラフティー」という曲の流れは、もはやラストスパートだ。
「ダイヴァーの数、こんだけしかいないのか? 今年一番少ないぞ! 全員来い!」。 
 「金色グラフティー」を歌う観客のシンガロングの声に重ね、NOBUYAが煽り、ダイヴ、モッシュ・サークルで応える観客にトドメを刺すようにバンドが繋げたのがポップ・パンク調の「Rainy」と、青春パンクとミクスチャー・ロックを掛け合わせたバンドのテーマ・ソングと言える「切り札」だった。

 KAZUOMI(Gt)が鳴らしたイントロのリフを聴いただけで観客がステージを目掛けて殺到したことからも、楽曲の人気、いや、楽曲に対する思い入れが窺えるが、「俺たちの最初の曲」という言葉とともにタイトル通り大事な場面で演奏することが多いことを考えると、バンドにとっても大切な曲であることがわかる。その「切り札」をこの日、ラスト・ナンバーに選ぶことによって、ロットンは老舗ライヴハウスの30周年を祝う、ある意味晴れ舞台にこれまで20年間、変わらずにバンドを続けてきた誇りとともに自分たちの存在を刻みこみ、その雄姿をスサシに見せつけたのだった。




「千葉LOOK、30周年おめでとうございます。これからも俺らと、こいつら(観客)と一緒に千葉のライヴ・シーンを盛り上げていってください!」(NOBUYA)
 一丸となって、50分ノンストップで怒涛の熱演を披露したNOBUYA、N∀OKI、KAZUOMI、侑威地(Ba)、HIROSHI(Dr)の5人に観客が惜しみない拍手を贈る。

 その直後だ。いくらライヴハウス・シーンでめきめきと頭角を現してきたスサシとは言え、さすがにやりにくいだろうと思いきや、「めちゃめちゃ遊べそうですね」とタナカユーキ(Vo/Gt)がのんびりとした口調で言いながら、スサシのライヴは「BRUSH UP」でゆるっとスタート。レゲエとラップが交じり合うドープなミスクチャー・ロック・ナンバー。曲によってキーボードとギターを使い分けるタクマ(Key/Gt/Cho)が奏でるキーボードのフリーキーなフレーズがただ者ではないと思わせる。




 一気にではなく、じわじわと上げていった演奏の熱が徐々にフロアに伝わっていき、曲の終盤、ダイヴが始まる。そこから、「やろうぜ!」(タナカユーキ)とバンドがダンサブルな「OEO」、ヒップホップをバンド・サウンドに落とし込んだ「サイコインターネットマジック」と繋げたところで、タナカユーキが言ったのが、「ロットン、マジ大人げなかったですね(笑)」。

大人げないと言った、そのココロは終盤、明らかになるのだが、「(ロットンは)元ヤンだからコワい。出る杭、マジで打つ(笑)」と言ったチヨ(Ba/Cho)とタナカユーキがロットンになついている表れなのか、曲間のMCで、たびたび彼らをイジりながら、スサシもまた、代表曲の数々を披露していった。




モッシュだけではなく、ヨコノリも楽しませながら、基本、人を食ったような連中だから、ロットンのように激アツでストレートとはならないが、お決まりの振り付けで気持ちを1つにする「黒天使」「かいじゅうのうた」、そして、「ダンスは世界を救う!」とタナカユーキが嘯き、《Fuck you baby, アイラブユー》と観客と一緒に歌った「無愛愛」といった、ある意味アンセミックな曲も交え、じわりじわりと一体感とともに盛り上がりを作っていく。




変拍子を交えながら、演奏の屋台骨を支える169イチロー(Dr/Cho)以外の3人がたびたび観客の上にダイヴするワチャワチャ感も彼らのライヴの見どころだ。この日、「SCAR」ではフロアに飛び込んだタナカユーキがフロアの真ん中にせり出している木の柵に足を掛け、逆さまにぶら下がりながら、「サークルピットよろしく!」と観客を煽るというロットンに対する対抗意識なのか、持ち前の奇矯さの表れなのか、いずれにせよ熱演を見せ、観客を沸かせたのだった。

「弱小な俺たちにフルスロットルで向かってきた大人げなさがうれしくて、泣きそうなりました。本気で小さな芽をつぶしに来てくれて、俺、ロットンがさらに好きになりました。ロットンと俺たちの関係は、これから長くなりそうです!」

 タナカユーキが彼らしい言い方で、ロットンに対する賛辞、謝辞を贈ってからの後半戦。「アワーミュージック」「still dreamin’」でエモい一面を見せつけたバンドは、そこから一転、「MARS」「スサシのマーチ」「南無」と再びドープなミクスチャー・ロックを繋げ、観客を存分に踊らせた。曲間が曖昧になるカオティックな展開は、ライヴに軸足を置いているバンドならでは。




 ロットンに促され、予定になかったアンコールに応えた彼らが選んだ曲は、AKB48の「ヘビーローテーション」のアンサー・ソングだという「ヘビーローテンション」。ダメ押しで盛り上げるには持って来いのアップテンポのラップ・ロック・ナンバーを、タナカユーキがアカペラで歌った「ヘビーローテーション」のサビから繋げると、ステージで乱舞しながら歌っていたタナカユーキは最後、フロアにダイヴを決めた!



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