INTERVIEW

Who's Next by SATANIC Editing Room Vol.02: HOTVOX

連載企画"Who's Next"はSATANIC ENT.を編集するスタッフが、今現在気になっているけど、まだSATANIC ENT.ではピックアップしていない次世代のバンド・アーティストに会いに行き、ルーツや活動、それを取り巻くカルチャーなどを一方的に紹介するというシンプルかつ偏愛極まりない企画。第二弾はラップコアバンドのHOTVOX。八王子をローカルとして、ハードコアとHIPHOPをMIXさせた楽曲で独自の道を切り開こうとするバンドだ。過去には大型フェスにも出場し、若手の中でもスタイルを持つアンダーグラウンドのバンドとして注目を集めている。そんな彼らはどんなバンドなのかレポート!




HOTVOX: Dr.OFFPACO、Ba.ALTA、Gt.Y.S.K、Gt. ORII、Vo.RIK (L to R)
 

メタルコアからHIPHOPを取り入れラップコアへ


ーまずこのバンドがどうやって結成されたのか教えてください。

ALTA:取り合えず結成は、Ba.の俺とDr.のOFFPACOがメタルっぽいバンドやろうとして、OFFPACOの中学の同級生であるYSKをGt.に誘ったんです。で、俺とVo.のRIKが高校の同級生で「ちょっとボーカルやってみない??」って誘ってみたのが始まりです。Vo.のRIKはイギリスにいたんで、英語喋れるからいいじゃんって。

ーみんな地元の繋がりから始まったんですね。

ALTA:そうですね。最初はメタルコアをやっていました。でも性格的な部分もあったんですけど、徐々にハードコアに魅了されて。もともとHIPHOPが好きなメンバーも多かったんで、ハードコア路線に行こうよって感じで方向転換しました。で、Gt.のORIIさんは後から入ってきて。このメンバー構成が4年前くらいに完成したんです。そこから現在に至るって感じですね。

OFFPACORE:意外と長いよね。

ALTA:まあ、前身のバンドも含めたらもう7年やってるからね。

ー今、HOTVOXはラップコアを名乗っていますが、その音楽性を選んだキッカケは?

ALTA:さっき言った通り、ハードコアのライブを観てサウンドに魅了されっちゃって。NYハードコアみたいな音楽を知らなくても、パンクとかメタルとしてHATEBREEDを聴いてた感覚なんです。そこに加えて俺はHIPHOPが好きだったので、ただ普通にハードコアやるのは面白くないしラップコアをやろうよって流れになりました。ラップハードコアをYouTubeで調べたら色々なバンドがいるんですよ。普通のハードコアやるよりも絶対カッコいいっしょって思って、ラップを入れていった感じです。もともとミクスチャーロックが好きだったのもあるんですけどね。

ー皆さんの音楽的ルーツは?

ALTA:オレは地元の友達にバンドサウンドを教えてもらいましたね。中学の頃にRed Hot Chili PeppersやTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTを知ったんです。それが初期衝動ですね。もう、マジでバンドをやりたいと思って。その後、また別の友達の影響でHIPHOPにハマっていきました。

ーHIPHOPはどういうアーティストを聴いていたんですか?

ALTA:最初は高校生ラップ選手権でしたよ(笑)。その後ガチでHIPHOPジャンキーみたいな友達に、NORIKIYOのCDを貸りたんです。そいつが相模原のやつだったんで「同じ相模原出身のHIPHOPユニットのSD JUNKSTAやばいよ」って教えてもらって。そこがキッカケで日本語ラップにハマっていきました。

ーじゃあ入口はそこなんですね。

ALTA:そうですね。もうNORIKIYOですね!NORIKIYOはリアルで本当にカッコいいと思っています。



ORII:自分はギターをやっている父親の影響でメタルを聴いていたんです。その影響でギターも始めました。しばらくはメタルしか聴かなかったんですが、自分の出身地、長野の高校生の間でCrossfaithとかが流行っていたんですね。その影響で海外のメタルコアも聴くようになっていきました。特にハマったのはHATEBREEDとか、ニュースクールハードコアですね。ハードコアにハマっていったのはその辺りからです。そのときにドイツのBlood By Daysというラップとハードコアを混ぜたようなスタイルのバンドに影響を受けました。

ーHIPHOPはどんな曲から聴き始めたんですか?

ORII:ライブやる時のSEがキングギドラの「公開処刑」なんですけど、メンバーに「今後HIPHOPに寄せてくから、興味ないかもしれないけど聴いて」って言われて。キングギドラの「公開処刑」が入ってる『最終兵器』を買ったつもりでいたんですけど、その後に発売されたリミックス版の方の『最新兵器』を間違えて買っちゃったんです。その作品にさんぴんCAMP世代のアーティストやNITRO MICROPHONE UNDERGROUDのメンバーが参加していたので、そこから掘り下げていって、どハマりしていきました。



RIK:自分は高校時代に、Ba.のALTAからONE OK ROCKを教えてもらって。その時に初めてバンドってカッコいいなって思ったんですよ。ラップを好きになったキッカケは、Linkin Parkでした。Mike Shinodaのラップが好きで。最初に聴いたLinkin Parkの楽曲は「New Devide」でChesterのクリーンパートしかないんですけど、その楽曲が収録されているCDをレンタルしようとしたら、間違えて1stの『Hybrid Theory』を借りちゃって。その1曲目「Papercut」がめちゃくちゃカッコよくてラップにハマり、今の形があります。HIPHOPに関しては、自分が海外に住んでいたこともあって、日本語ラップよりも英語ラップの方が馴染みやすかったですね。それこそLL COOL Jとか。日本語ラップはメンバーや周囲の友達から教えてもらって、最近だとISSUGIとかBESが好きなんです。



YSK:俺は最初、ELLEGARDENやHi-STANDARDとかメロディックハードコアパンクから入っていきました。で、バンドやってる友達と知り合って、DINARY DELTA FORCEやFla$hBackSを教えてもらって、HIPHOPはそこから聴き始めました。ルーツを辿るとポップパンクだと思います。

OFFPACO:僕はもともとドラムを習い事としてやっていたんです。母親が今でもバリバリでバンギャやってるのもあって、最初はヴィジュアル系に自ずとハマっていきました。X JAPANとか。学生時代はヴィジュアル系バンドをやっていたんですけど、その後、最初の話に戻るんですけど、ALTAから「メタルとかハードコアやろうよ」って声かけてもらって今に至るんです。それに、ハードコアバンドの先輩はBO?WYやLUNA SEA、黒夢を好きだった人も多いんです。そんな先輩たちからも影響は受けいますね。なのでルーツとしてはヴィジュアル系です。



ALTA:HOTVOXの前身のバンドを組み始めた時、各々別のバンドをやっていたんですよ。ヴィジュアル系だったりポップパンクだったり。俺はガレージパンクをやっていたし。そもそもを辿ると、世間的に流行っていたこともあって、やったらモテるかな? なんて話して「メタルコアやろうぜ」って話になったんだよね(笑)。

OFFPACO:あー、そうだった!メタルコアを始めた理由は軽い理由だったっていう。

ALTA:SiMとかcoldrainといったシーンの先駆者が学校でも流行っていて、その流れで日本にライブに来てたBlessthefallとかを知って。

一同:なつかしい~(笑)。

ALTA:そのバンドを観て「モテそうじゃない、これ?」って(笑)。

OFFPACO:でも「結局、顔だな」って結論に落ち着いたよね。

ALTA:そう、逆の立場になって考えてみろってな。観客の立場で俺らの姿を見たところでね(笑)。

ー皆さん、SiMやcoldrain、Crossfaithなどを通っているんですね。

ALTA:普通に大好きです。あと、やっぱりHi-STANDARDが好きですね。避けて通れないです。

YSK:っていうか俺、SATANIC CARNIVAL'14に遊びに行って。その時にSANDのライブ中にモッシュで殴られて半泣きで帰ったんだ(笑)。



ALTA:いやー、あれも初期衝動だよな。「マジでこれ、最高に最強でカッコいい!」ってメンバー共通でなったのはSANDですね。

ーちなみに、HOTVOX楽曲は誰が作成してるんですか?

ALTA:原曲は俺が1人で行っています。その後のアレンジはスタジオでメンバー全員で考えていますね。

ー歌詞、リリックに関しては?

RIK:ALTAと俺で。俺のときもあればALTAのときもあれば。2人のときもあってケースバイケースです。

ALTA:中盤までは俺が考えて、その解釈で後半の歌詞をRIKにパスすることもあります。

YSK:ふたりはプリキュアみたいな。

一同:失笑。

ALTA:今のはカットで(笑)。



ーリリックの内容は相当アグレッシブというか、攻めの姿勢を感じます。

RIK:個人的な理由なんですけどストレス溜まってたんかなって。そう言う意味で歌詞は心情を反映できるから楽しいですね。最近出した曲でもヘイト寄りの曲もあるんですけど、ピースフルな歌詞を描くのも好きで、そんな楽曲もこれからはどんどん増やしたいと思っています。

ALTA:ラブソング出したいね。合コン失敗した歌描きたい(笑)。

ーそれ結局ヘイトになりません?(笑)。
ALTA:ヘイトですね(笑)。

ー周りを取り巻くシーンってところで、HOTVOXとしてどんなバンドマンと親交がありますか?

ALTA:直近だと、GASMARIAと999999999と俺らでG. H. 9って新しいプロジェクトをやっています。コロナ禍でこんな状況なので、7月31日に配信ライブをやる予定なんです。 "G.H.9" GROOVE SUPPLY



Ticket: https://loft-prj.zaiko.io/_item/328229

この2バンドは一緒にやっていたら自分たちが1番テンション上がる感じなんですよ。自分たちとマインドが同じだし2バンドともカッコいいし、とりあえず何でもいいから行動していこうって。

ー他に、仲良いバンドはいますか?

ALTA:同世代だったらHORSEHEAD NEBULAっていう東京拠点のバンドは仲良いですね。福岡は友達が多いです。universe last a wardっていうハードコアバンドだったり、Paleduskもそう。どっちも歳が近くて仲も良い感じです。

RIK:音楽性はちょっと違うんですけど、See You SmileのGt.のAyatoくんと俺らの地元がほぼ一緒で。ジャンルは違うんですけど前に1回2マンライブも開催していて仲良くやっていますね。

ALTA:お互いフックアップし合っていこうぜって。

 

ムーブに乗っからないなら、ムーブを作った方がカッコいい




ーファッションに関して、いわゆる90'sストリートの雰囲気を感じますが、どんなところから影響を受けていますか?

ALTA:90'sに関しては、漠然としたテーマとしてバンドにあるので、それを意識しているのもあるし、とりあえず、トレンドに乗っかった服装は嫌いっていう気持ちはあります。単純にトレンドキルみたいな話じゃないですけど、それだと近寄りがたいバンドにしかならないと思うんで、トレンドキルみたいな気持ちもありつつ、ムーブに乗っからないなら、ムーブ作った方がカッコいいでしょって考えにはなってますね。だから一応、バンド単位では90'sにこだわっているけど、そこをとことん追究しているわけでもないし、全員XXLしか着ちゃいけないってルールもないです。ただ、普通過ぎる格好は止めとこうって考えています。

ー楽曲「H O T V O X」では、八王子ローカルをレペゼンしていますよね。
 

 


OFFPACO:地元だからとりあえず、って感じです。

ALTA:そう。たまたま地元が八王子だったから、そこを普通にレペゼンしていこうって。適当だと思われるんですけど、実際、みんなそうだと思うんですよね。レペゼンどこどこって言ってる人って、地元が好きで言ってるわけじゃないですか。でも俺はどこよりも八王子が好きかって言われたら、そんなことないし、それはみんなそうだろって思うんですよ。たまたま同じ地元で、このメンバーになったってのが先行して"八王子レペゼン"になっています。八王子だけでバンド作ろうって言って、八王子のメンバーだけを募集して、レペゼン八王子って言ったらめちゃ説得力ある感じっすけど、そうじゃないからこそ、俺らのラフっぽさみたいなのも出てるのかなって。偶然の八王子であって、八王子で遊んで。ついでだし八王子レペゼンってやろうよっていうラフさみたいな。

ー今後出演してみたいライブやフェスは?

OFFPACO:……SATANIC CARNIVAL。

ALTA:(メンバーの中で)誰が言うのかっていう(笑)。でも、マジで目標の1つです。

ORII:やっぱりSATANIC CARNIVALは憧れのバンドが出演しているし、お世話になっている先輩バンドも出演しているフェスなので、絶対に目指したいですよ。

 

アンダーグラウンドのバンドとして バンドの価値を底上げしていきたい

ー最後の質問です。HOTVOXがバンドとして目指している場所は? 各々の考えを教えてください。

ALTA:とりあえず、今のバンドの立ち位置に留まりたくないっていうのはありますね。普通にデカいステージに出たいし、デカいイベントも組みたいし。売れたいっていったら軽く聞こえますけど、そういう想いがあります。それは大人の力を使って、とかじゃなくて、アンダーグラウンドとして、アンダーグラウンドのHOTVOXを底上げするみたいな感覚です。レベルミュージックが好きでバンドをやっているので、そこは絶対に崩さないでやっていきたいですし、とりあえず、やりたくないことを絶対にしないためにやっていこうって気持ちでいます。

RIK:まだ日本でしかやったことないんで、海外でやってみたいです。それこそCrystal Lakeが海外でぶちかましてるのを見て衝撃を受けましたね。俺らも国籍や性別なんて関係なく盛り上げられるようなバンドになりたい。

ORII:90年代から00年代って、バンドとHIPHOPのシーンが今よりも近かったと思うんですよ。最近はHIPHOPの方がデカくなってバンドもバンドで違う方向に行って、カルチャーとして離れていると感じます。そんな時代の中で、俺らみたいなスタイルはちょうど真ん中だと思っていて、また両者を近づけられると考えているんです。俺らはHIPHOPをリスペクトして、バンドとしてもっとHIPHOPのシーンにも突っ込んでいきたいと思いますね。

YSK:俺は適当っすね(笑)。なんか今コロナでアレですけど、スケートしたり、友達と酒飲んだりして、そっからどんどんバンドもやって、なるようになるかなって感じはあるっすね。でも、バンドとしてカルチャーは全面に押し出したいよね。好きなカルチャーを表面に見せつつ、バンドもライブも全力でやっていきたいなって。

OFFPACO:他メンバーと被るんですけど、バンドとして見せたい明確なカルチャーがあるっていうか、こんな人間(メンバーのこと)、そうそういないじゃないですか。個性がバラバラな人たちでも同じものが好きだったり嫌いだったり、同じ方向を向いて尖りながら活動を積み重ねていくことで研ぎ澄まされてくるじゃないですか。それをこれからも続けていきたいですね。せっかくこんな好きになれるヤツらと出会えて、好きなことをできているんで、これからもずっとみんなと一緒に居られたらなって思いますね。人として珍しいケースだと思うんですよ、僕は。

YSK:ふふふ(笑)。

OFFPACO:なんだよ(笑)。
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